里の家ファーム

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農家育成・確保支援を

2025年03月23日 | 自然・農業・環境問題

参院委 紙氏「国が総合的に」

「しんぶん赤旗」2025年3月23日

 農林水産省は、2040年の基幹的農業従事者を30万人程度と想定しています。日本共産党の紙智子議員は13日の参院農水委員会で、農家の育成・確保を国家プロジェクトに位置づけ総合的に支援するよう求めました。

 紙氏は、1年間に8万人が離農する一方、新規就農者は3万人にとどまっており、生産者が30万人に落ち込めば、生産者1人で約350人分の食料を生産することになり、国産での食料供給が困難となり、食料自給率が低下すると指摘。江藤拓農水相は「恐れは持っておかなければならない。生産性を上げて食料自給率を維持するよう頑張りたい」と表明しました。

 紙氏は、農水省が新規就農者を増やす目標を持たず、新規就農者が増えない要因の分析も不十分だと指摘。福島県はワンストップサービスで新規の就農と定着を支援し、福井県若狭町は地域と協力して農業法人「かみなか農楽舎」を設立し、新規就農者が町内の農地の15%程度を担っていると紹介し、経験を把握して共有するよう求めました。江藤農水相は「(経験を)どう発信するか考えたい」と答えました。

 紙氏は、総務省の「地域おこし協力隊」の隊員目標は1万人で、年間350万円の活動経費を支援しているのに、農水省には目標もなければ、経営開始資金の支援は制度発足以来150万円にとどまっていると指摘。有機農業の希望者を支援している涌井義郎氏が「新農家100万戸育成計画」(初年度予算5200億円)を提案していると紹介すると、江藤農水相は「検討材料の一つとして有効だ」と応じました。


2015年の175万7千人、2020年は136万3千人と5年で22%も減少しています。
2005年の224万1千人と比べると10年で39%減少しています。
「生産性を上げて対応」できる水準ではありません。
それが「令和のコメ騒動」として現れました。
これからさらに30万人にまで激減させるとどのような結果になるか、想像がつくというものです。
米騒動ではなく、食糧騒動になること必至です。


積雪10㎝減って60㎝。

 


特報 シリーズ介護保険25年 介護事業者の倒産・休廃業 過去最多

2025年03月22日 | 社会・経済

東京商工リサーチ情報本部情報部課長 後藤賢治さん

「しんぶん赤旗」2025年3月22日

サービス“空白”で社会に損失 真面目な事業者ほど赤字に

 2024年は介護保険制度が始まって以来、もっとも多くの介護事業者が消滅した1年間でした。倒産・休廃業が過去最多を大幅に更新したのです。実態を継続的に調査している民間調査会社・東京商工リサーチ情報本部情報部の後藤賢治課長に、事業者が直面する危機について聞きました。(本田祐典)

 ―倒産や休廃業の動向を教えてください。

 24年の介護事業者倒産は172社と過去最多でした。前年比で約4割増という、予想を上回る急増ぶりです。これまで過去最多だった22年の143件と比べても大きく増加しています。

 24年の休廃業・解散も612社と過去最多で、前年比約2割増でした。たった1年間で、倒産と休廃業・解散の合計784社が市場から消えました。

 ―倒産や休廃業に追い込まれた事業者の特徴を教えてください。

 倒産件数を大きく押し上げたのは、小規模・零細事業者です。従業員10人未満の事業者が倒産の8割超を占め、資本金1千万円未満も8割超となっています。

 休廃業・解散もやはり小規模な事業者が多い。先行きの見通しが立たず、今後も赤字が拡大する懸念から、倒産する前に事業をやめることを選ぶ事業者が増えています。

 サービス別にみると、訪問介護をおもに行ってきた事業者の苦境がきわだっています。24年の倒産172社のうち半数近い81社が訪問介護でした。休廃業では612社のうち7割超の448社を占めています。

 訪問介護の次に多いのは、デイサービスなど通所・短期入所です。倒産56社、休廃業・解散70社でした。

 ―訪問介護が特に厳しくなっている要因は?

 訪問介護はコロナ禍の前から、そうとう効率よくサービス提供しないと赤字を避けられなくなっていました。賃金を増やせず慢性的なヘルパー不足で、高齢化も深刻です。ガソリン代高騰、物価高などでコストも増えてきました。

 コロナ禍では、感染防止で訪問が抑制され、さらに経営が悪化しました。実質無利子・無担保の「ゼロゼロ融資」などの資金繰り支援で一時的に倒産を抑制してきたものの、借入金が増加しています。

 これらに加えて、24年4月に訪問介護の基本報酬が2~3%のマイナス改定(報酬引き下げ)となり、倒産・休廃業を増やす要因となっています。

 ―今年は経営環境の改善を見込めますか。

 中小事業者を中心に倒産・休廃業が高水準で続くとみています。物価高などのコスト増がボディーブローのように響き、事業者が赤字を積み上げていくでしょう。コロナ関連の資金繰り支援も今年夏ごろから順次、返済が始まります。

 報酬を引き下げられた訪問介護は、次の改定(27年4月)前に報酬を見直すなど緊急の経営支援策を講じる必要があります。また、行政も支援するなどして、事業者間でヘルパーを相互に応援・派遣できる体制を整えることや、介護用品・資材の共同購入といったコスト削減の仕組みづくりも有効だと思います。

 ―倒産・休廃業の増加による影響は?

 もっとも懸念するのは、介護サービス“空白地域”の拡大です。高齢者が地域での生活を維持できなくなり、都市部への転居や施設入居を余儀なくされます。地域社会の衰退、介護離職の増加など結果的に社会全体の損失につながります。

 介護する家族の多くは40代、50代の中堅社員で、介護離職は企業にとっても大損失です。介護休業制度も十分活用されておらず、離職を防ぐ対策が急務です。

 ―訪問介護のなかでも掃除や洗濯、調理などの「生活援助」は特に報酬が低く、業界大手などは提供を避けています。

 生活援助をおもに引き受けてきたのは、地域貢献や利用者からの評判を重視する中小事業者です。中小事業者が地域から消えると、生活援助を受けられない状況が起こりえます。

 これまで生活援助を提供していた事業者からも、経営を守るためにもう提供できないという話を聞きます。しかし、生活援助は自立支援や重度化予防という重要な役割があります。

 ある事業者は「生活援助をやめてしばらくしたら、利用者の状態が悪化し、より報酬が高い身体介護の依頼が来た。そのおかげで訪問を再開できたが、本来は悪化を防げたはずだ」と話しました。

 真面目な事業者ほど損をする制度になっていないでしょうか。利用者にとって本当に必要なサービスを提供すると採算が合わない。かといって、効率的なサービスに特化するのも理念に反するという悲しい思いを聞いています。

 ―倒産が増加する一方で、介護保険給付の対象とならない「自費サービス」の市場が拡大しています。

 介護保険でカバーできない、より質の高い、きめ細やかなサービスを求める高齢者層のニーズがあります。自費サービスは今後ますます拡大するでしょう。

 一方で、いまの介護サービスを保険給付から外して自費サービスにすれば、経済的格差が介護の格差となる可能性も懸念されます。

 ある経営者は「高齢者が増えていくのに介護事業者が減っている。今後5年、10年で訪問介護は自費の高級サービスになるだろう。お金持ちしか介護を受けられない時代が来るかもしれない」と語っています。

 このままでは、現実味を帯びてくる言葉です。ここまでは介護保険で行うという基本軸のサービスについては、社会全体で提供体制を守る必要があります。

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介護保険で国家的詐欺

シンポ開催 制度改悪を止めよう

「しんぶん赤旗」2025年3月17日

 介護保険創設25年を前に「このままで介護保険制度は持続可能なのか? 介護保険制度のいま・これから」と題したシンポジウム(主催・守ろう!介護保険制度・市民の会)が16日、東京都北区で開かれ、介護家族、事業者、ホームヘルパー、社会学者らが討論しました。

 東京大学名誉教授の上野千鶴子さんは、介護保険は「ケアの社会化」の第一歩と指摘。ところが政府は▼給付を要介護3以上に限定、軽度者の訪問介護などを自治体に丸投げ▼利用料の原則2割負担▼ケアプラン有料化―を狙っており、実施されれば「老後の沙汰も金次第で、家族もお金もなければ在宅という名の『放置』」になると警鐘を鳴らしました。

 「ケアを社会の下支えでなく社会の柱に」と訴えたのはホームヘルパーの藤原るかさん。ヘルパーの7割を占める非正規「登録ヘルパー」は、月収が月により数万円減少することもある劣悪な働き方を強いられていると語りました。

 認知症の人と家族の会・前代表理事の鈴木森夫さんは、介護保険成立時には介護の社会化と期待したが、特養ホームへの入居が要介護3以上に制限されるなど給付抑制と負担増が進んだと指摘。介護家族はますます不安な状況に陥っていると告発しました。

 全日本民医連事務局次長の林泰則さんは、25年間の経過を振り返り「『制度の持続可能性』の名で改悪が進められ負担増と給付削減、介護報酬は低く据え置かれ、保険料は上昇している」と述べ、介護保険の「国家的詐欺」といえる状況を批判しました。そのうえで上野さんが指摘した「3大改悪」阻止へ、参院選挙の争点にしていこうと語りました。

 コーディネーターはNPO法人暮らしネット・えん代表理事の小島美里さんが務めました。


高い介護保険料、年金から天引きされています。
年金が数千円上がるかと期待したときも介護保険料のそれを上回る金額に「絶望感」を抱いた時もありました。
そんな、苦労して納めても、いざ使おうとしても「施設」がなくなっている、あるいはなかなか使えないといった事態が起きています。
これ、まさに「国家的先詐欺」でしょう。


