官々接待が大分取りざたされた時期があったが、公務出張での公費の使用範囲とでも言おうか、これは本人の自主判断に任さねばならないのか?人間としての道理と節度を守ることは当たりまえである筈である。公務員等が公用の出張するときに出張先で相手方から接待を受けたり、反対に相手が出張してきたとき華美な接待をしたり、また研修出張を利用して公務はそっちのけで観光中心の研修になったりする事例は、近頃でこそ余り聞かれなくなったが、地方議会等の議員の研修や、その他関係する職員のこのような事件は相変わらず新聞紙上をにぎあわせる。公務員昔は官吏と言っていた者が出張の接遇に関しては五高が創建された明治二十年には既に官々接待について政府から通達が出されている。次に第五高等中学校長に通達されている通達を転載する。
別紙内示書写内務省ヨリ回付之付為念心得度御通違之也
明治廿年十一月七日
文部省総務局長 辻 新次
第五高等中学校長 野村彦四郎殿
(別紙)
総甲第五一号
官吏地方巡回又ハ出張ノ節接待ノ心得左ニ内示ス
一 公務ヲ弁スルカ為必要ナル便ヲ与フルハ勿論ノ儀ナレトモ待遇鄭重ニ過キ若クハ華美ニ流ルヽ事アル可カラス
一 送迎随行ノ為地方官吏職務ノ地ヲ離ルヽ可カラス
但公務ヲ弁スルカ為メニ必要ナル場合ハ此限ニ在ラス
一 盛ニ宴会ヲ張ル等ノ事アル可カラス開業式又ハ共進会式等ノ節モ同リ簡易質素ヲ主トシ過当ノ共設ヲ為スコトアル可カラス
一 時宣ニヨリ宿泊車馬ノ差支ナキ様取計フハ防ケナント雖も是無過当ノ供設ヲ為ス可カラス
一 若シ人民ニ於テ接遇ヲ為サントスルトキモ前数項同様ノ心得ヲ以テ懇口ニ之ヲ示シ仮令其好意ニ出ツルモワメテ冗費ヲ節セシム可シ
明治廿年十一月四日 内務大臣 伯爵 山縣有朋
別紙内示書写内務省ヨリ回付之付為念心得度御通違之也
明治廿年十一月七日
文部省総務局長 辻 新次
第五高等中学校長 野村彦四郎殿
(別紙)
総甲第五一号
官吏地方巡回又ハ出張ノ節接待ノ心得左ニ内示ス
一 公務ヲ弁スルカ為必要ナル便ヲ与フルハ勿論ノ儀ナレトモ待遇鄭重ニ過キ若クハ華美ニ流ルヽ事アル可カラス
一 送迎随行ノ為地方官吏職務ノ地ヲ離ルヽ可カラス
但公務ヲ弁スルカ為メニ必要ナル場合ハ此限ニ在ラス
一 盛ニ宴会ヲ張ル等ノ事アル可カラス開業式又ハ共進会式等ノ節モ同リ簡易質素ヲ主トシ過当ノ共設ヲ為スコトアル可カラス
一 時宣ニヨリ宿泊車馬ノ差支ナキ様取計フハ防ケナント雖も是無過当ノ供設ヲ為ス可カラス
一 若シ人民ニ於テ接遇ヲ為サントスルトキモ前数項同様ノ心得ヲ以テ懇口ニ之ヲ示シ仮令其好意ニ出ツルモワメテ冗費ヲ節セシム可シ
明治廿年十一月四日 内務大臣 伯爵 山縣有朋