にゅん日和

仲良し夫婦の『気まま日記』

一房の葡萄

2009-10-05 23:18:41 | 
 有島武郎の名作 「一房の葡萄

かなり前に、新聞で紹介されていて、いつか読みたいと思っていたけれど、つい最

近やっと読むことが出来ました。

絵を描くことが好きな少年は、クラスメイトが持っている西洋絵の具に憧れ、心の

中でその絵の具の事を思い続け、毎日を過ごします。ある日、衝動に駆られ、少年

はクラスメイトのその絵の具を、盗んでしまいます。

それをクラスメイトに知られた、少年は先生の所へ連れて行かれますが、優しく肩

を抱かれ、先生に諭されます。少年は出来心でしてしまった罪と、自分の為に仲間

や大好きな先生を苦しめたことを悔やみ、泣きじゃくります。

先生は、一房の葡萄を少年の膝に置くと、クラスメイトを別の教室に連れて

いき、話をします。

少年の元に戻った先生は、

「そんな悲しい顔をしないでもよろしい。もうみんなは帰ったしまいましたから、

あなたもお帰りなさい。そして明日はどんなことがあっても学校にこなければいけ

ませんよ。あなたの顔を見ないと私は悲しく思いますよ。きっとですよ。」と優し

語りかけます。

次の日、少年は学校に行くのに足がすくみますが、昨日の先生の言葉を支えに、行

かなかったら、大好きな先生が悲しむと思い、勇気を振り絞って登校します。

すると、絵の具をとられたクラスメイトや、他の仲間が、少年を優しく迎えてくれ

た。


、、、大まかですがこんな話です。

いじめに発展したり、もしくは不登校にもなったかもしれない、この出来事も、先

生が子供の心をしっかり掴んでいます。そして素晴らしい導きがあったんだと、本

当に感動し、心が暖かくなりました。

私もかつて小学生の頃、いじめを受けたことがありました。家に帰っても家族の

誰一人として、その事を打ち明けられず、毎晩布団の中で涙が出ました。

それでも、勇気を持って学校に行けたのは、担任の先生に提出する、日記が心の

支えになっていたからでした。いじめられても、恐怖感のあまり、無抵抗の私は

書いて、その思いを先生に伝える事で、精神的なバランスを保っていられたのだと

今でも思います。担任の先生は、その私の気持ちを、痛いほどくんでくれ、いつも

優しくその気持ちを包んでくれていました。そして、クラスメイトに話をしてくれ

たのです。いじめは次の日から、格段に減り私の心も、段々と平穏でいられるよう

になりました。小学校卒業から、長い長い月日が流れますが、その時の担任の先生

とは、今でも年賀状の交流があります。それがたまらなく、嬉しいのです。

子供の頃の思い出は、大人になってからも忘れることはありません。それが、心に

残る出来事ならば、尚更です。

今回、この、「一房の葡萄」を読んで、自分の子供の頃や、担任の先生が重なり

涙が止まりませんでした。

皆さんも、是非読んでみてください。


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