萌ちゃんのひとりごと

里山暮らしの萌ちゃんが日々の暮らしの中で思うことを綴っています

大町トンネル破砕帯に挑んだ人たち

2018-05-03 14:35:58 | 日記
立山黒部アルペンルートの最高地点は、室堂の2450mだ
夏でも残雪が残るような2000mを超えるこの地点に
私たちはケーブルカーやバス、ロープウエー、トロリーバスなどを乗り継いで
いとも簡単にやってきて、遊歩道を散策し、お土産を買い
「わあ~すごい!」とか「きれい~!」とか言っている

こんなにも簡単に秘境黒部にやって来れるのは
黒部ダムの建設があったからだ
ダム建設のために作られた道路が、ダム完成後整備され
今、立山黒部アルペンルートになっている

今回の旅行は、前にも書いたが、長時間のバスの旅だった
添乗員さんが長旅に気を使ってくれて、バスの中でDVDを見せてくれた
NHKの「プロジェクトX」黒部ダム建設のドラマだった
「大町トンネル」工事、特に破砕帯の難工事を取り上げた話と
「黒部ダム」本体の工事を取り扱った話だった

前もって黒部のことを知って現地を訪れるのと、
知らないで行くのとでは、現地の見方が全然違ってくる
「大町トンネル」の破砕帯の難工事は、映画「黒部の太陽」で良く知られていることだが
実は破砕帯はもう一つあって、室堂から大観峰へ抜ける「立山トンネル」にもあった

どちらの破砕帯も、トンネル内のその部分には青い光があたっており
バスで通過する時、その存在を知らせてくれる
大量の水と崩れ落ちる土砂、崩れた土砂を取り除いては、また掘るという闘い
危険と隣り合わせでの作業を、作業員たちは来る日も来る日も繰り返した

当時、工事に当たっていた人にインタビューしていたが(プロジェクトXの中で)
〈金ではない、誰もやったことのないこの難工事を、何としてもやり遂げたいという気持ちだけだった〉
と、言っていた
映像を見ても、過酷極まりない状況での工事がよく分かった
昨今話題になっている「働き方改革」など、論外の作業に思えた

171人の犠牲者を出し、7年もの歳月をかけた難工事を
何度も危機に見舞われながらも、途中で投げ出すことなく成し遂げた人たち
多分、大部分の人はクローズアップされることのない前線の作業員だろうが
彼等の、身を挺しての仕事のおかげで、今、私たちは立山・黒部の雄大な自然を見ることができている

何人かの人がリクエストしたのだろう。帰りのバスの中で、もう一度「プロジェクトX」のDVDが流された
黒部を見た後、破砕帯を通った後に、再び難工事のドラマを見て
改めて、あの工事に従事した人たちに敬意を表するとともに、《人間って凄い》と思った