国立大を企業が支配 運営方針会議に財界人ずらり 利益相反の温床にも

2025年03月21日 | 教育・学校

「しんぶん赤旗」2025年3月21日

 多くの大学関係者の反対を押し切って2023年12月に強行された国立大学法人法改悪(24年10月施行)によって東大など大規模国立大5法人に設置が義務づけられた運営方針会議の委員に、大企業経営者や財界人が多数就任していることが分かりました。大企業経営者が大学内で強力な権限を持つことで、政府・財界の大学支配が進むうえ、同会議が利益相反(企業出身委員が大学の利益より自社の利益を優先すること)の温床になるとの懸念の声も出ています。(佐久間亮)

 運営方針会議は予算や決算、中期目標・中期計画といった大学の重要事項を議決し、執行を監督します。いわば大学の最高意思決定機関です。同会議の設置は、大学ファンドから支援を受ける国際卓越研究大学の認定要件にもなっています。

 卓越大1号となった東北大では、トヨタ自動車など大企業8社が出資する半導体企業ラピダスの東哲郎会長が運営方針会議の議長に就任。昨年11月に開かれた同会議の議事要録(発言者名なし)には「半導体やエネルギー、防災など社会の大きな課題の解決に向けて積極的に貢献いただきたい」という発言が記載されています。本紙は同大に発言者を尋ねましたが、現在まで回答はありません。

 名古屋大と岐阜大で構成する東海国立大学機構では、愛知県豊田市に本社を置くトヨタ自動車の内山田竹志元会長(現同社エグゼクティブフェロー、元経団連副会長)が運営方針会議議長に就いたほか、トヨタ学園監事やトヨタグループの自動車部品メーカー・アイシンの取締役を務める浜田道代氏が委員に就任。同機構は本紙の取材に「利害関係を有する場合やその恐れがある場合には、当該委員には議事に加わっていただかない」としています。

 しかし、名古屋大はトヨタ自動車はじめトヨタグループ企業と五つの「産学共同研究部門」を立ち上げています。運営方針会議が議決する予算や中期計画は共同研究を実施する学部や研究者の予算や処遇にも影響を与えるため、同会議の審議全般が利害関係に当たる可能性があります。

 京大の運営方針会議議長は、日本最大の軍事企業・三菱重工業取締役の平野信行氏(元経団連副会長)です。

 5法人の運営方針会議構成員52人のうち企業出身者は19人。占有率は2~4割です。そのなかには経団連副会長、元同副会長が各2人、元経済同友会副代表幹事、中部経済連合会副会長、関西経済連合会副会長、元関西経済同友会常任幹事各1人が含まれます。

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大軍拡へ大学総動員体制構築

学術会議解体と軌を一

 東大など規模の大きい特定国立大5法人に運営方針会議の設置を義務付けた2023年の改悪国立大学法人法(国大法)の審議の際、盛山正仁文部科学相(当時)は、同会議の委員の人選は大学の自主性に任せると繰り返しました。

 改悪国大法が委員の選定を文科相の承認事項としたことが、菅義偉首相による日本学術会議の会員任命拒否事件を想起させ批判が集中したことで、「大学の自主性、自律性に鑑み、国立大学法人からの申し出に明白な形式的違反性や違法性がある場合や、明らかに不適切と客観的に認められる場合を除き、(大学側の人選を)拒否することはできない」と言わざるを得なくなったのです。

 盛山氏は一方で運営方針委員について「具体的には民間企業の経営の実務経験を有している方などを想定している」とも答弁。自主的選定を語ったそばから、企業経営者を起用すべきだというメッセージを大学関係者に発信しました。

 トヨタ自動車やソフトバンクといった日本のトップ企業の経営者、経団連副会長といった財界人が並ぶ5法人の運営方針委員の顔ぶれは、政府の意向が人選に強く反映したことをうかがわせます。実際、ある大学関係者は「委員の構成が大学の研究者に偏らないことなど、文科省から細かく指示が出ているようだ」と明かします。

学外委員が過半数

 大学自治は、憲法23条の学問の自由の保障と一体不可分とされます。その核心は、大学の内部問題は大学内で自主的に決定し、政府や財界など外部勢力の干渉を許さないことにあります。

 しかし5法人のうち京大と大阪大は国大法改悪後に策定した内規で、学長を含めた運営方針会議の構成員の過半数を大学の構成員以外(学外委員)とすると規定。東北大は、運営方針委員の過半数を学外委員とするとしたうえで、議決には学外委員1人以上の賛成が必要とし、学外委員に事実上の拒否権を与えています。東海国立大学機構も学外委員に拒否権を与えています。その結果、東大を除く4法人で学長を含む運営方針会議の構成員の過半数を学外委員が占める事態になっています。

 東北大の宮田康弘理事(元第一生命保険常務執行役員)、東大の菅野暁理事(みずほフィナンシャルグループ系列の資産運用会社・元アセットマネジメントOne社長)、京大の小幡泰弘理事(文科省からの出向)が学内委員となっていることにも疑問の声が上がります。3氏を事実上の学外委員として数えると、5法人すべてで学外委員が運営方針会議の構成員の過半数を占めます。

 また、東大以外の4法人の学内委員は総長と理事のみ。執行部以外の教員は入っていません。大学の重要な構成員である学生や職員を起用した法人はゼロです

 東大は運営方針委員に卒業生枠を設けたものの、同枠で選ばれたのは経団連副会長の野田由美子ヴェオリア・ジャパン会長です。同社はフランスに本社を置く水道事業会社の日本法人。野田氏は公共サービスを民間委託する民間資金活用事業(PFI方式)を日本に普及した第一人者と呼ばれ、21年には同社を中心とした事業体が宮城県の水道民営化の受託先となっています。

大学ファンド構想

 運営方針会議の構成が企業経営者に偏る大本には、政府の大学ファンド構想があります。運営方針会議はもともと同構想のなかで政府・財界による大学支配の要として考えだされたものです。運営方針会議の設置と学外委員への強力な権限付与は、大学ファンドから支援を受ける国際卓越研究大学の認定要件になっています。

 大学ファンドは、公的資金10兆円を金融市場で運用し、その収益で大学を支援する仕組み。政府は、卓越大に選ばれれば最長25年にわたって巨額の支援が受けられるといいます。卓越大1号となった東北大の25年度の助成額は154億円を想定しています。

 巨額の助成金と引き替えに、卓越大は毎年3%以上の事業成長や注目度が高い論文(トップ1%論文)の増産、1兆円超の独自ファンド造成など非現実的にもみえる目標を政府に誓います。その目標達成に向けた工程表「体制強化計画」を議決し、執行状況を監督する役割を担うのが運営方針会議です。

 改悪国大法が定める運営方針会議の構成は学長と運営方針委員3人以上です。学外委員の比率などは書かれていません。しかし自公政権は、国大法ではなく、卓越大の認定要件に“学内委員のみの賛成で運営方針会議の議決が成立しない仕組みの構築”を挿入。構成員の過半数を学外委員とすることや学外委員に拒否権を与えることを求めました。

 大学予算を削減して大学を「もう限界です」(国立大学協会声明、24年6月)という状況に追い込み、大学ファンドの巨額の助成金に飛びつかざるを得ない状況をつくることで、大学を企業に奉仕する存在へと変容させようとしています。

 その未来像が東北大の方針に表れています。体制強化計画の政府認可に向け同大が24年6月に発表した文書は、企業との「共創事業拡大のための基本戦略」として「社会課題の解決、産業競争力の強化を図るために、大学自身が民間の研究・開発・事業創出の一翼を担う」と明記。「そのために、国際的な産業の動向、市場成長の状況、本学の強みなどの総合的分析」を通して「重点戦略分野を選定」したとし、重点戦略分野の第一に半導体を挙げます。同大の運営方針会議の議長は半導体企業ラピダスの東哲郎会長。体制強化計画自体が利益相反の種を内包しています。

 政府・財界による大学支配のたくらみは、政府が今国会で成立を狙う日本学術会議解体法案と同様、大軍拡路線のもとでの学術総動員体制構築の一環でもあります。(佐久間亮)

 

教育・基礎研究が後退

東北大名誉教授 井原聰さん

 東北大では昨年、物質を原子レベルで観察することができるナノテラスという施設が稼働を始めました。この技術は半導体開発とも深く関係します。運営方針委員に半導体企業の経営者が入る一方、利益相反のチェック体制は見えてこない。非常に問題です。

 同時に、運営方針委員になった企業経営者たちは、自社に利益を誘導するというよりも、もっと大きな枠組みで大学を企業支配に組み込んでいく役目を負っています。大企業が自社の中央研究所を次々解体してきたもとで、大学を企業のための研究所へ変えていく改革を進めるでしょう

 運営方針会議という大学自治に真っ向から対立する組織のもとで、自治の根幹にある教育や基礎研究はますますないがしろにされていくと思います。


「戦争できる国造り」まっしぐら、て感じです。
今のうちに止めましょう。
自公に投票しないことです。
維新・国民も同じです。
立憲には、しっかりしてほしいものです。


高額療養費と戦闘機

2025年03月20日 | 戦争と平和

「しんぶん赤旗」2025年3月13日

 「高額療養費」の負担増について、がん患者の団体はじめ国民の怒りと運動が広がり、石破茂首相は「凍結」に追い込まれました。9日のTBS系「サンデーモーニング」は、「少数与党 綱渡りの国会運営」として、この問題も取り上げました。

 このなかで、「政府は社会保障費の予算を抑えるために、患者の負担額を引き上げる方針でしたが、野党側は約100億円の予算組み替えで、対応できると訴えます」として、6日の参院予算委員会での日本共産党・小池晃書記局長の質問を紹介しました。

 「これは100億円ちょっとで負担引き上げは止められる。ちなみに(戦闘機)F35は1機200億円」「予算のやりくりで十分可能なんです。そのくらいのことがなぜ、できないのか」

 この問題で、医療関係者として、コメントを求められたのは臨床心理士の、みたらし加奈さん。「物価上昇が続いているのに、賃金が上がらなくて患者さんの負担が増えているという現状があるなかで、今回の議論が起こった」と指摘したうえで「本来であれば、患者負担をもっと減らしていいという議論があってもいいはず。財源のこともあると思うが、医療や福祉以外に抑えられる予算はないのか、防衛費のことだったり、大型の公共事業のことだったりとか、そういうところで抑えられることってあるよねという話がもっと出てきていいと思います」と強調。「命を守る政治というところも、しっかり腰をすえて国民の議論も含めてやってほしいなと思います」

