今日は来月稼動開始予定の電子カルテのリハーサルのため出勤し、夕方からお通夜に行ってきました。
私と同じ勤務先の病院で看護師をしているHさんの身内の方のです。
亡くなった方はまだ50代、音楽が大好きで、アマチュアバンドを組んでいました。
1ヶ月ほど前にHさんが、「Tちゃんが入院したの…」「どんな病状なんですか?」「病状は重いような気がするの…」
そんな会話のやり取りがあったけど、私はたいしたことなくてすぐに退院できればよいと思っていました。
でも毎日Hさんから色々病状について聞いていると、やっぱり重い病気なのではと私にも理解できました。
亡くなったTさんは、入院先の病院では主治医から肺炎と説明されていたのです。
でもホントは肺炎ではない、でも本人に本当の病名や病状を告知していなかったのです。
告知をしなかったのは、本人のメンタル的な問題もあり、身近にいる人も本当のことを言わないほうがよいのでは?と思ったからでしょう。
だんだん時間がたつにつれ、どんどん病状は重くなり苦しい日々が続きました。
Hさんは身内の方の苦しみを少しでも楽にしてあげるのにはどうするのが1番良いのか、毎日悩んでいたようでした。
そしてついに余命1週間という時に本人に告知をすることになったそうです。
それから本人が望んだのは、「家に帰りたい」ということだったのです。
最期の望みをかなえてあげたい…苦しまないで穏やかに過ごさせてあげたい…
そんな願いを胸にHさんは在宅での看取り…訪問診療、訪問看護を頼み、自分もできるだけ協力するという道を選びました。
そしてそんな職員の気持ちに応えて訪問診療を引き受けてくださった理事長先生や訪問看護ステーションの所長さん
みんなの力を合わせて在宅での看護がはじまりました。
理事長先生は主治医を引き受けるとすぐに本人にすべてホントのことを話しました。
すると気づいていた本人は自分の本当の気持ちを話したそうです。苦しいこと、つらいこと、怖いこと…
理事長先生はそれを聞いて穏やかな最期が迎えられるように指示を出してくださったそうです。
入院中はむくみがあるからと好きな物も飲めなかったけど、家では好きなものを飲んでもよいとか、食べたいものを食べてよいとか…
最期のときを迎える前にはバンド仲間のお友達が泊まりこんで、一緒に本人が映っているDVDを見たり、
眠っているときも大好きな音楽を聴かせてあげたりしたそうです。
そしてそのまま永遠の眠りについたとき、それはそれは穏やかな表情だったと…
Hさんは急性期の病棟で看護をしています。急性期での入院医療は入院のきっかけになった疾患がよくなれば退院になります。
今回のHさんの身内の方は、最初は急性期の病状を治すために入院したけれど、実は末期の病態だったのです。
末期の患者さんは一般的には入院は緩和ケア病棟に入院します。
急性期は病気を治す、緩和ケアとはまったく違うのです。
先月『死に顔ピース』というお芝居を観劇したときにも在宅での看取りについて考えることがありました。
今回はまさにそれを経過を追って耳にすることになり、死を迎えることについて深く考えることができました。
説明と同意(インフォームドコンセント)の大切さ、告知の大切さ、そして患者さんの最期の希望をかなえてあげることの大切さも改めて感じました。
そのために24時間患者さんやその家族と向き合っている訪問看護ステーションのスタッフさんの偉大さ、
夜中でも呼ばれたら訪問診療する主治医の先生のご苦労には頭が下がります。
『地域とともに生きる慈しみのトータルヘルスケア』『高度・最新の医療から安心信頼の在宅介護、健康増進までを幅広く提供します』
この理念や方針のもとで患者さんのためになるよう、日々努力を重ね仕事をしていかなければと思います。
今日この日記に書くことを承諾してくださったHさん、また力を合わせてお仕事頑張りましょう。
Tさんのご冥福を心よりお祈りいたします。