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政党助成金315億円 9党申請

2025年01月19日 | 社会・経済

共産党は受け取り拒否

「しんぶん赤旗」2025年1月19日

 2025年分の政党助成金の受給を9政党が申請したことが、総務省の発表で明らかになりました。総額は約315億3600万円にのぼります。

 政党助成金は、国民から集めた1人当たり250円の税金を各党が分け取りする仕組みで、いわば政党への“強制カンパ”。思想・信条の自由を保障する憲法に違反する制度です。「政治改革」の名目で、企業・団体献金の「禁止」と引き換えに導入した制度でしたが、政治資金パーティー券収入を含む企業・団体献金は温存され、多くの政党は企業・団体献金と政党助成金を二重取りしています。日本共産党は政党助成金の受け取りを一貫して拒否し、廃止を主張。国会に政党助成法廃止法案と企業・団体献金全面禁止法案を提出してきました。

自民1割減も136億円に

時事が配分額試算

 時事通信が政党助成金の各党への交付予定額を試算したところ、昨年10月の衆院選で議席を大きく減らした自民党は前年比12・9%減の136億3900万円となりました。(100万円未満切り捨て、以下同)

 議席を伸ばした立憲民主党は同15・8%増の81億7100万円。躍進した国民民主党は同56・7%増の19億7900万円、れいわ新選組は同35・3%増の9億1600万円、参政党は同111・9%増の5億1600万円でした。

 衆院選で受給要件を初めて満たした日本保守党は1億7200万円を得ます。日本維新の会は32億900万円(前年比4・6%減)、公明党は26億4700万円(同7・6%減)、社民党は2億8300万円(同1・3%減)となります。

 各党への配分額は1月1日時点の所属国会議員数、直近の衆院選、直近2回の参院選の得票数に応じて決まります。(時事)


国民に身を切らせて裏金と税金で肥え。

わたしのblogもイメージチェンジしました。
いかがでしょうか?

昨日とは打って変わって青空の広がるいい天氣。
気温も下がり朝の最低氣


北原みのり おんなの話はありがたい  NHK大河「べらぼう」よ、なぜ? 「男が女で遊ぶ場所」が今もある社会で「吉原」大連発

2025年01月18日 | 社会・経済

AERAdot 2025/01/17

 テレビから性的なことが流れてくるのは、50年以上生きていても、やっぱり慣れない。特に、そばに誰かが一緒にいるときなど、それが両親であったりするならばなおのこと、友だちであってもそれなりに、とても気まずく、落ち着かず、とたんに時の歩みは遅くなり、どういうわけか耳が熱くなる。

 NHKである。大河ドラマである。これからの大河ドラマは、各自、個室で一人でスマホで観てくださいね、ええ、日曜日の夜にお茶の間で家族全員で観るドラマじゃなくていいんですよ、一人一台の時代ですからね! とNHKから一方的に突きつけられたような思いだ。さようなら、私の大河ドラマ。日曜の夜、それぞれ新しい週の準備をしながら大河ドラマをかけっぱなしにするような時間はもうなくなっちゃった。

 そう、今期の大河ドラマ「べらぼう」は江戸時代の吉原が舞台である。NHKによれば「吉原というのは男が女遊ぶ町」(ドラマの中でそう紹介されていた)とのことで、主人公は「日本のメディア産業、ポップカルチャーの礎を築き、時にお上に目を付けられても面白さを追求し続けた人物”蔦重”こと蔦屋重三郎」(NHKホームページ)である。

 ご存じのように蔦屋重三郎とは、「吉原細見」という、今風に言えば、「風俗店紹介誌」をつくった人だ。吉原のマップをつくり、お店を紹介し、女性を格付けしたりなどして、寂れつつあった吉原を盛り上げた男である。

 当然、ドラマの中では、吉原吉原吉原吉原吉原吉原吉原吉原吉原吉原吉原……と「吉原」という単語が何十回も音声として流れてくる。セックスシーンはないが、女性の裸の遺体が「悲惨」の表現として出てくる。さらに昼間に再放送もされた番宣番組では、ドラマ出演している俳優のかたせ梨乃さんが現代の吉原を探訪したりして、2025年に入ってまだ2週間も経っていないのに、ものすごい量で「吉原」という単語が繰り返し公共の電波に流れ、ものすごい勢いで「吉原」がエンタメ化されているのを実感している。Xで秀逸なことを言っている人がいた。「(吉原は)男が女と遊ぶ場所ではなく、男が女遊ぶ場所だ」と。

攻めてますね、NHK……とついつい嫌味を言いたくもなる。あまりにも衝撃的なセンスではないか。

 吉原で働いていた女性が客の男に殺されたのは、コロナ禍の2023年5月だった。既に大河ドラマの企画は進んでいたとは思うが、そこで「吉原を舞台にするドラマは無理ではないか」という判断にならなかったことがまず不思議である。なぜなら、「吉原」が決して過去の歴史ではないことを、あのとき、私たちは突きつけられたのだから。そこは現在進行形で行われている「男が女で遊ぶ場所」であって、現在進行形で貧困に喘ぐ女たちが働き、現在進行形で性病に罹患し、現在進行形で女が殺され、現在進行形で差別と偏見がうまれている。戦国時代じゃないから戦国時代を歴史エンタメとして楽しめるのであって、「吉原」という世界を現在進行形で生きている女がリアルに無数にいる現代で、吉原を舞台にした歴史エンタメを楽しめなんて、そりゃあムリというものじゃないか。

「吉原」をドラマで表現しないで! とまでは言わない。NHKの看板中の看板である大河ドラマでなぜに? という単純な疑問である。歌舞伎町で少女買春する男たちが社会問題になっている今、完全なる人身売買だった江戸吉原を盛り上げた男を主人公にする理由って何よ? というシンプルな抗議である。

 テレビから性的なことが流れてきて気まずいのは、それが「性的なことだから」というよりは、それがたいてい、私自身の身体を侵蝕するような居心地の悪いものだからだと思う。両親の前で、友だちの前で、私の身体は硬直する。それは侮辱されているように感じるからだ。だから耳が熱くなったりなど身体が反応するのだろう。率直にいえば、日本の公共放送でも流れてくる性的なもののほとんどが、一方的に女に欲情する側の視線だ。居心地が悪くなるのは、テレビにセクハラされているからだろう。

 先日、NHKの「鶴瓶の家族に乾杯』という番組をたまたま観る機会があった。鶴瓶さんがさまざまな地方をまわり、その土地に生きる人々と出会い、市井の人々と鶴瓶さんがあったかく交流するアットホームな番組である。しかし、そういう番組だからといって油断できないのが、日本の公共放送だ。そんなことを改めて突きつけられる回だった。

 その日、鶴瓶さんは温泉ホテルで女性に「3人(ご自分と純烈のリーダーと女性)でお風呂入るねんで」みたいな冗談を言いっていた。鶴瓶さんのその言葉に、言われた女性は「きゃぁ」とふざけ、そのリアクションの面白さが褒められるシーンがあった。

 わからない人にはわからないかもしれないくらいの、微妙な笑いであり、微妙な間である。そして「放送される」ということは、現場でも、編集段階でも、誰も「変だと思わなかった」からだろう。だいたい鶴瓶さんは暴力的ではなく、「一緒にお風呂入るねんで」とからかわれた女性は、楽しげである。相手がオジサンでも鶴瓶さんは同じことを言ったのかもしれない。でも……私たちには「これ、どういう意味?」と肩をこわばらせるのに十分な条件の社会を生きているのだと思う。だって、「エンタメ」という大義名分で、一方的にセクハラ動画を見せられることが多いから。「笑い」「ほのぼの」という文脈で、セクハラをされることがあまりに多いから。それは、おもしろいことではないから。

 NHK大河ドラマ「べらぼう」は「笑いと涙と謎に満ちた“痛快”エンターテインメントドラマ!」と謳っている。その“痛快”とは誰のものなのか? そんなことを、どうしても思わずにはいられない。「男が女で遊ぶ場所」があたりまえのようにある社会で、それをリアルな表現物として観るにはあまりに重すぎるから。


今朝の積雪は今季最大。


阪神・淡路大震災30年 明日を開く

2025年01月17日 | 社会・経済

被災者 生活再建の苦闘続く

「しんぶん赤旗」2025年1月17日

借金が増え自己破産 「やっぱり国からお金の援助がどうしても必要です」

 6434人の犠牲者と家屋全半壊(焼)約47万世帯という被害となった阪神・淡路大震災(1995年1月17日)から17日で丸30年となりました。被災者は震災の打撃に加え長年、生活再建に苦闘を強いられ、被災者を無視した政治と復興のあり方が問われ続けた30年でした。

 「国も神戸市も政治家も、私たちを思いやる気持ちはなかった」

 神戸市東灘区の深江南町市営住宅に住む矢田悦子さん(76)はつぶやきました。

 神戸市灘区の賃貸マンションで被災し、半年後に西区の仮設住宅に。当時、矢田さんは東灘区で会社勤め、夫の喜一郎さん(故人)は自営業、中学生と小学生の子どもが灘区の学校に通っていました。毎日、喜一郎さんが車で有料道路を通って子どもと矢田さんを送迎。3人が電車で通うより安いとはいえかなりの交通費で、蓄えは尽きました。

 1997年に東灘区の復興市営住宅が当たり、暮れに入居。都市部のため生活が便利になり、学校・職場も格段に近くなってようやく落ち着きました。

 震災後に借りた災害援護資金350万円の返済が2000年に開始。月約6万円の返済を求められましたがとても無理で、月5000円の少額返済になりましたが夫の仕事も減っていて矢田さん夫妻にはそれも厳しく、子どもの大学の入学金など出費がかさんで借金が増え自己破産せざるをえませんでした。「震災がなければこうはならなかったのに。やっぱり国からお金の援助がどうしても必要です」

 10年には、兵庫県や神戸市、西宮市などが復興公営住宅のうちURなどから借り上げた住宅の入居者に、「借り上げ期間は20年間」として退去を迫る問題が起きました。

 矢田さんの住宅もその一つで、寝耳に水。「そんな話は一切聞いていなかった。ずっと住めると思っていたのに」。市があっせんする転居先はどれも遠方で、喜一郎さんがかかりつけの近くの病院に通院できなくなるなど転居はとても無理でした。応じられないなか市は17年、世帯主の喜一郎さんに退去を求めて提訴しました。

切実な要求掲げ支援策前進させた闘い

 2020年2月に喜一郎さんは肝臓がんで亡くなり(享年86歳)、裁判は終了。同年12月に矢田さんは不本意ながら現在の住宅に引っ越しました。同じ東灘区内であることがまだ救いでした。

「棄民政策」

 「追い出しの問題が夫のストレスだったと思う」といいます。「私たちは悪い見本になりました。今後の災害では、政治や行政は被災者に寄り添ってほしい」

 震災後、被災者を助けようとしない自民党政治は「棄民政策」と呼ばれました。

 阪神・淡路の被災者への公的支援・個人補償を政府が拒否したため、被災者は融資に殺到し、返済の重圧を負いました。

 約5万6000人が借りた災害援護資金(最高350万円)は06年に完済のはずが返せない人が続出。21年に神戸市が、22年に兵庫県が未返済者の返済免除を決めるまで、返済の問題が続きました。業者向け緊急災害復旧資金融資は約3万4千件の利用があり、5500件余が返済不能に陥りました。

絶望死とも

 持ち家を失った人の約3分の1が、資金不足で自宅再建を断念。再建してもローンに苦しみ、震災前のローンも残る二重ローンは特に返済が多額でした。再建した住宅を手放す人が相次ぎました。

 仮設住宅と復興公営住宅は、多くが郊外など被災市街地から離れた地に建設。抽選で被災者はバラバラになり地域のコミュニティーが壊されました。貧困や病気もあって孤独死は激増し、「絶望死」とも呼ばれた仮設住宅の孤独死は233人、復興住宅では1431人(集計終了の23年末まで)に上ります。

 約7700戸供給された借り上げ復興公営住宅では、県や神戸市、西宮市などが裁判に訴えるなど入居者を強引に転居させ、大問題になりました。

 一方、被災者と阪神・淡路大震災救援復興兵庫県民会議、日本共産党は長年、切実な要求を掲げて闘い、支援策を前進させました。

方針変える

 災害援護資金の返済問題では相談会や政府・自治体交渉を重ね、月1000円からの少額返済や免除枠の拡大を実現。多くの被災者が救われました。復興公営住宅の戸数増と家賃低減、民間賃貸住宅の家賃補助なども実現しました。

