月岡芳年が女性のしぐさを「~したい」と描いた美人画
見立多以尽(みたてたいづくし)より
『もっと降せたい』
国立国会図書館デジタルコレクション
大蘇芳年筆
詞書
客の量目(かんめ)をひく三味線の
糸(いと)し可愛(かあい)も山吹の 色には出(いだ)さぬ体(ふり)ながら
光りをたのむ金春(こんはる)の 雨故(ゆえ)借る簑布団
八重か一重か しら紙に 包んだままの楮幣(ぺらさつ)を
上から探(おし)て前帯へ はさんで見ても何となく
済ぬ心の奥の間か 厠にゆきて人しれず
明(あけ)て尻尾(しっぽ)を古寝妓(ふるねこ)が
転々(ごろごろ)咽喉(のど)を鳴すぞ 怖ろし
操觚者 黄昏舎迂人記
楮幣(ちょ へい) : 紙幣と同じ