 自民、公明の与党はもとより、維新、国民民主党、立憲民主党のいずれも、過去最大の8・7兆円にのぼる軍事費に切り込もうとしません。与党は高額療養費の負担引き上げの「凍結」を予算案修正ではなく予備費で対応しようとしていますが、予備費について規定した憲法87条と財政法24条に違反するものです。

 1機200億円の戦闘機はじめ異常な軍事費を削って、医療や福祉、東日本大震災の被災地や能登の復興、コメ対策などに回せ―。こうした声を大きくあげるときです。 (藤沢忠明)


「農業」を守らず、何が「国防」か!
農業人口はどんどん減っているし「高齢化」も進んでいる。
このような状況でお米の値段が上がるのは当たり前ではないか。
「国防」とは「武器」をそろえることではないだろう。


三上 智恵 戦争を止めるために立ち上がる人たち~沖西ネット始動~

2025年03月19日 | 戦争と平和

マガジン9 2025年3月19日

   https://maga9.jp/250319-2/

 「私たち国民は戦争を止めることができます。なぜなら、私たちが、主権者なんですよ。私たちは、国の決めたことに従わされる存在ではありません。私たちが、日本が進む方向を決めることができるんです。それが主権者なんです」

 具志堅隆松さんが壇上からこう呼びかけると、結成集会に詰めかけた人たちから大きな拍手が起こった。共同代表に就任した具志堅さんは、こう続けた。

 「私たちが、自分たちが主権者であるっていうことにまず気づくことが大事だと思います。そのことをみんなで共有しましょう!」

 戦争を止められるのは自分たち一人ひとりなんだ、という、あたりまえのこと。だけど、なぜか当事者意識を持っている人が絶望的に少ないこの問題について、解決方法は私たちが主権者だと気づくことです、という明快な答えを具志堅さんが堂々と訴えた瞬間、私はとても誇らしい気持ちだった。どうだ、沖縄の先輩方にはかっこいい人がたくさんいるでしょう? と。戦争や、憲法が保障する人権の問題に正面から向き合ってきた沖縄の苦難の道のりが、こういう人に届く言葉を持つ存在をつくるのだと、つくづく思う。

 2月22日の鹿児島は、寒波の名残で大層冷えていた。が、私が参加した集会には、主に西日本からやってきた人が300人、リモートでおよそ200人が参加し、とても熱のこもった「結成集会」になった。なにが結成されたのか? 次の戦争を本気で止めるために動き始めた全国の個人や団体で作るネットワーク「戦争止めよう!沖縄・西日本ネットワーク」、略して沖西ネットだ。

 今、急ピッチで軍事要塞化が進められているのは、なにも南西諸島だけではない。自衛隊基地のある場所は、どこも何らかの変化が起きている。特に西日本では、あからさまに弾薬庫が新設・増設されたり、空港が拡張されたり、米軍が自衛隊施設をどんどん使って訓練するなど、近年にわかに住民が不安を訴え始めたところも多い。今回の動画の前半は、その各地域で問題視されている軍事化の動きをまとめた報告があるので是非それを見てもらいたい。

 あるいは、小さな変化だと見過されているケースもあるだろう。これまで見たこともない軍事車両の列が高速道路を走るようになった、とか。週に数便の定期便しかないような地方空港にいきなり米軍の大型ヘリが舞い降りるとか。地域の災害訓練に迷彩服の自衛隊員が当たり前のように参加しているとか。一つひとつは、あれ? 何だろう? これあたりまえだっけ? と思う程度で終わるかもしれない。だが、有事法制・戦争法・安保関連三文書と、すっかり戦争ができる国に向かってレールを敷き、着々と進んできてしまったこの国の20年を見渡していれば、さらに、かなりむき出しで進んでいる沖縄の戦争準備の様子を把握していれば、この一見小さく見える地域の変化も「命取り」になりかねない、見過ごせない問題だと理解できるだろう。

 例えば、なぜ福岡の自衛隊築城基地の滑走路が、近々延長されるのか? それ自体にはたいして興味を持てないかもしれない。でも、築城基地には米軍の宿舎があっという間に建設されてしまった。では強靭化された滑走路を使うのは、どの戦闘機なのか。少なくとも自衛隊の戦闘機だけではないのだろう。また、戦闘機を分散しておくためのスペースが急遽作られることになったそうだ。一カ所に駐機させておけばいっぺんにやられるからだというが、築城基地は真っ先にハチの巣にされる想定ということなのか。

 こうして考えていくと、いま日本はどの国と、どこを戦場に、どんな戦争を想定しているのか、全体像が知りたくなってくるだろう。ニュースでは見ないが、ほかの自衛隊基地はどうなっているのか。各地で同じような不安を抱えて動き出した人々とつながって情報をやり取りすると、ああ、やはりそうか、と様々な疑問が氷解する。

 沖西ネットの存在意義はまさにそこにある。さらに、弾薬庫と住宅地が近ければ反対する正当性があるのだとか、根拠にするべき法律は何かなど、抵抗の仕方や広げ方も学び合える。ありがたくないことだが、沖縄は軍事要塞化の先進地域になってしまっているので、今どういう作戦が日米間で進んでいるのか、生活圏が戦場になる可能性がどの程度あるのか、どうやって反対の声を上げていくのかなど、蓄積してきた情報や知恵も持っている。そもそも、今回結成された沖西ネットは私たち「ノーモア沖縄戦・命どぅ宝の会」がネットワークづくりを呼びかけたことがきっかけだった。

 最初は、沖縄戦を止めようというノーモアの活動に賛同するメルマガ会員だったような全国のつながりの中から、大分の敷戸弾薬庫が、呉の製鉄所跡地が、京都の祝園弾薬庫が、不穏な軍事化の波に襲われ、抵抗しなければならない局面を迎えていった。つまり沖縄以外の会員たちも次々に当事者になってしまったのだ。それぞれの地域が個別に闘っていては、一つひとつが点のままでは弱い。線を作り、さらに面にして、お互いに力を貸しあって一緒にやっていきましょう、となったのは自然な流れだった。

 沖西ネットの合言葉は「知り・つながり・止める」

 まずは教え合うこと。お互いの状況を知らせ合って、そりゃ大変なことだと情報を共有したら、次はつながる。連帯してお互いに知恵も力も出し合う。そして戦争を止める。この、知って、つながって、止めるという愚直なまでに基本的な3ステップに勝るものは、近道などはそうそうないのだと、30年沖縄の市民運動を見て学んで、改めて思う。沖西ネットは、2年弱の準備期間の中で頻繫な話し合いと集会を積み上げてきた。もうみんな、各地の代表たちはとうに顔見知りになっている。アナログでのつながりも大事にしながらこの結成の日を迎えた。これは、何かの声明を出すために急遽体制を整えたような団体とは違う。戦争を止める力を結集する基盤となるネットワークを構築するのだ。その感慨と意気込みは、インタビューに答える運営委員の皆さんの表情からも伝わるのではないかと思う。

 参加者の女性がインタビューに答えているように、今この国には、真剣に戦争を止めようと意思表示できる場が、ない。戦争反対で活発に動いている団体なり、頼るべき野党の姿が見えてこないということに対して焦りを感じている人がたくさんいると思う。だから彼女は遠い下関から鹿児島の集会に駆けつけてくれたのだ。また、総がかり行動の高田健さんも触れていた通り、ここまで膨れ上がった軍拡予算に対して国会をしっちゃかめっちゃかにしてでも反対する政党があってもいいのに、ない。まさか、中国を敵に回してアメリカと一緒に戦うことを、国民はみな「やむなし」と覚悟したというのか。教育や福祉をさらに劣化させてまで軍事費増大を是認するのか。その先に何が待っているのか、ちゃんと見つめている人は何割いるのだろうか。

 福岡の築城基地には、戦闘機を隠すドーム状の構造物を作るという。想起されるのは、沖縄戦で住民たちが動員されていくつも造った「掩体壕(えんたいごう)」だ。戦闘機を敵の攻撃から守るという触れ込みだったが、あれだけの艦砲射撃を受ける中でなんの役にも立たなかった。というよりは、本来、我々はその時にモッコを担ぐのではなく、声を上げるべきだったんだろう。なぜ掩体壕を作るの? と。ここが戦場になる想定そのものがおかしくない? と。もしも沖縄戦の前に、掩体壕を作っている段階で、「こんなことやめましょう。ここで戦争するというなら、日本軍は出て行ってくれ」と言えていたら、みんなでそう言えていたら、あの地獄はなかったかもしれないのだ。

 

 私たちはまだ誰も、私たちの暮らしの場を戦争に使ってよいと認めていないはずだ。具志堅さんが言うように、私たちは主権者だから、今ならまだ止められるはずだ。このままじゃまずいよ、と隣近所に教えあって、自衛隊基地の強靭化を憂慮して声を上げる地域とどんどんつながって、必ず次の戦争を止める。私たちの住む九州沖縄から、「令和の戦争」を止める流れができたんだよ、という歴史を残そう。そういう理想を高く高く掲げれば、それを邪魔するものは案外、鉄壁のように強くはなく、戦争を進める力というのは実は、雲散霧消するような、正体のないものだと気づくことになるのかもしれない。

 今回、新たな団体名が西日本となっているのは、もちろん九州から沖縄が戦場に想定されていて、軍拡が目に見えて進む地域が西日本に集中し、そこから活発な動きが出てきたからなのだが、実は愛知や東京・関東も抜き差しならぬ状況を迎えている。沖西ネットは、この西日本で築き上げたつながりを土台としながらも、夏までには東京で、戦争を止めるネットワークを全国に広げるための集会を予定している。

 最後に手前味噌ですが、このネットワークの始動は日本の再軍備化を止めるための、反転攻勢に転じる大事な一里塚であり、名もない人々がつながりあって下から積み上げてきた歴史的な試みであると思っている。高らかな「結成宣言」の要旨をぜひ読んでください。