 借り上げ復興住宅追い出し問題では、入居者の必死の闘いと日本共産党の議会論戦で、県と神戸市は全員退去方針を変え、13年に神戸市は85歳以上、県は概ね80歳以上―などの基準で一部継続入居を容認。さらに借り上げ県営住宅では、それ以外の世帯も転居困難な事情を第三者の判定委員会に申請すればほぼ継続入居が可能になりました。宝塚市と伊丹市は全員を継続入居としました。

国連が被災者支援を勧告

 被災者の厳しい実態に国連が02年、日本政府に被災者支援の強化を勧告したほどです。

 国連社会権規約委員会は同年8月発表の見解のなかで、多くの被災高齢者が孤立しケアもないことや住宅再建の資金調達の困難さなどに懸念を表し、(1)兵庫県に高齢者や障害者へのサービスを拡充させる(2)住宅ローン返済を援助する措置を迅速にとる―ことを日本政府に勧告しました。

被災者自身の組織が力に

 元借り上げ住宅協議会運営委員・元日本共産党神戸市議 段野太一さん(85)

 借り上げ住宅の問題で神戸市などは最後まで当事者の声を聞きませんでした。追い出すために裁判までやるなどもってのほかです。

 入居者の闘いと共産党の論戦が連携し、県営住宅では途中からほとんどの人が残れるようになり、訴えられた人たちも裁判では負けたとはいえ、最終的にはある程度希望に沿った市営住宅があっせんされました。

 その一番の力になったのは、被災者自身が2011年に借り上げ住宅協議会という組織をつくったことです。これがものすごく大きかった。月1回高齢者のみなさんが集まって、法的な問題などを学んだり交流したりして、自分たちは間違ってないと元気に頑張れました。

⁂     ⁂     ⁂ 

阪神大震災30年

教訓生かさない政治を変える

「しんぶん赤旗」主張

 1995年の阪神・淡路大震災は、住宅の損壊約64万棟、災害関連死を含めた犠牲者6434人という、都市部を襲った未曽有の災害でした。

 この30年間、政府は悲痛な教訓を受けとめ生かしてきたのか。政治の最大の課題である、国民の安心と安全に真剣に取り組んできたのか。答えは「ノー」です。

 能登半島地震では、避難所の雑魚寝、冷たい食事、断熱性のない仮設住宅など、30年前と同じ劣悪な状況が繰り返されています。

■住民より大型開発

 阪神大震災では「創造的復興」の名で、震災後の10年余で、直接被害額10兆円を上回る16兆円超の復興事業費が投入されました。その約6割が高速道路、港湾、海を埋め立てた神戸空港建設、都市再開発などにあてられ、震災前からの開発計画が推し進められました。

 一方、生活や生業(なりわい)再建は「自助自立」にされ、住宅などを再建した人も二重ローンに苦しみました。住民が区画整理で追い出され、「陸の孤島」といわれた郊外の仮設住宅や高層の復興公営住宅ではコミュニティーが壊され孤独死や自殺が続きました。商店街にはビルができましたが、住民が戻れず、消費が回復せずにテナントが撤退しています。

 住民無視の「創造的復興」は、その後の震災でも被災者を苦しめています。

 震災前年、日本共産党神戸市議団は市の消防体制の弱さを指摘していました。当時も経済効率優先で病床削減や自治体リストラが行われていました。いま、それがさらにすすみ、自治体のマンパワー不足が能登の復旧を妨げています。

 南海トラフ、首都圏直下型地震の危険性が指摘されるなか、一極集中、超高層ビルの建設ラッシュ、湾岸開発など防災を無視した都市開発がすすんでいます。

 なぜ教訓が生かされないか。自公政権にとって「安全保障」とは米国の世界戦略にどう従うかが中心であり、「国土強靱化」は“投資しても安心なインフラ”の海外へのアピールだからです。こうした政治を変えなければなりません。

■支援法拡充求める

 そのなかで特筆されるのは、阪神大震災被災者の粘り強い運動と世論で被災者生活再建支援法を勝ち取ったことです。当時、政府は「私有財産制の国では個人財産は自己責任」と住宅再建支援を拒みました。

 議員立法を求める被災者・市民と力を合わせ、日本共産党の衆参議員らが国会議員有志に働きかけ97年に法案を提出。政府はこれを拒む一方、世論を恐れ98年に支援法を成立させましたが、阪神・淡路には適用されず、わずか百万円の「見舞金」で住宅再建には使えないというものでした。

 2000年の鳥取西部地震で住宅再建に3百万円を支給する片山善博知事(当時)の英断も受け、支援法改正の世論と運動が高揚。政府も個人の住宅再建は地域再建という公共性があると認め、07年、住宅本体の建設・改修を支援対象とする現行法が実現しました。

 住宅は憲法が掲げる生存権の保障に不可欠です。災害列島・日本。金額を引き上げ真に住宅再建可能な制度にする必要があります。政府が責任を果たしきるよう求める運動を各地で大きなうねりにしましょう。


能登地震では「棄民・棄地」政策である。
わが北海道の僻地もまた見捨てられるのだろう?


事実確認の廃止 メタまで変質するとは

2025年01月15日 | 社会・経済

事実確認の廃止 メタまで変質するとは

「東京新聞」社説 2025年1月15日

 フェイスブックやインスタグラムなどを運営するSNSの世界最大手「Meta(メタ)」のザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)が、投稿内容を巡る第三者機関によるファクトチェック(事実確認)を米国では廃止すると発表した。日本では継続するという。

 投稿規制を批判してきたトランプ次期大統領ら保守派に擦り寄った形だ。うそや中傷が放置されれば、だまされ、傷つく人が増え、陰謀論のまん延や社会の分断に拍車をかける可能性がある。事実確認は継続すべきである。

 メタがファクトチェックを導入したのは2016年12月。トランプ氏が1期目の大統領当選を決めた直後だった。対抗馬だったヒラリー・クリントン氏をおとしめる虚偽情報が広がったためだ。

 ロシアによるSNSを通じた選挙介入なども問題となり、投稿規制の強化が続けられてきた。21年1月の米連邦議会襲撃事件では、暴動をあおったトランプ氏の利用を停止し、関係は悪化した。

 しかし、トランプ氏の返り咲きが決まると、ザッカーバーグ氏はトランプ氏への巨額の寄付を表明し、関係改善に転じた。市場独占を問題視して厳しい姿勢をとってきた民主党政権への反発と、権力に接近して市場での優越性を維持したい思惑が透けて見える。

 いちはやくトランプ氏に取り入った実業家マスク氏が保有するSNSのX(旧ツイッター)では、すでに虚偽情報や差別的な投稿が急増している。

 ザッカーバーグ氏は事実確認停止について、第三者機関が「政治的に偏りすぎた」と説明したが、米オハイオ州立大によると、虚偽情報は保守派が流布する傾向にあり、第三者の事実確認は当然だ。昨年の大統領選で「移民が米国民のペットを食べている」とのうそを拡散したのも保守派だった。

 ザッカーバーグ氏は、選挙結果をゆがめるほど虚偽情報が広がり社会を分断した経緯を直視すべきだ。SNSはもはや言論空間を支配し、人々の暮らしや社会に大きな影響を与える存在である。その重い責任から逃れてはならない。


Xやフェイスブック・インスタグラはもうやめるべき時に来たように思う。


成人の日に考える 未来を「築く」人たちへ

2025年01月13日 | 社会・経済

「東京新聞」社説 2025年1月13日

 観測史上最高の暑さになった昨年の夏、北海道から九州まで、中学生から29歳の若者たち16人が、大手電力事業者10社に対し、地球温暖化の要因となる二酸化炭素(CO2)の排出削減を求めて、名古屋地裁に提訴しました。「明日を生きるための若者気候訴訟」と銘打って。

 「産業革命後の世界の平均気温の上昇を1・5度までに抑える」-。国連が国際社会に求める世界共通の目標です。さもなくば異常気象が激化して、何が起きるかわかりません。

 訴状などによると、被告10社が日本のエネルギー関連のCO2排出量に占める割合は約3割に達するのに、排出量が多く国際社会では廃止の流れにある石炭火力をこの先も長く使い続けようとしているなど、対策が不十分-というのが「明日を生きる若者」たちの主張です。このままでは深刻さが加速する気候危機を回避できない。国連が示す1・5度目標実現への道筋に沿い、すみやかにCO2を減らして、と訴えているのです。

 原告の一人、九州大学土木工学科3年の高田陽平さん(21)=福岡市=が気候問題に関心を持ったのは高校2年の時、スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさんのスピーチを動画投稿サイトのユーチューブで見たのがきっかけでした。

 2018年の暮れにポーランドで開かれた国連気候変動枠組み条約第24回締約国会議(COP24)。当時15歳だったグレタさんは、居並ぶ世界のリーダーたちに、次のように訴えました。

 「例えば2078年に、私は75歳の誕生日を迎えます。その時私の子どもや孫たちが一緒に過ごしていれば、彼らは今のあなた方について、私に尋ねるかもしれません。まだ行動できる時間があるうちに、なぜ何もしてくれなかったのだろうかと」

◆今できることをする

 同年代のグレタさんが抱く危機感と未来へのまなざしに共感し、高田さんは複数の環境NGOに関わって気候危機の実相を学び、訴える活動を始めます。昨年11月には、アゼルバイジャンで開かれたCOP29にも参加しました。

 「正直、訴訟の当事者になることに抵抗感がなかったわけではありません。でも『自分なんかがいくら動いても、世界は何も変わらないよ』とあきらめてしまえば、結局被害を受けるのは自分自身ですからね。今できることを希望を持ってやっていこうと思っています」と、高田さんは話します。

 自らの将来に不安を感じ、政府や電力事業者に、要求を突きつけるだけではありません。原告の多くは「その次の世代」が生きる未来への責任感を口にします。

 高田さんは言いました。

 「今の小学生は、夏休みの天気のよい日に、外でのびのびと遊べない。まるで戦時のように警報に追い立てられたりしています。なぜこの子たちは…と、大人になったばかりの自分も責任を感じてしまうんです」

 大人とは、成人とは、未来を「壊す人」ではなく、自分自身とその次の世代がより良く暮らす環境を「築く人」、今できることをする人だと思うから

 「おかしいと声をあげた人の声は決して消えない。その声が、いつか誰かの力になる日がきっと来る」。24年度前期のNHK朝ドラ「虎に翼」のヒロイン、佐田寅(とも)子のセリフを思い出しました。

◆学びつつ、気づきつつ

 さて、新成人のみなさん、おめでとうございます。ことしも書家でタレントの矢野きよ実さんに、贈る言葉=写真(略)=をしたためていただきました。

 <後悔は持ち去る わたしが あなたよ輝け>

 「私たち世代が残した後悔は、私たちが持ち去ります。あなたたちは、自分と子孫の輝かしい未来のために、今、なすべきことをなしてほしい」と。

 大人としての成長の階段を今のぼっていくみなさんへ、「その前」を生きてきた世代から、自戒も込めたエールです。


新成人の皆様おめでとうございます。
今の社会、夢も希望も持てないような状態が続いています。
でも必ず変えることができます。
ぜひ、変える主体となって生きてほしいと思います。

こんなビデオ見つけてしまいました。
食料品の値上がりで給食を作る方たちも大変な状況です。

【国民の怒りを聞け💢】13才の中学生にこんな事言わせていいのか?大人は怒れよ!財務省前デモすら報道しない自由!暴挙に国民7割が拒否!【政治AI解説・口コミ】

園のようす。

今日は畑の納屋の雪降ろしです。

屋根からの1枚。
全部はできないので、ぐるりと雪庇になるところだけですが汗をかきました。

松の葉。

以下閲覧注意。(トガリネズミの亡骸です)

久しぶりにネズミ捕りにかかってしまいました。



狂乱化が止まらぬ米国トランプから“最初の被害”を受ける国 日本の石破政権が真っ先に「沈没」か?

