若狭のふたつの馬頭観音さま。
どちらの観音さまも圧倒的な存在感があり、素晴しかった。
『みほとけの里 若狭の秘仏 文化財特別公開』のパンフ
レットの表紙にもなっていて、去年は公開されていなかっ
たので今年は貴重な機会だった。
日帰りなので二寺のみ。11月8日。両寺が同時公開されて
いる日程を確認して拝観日を決めた。
<中山寺>
お寺に到着する少し手前で毛づくろいをしている二匹の野猿
を目撃。こちらに気づいた途端テェーッと姿を消した。
最初に見えてきたのが仁王門。前面に草鞋が掛かっていた。
左右のガラス格子の中を覗くと、えらい迫力の金剛力士が!
あの筋肉の盛り上がり、カッと見開いた玉眼の目力。
東大寺の巨体の金剛力士を思い出した。
ふと見ると貼り紙があり・・・やっぱり!
「国指定重要文化財 木造金剛力士(仁王)立像(右 阿形・
左 吽形)鎌倉時代(13世紀) 檜材寄木造り
偉容は東大寺南大門などと同じく慶派(運慶一派)に属する」
坂道を上って行くと海が見えてきた。さらに上って境内へ。
お寺の公式サイトによれば、806~810年に泰澄大師が創建。
本堂は重要文化財になっている。
ご本尊の馬頭観音坐像は本堂に安置されている。
三面八臂で、一面ごとに三つ目の玉眼がついていて凄い迫力。
お顔そのものはちょっと愛染明王に似ているように思ったが、
こちらは頭に馬頭をいただいているのが特徴。
菩薩なのに忿怒の相をしているのは馬頭観音だけなのだ。
(中山寺のパンフレットより↑)
伝・湛慶作。像高78.3cmの檜寄木造り。
力強さはもちろんのこと、ゆるぎない美意識を感じる。
元は肌が朱色で、衣は緑色だったそうだ。光背のフチに炎が
描かれていたらしく、若干その形跡が残っている。右膝は
垂直に立てず斜めに開いており、親指が少し上がっている。
遠くから。さらに間近で。正面やいろいろな角度から見せて
いただいたが、忿怒系の中でも美しい仏像だと思った。
33年に一度のみのご開帳で、次回は平成40年頃だそう。
毎年節分の日に1日だけ公開とも聞いた(←要確認!)。
お寺の持仏堂からは若狭の海岸(高浜和田海岸)が見渡せる。
この持仏堂には藤原時代の阿弥陀如来坐像(県指定文化財)が
祀られており、特に横顔がよかった。
他に不動明王立像、毘沙門天立像など。
ご朱印は「馬頭尊」。朱印帳に初めての文字が入った。
古来、農耕の守り仏であり、また海上交通の守り仏として信仰
を集めてきたと言われる馬頭観音。同じ青葉山の京都府側には
松尾寺があり、やはりご本尊は馬頭観音。
この後に拝観する馬居寺のご本尊とともに、若狭三馬頭と称さ
れるらしいが、若狭になぜ馬頭観音が集まったんだろうと思い
めぐらすだけで楽しくなってくる。
●中山寺
創建 伝・泰澄大師
真言宗御室派 青葉山 中山寺
北陸三十三カ所観音霊場 第一番札所
ご本尊 馬頭観音坐像(国指定重要文化財)
>> 公式サイトはこちら
(日枝神社の手水鉢はお猿さん)
<馬居寺>
若狭和田駅から南へ約1.4km。
目的地が近づいてくると赤の幟が数本立っているのが見えた。