 

「戦争止めよう!沖縄・西日本ネットワーク」結成宣言(抜粋)

 日本国憲法のもと、私たちの「戦後」は80 年を迎える。しかしこの国は、アジアの国々・人々への侵略・植民地支配の責任に向き合うことなく、また、自国の戦争被害者に対する責任も放棄したまま、新たな戦争体制づくりを急スピードで行っている。

 沖縄・奄美の島々では、新たな自衛隊基地が造られ、その軍事拠点化は九州を中心 に西日本から全国に拡大している。また、米 日・NATO諸国などによって、中国を「仮想敵」とする合同軍事演習が日本各地・周辺 海空域や南シナ海などで繰り返され、「中国包囲網」の構築が行われている。私たちは戦争の加害者にも被害者にもなりたくない。

 「知り、つながり、止める」

 平和を創り出すために、私たちは新たな闘いに歩み出す。連帯し、市民の共同の力 で、「国家による戦争」を止める。ここに「戦争止めよう!沖縄・西日本ネットワーク」の結成を宣言する。


ビデオは省略しましたがマガジン9のウラーから見ることができます。

さすがに真冬日は脱出したようですが最低気温はまだマイナスです。
これが+になり、最高気温が10℃を超えるとより春が近づくのですが。
今日は上下のヤッケを着て、帽子も、マスクもしっかりとつけて融雪剤(木灰)まき。全身真っ白(?)です。
まだ雪予報の日があります。
何回か撒くことになるでしょう。
積雪は70㎝。

9日も入院していると筋力が落ちています。


古賀茂明 正義なき「ウクライナ停戦」で米国が得る“3重の利益” 追従する日本は「戦争で儲ける国」になりたいのか

2025年03月18日 | 戦争と平和

AERAdot 2025/03/18

 今、世界中を大津波が襲っている。国際安全保障の大前提が崩壊しているのだ。

 2022年2月、独裁国家ロシアが小国ウクライナに対して一方的に侵略を開始した。米欧諸国などが正義のためにウクライナ支援を始めた。この戦いは、明白な「善と悪の戦い」だった。少なくとも、西側諸国においては。日本でも同じだ(私自身は、このような単純な見方に賛成ではないが)。

 しかし、トランプ米大統領の登場で、この「常識」は簡単に覆された。同大統領は、ウクライナに対して、安全の保証なしのまま、とにかく停戦すること及びウクライナの鉱物資源の権益の半分を米国によこせと言うかの如き要求を行った。

 ウクライナのゼレンスキー大統領は、これまでの常識、「ロシアが悪でウクライナが善」に則り、公然と反旗を翻したが、米国に武器支援と情報共有を止められて、なすすべなく降参した。

 米国は、欧州を守る責任を放棄しようとしている。バンス米副大統領は、EUが民主主義の敵であるかのような演説を行い、英国を含めた欧州諸国は、米国を信頼することはできないと明確に悟った。

 その帰結は、米国からの軍事的自立である。欧州の安全は欧州が守るという、考えてみればある意味当たり前のことが、新たな常識となった。

 トランプ大統領の動きは急だったが、これに対する欧州の動きも迅速だ。EUのフォンデアライエン欧州委員長は、欧州の抜本的な防衛力強化のために約8000億ユーロ(約125兆円)の確保をめざす「再軍備計画」を発表した。

 なぜ、「再」軍備なのかというと、1991年のソビエト連邦崩壊による冷戦終結を受けて、もはや、東西対立による軍拡競争の時代は終わったという認識が広がり、NATO諸国など多くの国が、兵器の生産を縮小し、軍需工場を閉鎖した歴史があるからだ。これにより軍事予算を削減し、その分を他の福祉予算などに回すことが可能になった。これは「平和の配当」として歓迎された。

 ウクライナ戦争が始まると、この認識は急激に変化した。ロシアに対抗するために、ウクライナへの武器支援が急務となり、各国は、閉鎖した兵器工場の再開や軍事予算の拡大に舵を切った。ドイツのショルツ首相が2022年に「時代の転換点」と宣言して軍事費を大幅に拡大する路線に転換したのはその象徴だった。

「再軍備」を進める欧州市場の株価が上昇

 そして、その路線転換をさらに決定的にしたのが、「米国の裏切り」である。米国を信用することができなくなったことにより、欧州諸国は、もはや迷うことなく、新たな道に進まざるを得なくなったのだ。

 欧州経済は停滞が続き、この先の見通しも明るくないが、それにもかかわらず、各国は軍事予算を拡大する。そのために財源が必要になるが、ドイツが憲法に定められた債務ブレーキ条項をこれから改正してまで国債を増発する構えを見せるなど、なりふり構わぬ「再軍備」戦略を実行しつつある。

 ここまでの話を聞くと、何とも嫌な、暗い気持ちになる。将来不安が高まり、国民は財布の紐を締め、景気は悪化し、マーケットも停滞ないし下落に向かいそうだ。

 しかし、意外にも、欧州市場では株価が上がった。ほんの一例だが、日本経済新聞によれば、戦車や軍用車両や弾薬などのメーカー、独ラインメタルの株価はロシアのウクライナ侵略前の21年末から24年末までに7倍強となっていたが、25年に入ってさらに9割高となる場面があった。フランスのラファール戦闘機などを製造するダッソー・アビアシオンやスウェーデンのサーブなども大きく値を上げた。

 こうなる理由は簡単だ。

 ドイツが債務ブレーキを変更してまで、国債を出して軍事予算を大盤振る舞いする。フランスも同様だ。EUでは、各国の防空システムや弾薬、無人機(ドローン)の購入を支援するため、EUレベルの大規模基金の創設案も浮上している。さらに、欧州投資銀行(EIB)による融資、民間投資の促進などを通じて防衛産業を振興することになる。

 加盟国が防衛費を増やせば、財政赤字をGDP比3%以下とするEUの財政ルールを一時的に緩和して各国の財政赤字の拡大を容認する可能性も高い。

 そもそも、ウクライナ支援を目的とした武器弾薬の製造のために、各国では兵器工場が活況を呈していた。しかし、ウクライナ戦争が終われば、その特需はなくなる。したがって、大規模な投資には踏み切りにくい。

 今回のEUや加盟各国の方針転換は、ウクライナ支援という短期的な目的ではなく、米国からの軍事面での独立という構造転換である。米国の肩代わりを実現するためには長期間を要し、現在の倍以上の軍備を維持していくだけでも、兵器への需要は長期的に高止まりすることが確実だ。兵器産業は長期的な成長産業になることが確実になった。

 市場では、こうした臆測により、昨年から武器産業の株価が上昇していたが、今や、欧州中でそうした動きが顕著になったわけだ。

米国が手に入れる「3つの利益」

 さらに重要なのは、こうした軍事予算拡大が、数ある政策課題の中でも、最優先されることになっている点だ。EUの財政ルールの緩和については、軍事費拡大による債務増加のみは対象になるが、それ以外の社会保障費や教育費、インフラ投資などの増加には適用されない。太平洋戦争中の日本では、「欲しがりません勝つまでは」という標語があったが、まさにそれがEUの哲学になりつつあるということだ。

 「戦争を前提とする国づくり」は、庶民の考え方にも大きな影響を与える。

 先日目にしたフランスのニュースでは、地方の兵器工場城下町を紹介していた。冷戦終結後、大幅な需要減少で人員を大幅に削減し、細々と事業を継続していた工場が、今やウクライナ向け弾薬の製造で活況を呈している。その経営者がインタビューで、ウクライナ戦争が始まってから急に政府から注文が入り、慌てて古い設備を動かし、雇用も増やしたと笑顔で語る。従業員も、それまで失業していたのに、ここで職を得て人生が変わったと喜び、レストランの女性店主が、工場の雇用増加で客が増えたと語り、老婦人が、昔の賑やかさが戻ってきたと喜んでいた。

 要するに、「戦争のおかげで」武器工場が儲かり、経営者も労働者も関連する事業者も街の住人もみんな喜んでいるという図式だ。そこに罪悪感というものはない。

 今回の欧州再軍備計画により武器産業の長期的な発展が約束されることで、戦争を前提とした経済構造が出来上がっていく。口に出すかどうかは別として、潜在的には、戦争や戦争に備えなければならない状況を待ち望む人が出てくるだろう。

 戦争は、権力者が起こすものだ。市民は常にその犠牲になるというのが歴史の教訓である。それを知る市民が増えれば、いざ戦争という時に、市民がそれを止める役割を果たせるかもしれない。しかし、もし、多くの人々が、戦争で大きな利益を得る側に立っていたらどうだろう。戦争反対の声は小さくなり、市民が権力者の暴走を止めることができなくなる。最後の歯止め役がいなくなるのだ。

 ちなみに、このような変化は米国に2重の意味で利益を与える。

 一つは、これまでの世界の警察官としての役割を正式に終えることによる財政負担の軽減だ。その分を減税や国民へのサービス拡大に振り向けることができる。

 もう一つは、世界の武器需要の高まりによる米国武器産業への需要の拡大だ。世界が不安定化すれば、本来必要な水準を超えた超過需要も見込める。

 ウクライナ戦争に限って言えば、ウクライナの鉱物資源に対する利権確保というおまけがついてきた。3重の利益である。

 実は、フランスは米国に次いで2位、ドイツはロシア、中国に次いで5位の兵器輸出国だ(20~24年)。仏独両国もまた再軍備による利益を得る立場にいる。

日本人も「戦争特需」を喜ぶようになるのか

 ここまで、欧州の話をしてきたが、賢明な読者はすでにお気づきのとおり、日本も今同じ道を歩もうとしている。欧州のウクライナは明日の台湾、明日の日本だというような言説が流布している。ロシアの横暴を見て、北朝鮮のミサイル発射のニュースを聞き、中国が危ないという自民党や米国の政治家、米軍関係者の宣伝に日々晒されたことで、戦争を望まなくとも軍備を増強した方が良いと考える国民は増えている。