2025年01月10日 | 社会・経済

MAG2ニュース2025.01.07

 by 高野孟『高野孟のTHE JOURNAL』

初っ端に沈没するのは石破政権か。トランプに撹乱される2025年の国際社会

2025年は、1月20日のトランプ米大統領就任で事実上、幕が明ける。放言癖・虚言癖は相変わらずだが、8年前と比べると認知障害、妄想性障害が一段と亢進しているようで(本誌No.1289参照)、今なお最大の経済大国であり史上最強の軍事帝国でもある国の最高指導者がそんな風であるという前代未聞の事態にどう対処すべきか、全世界に困惑が広がっている。

鉄鋼市場ではすでに二流か三流国に成り下がっている米国

実際、トランプの発言はますます思いつき的な短絡性を強めていて、その場はそれでいいとしても後の落とし所も何もないといった、本当の言いっ放しの無責任が目立つようになった。

日本製鉄が約150億ドルでUSスチール買収するという取引を阻止しようとしている一件がその典型で、トランプは12月2日に自身のSNSで「かつて偉大で強力だったUSスチールが外国企業に買収されることに全面的に反対だ」「買収者は(暗い夜道に、という意味なら脅迫に当たるが?)気を付けろ!」と喚き、その言葉の激しさに釣られたのかバイデン現大統領も、改めて反対を表明した。

それに対し当のUSスチールは12月27日に声明を出し、「日本製鉄による買収は中国の脅威に対抗し、米国の鉄鋼業が競争力を強化できる唯一の手段だ。買収が不成立なら喜ぶのは〔買収に反対している〕全米鉄鋼労組と北京だけだ」と強く反論した。

いくらトランプが凄んだところで、2023年の世界の粗鋼生産ランキングを見れば、ダントツのトップは中国宝武鉄鋼集団(13077万トン)、2位がルクセンブルクのアルセロール・ミッタル(6852)。4位に日本製鉄(4366)、7位に韓国のPOSCO(3844)、10位にインドのタタ製鉄(2950)は入るが、10位以内の残り5社は全て中国。つまりトップ10の6社までもが中国企業なのである。

さらに11位から50位までを見ても、40社中21社が中国企業で、米国企業はといえばその間にようやく、15位ニューコア(2120)、22位クリーブランド・クリフス(1727)、24位USスチール(1517)が入ってくるという有様で、つまりは米国は世界の鉄鋼市場ではとっくに二流国か三流国に成り下がっているのである。

単純な事実を理解できぬ人物を大統領に選んでしまった米国民

国別の粗鋼生産量をみても、中国(1位)・インド(2位)・ロシア(7位)・ブラジル(11位)のBRICs4カ国合計は、G7のいわゆる旧先進7カ国合計の5.0倍。BRICS加盟国のイラン(12位)・エジプト(20位)・サウジアラビア(22位)・南アフリカ(34位)・UAE(41位)まで加えてBRICS9カ国合計とすればG7の5.3倍である。

これだけを見ても、トランプが「〔暗い夜道に?〕気をつけろ」と言っても、それで恐れ入るような世界ではなくなっているのに、ご本人だけがそのことに気付いていない「裸の王様」状態であることがよく分かるだろう。

それでも買収を阻止するというなら、USスチール社はそれが中国の脅威から米国の鉄鋼業を守る「唯一の手段だ」と言い切っているのだから、トランプは「いや、こうすればUSスチールと米鉄鋼業は守ることができる」と代替案を示さなけれならないが、そんなものは持ち合わせていない。

つまり「米国第一」というのは中身のない、単なる「掛け声」あるいはお祭りの「わっしょい」のような囃し言葉であって、それだけでは米国が再び「偉大」になることはあり得ない。

トランプが主張する「関税乱発」策も同じ問題の構造で、中国に対する追加関税60%とかメキシコの自動車に200%以上とかを実施すれば、確かにその分、輸入には歯止めはかかるだろうが、だからと言ってすぐに国内でそれを穴埋めするだけの製造業が育ってくるはずもなく、困るのは米国の企業や消費者である。代替策の用意なしに目先の出る杭を打って見せるだけではそうなるに決まっている。

フランスの皮肉屋の文明批評家=エマニュエル・トッドが『帝国以後』(藤原書店、2003年刊)で、

経済制裁や金融フロー中断の脅しは、もちろん世界経済にとって破滅的には違いないが、それでまず最初に打撃を受けるのは、あらゆる種類の供給について世界に依存している米国自身なのだ。

と喝破したが、それから20年経ってもまだこの単純な事実を理解できない程度の人物を大統領に選んでしまうのが米国民である。

トランプの戯言に過ぎないグリーンランド買い取り案

トランプが

デンマークの自治領グリーランドの買い取り

カナダを米国の51番目の州への編入

パナマ運河の管轄権復活

などを言い出していることも、彼の認知障害・妄想性障害が相当悪化して狂気に近づきつつあることの現れと考えて差し支えない。

グリーランドについて最初に口にしたのは、第1期途中の2019年のことで、これにはデンマーク首相が強く反発、予定されていたトランプのデンマーク訪問が中止となる騒ぎとなった。

その時は、彼の関心は石炭や亜鉛、銅、鉄鋼などの天然資源にあると報じられたが、今回はそれよりも「国家安全保障と世界の自由のために、米国はグリーンランドの所有と管理が絶対的に必要」と強調している。

これに関連して、12月26日付の毎日新聞に「ロンドン篠田航一」署名の記事があり、「米ニュースサイト『ポリティカ』によると、仮にロシアが米側に向けて核ミサイルを発射した場合、グリーンランド上空を通る可能性が高い」ことがトランプがここを欲しがる地政学的理由であると述べられているが、これには「あれれ?」と引っかかった。

この北極圏越しの米露ミサイル対決という問題は、私が『最新・世界地図の読み方』(講談社現代新書、1999年刊=絶版)などで盛んに論じてきたところで、大凡の地理関係は頭に入っている。

ロシアの陸上固定のICBM基地の多くがあるとされる東経100度以東の東シベリアのどこかから西経75~80度のニューヨークやワシントンDCに向け北極点越しに発射した場合は、グリーンランドの端っこを掠めるかもしれないが「上空を通る」という感じにはならない。

それにそもそも、ICBMは偵察衛星の目に晒される陸上発射よりも、衛星からは探知不能な潜水艦からの海中発射が重視されるようになっているはずで、その場合はグリーランドは地理的には全く関係がない。

それでも、もしかするとポリティカに「上空を通る」という記述があるのかと探求したが、すでに削除されたのか、そのような記事は見つからなかった。

確かに、米国はグリーンランド西岸に1950年代から「ピツフィク空軍(現在は宇宙軍)基地」を保有していて、それは北極圏空域の監視に役立ってはいるのだろうけれども、その機能に何らかの障害が生じ、グリーランドそのものを米国が買い取らなければそれを克服できないほどの重大事情が発生しているという話は皆無。

詰まるところこの主張は、トランプの不動産屋的な地上げ屋感覚に基づく単なる戯言に過ぎず、マスコミがそれに何か重大な地政学的根拠があるかのように論じてバックアップしてやる必要などどこにもありはしない。トランプに対して「バカ言ってんじゃね~よ!」と切って捨てればいいのである。

にも関わらず、この篠田さんという方は、毎日新聞ロンドン支局長らしいのだが、こういうあやふや記事を書き、トランプが何か世界にとって意味のあることを言っているかのような幻想を拡散する役目を果たしている。地政学的な話をする場合は、せめて初歩的な動作として、関連する地図(図1、2参照)を眺めてから記事を書いた方がいいんじゃないでしょうか。

内閣の寿命を余計に縮めることになるかもしれない石破首相

このようなトランプの狂乱化に対して、欧州やロシア、中国など各国は、適当に躱(かわ)したり去(い)なしたりしながら、出来るだけまともにぶつかり合うことのないよう大人の付き合いをしようとするだろうが、石破茂首相は本来の性格が真面目すぎることに加えて、「米国は盟主」だと思う冷戦時代の価値観から未だに自由になっていない(その証拠が彼の「アジア版NATO」と言う時代遅れの構想)ことから、そのように上手く立ち回れないかもしれない。

とりわけ、トランプからの誘いに応じて1月中旬に訪米して就任前の彼と会談するのは、かなり危険で、いきなりビーンボールを投げられて重傷を負う可能性がある。

トランプの流儀はシンプルで、1対1の駆け引きを重視し、相手に弱みがあると見れば一歩も二歩も遠慮なく踏み込んで得点を上げようとするだろう。その手に引っかからないようにするには、周到な準備と根回しが必要で、「就任前に会ってくれれるのなら喜んで飛んで行こう」などと軽々しい構えでいると、それでなくとも短いと予想されている内閣の寿命を余計に縮めることになるかもしれない。

憂鬱極まりない新年である。

⁂     ⁂     ⁂

Xの利用停止相次ぐ

英国の大学

「しんぶん赤旗」2025年1月10日

 英国の大学や高等教育機関が相次いで、ソーシャルメディアプラットフォームのX(旧ツイッター)の利用を大幅に減らすか、完全にやめています。同国で昨年、人種差別的な暴動をあおる誤情報を拡散したためとしています。ロイター通信が8日、前日に実施した調査を伝えました。

 ロイターは計150を超える大学などのXのアカウントを調べ、この数カ月間ほとんど投稿がないか、全く投稿がない学校と連絡を取りました。

 世界屈指のビジネススクールのロンドン・ビジネス・スクール(LBS)が最後に投稿したのは昨年9月でした。

 ケンブリッジ大学は傘下の31カレッジのうち少なくとも7校がXへの投稿を停止しています。同大で学生数が最大のホマートン・カレッジは「このプラットフォームがますます有害になっていることを承知している。新たな代替手段を検証していく」と説明しました。

 オックスフォード大学のマートン・カレッジはXのアカウントを削除しました。

 Xは、トランプ次期米大統領の側近となった米実業家イーロン・マスク氏が率いています。


駅まで送ってきました。

良い天気になりました。
でもプラス氣温にはならなかったようです。


仁藤夢乃 2024年、少女たちの置かれた状況を振り返る ~進む低年齢化、さらには大学生や中高年にも広がる性売買

2025年01月09日 | 社会・経済

バカなフリして生きるのやめた

Imidas連載コラム 2025/01/09

性売買がより身近になった2024

 年が改まり2025年となった。思えば昨年も、すさまじい勢いで少女たちを取り巻く状況が悪化した1年だった。コロナ禍以降、少女や女性たちの貧困が深刻化するとともに、性売買業者の動きも活発化し、この数年間で性売買はより女性たちにとって身近なものとなっている。20年にはお笑い芸人がラジオ番組の中で「コロナが収束したら美人さんが風俗嬢をやります」「なぜなら短時間でお金を稼がないと苦しいから」というような内容の発言をして批判されたが、以降の日本の若年女性を取り巻く環境は、このお笑い芸人の予想以上に深刻化している。

 世界屈指の性売買スポットとして知られるようになった東京都新宿区の大久保公園周辺や、家出少女の集まる「トー横」(新宿東宝ビル横の広場)等、新宿・歌舞伎町に集まる少女たちの低年齢化が進み、私たちが活動を通して出会う中にも12~14歳くらいの年齢の少女たちが増えている。そして、彼女たちにとって身体を売って宿や生活費を確保するのは当然のこととなっている。

 しかし、性売買は少女の中でだけ広がっているのではなく、大久保公園周辺では幅広い年齢の女性たちが身体を売っている。10代や20代が中心だが、50代以上の女性たちも増えている。これまで性売買に関わる少女や女性たちは、虐待から逃れるために家を出た先で性搾取の被害に遭ってきた人が多かった。が、コロナ禍以降は、家族との関係は良好でも、生活が苦しく、学費や生活費のために身体を売っている学生や、会社員としての収入だけでは生活できないという女性、生活が困窮した中年女性が性売買することが増えた。そのことが性売買のそばにいる少女たちに与える影響も大きい。

平気そうに振る舞う子どもたち

 コロナ前、Colabo(コラボ)とつながる少女たちの中には、性売買せざるを得ない状況に置かれていることに「なんで私だけこんな思いをしなければならないのだろう」「なんで友達が学校に行ったりカフェでお茶している間に自分はおじさんと性行為をしなければならないのか」「こんな生活は本当はしたくない。自分の家、暮らせる場所が欲しい」と涙を流す人が多くいた。彼女たちの多くは10代後半だった。

 しかし、それから数年が経ち、性売買が女性たちにとってより身近なものとなった今、中学生以下の年齢で性売買を始めた少女たちの多くは、そのように思うことすらできない状況にある。親が頼りにならなかったり、生活が苦しかったりする時に身体を売るのは当たり前になっていて、「周りもみんなやっている」という状況があるので、「なんで私だけ」と思うこともない。

 そこには深い諦めがあり、自分がそういう生活をしなければならないのも仕方ないこと、というより当然のことなんだと思わされている人が多い。他に選択肢も用意されていない中で、そうすることを自分で選んだと思わされている子がものすごく増えている。「うち、今の生活に困ってないよ」「私にできること、このくらいしかないし」「みんなもやってるし」と、彼女たちは「平気」そうに話す。

 だけど、彼女たちが傷ついていないわけではない。腕はリストカットの傷あとだらけ、自殺未遂を繰り返し、死にたい気持ちを抱えながら、こんな社会や大人への諦めのその先を生きている。「こんなこと何でもない」というように振る舞うことで、自分を保とうとしている。自分の痛みに気づかないふりをしていないといられないほどの状況なのだ。

