奈良県、和歌山県、大阪府が接する奈良県中西部にある五條市。
ここを流れる吉野川の河畔にひっそりと建つ栄山寺。
奈良時代719年に、藤原南家初代武智麻呂が開創した寺です。
今日行ってきました。
境内には国宝が二つ。
まず、目に入ってくるのは梵鐘(国宝)。
青銅製の梵鐘で、高さ1.874m、口径89cm。
菅原道真の撰、斧の唐風の書と伝えられる銘文が刻まれています。
京都神護寺、宇治平等院の鐘とともに、平安三絶の鐘とされているそうです。
少し行くと右側にあるのが七重の石塔婆。
高さ360cmの塔婆で、奈良時代建立のようです。
わが国の最も古い石造塔の一つだそうです。
石塔婆のちょっと手前には「大日堂」。
凄く荒れ果てた感のあるお堂です。
床板の隙間から地面が見え、入道するところなど、体重をかけるとたわみ、
歩くと抜けそうです。
内部には後背も天蓋も修復されていない観世音菩薩、不動明王、弘法大師像が並んでいます。
本堂。
内部には薬師如来坐像(重文)、十二神将像(重文)が並んでいます。
薬師如来像は木造漆箔、1431年に作られた寄木造の仏像です。
鮮やかな金箔が残っています。
十二神将像は1454~1455年に造立されたものです。
これもまた金箔、装飾の色彩が見事に残っていました。
本堂の正面には高さ243cmの石灯篭(重文)が立っています1284年に作られたそうです。
栄山寺は、南朝の後村上、長慶、後亀山三帝の行在所だったため、史蹟指定されています。
さて、もう一つの国宝は八角円堂。
藤原仲麻呂が父母の追善供養の為建立したお堂です。
外観は八角形なのですが、内部の身舎(もや)は四角形です。
内陣周囲には八角形の柱が四本立っています。
その柱や天井には剥落が激しいものの、天平時代の壁画が残っています。(重文)
六角円堂の中には平安後期の如来形坐像、天部形立像などが安置されています。
天部像は破損が激しく、簡単に修復されているのが痛々しいです。
荒廃しつつある寺という趣です。
30日限定ですが、デジブックに写真を載せています。
http://www.digibook.net/d/50c4ad5b8118ba15aeb5d4438084f115/?viewerMode=fullWindow
したが、周りの自然の中にしっくりとけこんでいい雰囲気でした。
でも秋だと、荒れ具合を寂しく感じそうです。
ちょうどパンフレットのような風景だったのでしょうね。
どうも我々「あわれ」を感じるものに魅力を感じるようです。
法隆寺の仏像三体の一体を磨いて金ぴかにすると趣が無いと、残りの二体をそのままにしたとか、薬師寺の西塔が風情が無いとか。
でも、当時は金ピカの仏像、丹に塗られた建造物がありがたかったわけですね。
栄山寺の仏像はかなり金ぴかでびっくりしました。