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PCR検査=反日の原因分析 「おはよう日本」はNHKの希望だ
日刊ゲンダイDIGITAL:2020/07/08
立岩陽一郎 ジャーナリスト、1967年生まれ。91年、一橋大学卒業後、NHK入局。テヘラン特派員、社会部記者、国際放送局デスクなどを経て2016年12月に退職。現在は調査報道を専門とする認定NPO運営「INFACT」編集長。アメリカン大学(米ワシントンDC)フェロー。毎日放送「ちちんぷいぷい」レギュラー。
このコラムではNHKの問題点を指摘しているが、もちろん、NHKにも良い番組はある。3日の「おはよう日本」に、特にその思いを強くした。その中で、PCR検査を拡充することの必要性を語った大谷義夫医師がネットで「反日」「反政府」と批判された状況が伝えられていた。ネットの解析から、そうした状況が生じた原因にまで迫っていた。
地味だが大事なニュースだと思い、その内容をツイートしたところ、支持の声が鳴りやまず、翌日には「いいね」1・6万、リツイートも1万に迫っていた。特にフォロワーも多くない私のツイッターでは異例のことだ。
実際、PCR検査の必要性を語るとネット上で攻撃される状況は今も変わっていない。以前から指摘しているように、PCR検査についての議論は実に不透明だ。検査を拡充すると医療崩壊が起きるので、クラスター(集団感染)に集中させたとされ、PCR検査の拡充を言おうものなら「医療崩壊の誘発者」と批判される状態もある。実際にはそうなっていない国もあるという冷静な議論はできていない。
そうした世論形成にくみしてきたのが、NHKをはじめとする主要メディアだった。例えば、新型コロナを巡るNHKスペシャルは、専門家会議の内部にカメラを入れ専門家会議の中心メンバーをスタジオに呼ぶのを売りにしているが、研究者らが頑張っているという点に焦点を当てるだけで、PCR検査の問題については、ほとんど取り上げていない。
これには既視感がある。総理会見だ。政治記者は総理大臣が答えにくい質問を発しない。同じことが科学記者にも言えるということだ。科学記者は専門家会議を批判的に報じていない。NHKだけではない。新聞も同じだ。専門家会議に議事録がない問題は専門家会議にも責任があるはずだが、そういう指摘は書かれない。
当然、専門家会議の記者会見でも、総理会見と同じように厳しい質問は出ない。5月4日、副座長だった尾身茂氏がPCR検査が拡充できなかった点について、歴史的、制度的に、「根深い問題」があったと語ったが、どの記者もその「根深い問題」を追及していない。こうした悪弊が、冒頭紹介した「おはよう日本」で伝えられた異様な状況を生んだと私は思っている。
そのニュースには余談がある。「おはよう日本」は曜日ごとに番組責任者が代わる。後から知ったのだが、その日の責任者は科学記者として知られた人物だった。
つまり、全ての科学記者が魂を売っているわけではない。ニュースは志ある社会部の記者が志を同じくする「おはよう日本」の制作陣と組んで取材を進め、その責任者が担当する日での放送を目指した。その思いを責任者が受け止め、朝7時の最も注目される時間に放送したということだ。私のツイッターでの反応は、そのニュースが多くの人の心に刺さったことを物語っている。
巨大で影響力の極めて大きいNHKは常に批判的に検証する必要がある。このコラムでは、これからも批判的に検証していく。しかし、中には頑張っている人たちもいる。だから私はNHKに希望を持ち続けたい。
わたしもそのように「期待」したのだがNHK側から断られてしまって、今はTVのない生活を送っている。経緯はこのブログでも書いたはずだ。
「みなさまのNHK」受信契約解除(2018.8.15)
ジデジ対応のため建てられたアンテナ支柱。11mの高さのところにアンテナが設置されています。ここは豪雪地帯、「数年で壊れてしまうよ」と申し上げたのだが聞く耳持たず。設置時の確認事項に「メンテナンスはお客様が行うこと」との一筆がある。1回くらい雪を落としてやればそれだけで済みそうなものだが、登ってゆく手段がない。電信柱についているような足場もないのだ。これでどうメンテナンスせよと?いちいち高所作業車をチャーターしなければならない。そんな出費はできない。
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昨年挿し木で増やしたバラと庭の花たち。
散歩道