 トランプ大統領になり、日本を本当に守ってもらえるのかという疑問の声は自民党の中にもある。それを口実として、日本の防衛力の強化による対米依存からの脱却という声も強まっている。

 さらに、自動車への追加関税を避けるための有効なカードを持たない日本政府が、唯一差し出せるカードは、武器の爆買いとアジアにおける米軍の負担の肩代わりである。もちろん、いずれも防衛費拡大につながり、現在の政府目標、GDP比2%への倍増計画の先の3%が視野に入っている。米国防総省の政策担当次官に指名されているエルブリッジ・コルビー氏はそれを打ち出しているが、日本から先に差し出すことの方が有効だと日本政府は考えるであろう。

 日本では、日の丸ジェットの大失敗などで将来に不安があった三菱重工業の株が、信じられないことに暴騰している。防衛関連株は、軒並み他の銘柄を遥かに超える上昇を見せている。欧州と全く同じ現象だ。こうなると、武器製造やその下請け、防衛関連のシステムを納入するIT関連企業などを含め、かなり広い範囲で、軍拡で恩恵を受ける企業が増えていくだろう。

 日本の国民が、戦争による武器産業の活況を見て手放しで喜ぶとは思えない。批判する声も出るだろう。極めて健全なことだ。しかし、昨今の風潮を見れば、そうした声は、戦争に備えるために軍拡が必要だという大きな声にかき消されてしまう可能性の方が高い。欧州を手本とするように、日本人もまた、戦争特需を喜ぶようになるのは時間の問題だ。

 将来、「戦争だ!」と政府が叫んだ時、果たして、「やめろ!」という大きな声が国民の間から上がるのかどうか。

 戦争を始めるのは権力者で、犠牲になるのは市民だと前述した。市民の大事な使命は、戦争を始めようとする権力者に対して、それを止めることだ。戦争は始めたら、市民にとっては、負けが確定する。

 今、私たちが重大な岐路に立っていることに気づいている人がどれほどいるのか。

 空襲警報が鳴る前に、最大級の警鐘を鳴らさなければならない。


「平和憲法」を持つ日本。
別な道を模索してほしい。
世界の「平和」勢力の頂と成って欲しい。


雪が解けたら、どんな模様になるのやら…


富裕層への資産課税を 参院委で小池氏 経団連も提言

2025年03月17日 | 社会・経済

「しんぶん赤旗」2025年3月16日

 日本共産党の小池晃書記局長は13日、参院財政金融委員会で、昨年12月に経団連が政策提言で富裕層への課税強化を打ち出したことを示し、世界でも採用されている富裕層への資産課税を日本でも検討するよう求めました。

 小池氏は、経団連の提言「フューチャー・デザイン2040」を引いて、「日本の可処分所得の格差を示すジニ係数はイタリアや韓国よりも高い」と指摘し、「日本が国際的にみて格差が大きいという認識はあるか」と追及。加藤勝信財務相は「格差拡大への指摘は認識している」と答えました。

 小池氏は「税によるジニ係数の改善率はG7(主要7カ国)で最も低い。所得税の累進構造を弱めて消費税を10%に増税したことで所得再分配効果が弱まったことは事実だ。税と社会保障による改善率もG7平均を下回っている」と強調しました。

 小池氏は、経団連が経済的格差の広がりの事実認識に基づき、富裕税への課税強化を提案したと指摘。「『消費増税への理解を得るため』という位置づけには合意しないが、重要な提案だ。わが党も富裕層への資産課税として富裕税を提案している」と述べ、「今後の方向性として検討すべきだ」と要求。加藤財務相は「格差是正の重要性は否定しないが、再分配機能をどの程度発揮させるか検討が必要」と述べるにとどまりました。

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NY市民「富裕層に課税せよ」

支出削減に抗議

「しんぶん赤旗」2025年3月17日

 米ニューヨークで15日、トランプ政権が政府機関の職員の解雇や支出の削減を強権的に進めていることに抗議して、市民がデモ行進しました。写真(ロイター)は、「富裕層に課税せよ」「われわれの健康を守れ」と書いたプラカードを掲げて、金融機関が集まるウォール街を歩く人たちです。(写真は省略)

 実業家で大富豪のイーロン・マスク氏が率いる政府効率化省が進めている支出削減を巡っては、高齢者や障害者を対象とした公的扶助も対象にされる可能性があるとして、市民に不安が広がっています。

 ロイター通信によると、デモ行進に参加した人たちは「政府効率化省に殺される」「(富裕層や大企業の)利益よりも人間を優先しろ」などと訴えました。

 ニューヨーク市内では同日、マスク氏が最高経営責任者(CEO)を務める電気自動車大手テスラの店舗前でも市民が抗議しました。

 参加者は、テスラが莫大(ばくだい)な利益を上げているにもかかわらず、税金をまともに払っていないと批判。財政赤字のつけを国民にしわ寄せするのではなく、マスク氏のような富裕層や利益を上げている大企業に公平な負担を求めるよう訴えました。


「再分配機能」ー低所得者がせっせと積み上げた「税金」で自分たちへする「再分配」(支援給付金)では意味がない。
 NYデモ、日本も同じです。
医療・福祉・教育を削るな!


STOP学術会議法人化 署名提出会見・院内集会 自分事として廃案へ

2025年03月16日 | 戦争と平和

「しんぶん赤旗」2025年3月15日

 石破茂政権が学術会議法人化法案が閣議決定されたもとで、13日に国会内で開催された「STOP 日本学術会議の『法人化』署名提出記者会見・院内集会」。会見での発言とメッセージの要旨と集会での各団体の発言を紹介します。

軍事研究 従事しない

東京大学名誉教授 広渡清吾さん

 学術会議について市民運動で署名を集めることは歴史的にかつてなく、大きな意味があると思います。同時に、歴代会長が3回連名で声明を出しました。これも学会の歴史上かつてないことです。学術会議は、創設の志として科学者は二度と軍事研究に従事しないと宣言し、今日にまで至っています。

 今回集めた2万を超える署名は、日本学術会議がこれまで果たしてきた役割、創設の志がとても大切であることを、市民と科学者が日本社会の中で明確に意思表示するものです。通常国会は6月22日まで。後に参院選が控えています。審議未了で廃案に追い込みたいと思います。

国立大法人化と同じ

東京大学教授 本田由紀さん

 政府が閣議決定した法案では、現行法の前文にある「わが国の平和的復興、人類社会の福祉に貢献」という文言は削除され、それらは設立の目的ではなくなりました。

 2004年の国立大学法人化以降、運営費交付金が削られ、国立大学法人法「改正」による、大学運営の主要方針の決定権限を持つ「運営方針会議(合議体)」の設置義務など外部からの介入が可能にされてきました。政府の方針に従わない限り、どんどん交付金が絞られるような仕組みがつくられています。それは結果的に国立大学の学術を衰退させる方向に向かっています。それと同じことを、いま日本学術会議にも行おうとしているのです。

民主主義を壊すもの

京都大学教授 駒込武さん

 今回の法案は、学術会議だけではなく大学全体の問題であり、日本の民主主義を破壊するものです。内閣府に全ての重要な権限が集まる仕組みがつくられているのです。

 日本は議院内閣制で、内閣に権限が集まるようになっています。内閣が学術会議の会長を決定するようになれば、文部科学省に蓄積されてきた専門性すら無視されます。内閣府に集まる公務員は、全体の奉仕者ではなく現内閣の奉仕者になります。国会の機能もどんどん無意味化されています。学術政策だけではなく、経済政策でも市民の統制の及ばないところで重要な意思決定がなされている。その総仕上げが今回の学術会議のなし崩し的従属だと思います。

理系研究者は危機感を

科学ジャーナリスト 榎木英介さん

 今回の法案に理系の研究者があまり危機感を持っていないように思います。米トランプ政権がやっていることを見てほしいのですが、NASA(米航空宇宙局)やNIH(米国立衛生研究所)の職員が首にされたり、予算を大幅に減らされたりしています。法案が通ってしまえばそういう事態がやってくる可能性が高いのです。

 特に「デュアルユース(軍民両用)」研究と称して、それどころか“大学に軍事研究をさせることになるのでは”との大きな危機感があります。日本学術会議だけでなく、アカデミア全体の問題として、そして理系の研究者も含めた問題として、ぜひ自分事として捉えてほしいと思います。

ガリレオ時代戻さない

新潟大学名誉教授 赤井純治さん

 法案のすべてにおいて道理が通っていません。任命拒否は違法で、学問の自由、学問の独立、自立性のすべて踏みにじっています。

 結局は、最終的に何が正しいかを政府が判断することになる、あるいは「地動説」は駄目で「天動説」だと言いかねないと思います。ガリレオが生きた時代に、500年も歴史の歯車を逆に回すのが学術会議の法人化なのだろうと思います。これは民主主義のかけらもない独裁ではないか、これを強行するならばガリレオを裁判したローマ教皇庁に等しいことになるのではないかと訴えていきたい。ガリレオ時代には戻してはならないと皆さんと一緒に力を合わせたい。

75年以上対等な関係

「パグウォッシュ会議」元評議員 小沼通二さんメッセージ

 これまで学術会議は、日本の科学者を代表するボトムアップ(下からの積み上げ型)の組織として役割を果たしてきました。政府の政策に対して有識者の意見や見解を求める諮問権を持つ学術会議は、独立した科学者の組織として、政府に強い勧告権を持つという75年以上にわたる対等な関係のもとで、すべての質問に誠実に回答し、無数の協力をしてきました。その一方で、意見が合わないこともありました。これは、独立した活動が法律上保証された組織としては当然あり得たことでした。

 国会は、提出された法案が科学者の代表としての科学アカデミーの役割を根本から否定していることを明確に議論して廃案にしてください。

 