性売買が身近になった理由について

 どうしてこれだけ性売買が身近なものになったのか。それは、女性や子どもたちのせいではない。女性たちを性売買に誘導する社会の構造から目を背け、経済的支援や生活支援を含めた脱性売買支援を行わない政治や行政、少女や女性たちに責任があるかのように「援助交際」「売春問題」「立ちんぼ問題」などという差別的表現を平然と使って問題を覆い隠してきたメディア、それらに疑問を抱くこともなく受け入れてきた市民の意識が下支えしてきたからだ。

 先日、ホストクラブのがさ入れ(捜索差押)で、ホスト向けに店が作成したマニュアルが見つかったと報じられた。そこには、日中は会社員や学生をしていて夜の街に慣れていない女性たちをいかに取り込み、「彼氏」になる(ふりをする)ことで女性をはめ、多額の金を巻き上げるため消費者金融や風俗店、売春へと斡旋していく手口がまとめられていたそうだ。こうした手口は十数年にわたって続いてきたが、問題とされてこなかった。

 そしてコロナ禍以降、業者が「一般」の女性を狙う手口は成功し、性売買を一般化することに成功した。それによって多くの「一般男性」たちが買春という利益を享受し、その経験を共有している。

 今、ホストや性搾取の問題が注目されつつあるのは、性売買がこれまでのような頼れる家族がおらず、学歴もなく、児童福祉や教育からもこぼれ落ちた女性だけでなく、「一般」の女性たちにも広がってきたためだ。被害女性の親や家族が自分ごととして、「うちの娘がそんな目に遭うなんて」と行政や警察に相談したから問題視されたのである。従来、頼れる親も家族もいない女性たちは、被害を訴えてもまともに取り合ってもらえず、そもそも相談することすらできないまま「ないもの」とされてきた。

 結局、この社会では性売買から「女性を守る」といっても、それは人権擁護や尊厳の遵守に基づくものではなく、結局は「うちの娘が」的な誰かの所有物としての保護に尽きるのだろう。そのことにも私は憤りを覚える。

堂々と女性を選び買っていく買春者

 昨年1年間で特に変わったと感じるのが、買春男たちの堂々とした姿だ。大久保公園の周辺では買春者が常に50人ほど集まり、何周もしながら女性たちを「いくらかな」という様子で、舐め回すように見て、声をかけている。

 18年に私たちがバスカフェの活動を始めた頃は、私たちの姿を見ると、おどおどしたり、目をそらして逃げるように立ち去る男が多かったが、この2年間で女性支援団体が嘲笑の対象となり「おっ、仁藤さんじゃん。お疲れ様でーす」とニヤニヤ声をかけてくる男がいたり、「お前らなんて誰も守ってくれねえぞ」と言われたり、嫌がる女性にしつこくしている男を追い払おうとした時に暴力を振るわれることも増えた。

 私は10代の頃に家へ帰れず街をさまようようになってから、歌舞伎町の様子を20年間見続けてきたが、今、歌舞伎町には驚くほど多くの買春者が世界中から集まっている。英語圏をはじめ、中国語、タイ語、韓国語、それ以外の言葉を話す買春者もいる。自分たちの国ではできないが日本ではできる、しかも、円安で「安く」買えると知られているのだろう。

 日本に暮らす男性たちにとっても、これまで以上に買春は身近なものになっており、同僚や友人と、仕事や学校帰りにふらりと気軽に買いに来ている。「声かけて来いよ」「あの子がいいんじゃない?」などと言いながら、女性たちを見世物のように消費し、「いくら?」「ゴムなし、中出しはできる?」「3Pは?」などと女性たちに持ちかけ、買春経験を友人や同僚たちと恥ずかしげもなく、むしろ自慢げに共有している。風俗店が合法的に存在する日本では、これは今に始まったものではないのだろう。

 そういう大人たちの姿に影響されたらしき16、7歳くらいの少年たちが、3人組で女性たちを物色していることもあった。

女性を対象化し、消費する目線をどう変えるか

 性売買に関わる女性たちを「見に」来るのは、男性たちばかりではない。女子大学生や会社員風の女性が、大久保公園を見に来て「いい経験になりました」と話していたり、観光で来たという女子高生が友だちと一緒に大久保公園を「見物」し、「可愛い子がいるかチェックする」遊びをしていることもあった。これまで、そのような楽しみ方をするのは大学生から中高年の男性のグループが多かったが、この半年で変わってきた。

 親や彼氏が、少女たちが「売春」して生活しているのを知っているケースや、生活のために買春男と同居する少女や、18歳で買春者のおじさんと生活のために結婚する女性も増えている。そして、これは都会だけの話では決してない。同じ状況にある、地方に暮らす少女たちともColaboはつながっている。

 24年12月、大阪・梅田の路上が「立ちんぼ対策」で黄色く塗られた。2カ月前にそのアイデアが報じられた時、なんてばかなことを考えるのだろうと笑ってしまったが、実現した。行政も、それに賛同する市民も、性売買に関わる女性を排除し、人目につかないところに追いやることで問題を隠そうとしている。

 女性たちに責任を押し付けるまやかしの「対策」や、性搾取が温存されることで、買春等の利益を得ている男たちのあらゆる形での連帯に騙されてはいけない。現行法の「売春防止法」のように女性を処罰の対象とするのではなく、買春者と業者こそ罰する必要がある。日本では性売買が「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)」で事実上合法化されており、女性の人権が蔑ろにされていること。性の商品化は女性に対する差別であり、人権侵害であることについて市民の一人ひとりが気づき、問題意識を広げていくことが必要だ。


どんどん「社会」が変な方へと向かっている。


「中居正広・フジテレビ追及国会」が暴くオールドメディアの特権と腐敗。「フジはつぶすしかない」元国税OBが断言する訳

2025年01月08日 | 社会・経済

MAG2ニュース 2025.01.06

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中居正広とフジテレビの“女子アナ上納”疑惑めぐる報道の不自然

2024年の年末に芸能界を揺るがすニュースが駆け巡りましたね。元スマップの中居正広氏が、ある女性と“トラブル”になり、9000万円もの示談金を支払ったということです。

週刊文春の報道によると、この女性はテレビ局の社員であり、“トラブル”というのは性加害だったようです。この女性社員はアナウンサーでしたが、事件の影響ですでに退社してしまったというのです。

しかも、文春などによると、この事件は、テレビ局の社員が企画した宴席で起きたもので、当初は複数の社員が参加することになっていたのですが、当日になって突然、ドタキャンとなり、中居氏と被害女性の2人きりでの会合となってしまったということです。

そのため、この宴席を企画した社員が、女性アナウンサーを中居氏に“上納”したのではないか、という疑惑もささやかれているのです。

ところが、週刊誌やスポーツ紙、ネットでは現在、この話題で持ち切りなのに、不思議なことにテレビや新聞(スポーツ紙以外)では一切報じられていません。新聞・テレビでは、まるでそんな事件はなかったかのような世界線になっているのです。

なぜこのような状況になっているのでしょうか?今回はこの問題を掘り下げたいと思います。

中居のスキャンダルでも箝口令。テレビ・新聞の異常な利権構造

まず、日本のテレビと新聞は、世界から見れば実はかなり遅れており、常識はずれの状態になっています。というのも日本では、大新聞社はいずれもテレビ局との結びつきがありますが、実はこれは世界では珍しいことだからです。

新聞社がテレビ局を保有してしまうと、あまりにメディアが持つ影響力が強くなってしまうので、新聞社がテレビ局を持つのを禁止している国もあるほどです。

しかし、日本にはそういう規制はなく、まるで当たり前のように大手新聞社は全国に系列のテレビ局網を敷いています。

メディアというのは世論を操作することさえできる、国家権力に匹敵するほどの巨大な権力ですが、この巨大な権力が、巨大な利権によって守られているのです。

現在、地上波のテレビ局には、事実上、新規参入ができません。テレビ放送を行うには、総務省の免許が必要ですが、日本で地上波のキー局にこれ以上免許を出すことはほぼありません。つまり、テレビ業界は完全な既得権業界なのです。

日本で大手新聞社がテレビ局を保有しているのは、テレビ草創期に大手新聞社がこぞってテレビ局をつくったからです。まず読売新聞が日本で最初の民放の設立を行い、朝日、日経、毎日などがそれを見て相次いでテレビ事業に参入してきました。

また新聞業界には、「記者クラブ」というものがあります。これは官庁などに、報道機関専用室のようなものが設けられ、メンバーだけが独占的に取材を行えるというものです。この記者クラブは、各官庁、都道府県など800カ所に及びます。記者クラブ入れるのは、既存の新聞社等に限られます。だから、新聞業界には新規参入がなかなかできないのです。

先進国で、メディアにこのような閉鎖的な団体があるのは日本だけです。つまり、日本の大手新聞社やテレビ局は、政府の規制に守られた巨大な利権集団なのです。

そして日本の大手メディアたちは、この利権があるために、なかなか自由な報道ができなくなっているのです。新聞社の子会社であるテレビ局は、当然のようにそれに追随しています。

テレビ・新聞がウソばかりつき、巨悪に目をつぶる根本理由

日本は「報道の自由度」の世界ランキングが70位と、先進国ではありえないほど低くなっています。ほかの先進国、韓国だけではなく、チェコやスロバキアなどの旧共産圏国家、激しい人種差別があった南アフリカなどよりも、報道の自由度が低いと認定されているのです。

それは日本の大手メディアが、利権でがんじがらめになっているからでもあるのです。その結果、

「新聞・テレビは同じことしか報じない」

「新聞・テレビは双方の利益に縛られて、自由に報道ができない」

「政府の都合の悪い情報は、新聞・テレビでは流れない」

という状況が生まれています。

この新聞・テレビは、自分たちの利益を優先するためには、巨悪にも目をつぶってきました。

2023年、イギリスのテレビ番組に端を発したジャニーズの性加害問題は、芸能界だけではなく、社会問題といっていいほど大きくクローズアップされました。

ですが、ここにきて“今さら”ジャニーズ問題がクローズアップされたことに、違和感を持った人も多いはずです。

ジャニーズ事務所のジャニー喜多川氏が、所属の少年たちに性加害をしていることは、30年以上も前から暴露本が出され、関連の裁判なども行われ、「限りなく黒」という判断が出されていたものです。

にもかかわらず、この情報は一部の週刊誌や書籍、ネット記事が報じるのみであり、新聞・テレビなどで取り上げられることはありませんでした。

30年以上の長きにわたって、これほどの犯罪が「公然の秘密」とされてきたのです。それは新聞・テレビにとって、ジャニーズ問題は自分たちの利益に関わることだったからです。

ジャニーズ事務所のタレントは人気があり、テレビに引っ張りだこなので、各テレビ局はジャニーズ事務所を悪く言うようなことは報道できない、ということになっていました。また各テレビ局は、親会社が大手新聞社となっており、大手新聞社もその兼ね合いから、ジャニーズ事務所の問題については、触れてこなかったのです。

つまりは、大手新聞社、テレビ局の利害関係により、これほど大きな社会問題が、30年以上にわたり、黙殺されてきたのです。

このように大変な社会問題を、新聞やテレビがあまり報じないというのは、ジャニーズ問題に限ったことではありません。日本には、ジャニーズ問題に匹敵するような、いやジャニーズ問題をはるかに超えるような大きな社会問題が、まったく報じられないという状況が多々あるのです。

日本人が知らない、オールドメディアは「特権階級」という事実

日本人はあまり気づいていませんが、日本の大手マスコミは、世界的に見れば異常な状況にあります。

その1つが、大手新聞社の新聞購読シェアの大きさです。日本の読売新聞は、実は世界一の発行部数です。そして世界第2位は朝日新聞なのです。日本よりはるかに人口が大きいインドや中国でも、読売、朝日を超えるような新聞はないのです。実は日本の読売、朝日、毎日のような全国の家庭で読まれている「全国紙」というのは、世界にはほとんどないのです。

世界の有名新聞のほとんどは、その地域地域で発行されているものです。たとえば、世界的に有名なアメリカの新聞「ニューヨーク・タイムズ」は、ニューヨークで発行されているものです。またアメリカには「USトゥデイ」という全国紙がありますが、発行部数は160万部に過ぎません。だから日本の全国紙ように、「全国の家庭で読まれている」ものではないのです。

なぜ日本に「全国の家庭で読まれる全国紙」があるのか、というと、それは戦時中の「新聞統制」に由来しています。日中戦争から太平洋戦争までの間、政府は言論統制や物資統制の目的で、新聞各紙の統合をすすめ、原則として「地方新聞は各県一紙のみ」ということになりました。