石段を上って拝観受付を経て、さらに石段を上がって行くと、
古びて風情のある観音堂があった。
秘仏なので、拝観してもご本尊を拝めない人のためだろうか、
お堂の外には写真やご詠歌などが貼られていた。
馬頭観音坐像は現在、その裏の収蔵庫に保管安置されており、
12年に一度、午(馬)年のみ公開されている。
馬居寺のご本尊、馬頭観世音菩薩坐像。像高103cm。
他の二寺(松尾寺・中山寺)より100年ほど前の平安時代後期
の作。三面八臂で、片膝を立てた輪王座のポーズ。頭上に馬頭
をいただき、髪は焔髪で忿怒の相。
江戸時代に一度着色されていたものを取り除くという修復を
経て、重要文化財となったそうだ。
木のお厨子に祀られている観音さまは意外に大きかった。
中山寺の観音さまは端正な感じだが、こちらは素朴だけれ
ど力強く、既視感のない、全く初めて見るお顔に惹き付け
られた。事前に写真で見たときは、口を開け、光背や焔髪
の形も含め一見ドキッとしたのに、実際に間近で拝見すると
光の加減なのか、優しそうでむしろ穏やかにさえ見えた。
馬が水草をむさぼり喰うように、一切の煩悩や罪業を喰い
つくして救済するというのが馬頭観音なのだから、怖いわ
けがない。とナットク。
胸の前に合わせた手は合掌印ではなく馬口印(まこういん)
だそうだ。
(↓『みほとけの里 若狭の秘仏』パンフレットより)
お寺のパンフレットによれば、創建は飛鳥時代。
聖徳太子が諸国遍歴の折、若狭の和田浜を通ったときに愛馬
がいなくなり、南の山の上からいななきが聞こえ光明が輝い
たので、ここを観音霊地とし堂塔を建立。梅檀の香木を彫っ
て馬頭観世音菩薩坐像を刻み、安置したという。
観音部中で最も慈悲深いとされる馬頭観音さまは、交通安全、
家内安全、身体安全の仏様として信仰を集めている。
ご朱印は「馬頭尊」。
●馬居寺(まごじ)
創建 聖徳太子(飛鳥時代)
高野山真言宗 本光山 馬居寺
北陸三十三カ所観音霊場 第二番札所
ご本尊 馬頭観世音坐像(国指定重要文化財)
<オマケ>
せっかくなので、小浜の人魚さんにご挨拶をば。
先にお茶してしまったので、すっかり日が暮れてるやん~~。
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季節はずれの海水浴場に立ってみた。
どちらの観音さまも圧倒的な存在感があり、素晴しかった。
『みほとけの里 若狭の秘仏 文化財特別公開』のパンフ
レットの表紙にもなっていて、去年は公開されていなかっ
たので今年は貴重な機会だった。
日帰りなので二寺のみ。11月8日。両寺が同時公開されて
いる日程を確認して拝観日を決めた。
<中山寺>
お寺に到着する少し手前で毛づくろいをしている二匹の野猿
を目撃。こちらに気づいた途端テェーッと姿を消した。
最初に見えてきたのが仁王門。前面に草鞋が掛かっていた。
左右のガラス格子の中を覗くと、えらい迫力の金剛力士が!
あの筋肉の盛り上がり、カッと見開いた玉眼の目力。
東大寺の巨体の金剛力士を思い出した。
ふと見ると貼り紙があり・・・やっぱり!