戦争準備 協力させない

呼びかけ団体が連帯表明

 会見後に開かれた院内集会では、学術会議法人化に反対する署名に賛同した団体の関係者が連帯を表明しました。

 改憲問題対策法律家6団体連絡会の大江京子事務局長は「一番危惧している」こととして、政府が2022年に閣議決定した安保3文書に沿って進む「戦争準備」の問題を告発しました。米国からの要請で日本が兵器を開発して中国と戦争できるようにするため、「邪魔な学術会議を排除して、アカデミズムを協力させようとしている」と指摘。「憲法9条を持つ日本でこんなことは許されない。市民にもっと伝えよう」と呼びかけました。

 東大名誉教授で安全保障関連法に反対する学者の会の大沢真理さんは、社会保障などを議論する自民党のプロジェクトチームや有識者懇談会で繰り返し使われる言葉「政府と問題意識や時間軸を共有した政策のための学術」に言及。安倍晋三元首相が国会で100回以上虚偽答弁したことなどを挙げ、「こんな政治家と問題意識の共有なんかできるのか」と指摘。学術会議法には「人類社会の福祉に貢献し」と書かれているとして「変な法律に改変されないように取り組んでいきたい」と表明しました。

 日本民主法律家協会の大山勇一事務局長は、最高裁が東京電力福島第1原発事故の国の賠償責任を否定する判決(22年6月)を出すなど「政府による司法の統制によって、最高裁でひどい判決が出ている」と強調。学術会議法人化も、人事などへの国の介入が目的だとして「共通点があると訴えていきたい」と述べました。

 

政府の介入 意図が露骨

新婦人が声明

 新日本婦人の会は12日、石破茂政権が閣議決定した日本学術会議法人化法案に強く抗議し、撤回を求める声明を発表しました。「2020年の会員候補6人の任命拒否に続き、学術会議つぶしをねらうもので、戦争国家につながる危険な動き」だと批判しています。

 日本学術会議は、戦争協力の反省のうえに創設された「科学者の内外に対する代表機関」だと指摘。政府に対し259件の勧告をおこない、耳を傾けるべき多くの提言・宣言を出していると述べ、活動の根幹に「学問の自由」「独立性」があるとしています。

 今回の法人化案は、政府による介入の意図が露骨だとして、法案の撤回に向けて署名などで運動を一気に広げようと訴えています。


https://www.change.org/p/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%AD%A6%E8%A1%93%E4%BC%9A%E8%AD%B0%E3%81%AE-%E7%89%B9%E6%AE%8A%E6%B3%95%E4%BA%BA-%E5%8C%96%E3%81%AB%E5%8F%8D%E5%AF%BE%E3%81%99%E3%82%8B%E7%BD%B2%E5%90%8D%E3%81%AB%E3%81%94%E5%8D%94%E5%8A%9B%E3%82%92?signed=true

署名活動は上記より参加できます。

三権分立が形骸化され、学問の自由が脅かされています。
これは「独裁政治」であり、「戦争できる国造り」を目指すものです。
絶対に許してはなりません。

 

 


コメ需要減を改めず 農政審部会・基本計画案 輸出拡大狙う

2025年03月15日 | 自然・農業・環境問題

「しんぶん赤旗」2025年3月15日

 農林水産省は14日、農林水産相の諮問機関である食料・農業・農村政策審議会の企画部会を開き、5年に1度策定される「食料・農業・農村基本計画」案を示しました。農地の大区画化と集約化を推し進めると明記。2023年に791万トンだった米生産量を30年には818万トンを目指す一方で、米生産量のうち米輸出目標として、23年で4・4万トンだった輸出量を30年には39・6万トンを目指すとしました。現在進行する米不足・高騰の下でも、国内の米需要が減るとの見通しは改めていません。政府は3~4月ごろの閣議決定を目指しています。

 食料自給率について、これまで指標としていた供給カロリーベースでの目標は30年に45%(23年は38%)とすると同時に、新たに摂取カロリーベースで30年に53%(23年は45%)とする目標を設定。平時における1人1日当たりの平均摂取カロリーの最低値(10年で1849キロカロリー)を参考に設定したとしています。

 部会では「農地の大区画化に向けたKPI(中間目標)を設定すべきだ」(浅井雄一郎・浅井農園代表取締役)などの発言が続きました。一方、「国内需要よりも輸出が優先されることを懸念している」(二村睦子・日本生活協同組合連合会常務理事)、「米が消費者に届かない事態の中で、相変わらず需要が減るとの見通しを立てていることには現場から疑問の声が出ている」(齋藤一志・日本農業法人協会会長)などの意見がありました。


このような認識ではまだ数年は米不足・高騰が続くでしょう。

昨日はほぼ一日雪でした。
今日は曇り空、時々雪。
月曜日の昼過ぎまでは⛄マークが優勢です。
融雪剤(木灰)を撒くのはその後にします。

退院してすぐに畑へ。
自然な小川が無残なトラフに変えられてしまっていました。
前前年に草刈りをしていたので工事が始まるのかと思っていましたが着工せず、昨年も全く手が加えられず、このまま中止を望んでいましたが、入院中にやられてしまいました。
わたしは反対だと地主さんに喧嘩までして掛け合ってきたのですが残念です。
太い栗の木とそれに絡むツルアジサイ、白樺に絡むツタ、ヤマブキ、小川のセリなどが犠牲になりました。

こんな小川だったのです。
それがこんな姿に。


地主さんは沼まで埋め立てようとしているのか、残土を沼に。
うっそうとした小川が、明るくなってデビューです。
明るく、桜並木にするか?
実のなる木にするか?

 


古賀茂明 自民&国民民主による「原発推進」は日本を壊滅させる“愚行” ウクライナの「再エネ加速」に日本が学ぶべきこと

2025年03月14日 | 戦争と平和

AERAdot 2025/03/04

 

 2月18日、7次エネルギー基本計画が閣議決定された。最大のポイントは「可能な限り原発依存度を低減する」というこれまでの大方針を放棄して、原発を「最大限活用する」という正反対の方針に切り替え、廃炉した原発基数分の建て替えをこれまでのように廃炉した原発の敷地内に限らず、同じ電力会社の別の原発敷地内でもできるようにしたことだ。

 そもそも原発はあってはならない電源である。その理由はいくつもある。

 第一に、日本に建設されている原発は安全ではない。「日本に」と限定するのは、日本は他の原発立地国と異なり、世界で最も多くの巨大地震が生じる地域の一つにあるからだ。他の国と異なり、特に厳格な耐震性が求められることを意味する。

 しかし、実際には、原発ごとに定められた基準地震動(その数値が示す強度の地震までは耐えられるという数字。それ以上の地震が起きることはないとされている)を上回る強い地震に何回も見舞われている。

 2011年の東日本大震災における最大の揺れは、2933ガルであった。日本で観測された過去最大の揺れは、08年の岩手宮城内陸地震の4022ガルである。民間のハウスメーカーは、「耐震住宅」の販売に力を入れている。そこで採用されている耐震設計基準は、例えば、三井ホームで5115ガル、住友林業で3406ガルである。

 それを知れば、原発が採用する基準地震動はこれらを超えると考えるのが当然だが、実際には、稼働中の原発の中で最も高い東北電力の女川原発2号機でも、たったの1000ガルである。民間耐震住宅の足元にも及ばない。

 それでも、電力会社は、自社の原発の敷地の中だけは、決して強大な揺れは生じないと言い続けている。しかし、どこでどれだけの強さの地震が起きるかについて予見できないのに、どうして、自社の敷地内だけは大きな揺れが来ないと予知できるのだろうか。この一事だけでも、日本の原発が危ないことは明らかだ。

 日本の原発について、もう一つの問題は、事故が起きた場合の損害賠償額が異常に低く設定されていることだ。

 国が提供する原発事故に備える損害賠償責任保険のようなものがあるが、その限度額は原発1基あたりわずか1200億円。一度事故が起きれば、数十兆円単位のコストがかかることは、東京電力福島第一原発の事故で実証済みだが、それより2桁小さい。

 また、昨年の能登半島地震でも露呈したが、原発の事故に備えた避難計画では、複合災害(原発事故と同時に地震や風雪水害が生じること)が考慮されていない。実際には実行不可能な計画になっているのだ。そうなる原因は、避難計画が原子力規制委員会の審査の対象外だからだ。

原発は「あってはならない電源」

 そして、使用済み核燃料や廃炉後の放射性廃棄物等の最終処分の場所や方法について、まだ何も決まっておらず、いつ決まるかも全く目処が立たないという大問題もある。「トイレなきマンション」と揶揄されるが、笑い事ではない。

 しかも、原発は再生可能エネルギーとは正反対で、時間とともにコストが上がる。すでに、他のどの電源に比べても高いことは世界共通の認識だ。

 これから有望だと言われているSMR(小型モジュール炉)でも当初の予想は大きく外れ、経済的にペイしないことがはっきりした。米国では、すでに計画を中止した企業も出たが、それでもこれを導入したい経済産業省は、原発のコストが割高になる分を電力料金に上乗せする仕組みを作ろうと画策している。

 以上のとおり、普通に考えると、原発は使えない電源であるだけでなく、あってはならない電源であることははっきりしている。

 これらのことは言い尽くされた感があるが、今回はそうした原発についてのこれまでの議論を離れて、少し別の視点から見た原発推進論の「愚かさ」について指摘してみたい。

 自民党の保守派は、「台湾や日本は明日のウクライナだ!」と声高に叫んでいる。ロシアが武力でウクライナを侵略し、領土を奪った。それが今や正当化されそうになっている。

 仮に台湾有事が起きた場合、中国は台湾を攻撃し、沖縄も攻撃対象になる。さらには日本本土も危ない。

 それが彼らの主張だ。愚かな戦争プロパガンダでしかないが、もし仮にそれが正しいのであれば、私たちは、ウクライナで起きたことを検証して教訓を得るべきだ。

 その意味で参考になる記事が、2月26日の日本経済新聞朝刊に出ていた。その見出しには、「ウクライナ 発電能力分散 再エネ加速、攻撃被害最小化」とある。

 その要旨は、「ウクライナが発電システムを再生可能エネルギーや蓄電池を組み合わせた分散型に転換している」ということだ。ウクライナでは、24年夏までに、発電能力ベースで火力の9割以上、水力の6割が破壊された。「再エネを重視するのは脱炭素が狙いではない。それぞれが離れて設置されるため、攻撃の的を絞られにくく、修理しやすい利点が大きい」からだという。同国最大の国営電力会社のCEOは、「大規模なミサイル攻撃から電力システムを守る唯一の持続可能な方法は発電能力を分散させることだ」と断言する。

