「恋舞妓の京都慕情」を見て、久々に毘沙門堂を思い出した。
急な石段に幟がたくさん立っていたのを覚えていた。
ここは枝垂れ桜と紅葉の景色が素晴しく、どちらも過去のJR東海
のキャンペーン・ビジュアルに使われたほど。
そうだ、毘沙門堂行こう!
この季節、どこからか風に乗ってキンモクセイの香りが届くのに
香りの主が見えないことがよくある。
でも、駅の方から毘沙門堂へと続く道にはキンモクセイがそこここ
に姿を見せていた。途中で小さな橋を渡ると、川沿いの道にはコス
モスがいっぱい咲いていた。
この記事を書いていて知ったことだけれど、村上春樹さんのサイト
「村上さんのところ」でこの毘沙門堂のことが出てきたらしい。
(現在は閉じられているので読めない。)
●毘沙門堂
こちらのお寺には2009年3月に一度来ているのに石段と本堂前の風景
しか覚えていない。ブログの記録を調べてみると、ちょうどその頃、
盗難に遭ったお前立ちの毘沙門天が戻ってきたばかりで、再公開の
まだ準備中だったようだ。仏像はもちろん、有名なお庭や襖絵も拝見
していなかったことがわかり、あらためての拝観となった。
石段を登り切ると仁王門。頭上の「毘沙門天」と書かれた大きな提灯
には菊が描かれていて、ここが皇室ゆかりの寺院であることがわかる。
お寺の創建は大宝三年(703年)。行基によって開かれ、後西天皇の
皇子公弁法親王が入寺して以来、門跡寺院になったそうだ。
聞けば、こちらのご本尊の毘沙門天は伝教大師の自作で、330年に
一度のご開帳とのこと。直近の公開が十数年前だったそうで、いま
拝観できる毘沙門天さまはお前立ちになる。
間近で拝観すると、意外にも勇壮で威厳ある感じではなく、若々しく
凛々しいお顔だった。宝塔を象った珍しいお厨子の前に立ち、優しく
迎えてくださる。
6年目の正直。遅くなりましたがようやくお参りできました。
本堂だけのお参りなら拝観無料とか。なんて懐の深い!
拝観料を払って奥へと進む。
霊殿で狩野永天井画の八方睨みの龍を見た後、さらに奥へ。ここは
門跡寺院なので御所から移築した「宸殿」があり、たくさんの襖絵が
あった。この絵がだまし絵のようになっており、見る角度により物の
形が変わったり、絵が動いたように感じたりするらしいのだが、どこが
該当箇所なのか、長机以外はまったくわからなかった。
ぐるっとひと通り見て、江戸初期の回遊式庭園である「晩翠園」も拝見
して帰ろうとしていたところへ、別の組が入って来られた。
ガイドらしき人に、よかったら一緒にどうぞどうぞ!とお声をかけて
いただいたので、てっきりお寺の解説担当の人だと思っていたら、観光
タクシーの人だったことに途中から気づいた(笑)。
丁寧な説明のおかげで、見逃していた絵の秘密が面白いようにわかった。
ここは確かに、わかる人にしかわからない仕掛けがあり、お声掛けして
くださった運転手さんとそのお客さんのご厚意に感謝感謝でございました!
秀吉公の大政所ゆかりの高台弁才天を祀るお堂に、紅葉がちらほらかかり
風情があった。
帰りにちょっと魅力的なハイキング道を見つけた。いつか歩いてみよう。