またテレビ番組の感想になりますが、
NHK日曜美術館を観ました。
『うれしくなくちゃ 生まれない 染色家 柚木沙弥郎の模様人生』
型染めの第一人者・柚木沙弥郎さんは95歳。
いろいろな人に助けられながらのひとり暮らし。
2本の杖や歩行器で歩きながら、
まるで老人というその外見からは想像できないほどの、
作品たちの瑞々しさに驚きました。
でもそれは、柚木さんの心の瑞々しさであるのです。
「模様は形。形って何だろう。崩れて消えてしまう。
見たときにそのものが持っている、物語や歴史を感じるかどうか。
そのものの本質、生き様を感じ取る。
そしてその命と出会って表現していく。
おもしろくなきゃ、うれしくなきゃ、できないよ」
そう語る柚木さんの口調は淡々としていて、
だけど、とても引き込まれました。
若いころの柚木さんはとてもまじめで、
どちらかというと神経質なタイプ、
他人に対しても不機嫌さを隠さずにいました。
作品作りも時間にとらわれてしまい、行き詰ってしまいます。
そんなとき訪れたサンタフェの美術館。
素朴な泥の人形たちと出会い、そのとき柚木さんは思いました。
何をしてもいいんだ・・・。
穏やかでとぼけた人形たちの表情が、
柚木さんの頑なさをほどいていきました。
それまでの窮屈な考え方を変えます。
そのとき柚木さんは60歳を過ぎていました。
心に湧き出るものを、どう命として表現していくのか。
わたしは芸術家でないけれど、とても興味があります。
歳をとるにしたがって、小さくなっていく希望、
気持ちの温度も低くなって、
いつの間にか、
感じることも少なくなっていくのだろうか。
でも、柚木さんは60歳過ぎから、
自分の心を柔軟にして、瑞々しさを増していきました。
日常の些細なことでくよくよしながら、
自分の人生の残り時間を食いつぶしているわたし。
柚木さんのように変わりたい。
もっとおおらかに、空飛ぶ鳥のように、
自由な心で暮らしていきたい。
テレビで出会った柚木さんは、
わたしにとって、
柚木さんがサンタフェで出会った人形たち。
日常を窮屈にしている気持ちや考え方を揉み解そう!!
もっとあるがままをおもしろがろう!!
ちょっと心に温かさが染みた番組でした。