昭和２０年の通知文書から

日本は昭和２０年は８月１５日に連合国側に無条件降伏し第２次世界大戦は終わっている。日本の国土は荒れ果て田畑はじめ作物の生産は全くなくなってしまっていた。１２月になって学校の食糧増産に関する件として文部次官および農林次官から学校長宛てに以下のような文書が通達されているのでその文書を転載し戦後の食糧増産の様子を眺めなおしてみたい。

学校の食糧増産に関する件　　　　発体９５号　昭和二十年十二月二十七日　　　　文部次官　　　農林次官
　　大学高等専門学校長　殿　　　学校の食糧増産に関する件
標記の件に関し今般地方長官に対し別紙の通り通牒致したく処本件は現下の食糧事情に鑑み極めて緊急なるもの認められるに付き咲き要綱により貴校学徒が食糧増産に従事し身を以って国家の危機突破に当るの意気を昂揚せられられし度此段及び通牒
　　　　　　　　　　　　　　　記
地方長官宛通牒の要領に準じ実施するほか左記要領に留意する者とする

一、 学校農園設置要領
（一） 単一学校に於いて農園を経営し難きときは適宜数校連合して連合農園を運営する者とす此の場合学校集団の組織を活用するものとす。連合農園は都道府県指導の下に農地開発営団又は都道府県農業会の管理する者に付き勤労学徒援護会支部にて之が運営を行うを可とする
（二） 新たに開墾する土地が３００町歩以下なる場合は地方長官に於いて適宜処理し得るものを以って土地の利用に付いては地方庁と交渉する者とす。
（三） 農機具、種苗等の資材は地方庁並びに農業団体と密接に連絡の上入手に努められ度
特に種苗については農業関係大学専門学校並びに青年師範学校に於いて斡旋しうる如く考慮されたし

二、 食糧増産一般への学徒の協力要領
（一） 緊急開拓事業其の他食糧増産に関するは地方長官と学校長協議の上緊急やもう得ざると認めるある者に付き学徒を協力せしむるものとす
（二） 前項の場合は事前に学校当局に於いて充分なる調査を行い且つ為るべく学徒の自主的計画を尊重し実施せしむるを可とする者となす、尚事業は公共的なる者に限定するを可とする
但し農業関係の学校の学徒については其の技能を充分に活用するを努めるものとす
（三） 作業の指導
作業実施に当り手は教職員の充分な指導においては其の技術的指導の徹底を期するため各関係者の協力に依って作業用具の取扱其の他作業方法に充分なる伝習並びに知識を与えおくこと

（四） 食糧の加配
食糧の加配は作業の種類、農家、非農家の子弟等の区別取られたきしも作業との調整を図り食糧不足に依る心身の消耗をきさざる様　特に留意するものとす　　　　以上

我らが記憶にあるところでは戦後にかけて学校の運動場、公園の広場という空き地という空き地には食糧不足のため国民の腹を満たすための米に代わる代用食サツマイモ畑やカボチャ畑が拡がり食糧増産に励んでいた。