 この話は、火力や水力など大型の発電所にも当てはまるが、原発にも当然当てはまる。「明日のウクライナ」になりたくなければ、同国が得た貴重な教訓をなぜ生かさないのか。

 ウクライナにある欧州最大のザポリージャ原発がロシアに攻撃されたという情報が流れて、世界中が肝を冷やしたことも思い出すべきだ。原発を攻撃されることは、核攻撃されることと同じリスクがあることもまた我々は思い知らされた。

 戦争になれば軍事基地やレーダー施設は最初に狙われる。日本で言えば、米軍基地や自衛隊の基地、最近立て続けに設置された沖縄・奄美地方のレーダー施設は一番危険である。武器工場なども攻撃対象になるはずだ。その次に狙われやすいのが発電所などの重要なインフラ設備である。

 国際法上原発については、被害の甚大性の観点から、一般の民間施設以上に特別な保護を与えることになっている(ジュネーブ諸条約追加議定書第56条)が、それでも、原発が軍事目的に利用されているとして攻撃される可能性は残る。相手がロシアや北朝鮮のように国際法を破ることをためらわない無法国家であるならなおさらだ。しかも、両国はともに、自国を守るためとは言いながらも、核兵器の使用を示唆している。こうしたことを日本の安全保障環境が著しく危険な状況になっていると強調する自民党右派はどう考えているのか。

 彼らが言うとおりいつ戦争が起きるかわからないのだとすれば、原発に対するミサイルなどによる攻撃を100%防御する対策を講じることが、何よりも優先すべき課題になるはずだ。原発への攻撃は、他のどの対象への攻撃よりも被害が甚大で、まさに日本が崩壊するリスクさえあるからだ。

 では、原発への攻撃を100%確実に防ぐ方法とは何か。

 瞬時に全ての原発を廃炉にできれば良いが、それは物理的に不可能。だが、被害を大きく減少させる方法はある。それは、原発の稼働をすぐに止めて、使用済み核燃料を現在のようにほぼ無防備な使用済み核燃料プールに置き続けるのではなく、乾式貯蔵を含めた方法で地下深い貯蔵場所で保管することだ。これにより、大規模放射能汚染は防ぐことができる。

 これくらいのことは、私がここに書くまでもなく、中学生でも考えつくことだ。

 原発を新たにつくろうというのがいかに愚かなことかは、ウクライナを見ることによって、より明らかになったと言って良いだろう。

能天気な自民党右派と国民民主党

 しかし、こんなに簡単なこともわからない人々がいる。それが自民党右派や国民民主党などにいる能天気な原発推進論者である。

 先月アメリカにいたときに聞いた言葉だが、まさに「a fool’s folly」(愚か者の愚行)というのがぴったりではないか。

 もう一つ違った意味でまた「a fool’s folly」だと言える話がある。それは、「生成AIの普及に伴い電力需要が急増するので、それに対応するために新たな原発をつくる」という議論だ。

 確かに生成AIの普及に伴い電力需要は急増するであろう。省エネ半導体やさまざまな省エネ技術の発展もあるが、かなりの規模の需要拡大になるのは避けられない可能性が高い。

 世界は今、生成AI用データセンター(DC)ブームだ。日本でも国内企業のみならず、米テック企業も含めてDC建設計画が目白押しで、そのためのファンドやREIT(不動産投資信託)の組成まで始まった。

 すでに稼働中のものもあるが、今後建設される大規模なDCの稼働が集中し、大きな電力需要が生まれるのが、26~27年ごろになると予想され、電力需給は逼迫する。特に、脱炭素の要請が高まっているため、グリーン電力の確保は死活問題となる。

 日本経済新聞の「社長100人アンケート」(1月9日朝刊)で政権への要望を聞いたところ、期待する政策として最も多かったのは「再生可能エネルギー拡大」だった。一方、原発新増設は要望のトップ10にも入っていない。

 なぜそうなるかというと、生成AIなどによる電力需要の増大はもうすぐ目の前に迫っているのに、原発を新たにつくるとなると、完成するのは早くても15年以上先になるからだ。

 原発新設は40年代の電力需要に対応するという話だが、それだけ先の話なら、コストが高い原発にかける巨額の建設費や補助金の分を洋上風力を含めた再エネの拡大に投資すれば、はるかに安全で安価な分散電源ができる。

 生成AIの電力需要の爆発で今にも停電が起きるかのような騒ぎを起こし、そのために原発をつくろうというのは、はっきり言って、完全にピント外れの話なのだ。それは経済界もよく理解していることがわかる。

 以上述べたとおり、原発新増設は、軍事・安全保障面から見ても、また、産業・エネルギー政策面から見ても愚行でしかない。「a fool’s double folly」というところか。

 3.11を前に「愚か者の二重の愚行は止めろ!」と強く訴えたい。


すでに、プロブスカイト太陽電池は発売を開始している。
プロペラではない風力発電も開発されている。
海流・水流、地熱、温度差などを利用した発電も実用化されている。
こんな危ないものを列島に並べて何が防衛費だ!
国民の命と生活を守ることこそ「防衛」の柱であろう。


GPIF理事の癒着疑惑 大臣へ報告 7カ月せず

2025年03月13日 | 社会・経済

「しんぶん赤旗」2025年3月13日

 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の国債取引をめぐり、植田栄治理事・最高投資責任者(元ゴールドマン・サックス証券取締役)と特定の証券会社との癒着が疑われたにもかかわらず、所管大臣の厚生労働相に報告が上がったのは疑惑発覚から7カ月後だったことが、本紙の情報開示請求で分かりました。GPIFの隠ぺい体質とともに厚労省の監督体制が問われます。(佐久間亮)

 GPIFは約250兆円に上る公的年金積立金を金融市場で運用する公的機関。原資は年金保険料です。

 GPIFをめぐっては、内規の原則から逸脱して、国債取引を長期にわたって特定の2証券会社に独占させていたことが、2023年12月の内部通報を契機に明らかになっています。GPIFから調査を委嘱された法律事務所は24年3月、2社の選定を植田氏が主導し、うち1社については同氏が証券会社時代に築いた「人的な関係性」の有無を選定の判断材料とし、投資情報まで伝えていたとする調査報告書をまとめています。(本紙1月26日付で報道)

 今回、本紙が情報開示請求で入手したのは、厚労省の24年7月23日付の「厚生労働大臣説明資料」。同月26日の同省審議会でGPIFの国債取引をめぐる問題が議題となるのを前に、厚労相に調査結果を説明する資料です。同省は同資料以前に厚労相に問題を報告した記録はないといいます。

 報告の遅れに加え、報告の中身も問題です。同資料に記載された経過説明は、植田氏が過去の取引実績などをもとに2社を選定したが、癒着や法令違反は認められなかったとするのみで、植田氏が自らの「人的な関係性」で企業を選定したという調査報告書の核心に触れていません。厚労省は、資料作成時点では調査報告書に目を通さず、GPIFから口頭で調査結果の説明を受けていたといいます。GPIFが調査結果の核心を隠した疑いもあります。

 厚労省とGPIFは調査で癒着の証拠が見つからなかったことから、植田氏を理事に再任し、最高投資責任者の地位に置き続けています。

 

 

GPIF疑惑 大臣報告7カ月後 厚労省に当事者意識欠如

証券関係者も「驚き」

 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の国債取引をめぐる疑惑の報告が遅れたことについて、厚労省の担当者は「所管する組織の内部通報を大臣にいちいち報告することはない。法律事務所の調査を待った」といいます。

 しかし、今回疑惑の中心にいる植田栄治氏は、独法の職員や大勢いる役員の1人ではありません。250兆円という巨額の国民の資産を預かり、世界最大級の機関投資家と呼ばれるGPIFの最高投資責任者です。そのうえ内部通報で発覚した疑惑の中身は、植田氏が自らの「人的な関係性」で企業を選定していたという、「外形的に癒着が疑われるケース」(宮園雅敬GPIF理事長、2024年3月25日)です。

 理事長の宮園氏でさえ、内部通報まで国債取引の2社独占を知らなかったことが取材の過程で明らかになっており、植田氏の独断専行の異様さが際立っています。

 特定企業との癒着は不正常な資産運用の温床となり、年金積立金という国民の財産の棄損につながりかねません。法律事務所の調査を待っていたという厚労省の回答からは、事態の重大性に対する緊張感も、自身が問題の渦中にいるという当事者意識も全く感じられません。市場のクジラと呼ばれるGPIFの監督官庁として無責任と言わざるを得ません。GPIFに対する同省の統治不全が、植田氏の独走を許す土壌となった疑いもあります。

 GPIFから調査を委嘱された法律事務所は、植田氏らの携帯電話やパソコンのデータなども調査し、癒着を裏付ける証拠は「発見されなかった」としています。しかし、厚労省によれば、今回の調査の対象は業務用の携帯電話とパソコンだけ。近年、証券会社などで癒着の疑いが生じた際は、私物の携帯電話やパソコンにも調査が及ぶことが一般化しているとされています。今回の法律事務所の調査が十分だったと言えるのかは疑問が残ります。

 ある証券業界関係者は、GPIFは公的金融機関のなかでも厳格なルールに基づいて取引企業を選定している印象を持っていたとし、「植田氏が人的関係で選定したのが事実だとすれば驚きだ」と語ります。「証券会社で担当者が人的関係で取引企業を選定すれば必ず問題になります。人的関係は選定の入り口になることはあっても、ゴールになることはあり得ません」

 証券業界からも異常さが指摘される企業選定が、なぜ植田氏のもとで可能になったのか、癒着は本当になかったのか―。疑惑を解明し、国民に対して説明する重い責任が、厚労省には課されているはずです。

 

発覚時に報告すべきだ

元経済産業省官僚 古賀茂明さん

 官僚からすると、大臣に報告すると自分の責任が問われかねないので、なるべく問題を隠そうとする傾向があります。「赤旗」などが調査し報じなければ、国民に知らせないままひそかに問題を処理してしまう。法律事務所の調査も、往々にして問題はなかったというお墨付きを与えるものになっています。

 本来は問題が発覚した時点で大臣に報告し、指示を仰ぐべきです。国民の資産の運用には一点の曇りもあってはいけません。GPIFの運用に疑いが生じたのであれば、所管する厚労省にとっても非常に大きな問題だと捉えるべきです。

 疑われること自体が大問題で、癒着の証拠が見つからなかったから問題なしというのはおかしい。厚労省が調査報告書を読んでいなかったというのも、官僚の常識からいって考えられません。


苦しい生活の中で払い続ける「年金」。
この「年金」で「遊ぶ」上級国民。
そんな感じか!