当時、日本で最大手だった読売、朝日、毎日は、ライバル紙が大量に減ることになり、必然的に購読シェアが大きく増えることになったのです。現在の巨大な大手新聞は、戦時中の新聞統制によって誕生したといえるわけです。

しかも、日本の大手新聞は、それぞれが全国ネットのテレビ局を保有したり、提携関係にあります。読売新聞は日本テレビ系列、朝日新聞はテレビ朝日系列、毎日新聞はTBS系列、そして産経新聞はフジテレビ系列、日本経済新聞はテレビ東京系列です。日本の地上波のテレビ局ネットはすべて大手新聞社と密接な関係にあるのです。

つまり、たった5つの大手新聞社が、日本の新聞とテレビを支配しているようなものです。これは、世界のメディア界から見れば異常なことです。マスコミというのは、たくさんあってこそ健全な世論の形成に寄与するものなのですから。

世界の国々では、たくさんの新聞、テレビ局などがそれぞれ違った角度から報道します。だから国民は、1つの事柄でも様々な面から知ることができるのです。

しかし日本の場合は、それがありません。たった5つの新聞社の意見が、マスコミ全体を支配してしまうことになるのです。しかも、テレビ局は広告料が収入源となっており、スポンサーに対しては常に遠慮があります。その遠慮は、テレビ番組だけでなく、新聞記事にも影響を与えます。つまり、スポンサーに都合の悪いことは、テレビでも新聞でも報じられない、ということになってしまうわけです。

国家権力側から見れば、日本のマスコミは非常に御しやすいと言えます。なにしろ、5つの新聞社を抑えれば、日本のマスコミ全体をおさえることができるわけですから。しかも5つの新聞社は、国家による規制に守られ、毒饅頭をたらふく喰らって肥え太ってきました。いざというときは、いつでも国家の言うことを聞く存在になっています。もちろん、これは日本国民にとっては非常に危険なことなのです。

フジテレビは廃業が当然。中居正広問題を国会の俎上に載せよ

ところでこの事件は、中居正広氏の大不祥事であるとともに、フジテレビの大不祥事でもあります。フジテレビはこの事件に関して、「社員が会合を設定した事実も、ドタキャンした事実もない」と発表し、まるで自分たちはこの事件にまったく関与していないかのような言い逃れをしています。

でも、もしそれが事実だったとしても、フジテレビの大不祥事だという事実は変わらないのです。

フジテレビは少なくとも、女性社員が性被害にあっていたことは知っていたはずです。にもかかわらず、フジテレビは加害者を訴えるどころか、今まで通りテレビに出演させ続けてきました。そして、被害にあった女性社員の方が、いたたまれなくなり退職を余儀なくされたわけです。

フジテレビが、自社の社員が性加害に遭ってもその相手をテレビ出演させてきたということは、「性加害を容認した」も同然であり、むしろ性加害をほう助したとさえ言えます。

これは、放送倫理どころか、社会倫理に照らし合わせても完全にアウトです。

フジテレビは放送局として終わっているだけではなく、そもそも企業として存在してはいけないのです。国際人権団体から批判されてもおかしくない事案です。

与野党の国会議員の方々、そうでしょう?どうか、迅速にこの件について国会で取り上げ、フジテレビは早急に取りつぶすべきだと筆者は思います。

フジテレビと“共犯関係”にある民放各局のホンネ

それにしても、これだけの大事件をなぜ民放各局はまったくスルーしているのでしょうか?

日本の民放テレビは、普段なら芸能人のゴシップが大好物であり、些細なことでも針小棒大にしたり執拗に追いまわして報道したりします。本来なら、中居氏の不祥事も、格好の餌食になるはずです。

にもかかわらず、まるで何も起きていないかのごとくスルーする、この異常さ。これは「ジャニーズ事務所の性加害問題」のときとまったく同じ構造なのです。

民放各局は、「ジャニー喜多川氏の性加害問題」の後、自分たちがこのような大事件を報じてこなかったことについて反省を口にしていました。

しかし今回の件で、まったく反省していないことを露呈したのです。

民放各局が中居氏の性加害事件についてまったく報じない理由は主に2つあります。

まず1つは、中居氏がテレビタレントとして重要であるということ。中居氏は、芸能界でもトップの人気を誇り、各局の番組にレギュラーを持つ人気MCです。その中居氏の不祥事を報じることは、自分たちの番組に大きな影響を及ぼすことになります。

そのうえで、さらに大きな理由がもう1つあります。

「中居を切り捨てでも、フジテレビは全力で守る」民放各局

もう1つの理由は、この事件がフジテレビの存続を脅かすほどの大事件なので、民放各局としては全力でフジテレビを守らなくてはならない、ということです。

民放各局は、表向きは視聴率争いをしていますが、内実は、超美味しい特権を享受している「大手マスコミ特権クラブ」のメンバーなのです。

彼らは、いずれも「大手新聞=テレビ局」という構図で日本のマスコミを支配しつづけてきました。

もしその一角が崩れると、国民が日本の大手マスコミの異常な特権に気づき、特権クラブ自体が崩れてしまうかもしれない。彼らとしては、それだけはどうにかして避けたいのです。

つまり彼ら民放各局は、彼らの特権を維持するために公平な報道を避け、国民を欺き続けるというわけです。

今回ご紹介したように、日本の各テレビ局、大手新聞社が「異常に巨大な利権」を保持している構造を変えない限り、日本において「報道の自由」を実現できないのは言うまでもありません。


訪問介護 報酬引き下げで危機

2025年01月07日 | 社会・経済

新潟・村上市 減収 さかのぼって支援

「しんぶん赤旗」2025年1月7日

ガソリン代も支援

 自民・公明政府が2024年度から訪問介護基本報酬を2~3%引き下げたことを受け、訪問介護事業所の倒産は昨年、過去最多を更新しました。そうしたなか新潟県村上市(高橋邦芳市長、人口5万4000人)は、報酬引き下げによる減収分を昨年4月の改定時にさかのぼって独自に補助することを決めました。同市によると同趣旨の自治体補助は全国初です。(内藤真己子)

 支援金は、引き下げ前の訪問介護基本報酬に政府が昨年の改定で本体部分の平均引き上げ率とした0・61%を上乗せした額と、引き下げ後の実績の報酬額との差額を市内17の訪問介護事業所に支払うもの。3月にも計年800万円(予算額)を支援します。

 またガソリン代の高騰が事業を圧迫しているのをカバーするため、燃料費支援金として車1台につき月3000円を支給します。さらに利用者宅まで7キロ以上かかる訪問介護に1回50円を上乗せします。事業規模は600万円です。

 支援策は次期介護報酬改定まで3年間の措置で、総額は4200万円。介護保険給付等準備基金を取り崩します。

 政府が訪問介護報酬引き下げを決めた昨年3月、市は訪問介護事業所にアンケート調査を実施。「廃止を検討している」などの深刻な声を受け、支援策の検討に着手しました。

 9月議会で、日本共産党の野村美佐子市議が「経営者の報酬がほとんど出ていない事業所もある」と事業所の実態を告発。県内でも利用者宅が遠いところに独自の手当を出している自治体があることも示し、「市ができることはないか具体的に考えてほしい」と迫りました。

 答弁に立った高橋市長は「介護報酬に市がかさ上げをした時(国の)ペナルティーはないのか検証していた。介護報酬の(次期)改定の3年後を待たずに事業者支援に着手したい」と答弁しました。

 同議会では、国に引き下げ撤回を求める意見書を全会一致で可決。12月議会に支援金制度を盛った補正予算案が提出され可決されました。

削れる経費 底尽きた 事業所への独自支援「ありがたい」

訪問介護まで片道40分・除雪20分… でも事実上無報酬

 新潟県村上市は県内最北の日本海に面した古い城下町です。師走の朝。鈍色の低い空から、みぞれが時折強く町家に打ち付けます。

 「おはようございます」。午前8時。ヘルパーが通りに面した古い家のガラス戸をたたくと、しばらくして高齢の女性が現れ、引き戸を開けてくれました。「寝てたでしょ」「んだ。寝坊してた。来たら起きるべと思って」。女性はヘルパーと冗談を交わしほほ笑み合います。

75分フル回転

 女性は89歳。物忘れがあり要介護1です。夫や同居していた息子に先立たれ独り暮らし。月の半分はショートステイで過ごし、後は訪問介護とデイサービスを使って自宅で暮らし続けています。「ヘルパーさんは助かります。ありがてぇよ」

 ショートステイに行かない日は、1日1回の訪問介護に生活が支えられています。ヘルパーは「生活援助」の75分間で、2食分の調理と配膳、服薬確認、掃除、洗濯、買い物までフル回転でこなします。冬場は石油ストーブの給油も必須。「ヘルパーさんいなば(いなければ)暮らせね。一人ではどうしたらいいかわかねもの」。女性はしみじみ語りました。

 人口減少が続く村上市。65歳以上高齢者が人口の4割に達します。高齢単身世帯や高齢者のみ世帯が全世帯の35・7%を占め、認知症の人も増加しています。市の高齢者アンケートでは、介護が必要になっても自宅で暮らしたいと答えた人が42・1%にのぼります。

 訪問介護の利用者は増加しています。23年度の利用実績は市の介護保険事業計画より1割上回っていました。訪問介護の充実が課題です。そこへ政府は昨年4月、訪問介護基本報酬を引き下げました。事業者はたちまち窮地に陥りました。

役員報酬ゼロ

 「引き下げはショックでした。そもそも赤字。削れる経費はもうありません。恥ずかしながら私の役員報酬を10月からゼロにしました」。約80人の高齢者に訪問介護を提供しているヘルパーステーション「ゆめ」を経営する「ユニゾンむらかみ」の福田秀樹社長は打ち明けました。

 4月から借りていた事務所を閉じ、自宅を事務所にして経費を節減しようとした矢先でした。「事業を畳む方が楽ですが、待っている利用者のことを考えたらできない」と福田さん。実際、昨年は職員不足で同市内の訪問介護事業所が一つ休止に。残された利用者を何人も引き受けました。

 同市は大合併で新潟県一広い自治体になりました。中心部以外は中山間地です。周辺部の利用者宅まで片道30、40分かかる場合もあります。遠方の利用者を断る事業所もあるなか福田さんの会社は訪問しています。

 雪に閉ざされる冬はさらに過酷です。私道や敷地内は除雪されません。「2、3日前も、利用者さん宅の玄関先に車を止め介護を終えて出てきたら、車が雪に埋もれていました。掘って脱出するのに20分以上かかりました」と福田さん。

 こうした長距離の移動や除雪の時間は、訪問介護基本報酬に実態として含まれていません。加算も不十分で、過疎地域の経営は不安定です。

 同じ建物内の住宅をヘルパーが次々回る住宅併設型の事業所の利益率が高く、訪問介護全体の利益率を上振れさせたのに、政府は一律報酬を引き下げました。また職員の処遇改善加算を引き上げたので全体でプラス改定だと強弁しています。福田さんは「数字のカラクリです。処遇改善加算で職員の賃金は上げましたが、事業所には残りません」と指摘します。

防衛費回して

 村上市の独自支援策を「ありがたいです」と歓迎する福田さん。「このままでは在宅介護は崩壊します。防衛費増強にかける財源を、もっとこちらに充てていただきたいと国に強く要望したい」と訴えます。

 日本共産党の野村美佐子市議は、「市が事業者の声を聞き、独自の支援に踏み出したことは心強く、心から歓迎します。引き下げ撤回の声は全国に広がっています。特に地方の実情を国は知ってほしい。3年待たずに見直すべきです」と語ります。

3年待たず 引き上げを

新潟・村上市長 高橋邦芳さん

 訪問介護の基本報酬だけ下げられたと聞き、「なんで訪問介護だけ下がったのか? 事業所は大丈夫なのか聞いてくれ」と事業所へのアンケート調査を指示しました。そうしたら「もうやっていけない」「辞めねばなんねえ」と切実な回答が寄せられたのです。これは由々しき事態と危機感を持って対策の検討を指示しました。

 都市部では同じ建物内にある住居を次々とヘルパーが訪問し、利益を得る事業者があるようです。しかし村上市のような広域で中山間地を抱える地域ではそうはいきません。利用者の家まで片道10キロ以上かかる場合もあります。冬はヘルパーの仕事が除雪から始まる場所もあります。この時間は介護報酬の中で明確にされていません。そもそも都市部とは条件が違うのです。一律の引き下げに根拠があるとは思えません。

