気圧が変化したり、寒暖差が激しかったりすると、頭痛など体の不調を感じる人が増えるといいます。
これは自律神経が乱れることが原因の一つです。
季節の変わり目や、人間関係や生活リズムなど環境の変化が起こった時にも自律神経が乱れやすくなります。
今回は、自律神経を整えて心身の不調を予防・改善する方法を解説しましょう。
■自律神経とは?
自律神経が乱れると、疲れやすくなったり、頭痛や肩こり、便秘や下痢もしやすくなります。
精神面では、理由もなくイライラする、緊張やストレスを感じる、集中できないといった不調を訴える人も。
体や心のあらゆる症状が自律神経の乱れによって引き起こされている可能性があります。
そもそも自律神経とは、体のどのような機能なのでしょうか。
自律神経の正体は神経のなかでも「末梢神経」に分類されるもので、「運動神経」も同じ仲間です。
運動神経は脳からの指令によって骨格筋を動かすことができますが、自律神経は自らの意思で動かすことはできません。
自律神経は呼吸や血液循環、消化などを司っており、それぞれを無意識のうちに調節しているのです。
また、自律神経は「交感神経」と「副交感神経」の2つの神経のバランスによって成り立っています。
活動するときに活性化するのが交感神経で、リラックスしている時や脳が休息する時に活性化するのが副交感神経です。
交感神経はアクセル、副交感神経はブレーキのような役割を果たしており、交互に働くことで体を調節しています。
■自律神経が乱れるってどういうこと?
自律神経が乱れているというのは、交感神経と副交感神経がそれぞれ必要な時に機能していない状態をいいます。
例えば体を動かさなければならない日中の時間帯に交感神経よりも副交感神経の方が優位になると、やる気が起こらなかったり、眠くなったりしてしまうでしょう。
いっぽう体を休めるべき夜間に交感神経が活性化してしまうと、イライラしたり緊張が解けなかったりして寝付けなくなることがあります。
自律神経のバランスは体内リズムによって調節されますが、ストレスや生活習慣にも影響を受けています。
現代人は仕事や時間に追われる生活を送っており、家にいる間も緊張状態にある人が多いです。
仕事が終わったら次は家事や育児が待っている、明日の仕事のために準備しなければならないという人もいて、寝る直前まで忙しい人も増えています。
本来体を休めるべき時間帯になっても交感神経が優位なままだと、いつまでもリラックスすることができません。
その結果、胃腸の働きが悪くなったり、睡眠の質が低下したり、あらゆる不調を引き起こしてしまうのです。
■自律神経は整えることができる!
自分の意志で「交感神経を抑えて副交感神経を活性化させて!」と命令することはできません。
しかし、自律神経は環境や心掛け次第で整えることが可能です。
・整理整頓しよう
ストレス過多になりやすい現代は、常にイライラを感じている人が多いです。
仕事や人間関係で上手くいかなかったり、心配事があったり、気持ちの乱れが自立神経の乱れにつながっている可能性もあります。
環境を変えるのは難しいですが、気持ちをスッキリさせる方法はいくらでも見つかるはずです。
整理整頓もその一つで、朝起きた時や夜寝る前に毎日机の上をきれいにすることで気持ちを整える効果があります。
上手くいかないことがあっても、毎日1回すべてをリセットする時間を設けてみましょう。
仕事や家事に一区切りつける意味もあり、高ぶった気持ちを落ち着ける効果もあります。
・散歩をして気分転換!
適度な運動も自立神経を整える効果があるといわれています。
ジョギングや筋トレは交感神経を活性化させますが、軽い散歩や森林浴ではリラックスすることができるでしょう。
出かけられない場合は、自宅でストレッチをするのもおすすめです。
腹式呼吸で深呼吸を繰り返すと副交感神経が優位になり、心も体も休めることができます。
毎日の出勤に革靴やハイヒールではなく、スニーカーを選べば気分も軽やかに。
一駅歩く、階段を使うことを意識するだけでも良い運動になります。
・一日の楽しみを作る
ストレスを抱えていると、繰り返す毎日に嫌気がさしたり、生きている意味が見いだせなくなったりすることもあるでしょう。
モヤモヤしたまま過ごす日々は、やる気の低下や集中力の欠如につながります。
一日のなかにたったひとつでも、心から楽しめる時間を作ってみてください。
例えば食後のデザートに甘いものを食べる、好きなドラマを観るといったこともスペシャルなイベントになります。
毎日楽しみを見つけるのが難しければ、休日はお気に入りのカフェに出かけるなど、週に一度のご褒美でも良いです。
今日を乗り越えれば、今週頑張れば、楽しみが待っている。
こう考えるだけで、毎日ワクワクした気持ちで過ごすことができるでしょう。
頑張る時と、自分にご褒美をあげる時、一日にメリハリをつけると自律神経も整います。
・腸内環境を整えよう
最近の研究で、自律神経と腸内環境が密接に関わっていることが分かってきました。
これまでは自律神経が腸の働きに影響を与えているといわれていましたが、実は腸内環境の状態が自律神経を左右することもあると判明したのです。
お通じが整い、腸内環境が良くなると自律神経も整います。
自律神経が整うと腸の働きが良くなり、ますます腸内環境が整うというわけ。
腸のぜん動運動は副交感神経を活性化する効果もあるので、「腸もみ」も有効です。
便秘やお腹の張りが気になる時は、お腹のマッサージをしてみましょう。
善玉菌のエサになる食物繊維を多く摂ったり、発酵食品を意識した食事を摂ったりするのも効果的です。
■自律神経が乱れているなと感じたら…おすすめ食材
腸内環境から自律神経を整えたい人におすすめなのが、きのこ、海藻、バナナ、ヨーグルトやキムチ、味噌などの発酵食品です。
現代人は水溶性食物繊維が不足しがち。
きのこ類やおくら、長いも、海藻などのネバネバ食材に多く含まれているので、毎日摂取することを心掛けましょう。
バナナには水溶性食物繊維と不要性食物繊維の両方が含まれる「レジスタントスターチ」というでんぷん成分が豊富です。
特に茎がまだ緑色のバナナを選ぶと、腸内環境の正常化に効果的だといわれています。
発酵食品を食べるなら、夕方以降がおすすめ!
この時間帯に交感神経から副交感神経に切り替わると、リラックスして心や体を休めることができます。
発酵食品を摂るとスムーズな自律神経の切り替えのためのサポートをしてくれるので、夕食やデザートで積極的に摂りましょう。
■ストレスを感じたら上を向こう!
生活リズムを整えたり、腸内環境を整えたりしてもストレスから解放されるわけではありません。
仕事や家庭のトラブルで大きなストレスに直面すれば、自律神経は乱れてしまいます。
どんなストレスにも負けない強靭なメンタルを持つのは難しく、環境を変えない限り自律神経が乱れるのを回避することはできないかもしれません。
しかし、「病は気から」という言葉もある通り、人間の体は気持ち次第で健康にも病気にもなります。
嫌なことがあったら空を仰いで、前向きな気持ちを意識してみましょう。
気分が明るくなるだけでなく、息を吸いやすくなり、体に新鮮な酸素が取り込まれます。
深呼吸すると自律神経が整い、気分もすっきりするのを感じるはずです。
下を向いてうなだれていると、気持ちまで落ち込んでしまうもの。
ストレスを感じた時こそ、顔を上げて気持ちを切り替えましょう。
自律神経が整うと、仕事や環境のストレスに負けない強いメンタルを手に入れることができます。
腸内環境が乱れている人は、まずはお通じのリズムを整えるところから始めていきましょう。