「国指定重要文化財 木造金剛力士(仁王)立像(右 阿形・
左 吽形)鎌倉時代(13世紀) 檜材寄木造り
偉容は東大寺南大門などと同じく慶派(運慶一派)に属する」
坂道を上って行くと海が見えてきた。さらに上って境内へ。
お寺の公式サイトによれば、806~810年に泰澄大師が創建。
本堂は重要文化財になっている。
ご本尊の馬頭観音坐像は本堂に安置されている。
三面八臂で、一面ごとに三つ目の玉眼がついていて凄い迫力。
お顔そのものはちょっと愛染明王に似ているように思ったが、
こちらは頭に馬頭をいただいているのが特徴。
菩薩なのに忿怒の相をしているのは馬頭観音だけなのだ。
(中山寺のパンフレットより↑)
伝・湛慶作。像高78.3cmの檜寄木造り。
力強さはもちろんのこと、ゆるぎない美意識を感じる。
元は肌が朱色で、衣は緑色だったそうだ。光背のフチに炎が
描かれていたらしく、若干その形跡が残っている。右膝は
垂直に立てず斜めに開いており、親指が少し上がっている。
遠くから。さらに間近で。正面やいろいろな角度から見せて
いただいたが、忿怒系の中でも美しい仏像だと思った。
33年に一度のみのご開帳で、次回は平成40年頃だそう。
毎年節分の日に1日だけ公開とも聞いた(←要確認!)。
お寺の持仏堂からは若狭の海岸(高浜和田海岸)が見渡せる。
この持仏堂には藤原時代の阿弥陀如来坐像(県指定文化財)が
祀られており、特に横顔がよかった。
他に不動明王立像、毘沙門天立像など。
ご朱印は「馬頭尊」。朱印帳に初めての文字が入った。
古来、農耕の守り仏であり、また海上交通の守り仏として信仰
を集めてきたと言われる馬頭観音。同じ青葉山の京都府側には
松尾寺があり、やはりご本尊は馬頭観音。
この後に拝観する馬居寺のご本尊とともに、若狭三馬頭と称さ
れるらしいが、若狭になぜ馬頭観音が集まったんだろうと思い
めぐらすだけで楽しくなってくる。
●中山寺
創建 伝・泰澄大師
真言宗御室派 青葉山 中山寺
北陸三十三カ所観音霊場 第一番札所
ご本尊 馬頭観音坐像(国指定重要文化財)
>> 公式サイトはこちら
(日枝神社の手水鉢はお猿さん)
<馬居寺>
若狭和田駅から南へ約1.4km。
目的地が近づいてくると赤の幟が数本立っているのが見えた。
石段を上って拝観受付を経て、さらに石段を上がって行くと、
古びて風情のある観音堂があった。
秘仏なので、拝観してもご本尊を拝めない人のためだろうか、
お堂の外には写真やご詠歌などが貼られていた。
馬頭観音坐像は現在、その裏の収蔵庫に保管安置されており、
12年に一度、午(馬)年のみ公開されている。
馬居寺のご本尊、馬頭観世音菩薩坐像。像高103cm。
他の二寺(松尾寺・中山寺)より100年ほど前の平安時代後期
の作。三面八臂で、片膝を立てた輪王座のポーズ。頭上に馬頭
をいただき、髪は焔髪で忿怒の相。
江戸時代に一度着色されていたものを取り除くという修復を
経て、重要文化財となったそうだ。
木のお厨子に祀られている観音さまは意外に大きかった。
中山寺の観音さまは端正な感じだが、こちらは素朴だけれ
ど力強く、既視感のない、全く初めて見るお顔に惹き付け
られた。事前に写真で見たときは、口を開け、光背や焔髪
の形も含め一見ドキッとしたのに、実際に間近で拝見すると
光の加減なのか、優しそうでむしろ穏やかにさえ見えた。
馬が水草をむさぼり喰うように、一切の煩悩や罪業を喰い
つくして救済するというのが馬頭観音なのだから、怖いわ
けがない。とナットク。
胸の前に合わせた手は合掌印ではなく馬口印(まこういん)
だそうだ。
(↓『みほとけの里 若狭の秘仏』パンフレットより)
お寺のパンフレットによれば、創建は飛鳥時代。
聖徳太子が諸国遍歴の折、若狭の和田浜を通ったときに愛馬
がいなくなり、南の山の上からいななきが聞こえ光明が輝い
たので、ここを観音霊地とし堂塔を建立。梅檀の香木を彫っ
て馬頭観世音菩薩坐像を刻み、安置したという。
観音部中で最も慈悲深いとされる馬頭観音さまは、交通安全、
家内安全、身体安全の仏様として信仰を集めている。
ご朱印は「馬頭尊」。
●馬居寺(まごじ)
創建 聖徳太子(飛鳥時代)
高野山真言宗 本光山 馬居寺
北陸三十三カ所観音霊場 第二番札所
ご本尊 馬頭観世音坐像(国指定重要文化財)
<オマケ>
せっかくなので、小浜の人魚さんにご挨拶をば。
先にお茶してしまったので、すっかり日が暮れてるやん~~。
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