 支援にあたっては国が減らした介護報酬を自治体が上乗せしていいのか、考えました。だけど学校給食や子ども医療費は独自に応援していますね。それと同じだと決断しました。基金があったので取り崩してあてましたが、なければ一般財源を投入してでもやったと思います。昨年は人手不足で訪問介護事業所が一つ休止しています。介護資源を守らないとなりません。

 同時に、阿賀北地域の市町村長会議で問題提起し、3年後の改定を待たずに引き下げを見直すよう国に要望することに決まりました。それが全国市長会の要望事項にもなっています。

 国はぜひ地方の現状に目を向け、介護報酬の改定は3年後と固定せず、早期に引き下げを見直していただきたい。また訪問介護の移動距離の長い地方への手厚い支援を検討してほしいと思います。

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政府備蓄米 フードバンクに

来月から無償で 共産党などの要求実る

 農林水産省は今年2月から、子ども食堂などに食料品を提供するフードバンクに、新たに政府備蓄米の無償交付を実施すると発表しました。農水省はこれまで、子ども食堂や子ども宅食への政府備蓄米の無償交付を行ってきましたが、支援対象とされていたのは、子ども食堂・子ども宅食など、利用者を直接支援する活動だけでした。

 米不足や米価高騰を受け、日本共産党や農民運動全国連合会(農民連)、新日本婦人の会などがこの間、備蓄米の放出を政府に迫っていました。

 フードバンクは、企業などから提供を受け、規格外品などを子ども食堂や食料支援活動などに無償配布しています。農水省が把握しているだけでも279団体にのぼっていますが、昨夏以来の米不足・米価高騰により、フードバンクに米が集まりにくい状況が生まれていました。

 今回の改定でフードバンクは、前年度の全食品取り扱い重量の5分の1以内で、1団体ごとに50トンが上限で備蓄米の支給を受けられることになります。子ども食堂のみ実施している場合は1回の申請につき米120キログラムのままですが、子ども食堂と子ども宅食を合わせて実施している場合は、6日から一部申請方法が簡略化され、上限450キログラムから600キログラムに拡充されます。

 しかし、フードバンクが農水省の支援を受けるには、▽取り組み団体が法人格を有していること▽1年以上の活動実績があること▽地方公共団体と連携した取り組みを行っていること―などの要件があります。支援を行き渡らせるためのさらなる改善が求められています。

 農民連の藤原麻子事務局長は、年齢の枠が取り払われたことはこの間要求してきたことであり歓迎すると強調。「現場では法人格をとらずにフードバンクを行っている団体も多く、そうした団体へも対象を広げるよう求めていきたい。同時に、困窮世帯が増えており、根本的には国が農産物などを直接買い上げて食料支援活動に取り組むことが必要だ」と語っています。


やぁ!久しぶりの明るいニュースです。
「声」をあげましょう。
新潟・村上市のような自治体が増えて行けばいいのですが。

早く帰りました。
カミさんの骨折、手術が必要だとのことでした。
14日入院で、何日入院になるのかはまだわかりませんが全治1.5か月と言われました。2月には兵庫に帰る予定で飛行機のチケットも手配済みですが、さてどうなりますやら。たぶん大丈夫でしょう。


ゆがんだ正義と向き合う

2025年01月06日 | 社会・経済

「東京新聞」社説 2025年1月6日

 4年前のきょう、2021年1月6日、共和党の大統領だったトランプ氏=当時(74)=の落選を認めない支持者たちが米連邦議会を襲撃しました=写真。民主党のバイデン氏=当時(78)=の当選確認の手続きを妨害し、大統領選の結果を変えようとしたのです。

 トランプ氏はその直前、集会を開いて支持者をたきつけていました。米国の民主主義を大きく揺るがせた歴史的な事件です。

 トランプ氏は選挙結果を変えようとした罪などで刑事訴追されましたが、大統領選を勝ち抜いて今月20日に返り咲きます。訴追した司法省への敵意をあらわにしており、人事などで報復するとみられます。すでに特別検察官は起訴を取り下げ、辞任する見通しです。

 司法省はDepartment Of Justice(ジャスティス)。ジャスティスには「司法」という意味もありますが、日本人にとってなじみ深い訳語は「正義」でしょう。「大辞林」(三省堂)によると、正義は「人が従うべき正しい道理」で、「人々の権利を尊重しながら義務や報奨、制裁などを正しく割り当てること」との意味もあります。

◆事実ねじ曲げ政敵攻撃

 襲撃事件を巡るトランプ氏への起訴状によると、暴徒の対応に当たった警察官ら5人が亡くなりました。

 でも、トランプ氏は「誰も死ななかった」と強調しています。事件を矮小(わいしょう)化して自身の起訴を不当だと主張し、暴動に加わった受刑者に大統領として恩赦を与える方針も表明しました。メディアがファクトチェックをしたり、亡くなった人を紹介したりしても、聞く耳を持ちません。

 死者の有無をゆがめることも問題ですが、死者がいなければ議会への暴力が許されるものでもありません。自身が敗北した選挙で不正があったと根拠なく言い張り、憎悪を駆り立て政敵を攻撃する行為を「正義」とは呼びません。

 トランプ氏は米南部ジョージア州の高官を脅して選挙結果を曲げようとするなど、ほかに三つの事件で訴追されました。有罪評決が下った事件もありますが、大統領選に再び当選したことで量刑の言い渡しが延期されるなど、罪の所在がうやむやになっています。

 日本には、明治維新を機に生まれた「勝てば官軍」という言葉があります。争いごとでは道理や手段がどうあれ勝者が「正義」になるという意味です。

 この言葉を「最も嫌い」とする新潟国際情報大学の佐々木寛教授は次のように語ります。

 「トランプ氏を見ていて浮かぶ言葉。選挙の『みそぎ』という言葉にも表れるように、勝ったら過去を水に流すという考え方が広がるが、法や倫理が脅かされ、歴史や文化の否定にもつながる」

 「『おごれる者は久しからず』との言葉もある。権力の上には正義や倫理がなければならない」

 企業経営でも「勝てば官軍」という言葉は、どんな手段を使っても競争に勝ち、利益を上げることが「正義」との趣旨で使われることがあります。不動産王の異名を持つトランプ氏もそのような「正義」観なのかもしれません。

 選挙戦からトランプ氏を支えた米実業家マスク氏だけでなく、当選後はSNS最大手メタのザッカーバーグ氏やソフトバンクグループの孫正義氏ら、巨額のお金を携えてトランプ氏の元に出向く企業トップも増えています。

◆勝てば官軍でいいのか

 「経営の神様」と呼ばれた松下幸之助氏は「勝てば官軍」に否定的だったようです。かつて側近として支えた江口克彦氏の著書「ひとことの力-松下幸之助の言葉」によると「勝てば官軍、という商売は、あかんよ。結局は、失敗するで」と語ったそうです。

 松下氏は、懇意にしていた僧に「大将というものは、そんなことをしてはいけない」と諭されたそうです。不当な手段で競合社に勝ち一時的に業績が好転しても、いずれ経営難に陥り、社員を路頭に迷わせる、と。書籍は「勝てば官軍」を主張した経営者が会社を倒産させた事例にも触れています。

 「米国第一」を掲げ、米国の力を信奉するトランプ氏の内政・外交政策は米国内にとどまらず、国際的に大きな影響を与えます。

 これまでの「正義」を基調とした国際秩序が根底から覆るかもしれません。それでも日本をはじめ国際社会は、トランプ氏の「ゆがんだ正義」と向き合わねばなりません。その覚悟も問われる4年間の始まりです。


当たらなかった天気予報。
昼からはプラス氣温という予報でしたが、プラスになることはありませんでした。
☂あるいはみぞれの予報も、しっかりと雪でした。
青森県では記録的大雪となっているようです。
けがなどの事故のないようお過ごしください。
明日は新札幌のカミさんのかかりつけの整形へ乗せていかなければならず、更新できないかもしれません。


軍事費 初の8兆円超 25年度予算案 閣議決定 大企業優遇、国民生活は犠牲

2024年12月28日 | 社会・経済

「しんぶん赤旗」2024年12月28日

 石破茂政権は27日、2025年度政府予算案と「税制改正大綱」案を閣議決定しました。石破政権にとっては初めての予算編成です。10月の総選挙で「自民・公明ノー」の審判が下ったにもかかわらず、軍拡と大企業優遇を続けます。一方で社会保障など国民生活を支える予算は抑制する「逆立ち予算」です。日本共産党の小池晃書記局長は同日、談話を発表しました。

 国の基本的な予算規模を示す一般会計総額は115兆5415億円と過去最大を更新しました。当初予算が110兆円を超えるのは3年連続です。国債費は5年連続で過去最大を更新し、28兆2179億円を計上しました。金利上昇を受け、想定金利を24年度の1・9%から2・0%に引き上げるためです。

 大企業優遇が際立ちます。経済産業省は先端半導体設計拠点の整備などに計3328億円の支援を実施します。このうち1000億円をラピダスへの出資に充てます。

 軍事費はデジタル庁所管分を含め8兆7005億円と当初予算として初めて8兆円を超えました。13年連続で前年度を上回り、11年連続で過去最大を更新しました。

 大企業優遇と軍拡のために生活関連予算は軒並み抑制されます。主に厚生労働省とこども家庭庁が所管する社会保障関係費として38兆2778億円を計上。高齢化などに伴う自然増6500億円を、高額療養費での負担増をはじめとする制度改悪で1300億円圧縮しました。

 沖縄振興予算は24年度比36億円減の2642億円を計上。沖縄県側が求める3000億円台を4年連続で下回りました。とりわけ県が使途を自由に決められる一括交付金は41億円減の721億円にとどめました。玉城デニー知事を先頭に辺野古新基地建設に反対する沖縄県へのいやがらせです。

 一般会計税収は過去最大の78兆4400億円を見込みます。財源不足を補うための新規国債発行額は28兆6490億円となり、当初予算として17年ぶりに30兆円を下回る水準でした。

 「税制改正大綱」では、所得税の課税最低限について現行の103万円(「年収103万円の壁」)を123万円に見直すことなどにより、5830億円の減収を想定。軍拡財源確保のために、26年度から法人税とたばこ税を増税することで、9860億円の増収を見込みます。

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「裏金」5人起訴猶予

東京地検 犯罪事実を認定

65人を不起訴

 自民党派閥のパーティーを巡る政治資金規正法違反事件で、東京地検特捜部は26日、旧安倍派に所属していた松野博一元官房長官ら計65人を不起訴としました。

 このうち議員、前議員の計5人は検察が犯罪事実を認めたものの起訴を見送る「起訴猶予」でした。

 旧安倍派で不起訴となったのは、幹部で「5人衆」とされた松野氏や高木毅前衆院議員を含む議員ら計16人と会計責任者らを合わせた60人。議員ら16人のうち、宮本周司参院議員や菅家一郎前衆院議員ら5人は起訴猶予とされました。

 石破茂首相が代表を務めた政治団体「水月会」のパーティーを巡り、石破首相や会計責任者ら計5人も不起訴となりました。

 また東京第5検察審査会から「不起訴不当」の議決を受けて再捜査していた世耕弘成衆院議員の会計責任者、萩生田光一衆院議員の秘書についても再び不起訴(起訴猶予)としました。

 特捜部は5月に世耕、萩生田両氏らを不起訴としましたが、同審査会が10月、世耕氏の会計責任者と萩生田氏の秘書について、いずれも「悪質性は相当程度高い」などとして不起訴不当と議決していました。(時事)

「裏金」5人起訴猶予

証拠上明らか 神戸学院大学教授 上脇博之さん

 自民党派閥の裏金づくりを巡る政治資金規正法違反事件で、私が東京地検に告発した裏金議員のうち起訴猶予となったのは初めてです。起訴猶予とは犯罪事実を認めつつ検察の裁量で起訴を見送る処分です。

 多くの国会議員が「秘書の責任」で逃げてきました。今回の処分で国会議員が裏金づくりにかかわっていたことが認められたことになります。犯罪は証拠上明らかだということです。

 本来、検察はこの5議員を起訴すべきです。私は起訴相当を求めて検察審査会に申し立てる予定です。同時に、国会での説明責任が問われます。


年末を迎えつつ、いやなニュースばかりです。
法の下の平等もないのです。

こんなんで年越しできる?

この3日間雪が降り続き、大変でした。
今日も出かけなければならなかったので出たのですが、300mほど進んで雪山に突入。バックで脱出できました。道路は何も見えず、左右の電信柱を目安に進みます。国道近くになると行きかう車も多い(?)ので道は判ります。


日本の税収は6年連続「過去最高更新」見通しも…《国民生活は最低》とSNSには怨嗟の声

2024年12月25日 | 社会・経済

日刊ゲンダイデジタル 2024/12/25

 毎年のように税収が上振れしていながら、なぜ、国民生活は少しも良くなる気配が見られないのか。

 政府が27日に閣議決定する2025年度予算案で、一般会計の税収見積もりを70兆円台の後半とする方針を固めた、と報じられた。24年度の税収(73.4兆円)を上回り、6年連続で過去最高を更新する見通しという。

 4年連続で税収が70兆円を上回る日本経済。絶好調かと思いきや、内閣府が23日発表した国民経済計算の年次推計によると、日本のGDPは前年比0.8%減の3万3849ドルで、1980年以降で最も低く、先進7カ国(G7)では2年連続の最下位だ。

 税収が右肩上がりで増えていれば、少しぐらいは国民に還元してほしいものだが、「最強官庁」と呼ばれる財務省からみればそうは問屋が卸さないのだろう。同省の資料などによると、国民全体の所得に占める税金(租税負担)と社会保障の負担割合(国民負担率)は2010年代ごろまでは30%台で推移していたが、11年以降は40%台に跳ね上がり、現在は48.4%(22年度)、46.1%(23年度)。

大雑把に言えば、どれほど頑張って働いても収入の5割近くを国に「持っていかれる」のだから、手取りが増えないのも当然。そこに燃料高、物価高がさらなる追い打ちをかけているのだろう。厚生労働省が24日に公表した10月の毎月勤労統計調査(従業員5人以上)の確報値では、1人当たりの実質賃金は前年同月比0.4%減で、3カ月連続のマイナスだ。

 国民民主党が求める「年収103万円の壁」の引き上げを巡る議論でも、財務省や自民党は「財源がない」と繰り返すのだが、6年連続で過去最高を更新する税収がありながら「カネがない」というのは、歳出の在り方がどこか間違っているのではないのか。

 不思議なのは「5年で43兆円の防衛費増」という方針が突然、決まった際には、政府・与党内でも財源論はそれほど問題視されなかったにもかかわらず、教育費や社会保障などの話になると、途端に「財源を示せ」という展開になること。

「政治にはカネがかかる」「民主主義を維持するためにはコストがかかる」。24日閉幕した臨時国会で、政治資金について自民党議員はこう口をそろえていた。だが、それならなぜ、カネがかからないような仕組みに変えようとしないのか。これでは、どれほど税収が増えたところで、いつまで経っても「財源がない」となりかねない。

《最高税収なのに国民生活は最低》《いい加減、ムダな歳出をなくせよ》《人のカネだと思って、むちゃくちゃな使い方をしているのだろう》……SNS上は怨嗟の声で溢れている。


まったくだ!


「シ刑制度」を考える。

2024年12月22日 | 社会・経済

「東京新聞」社説 2024年12月15日

週のはじめに考える 「ばい菌」の正体とは

 街を「ばい菌」から守るパトロール-。死刑囚だった袴田巌さんの風変わりな散歩の日課です。事件から58年ぶりに再審無罪となったものの、既に88歳。長く死の恐怖と直面したゆえの拘禁症状が今も続いているのです。

 強盗殺人犯のぬれぎぬを着せられた人生はあまりに残酷です。幻覚や妄想、興奮、混迷が次々と現れる拘禁症状もまた残酷です。

◆拘禁症状は残虐な刑罰

 国家は袴田さんの人生ばかりか、精神をも破壊したに等しいといえます。拘禁症状の恐ろしさについては、医師で作家の加賀乙彦氏が名著「死刑囚の記録」(中公新書)で描いています。

 <死刑囚は、死について考えないようにすることも、気ばらしに身を投じることもできない。そこで死刑囚は、ノイローゼになることによって死を忘れるのである>

 加賀氏は1950年代に東京拘置所で精神科の医官として勤務し、死刑囚の精神状態をつぶさに記しました。

 <死刑の苦痛の最たるものは、刑執行前に独房のなかで感じるものなのである。彼らは拘禁ノイローゼになってやっと耐えるほどのひどい恐怖と精神の苦痛を強いられている。これが、残虐な刑罰でなくて何であろう>

 11月に「日本の死刑制度について考える懇話会」(座長=井田良・中央大大学院教授)が、政府や国会への提言をまとめました。

 学者や国会議員、経済団体代表、元検事総長、元警察庁長官、日弁連、犯罪被害者遺族らが委員を務める懇話会です。

 死刑制度について「現状のまま放置できない」とし、検討のため会議体を設けるよう求めました。結論が出るまでの間は死刑執行の停止も検討すべきだとも…。

 「これまでの死刑論議は存置派と廃止派が意見をぶつけ合うだけだった。今回はどれだけ理解し合えるか」と井田座長は記者会見で意義を語りました。

 世論調査では常に死刑制度を支持する結果が出ます。しかし、民意に存在する「迷い」がどれだけ反映されているのかは疑問です。

 神ならぬ人が行う裁判ゆえ、誤判の危うさは常に伴います。袴田さんのように確定死刑囚が再審で無罪になった例は、戦後計5件もあります。

◆感情論は歯止めなくす

 もし死刑執行されていたら…。取り返しがつきません。究極の人権侵害です。国家でさえ償えない制度でもあるのです。

 世界196カ国のうち死刑がないのは144カ国。7割超にのぼります。韓国でも死刑執行を停止し、米国も連邦レベルでは執行停止を宣言しています。

 人権意識は時代とともに進化します。あたかも復讐(ふくしゅう)劇のように死刑執行を続けるのは、普遍的な人権保障の原則と折り合うでしょうか。人は罪と向き合い反省し、更生できますが、命を奪えば贖罪(しょくざい)の機会をも奪います。

 死刑制度は犯罪抑止の効果を持つと信じられていますが、実は科学的な証明はありません。被害者感情や処罰感情が死刑制度の根拠となるという人もいます。でも本当にそうでしょうか。

 作家の平野啓一郎氏が「死刑について」(岩波書店)で興味深い視点を与えています。日本の「人権教育の失敗」なのだと-。

 相手の気持ちになって考えようと学校で教えられますが、これは感情教育です。

 <人権をこのように感情面だけで捉えてしまうことは危険です。なぜなら、共感できない相手に対しては、差別も暴力も、何の歯止めもなくなってしまうからです>

 平野氏はそう説きます。「人を殺してはいけない」のは絶対的な禁止なのに、死刑制度はひどいことをした人間は殺してもよいという例外規定を設けているとも。

 <例外規定を設けているかぎり、何らかの事情があれば人を殺しても仕方がないという思想は社会からなくならないでしょう>

◆被害者にもっとケアを

 被害者感情は十分に理解しますが、刑罰とは切り分けて考えた方がいいかもしれません。被害者側へのケアや生活支援は政府がもっと力を注ぐべき事柄です。

 死刑制度をどうするか。この難問には懇話会が提言したように、まず会議を設けて話し合うのが近道だと考えます。同時に再審の法規定も見直し、何としても冤罪(えんざい)を防がねばなりません。

 それにしても袴田さんが街をパトロールして見張っている「ばい菌」の正体とは何でしょう。

 憎悪、偏見、差別、暴力…。社会に潜む悪徳かもしれません。「ばい菌」にさらされている人はいないか。そんな目で街を守る袴田さんを国家が死刑台に送ろうとしたことは大きな過ちなのです。


冤罪が常態化している現状では無理な制度であるといわざるを得ない。
果して幾人が無罪で死刑台に登ったものか、「疑わしきは罰せず」「疑わしきは被告人の利益に」がどれほど機能しているのか?
昨日の記事にもあった元検事正による性犯罪。
元検事正が一転無罪を主張したのは「検察を守るため」だなどとしているが、「被害者の尊厳を横に置いて、検察は一体何を守ろうとしているのか」(仁比氏)裏金議員に対する不起訴などが国民の検察不信は頂点に達している。
こうした現状認識において「死刑制度」は時代にそぐわないものである。

園のようす。
今日も晴れ渡り、放射冷却現象で我が家の温度計は―18.5℃と今季最低を記録した。



北原みのり 昭和かよ、昭和じゃねーよ! 中年女性のやぶれかぶれに「令和」感  私たちは悪い時代を選んでいるのか

2024年12月21日 | 社会・経済

おんなの話はありがたい

AERAdot 2024/12/20

*  *  *

性犯罪刑法改正

 渋谷のスクランブル交差点でのこと。青信号に変わり人々が大量に道の真ん中に流れ込むなか、特別に目立つ女性がいた。彼女はゆったりとたばこを吸いながら歩いていた。コートも着ず、毛玉のついたヨレヨレのトレーナー上下で、伸びた髪を後ろで一つにまとめ、がに股で、空を見上げるように歩いていた。ホームレスかもしれないが、それにしては荷物は小さなリュックだけで、軽そうだ。髪の毛は真っ黒で、まだ若いのかもしれないが、身体から放つ空気は多分50代前半だろうか。四方八方から人々がせわしなくすれ違う交差点の真ん中で、火をつけたばかりの長いたばこを片手にした女性は、クッキリと周りの景色から切り取ったように、浮いていた。

 私は彼女の真後ろを歩いていた。すれ違う人はもれなく彼女を振り返っていた。あからさまに睨みつける人、興味深そうにのぞき込む人、わざとらしく大げさに避ける人……彼女の後ろを歩いていた私は、彼女から流れるタバコの煙を直接受けながら、彼女を凝視する人たちの顔を見ていた。こんなふうにジロジロ見られて気にならないのかなぁ……と思いながら、ふと、変な考えがよぎる。

 あれ? もしかしてこの人、タイムスリップしちゃった人? 「すみませ〜ん、今、何年ですか?」なんて聞いてみちゃったりしたら、何年って答えるのかな〜、2024年の渋谷で歩きたばこはできないんだよって言ったら驚くだろうなぁ〜ハハハ〜なんてことを想像しながら歩いていた。

 その時、前方からすれ違った若い男女カップルが、彼女の顔をのぞき込み、すれ違いざまにこう言うのが聞こえた。

「うわー、昭和かよ」

 え? 違うよ、昭和じゃねーよ!!

 驚いたことに、反射的に私は心の中でそう叫んだのだった。私自身が「この女の人、タイムスリップしちゃったのかな」と思っていたというのに、目の前の20代の若者たちがバカにするように吐いた「昭和かよ」という言葉に反応してしまったのである。昭和じゃないよ! 昭和に、こんな女の人はいなかったよ! なんだかそう訂正したいような気分になったのだった。

 そう、私の記憶ベースでしかない話。でも、昭和にこんな女の人はいなかった。強い北風が吹く12月、真昼の渋谷のスクランブル交差点で、薄汚れたトレーナー1枚でたばこを吸いながら歩く中年女性。そんな人は、いなかった。いや、いたかもしれない。いたかもしれないけど、もしいたとしたら、それは彼女のような感じじゃなかった。そもそも中年女性がたばこを吸うとしても、歩きたばこをしていなかった。歩きたばこはほぼほぼ男の専売特許だった。そもそもタバコは、今思うと信じられないが「かっこいい大人のもの」として考えられていた。そう、なんだか違う、違うのだ。

 2024年もわずか。ここにきて、性犯罪刑法改正前に起きた性犯罪事件の裁判報道が相次いでいる。一つは大阪地検のトップと言われていた男性が準強制性交罪で逮捕・起訴された事件。被告となった元検事正はいったんは事実を認め謝罪を述べたものの、今月になって急に「同意があったと勘違いした」と無罪を主張しはじめた。もう一つは、実父から娘への準強姦罪。父親は実の娘と性交したことは認めたものの、「娘は抵抗できない状態ではなかった」と無罪を主張している。

 2023年の性犯罪刑法改正が画期的だったのは、被害者がどれだけ抵抗したかを問われなくなったことだ。つまりは、「同意があったと思っていました。だから無罪です」という主張が難しくなった。恐怖でかたまったり、泥酔していたり、立ち場の違いがあったりして、「ノーと思うこと」「ノーと言うこと」「ノーを貫き通すこと」ができない状況での性交は「不同意性交罪」として罰せられるようになった。それでも、2023年以前の事件は、前の法律で裁かれる。そのため元検事正も父親も「同意があったと勘違いしたので無罪」という、時代に逆行するような主張を敢えてしたのだろう。事実を認め、謝罪し、罪を償ってほしいという被害者の声に向きあうことなく。そしてそのような主張がどれだけ被害者を絶望に陥れるか、その背後にいる無数の性被害者の心を傷つけるかなど、全くおかまいなしに。

 元検事正の無罪主張、娘を性虐待した父親の無罪主張。あまりにも重たい年の瀬になってしまった。一歩進んではまた時計の針が戻る。短いタイムスリップをいくつも繰り返しながら、どんどん悪い時代を私は選んでしまっているのかと思うくらいに、なんだか女に厳しい社会になっているような気がするのは私だけだろうか。

 そして少しハッとするような思いになる。疲れ果てた中年の女性が、やぶれかぶれな感じで、スクランブル交差点でタバコをふかしながら空を見上げるのって、もしかしたらとても令和的なことなのではないだろうか、と。4年前、都内の路上で、コロナ禍で職を失った60 代の女性が40代の男に撲殺された事件で味わった恐怖が、私の心の奥底にペタリと張り付いたままだ。私たちは、幸せな老後を、信じられなくなっている。私たちは、年を取るのが怖い。死ぬのが怖いのではなく、社会に大切にされないのが怖い。

 人々から冷たい視線を浴びながら、冬の街を薄着で歩きたばこする中年女性の後ろ姿に、私は勝手に自分のいろいろを投影したのかもしれない。今の私には家がある、今の私には家族がある、今の私には仕事がある、今の私には……でも、私はもしかしたらあなたかもしれない。同じ時代を生きてきた同じ性別の人の背中に、「昭和にはなかった」、少なくとも「子どもだった私には見えなかった」、社会から捨てられそうな女の人のやぶれかぶれを見たのだと思う。令和的なものとして、それが見えたのだと思う。


 3年前だから「令和」3年のまだ令和が始まった頃だ。「高齢者は老害化する前に集団自決、集団切腹みたいなことをすればいい」。「平成」生まれの経済学者、成田悠輔の発言だ。
こんなことが平然とTVの中で語られた。

4年前、令和2年になるわけか、都内の路上で、60 代の女性が40代の男に撲殺された。

京都アニメーション放火殺人事件は、5年前の令和元年の事件だった。

今は「闇バイト」SaTu人など。首を傾げるような事件が続いている。

政界では「裏金」「献金」がはびこっている。

この「令和」、何とかしたいものだ。

園のようす。
久しぶりに晴天となった。


古賀茂明 「企業・団体献金」は自民党の専売特許ではない トヨタと電力会社のために働く野党議員はクビにせよ!

2024年12月17日 | 社会・経済

AERAdot 2024/12/17

 企業・団体献金の禁止が自民党政治に終止符を打つための決定打であるということは、このコラムでも何回か指摘してきた。企業・団体献金は日本政治が贈収賄構造になっている最大の原因だ。これをやめるべきなのは、高校生でもわかる話ではないだろうか。

 国会議員に、なぜそんなに金がかかるのかと聞くと、必ず聞こえてくるのが、「企業・団体献金なしでは、事務所が運営できない」という声だ。

 しかし、有力議員の中にも、例外的ではあるが、企業・団体献金を一切受け取っていない議員もいる。もちろん、各党の幹部議員は、政党から政策活動費などを受け取っているので、幹部になれば企業・団体献金なしでもやっていけるかもしれない。だが、役職についていなくても企業・団体献金を受け取らない議員もいる。

 つまり、やる気になればできるのだ。

 企業・団体献金をもらえば、どんな議員でも、その企業や団体が嫌がる政策はやりにくくなる。逆に喜んでもらえる政策には力が入る。それがごく普通の人情というものだ。

 企業・団体献金を全くもらっていないある議員は、「人が良い人ほど、“ご恩返し”をしたくなるものだ」と言っていた。「人間は弱いんだよ。俺だってそうだ。それがわかっているから、企業・団体献金はもらわない」ということだった。

 企業・団体献金の弊害は、これまで、いくつもの事件で示されてきた。リクルート事件や佐川急便事件のことがよく引き合いに出されるが、それ以外にもたくさんの贈収賄事件があった。あまりにも多いので、国民はもしかすると、「政治とはそういうものだ」と諦めたり、あるいは慣れっこになってしまったりしていたのかもしれない。

 今回のようにメチャクチャな裏金事件がわかれば、国会議事堂や自民党本部に何万人もの群衆が押し寄せてもいいと思うが、そんなことは起きなかった。

 今年の夏までの通常国会の議論を見ていても、最初から、「企業・団体献金の禁止は無理」という相場観が支配し、大手紙の政治部記者は、そんなことはできるはずがないので、野党がどこまで歩み寄れるかが鍵だなどというバカな記事を書いていた。

 しかし、国民は政治部記者などよりはるかに賢明だった。中途半端な政治資金「改革」などまやかしだということを見抜き、衆議院選挙で与党を過半数割れに追い込んだのだ。

 今頃になって、新聞は、企業・団体献金の禁止が重要なテーマだと書くようになったが、それでもまだ、完全禁止までは無理だろうという雰囲気が漂っているのを感じる。

トヨタ系労組の政治団体から「1億円」

 しかし、しつこいようだが、完全な企業・団体献金禁止ができるかどうかで、日本の政治が変われるかどうかが決まるのだから、今回こそはどうしても実現しなければならない。

 企業・団体献金がなくなれば、自民党の議員は、「ただの人」に成り下がる。多くの議員は、「カネ」がなければ何もできないからだ。そうなって初めて、本当の意味で国民のために働く議員だけによる政治が実現するだろう。逆に言えば、企業・団体献金がなくならなければ、どんなに綺麗事を並べても、結局は、カネを出す人たちのための政治しか行われなくなるのだ。

 企業・団体献金と言えば、自民党議員の専売特許だと思いがちだが、野党議員にもこれに頼り切った議員が結構いることには注意が必要だ。

 その代表例が、労働組合から巨額献金を受けている議員たちだ。自民党の裏金議員の陰に隠れて、これまであまり批判されてこなかった。共産党の機関紙「赤旗」も、野党のカネの問題を詮索するまでの余裕はなかったようだ。

「赤旗」が本気にならないと、政治とカネの問題の真相に迫るのは非常に困難だというのがこれまでの日本のマスコミの状況だったが、企業・団体献金が本気で議論され始めたことで、大手紙が、急に野党の労組系団体からの献金について、「真面目に」調査を始めた。

 と言っても、政治資金収支報告書を見て書いたというだけの非常に原始的な内容だ。それでも、我々普通の国民から見ると、「えーっ!」と声を上げたくなるようなことを知ることができる。

 例えば、毎日新聞の記事(11月29日配信「連合傘下、国民民主・立憲側に2.4億円寄付 企業献金抜け道の指摘も」)によれば、連合傘下の主要な労働組合や関連政治団体が、自ら擁立・支援する立憲民主党と国民民主党の参議院議員10人に対し、2023年に計約2億4000万円を寄付したという。

 国民民主の議員では、トヨタ自動車系労組の政治団体「全トヨタ政治に参加する会」が浜口誠政調会長に計1億円、礒崎哲史副代表に1482万円を、電力総連の政治団体「電力総連政治活動委員会」は浜野喜史選対委員長に2000万円、竹詰仁氏に1000万円をそれぞれ寄付している。

 また、立憲の議員では、日本郵政グループ労組の政治団体「郵政未来研究会」が小沢雅仁氏に5000万円、鉄鋼・重工などの産業別労組・基幹労連の政治団体「組織内議員を支援し政策実現を推進する会」は村田享子氏に2000万円を寄付したなどと報じられた。

 また、12月7日配信の読売新聞の記事「労働組合関連の献金、立憲民主・国民民主両党の8議員に計3億2142万円…23年分収支報告書を集計」によれば、同じ23年に、立憲と国民民主の衆参8議員に労組や労組関連の政治団体から計3億2142万円の献金がなされていたということだ。

 対象となる範囲が毎日と読売では違うために金額などが食い違うだけでなく、重要な献金が落ちているなどやや杜撰な面もあるが、やらないよりははるかに良い。ナイストライと言っておこう。

政治が大きく歪められている可能性

 さらに、日刊ゲンダイは、12月10日配信の記事で、21~22年についての調査を行い、立憲と国民民主の参議院議員8人に対して、労組と労組系政治団体が、総額5億3009万円の献金を行っていたと報じている

 この記事によれば、21〜22年に、電力総連系の団体が竹詰氏に5000万円も献金したり、浜口氏にトヨタ系だけで2億5000万円近い献金がなされていたりしたことがわかる。

 全体としてみると、電力総連や基幹労連などの原子力ムラの労組やトヨタ系労組の存在感が大きく、これらの業界は、経営側でも自民党に巨額の献金を行っていることから、日本の政治が原子力ムラやトヨタによって大きく歪められている可能性が高いと疑いたくなる結果だ。

 国民民主だけでなく、立憲議員でも、基幹労連の巨額献金を受け取っている議員がいる。こういう議員は、原発ゼロには賛成できないはずだ。

 国民民主は露骨に原子力推進を叫んでいるが、その理由は、要するに巨額献金をもらっているからだということが、非常にはっきりとわかってしまう結果だ。

 また、トヨタ系労組の巨額献金を受ければ、トヨタが困る政策はとり得ず、国民民主は、ガソリン車やハイブリッド車への減税を廃止して電気自動車(EV)の急速な普及を図る政策には後ろ向きにならざるを得ないだろう。また、ガソリン税の引き下げを執拗に求めるのは、国民のためではなく、トヨタなど、ガソリン車に頼らざるを得ない自動車メーカーのためではないかという疑念も生じる。

 さらに、巨額献金に関わる労組は大企業が中心の組合が多く、したがって、大企業が困る政策は、その組合員たる大企業サラリーマンも嫌がるので、結果的に国民民主や立憲もあまり熱心にならないという弊害が出ている。

 大企業への増税を立憲や国民民主が強く主張しないのは、その典型例だと言って良いだろう。

 現在、国会では、政治資金規正法などの改正について、与野党がさまざまな案を出して審議が始まっているが、そこにも、労組系の巨額献金の影響がはっきりと出ている。

 企業・団体献金については、自民党だけでなく、国民民主党が難色を示している。色々と理屈をこねているが、要するに労組からの巨額献金を守りたいということだろう。

 立憲は、社民党などと共同で、企業・団体献金禁止の法案を出しているが、実は、そこには大きな抜け穴がある。

 それは、労組からの献金は禁止されるが、労組系の政治団体からの献金は禁止されないというマヌケな抜け穴だ。

禁止法案の「密かな抜け穴」

 実は、この問題は、以前から知る人ぞ知るという話だったが、これまでは、企業・団体献金の禁止などできるはずがないということで、野党側もあえて議論していなかった。誰も気づかないように静かにしていて、いざとなったら密かに抜け穴を作ればいいと考えていたのだろう。

 立憲の野田佳彦代表は、早々とこの抜け穴を認める法案を作って提出しようとしたが、今回は、企業・団体献金の禁止を国民が本気で求めているということに気づかなかったのだろうか。

 テレビや新聞が真面目に調査し、立憲も労組系団体の巨額献金を受けていると報じたことで、「密かな抜け穴」が白日の下に晒されてしまった。企業・団体献金で攻勢に出ようとしていた矢先にずっこけてしまったという感じだ。

 野田氏は、「自由な意思に基づいて政治団体をつくって自発的に寄付をするような、まさに政治活動の自由の根幹に関わることまでは否定できないだろうということがあって、またそういう政治団体もたくさんありますので、そのことを意識しての“政治団体を除く”なんです」と釈明したが、「抜け穴だ!」という批判に応えるのはとても無理という状況だ。

 個人が自由な意思で政治団体をつくるのはもちろん自由だ。また、個人が自由な意思で政治献金をするのも自由である。しかし、「政治団体を通して」献金する自由というのは、必ずしも絶対というものではない。それを認めると、企業系団体、労組系団体というようなものとの見分けがつきにくく、結果的に贈収賄的性格を持つにもかかわらず、それが見えない不透明な献金の抜け穴になってしまう。そのような政治を歪める恐れを生み、政治への信頼を失わせるという弊害があるのであれば、そのような献金方法は禁止しても良いはずだ。

 これを禁止しても、個人は、自由意思で個人として政治献金をするのに何ら支障はないから、個人の政治活動の自由を阻害するということにはならない。

 国民は、自民党の贈収賄政治を終わらせたいと願っている。一方で、野党による労組を通じた大企業優遇政治という問題には気づいていない人が多かったと思われる。しかし、今回これを知ることになった以上、この問題にも終止符を打ちたいと考えるだろう。

「時間がないから、とりあえずこれで行きます」という野田代表のやり方を認めるべきではない。

 12月21日で国会を閉会にする必要はないはずだ。会期を延長して、年末年始も挟んでじっくり議論し、抜け穴を完全に封じた「完全な企業・団体献金禁止」を実現すべきだ。

 そのために、国民は、厳しく与野党を監視していかなければならない。


まったくその通り!
「金」に向かって政治が行われている現状、今こそ変革が必要だ。