今日、無事に退院してきました。
更新もない中、大勢の方に訪問いただきありがとうございました。
「術後が痛くて大変だ」と、脅かされてきたのですがそれほどでもありませんでしたよ。
手術後の飯も普通食だった。
(後で聞いたら間違ったそうで、本当はお粥)
でも、食べ物を飲み込む時は痛くないけど、空気を飲む時の方が痛い。
この間、ほとんど運動していないのでこれから少しづつ慣らしていきます。

4Fの病室から、退院直前に。ここは旭川市。


医療崩壊許さない 「どれだけの痛みもたらすか」

2025年03月04日 | 健康・病気

衆院予算委 辰巳氏が自公維合意4兆円削減批判

「しんぶん赤旗」2025年3月4日

 日本共産党の辰巳孝太郎議員は3日の衆院予算委員会で、自民、公明、維新の3党が国民医療費の「最低4兆円削減」などを念頭に置いた社会保障削減のための協議体設置で合意した問題を取り上げ、「医療崩壊が起こるのは間違いない。絶対に許してはならない」と批判しました。

 辰巳氏は、石破茂首相も自民党総裁として合意文書に署名したと指摘。2025年度までに国民医療費を最低4兆円削減することを念頭に検討し、早期に実現可能なものを「26年度予算に盛り込んで実行に移すのか」と質問すると、石破首相は削減を念頭に議論することを認めました。辰巳氏は「とんでもない合意だ。年間で最低4兆円削減とは、この間の医療費抑制に照らしても途方もない数字だ」と批判しました。

 辰巳氏は、高額療養費の負担上限引き上げで医療費が5330億円削減されることを示し、「がんなど重い病気にかかり、多額の医療費を長期にわたって負担して治療を続ける患者に深刻な影響をもたらす」と強調。00年度以降の医療費抑制を狙った医療制度見直しで、自己負担と保険給付を合わせた医療費ベースでの財政影響が年額1兆円を超えるような例があったのかとただすと、福岡資麿厚生労働相は「06年の診療報酬改定は医療費を1兆円をやや超える削減額の規模だった」と答えました。

 辰巳氏は、08年に出産間近の妊婦が七つの医療機関に受け入れを拒否され死亡した事件を挙げ、「06年の1兆円削減が現場の心を折って医療崩壊をもたらした」と指摘。「1兆円で医療崩壊だ。4兆円の削減が一体どれだけの痛みをもたらすのか」と追及しました。石破首相は「(医療)崩壊しないようにやっている。これから先、考えていくものだ」などと強弁しました。


医療費削って防衛費暴騰。
日本国民よりアメリカ!
創価学会の支持者よ、もう離れるべき時だ!

さて、以前にも書いたと思うけれど、わたしの皮膚病がアトピーだけではなく「掌蹠膿疱症」という皮膚病も併存しているようで、これは扁桃除去で70%以上の確率で改善するという。
もう10年以上にわたり苦しめられてきました。
これで解放されるのならとの想いで明日入院、翌日手術です。
退院まで1週間前後というのですが、子どもは比較的簡単なようですが、高齢者にはきついようです。
そんな事情ですのでブログの更新は休みます。
携帯で訪問できるところは訪問する予定です。

お!「プレビュー」が復活いたしましたね。
ありがたい。


禁止会議控えサーローさん 核兵器「自分事と考えて」

2025年03月03日 | 戦争と平和

2025年3月3日 (共同通信)

 【ニューヨーク共同】核兵器禁止条約の第3回締約国会議開幕を3日に控え、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)が2日、ニューヨークで核の脅威などを話し合うイベントを開いた。カナダ在住の被爆者サーロー節子さん(93)も出席し、記者団に「核兵器を自分に関係あることだと考えてほしい」と語った。

 イベントには支援者ら約300人が参加。ICANのパーク事務局長は冒頭のあいさつで、広島、長崎への原爆投下とパレスチナ自治区ガザでの戦闘の被害を重ね「爆弾で多くの命を奪ってもいいという暴力に基づく考え方にわれわれは立ち向かっている」と活動の意義を強調した。

 サーローさんは「核兵器は戦争に使うものじゃない。皆殺しにする道具だ」と非人道性を訴えた。若者らに向け「一緒に学び、語り合う仲間を見つけて多くの人の思いとして政治家に伝えてほしい」と呼びかけた。


今日は舗装道路も真っ白になってしまった。
予報では今週中は真冬日です。


米・ウクライナ決裂 首脳会談 対ロ姿勢めぐり

2025年03月02日 | 戦争と平和

「しんぶん赤旗」2025年3月2日

 トランプ米大統領とウクライナのゼレンスキー大統領は2月28日、ワシントンのホワイトハウスで会談しました。トランプ政権が侵略国ロシアに融和的な姿勢をとっていることにゼレンスキー氏が不信感を表明したところ、トランプ氏らが激怒。激しい口論となって会談は決裂し、当初の目的だったウクライナの鉱物資源を巡る合意文書の署名には至りませんでした。

 1月の第2次トランプ政権発足後、両首脳が対面で会談したのは初めてです。トランプ氏は冒頭に「ロシアとは非常に良い議論ができた。(戦闘の)停止を実現させるつもりだ」と語りました。ゼレンスキー氏は「今回の文書が安全の保証の最初の一歩となることを願う」と述べ、米国からの支援継続に期待を表明しました。

 同席したバンス米副大統領は「平和への道は外交に取り組むことだ」と発言。ゼレンスキー氏はロシア側が停戦合意を破りウクライナ国民を殺害してきた経緯に触れ、「どんな外交だ?」と応じました。

 これをきっかけにトランプ氏やバンス氏は「米国に対し敬意がない」とゼレンスキー氏に反発。トランプ氏は「あなたは何百万人もの命を使って賭けをしている。第3次世界大戦を巡って賭けをしている」と述べて、侵略国と侵略被害国をあべこべに描きました。

 会談後に予定されていた共同記者会見は中止になりました。ゼレンスキー氏が研究所で行う予定だった講演も中止されました。

 ノルウェーのストーレ首相は、第3次世界大戦に関するトランプ氏の言い分について「まったく筋が通らず、私は距離をとる」と語りました。

 トランプ政権の幹部らは「米国のために勇気を持って立ち上がってくれた」(ルビオ国務長官)などとトランプ氏を絶賛しています。一方、野党民主党からは「(トランプ氏の振る舞いは)不名誉で危険だ。敵を助け、友人を傷つけ、安全保障を弱めている」(ベイヤー下院議員)などの批判が出ています。

 

⁂     ⁂     ⁂

ウクライナ 根深い欧米不信

トランプ氏は個人的な恨みも

 【ワシントン=時事】トランプ米大統領のウクライナ停戦への取り組みに同国のゼレンスキー大統領が疑問を呈して激しい言い合いとなり、2月28日のホワイトハウスでの首脳会談は物別れに終わりました。背景には、ウクライナ側が求める「安全の保証」を巡って、根深い欧米への不信があります。

 ウクライナが独立を宣言したのは1991年8月。同国は94年、旧ソ連時代に配備された大量の核兵器の放棄に同意しました。これを受けて米ロ英の核保有3カ国はウクライナの「安全の保証」を約束。その20年後の2014年、3カ国のうちのロシアのプーチン大統領がクリミア半島を一方的に併合しました。

 ゼレンスキー氏はこの日、トランプ氏の前で「誰も彼(プーチン氏)を阻止しなかった」と指摘。その後、ドイツとフランスを交えてロシア側と停戦合意(ミンスク合意)を結んだものの「(プーチン氏は)停戦を破り、仲間を殺し、捕虜交換も行わなかった」と糾弾しました。

 プーチン氏が今後も約束をほごにするとの疑念は、トランプ氏と今週会談した英仏首脳もあらわにしています。一方、トランプ氏はウクライナの鉱物資源の権益を巡り合意を迫り、「安全の保証について話す必要はない」と取り合いませんでした。

 トランプ氏の一方的な振る舞いは、19年にゼレンスキー氏に対して軍事支援などを行うことを条件として、ウクライナと関係のあったバイデン前大統領(当時は前副大統領)の醜聞を捜査するよう要求した事件をほうふつさせます。

 ゼレンスキー氏はこの時、トランプ氏の求めに応じず、米下院はトランプ氏を弾劾訴追(上院で無罪判決)しました。米外交関係者の多くは、トランプ氏がゼレンスキー氏を恨み、嫌っているのは明白だとみています。


さてさて、日本の石破氏はどのような態度に出るのでしょう。
「何もしない」でしょうね。

今日はまた冬に戻りです。
しばらく天氣は良くないようです。


石破政権どこまで冷血 高額療養費引き上げ「予定通り」強行…患者団体や野党が求める「凍結」突っぱねる

2025年03月01日 | 社会・経済

日刊ゲンダイDIGITAL 2025/03/01

「一時凍結へ」──。石破政権が負担上限額の引き上げを予定している高額療養費制度の見直しについて、そんな見出しのニュースが27日、駆け巡った。ところが、一夜明けた28日の衆院予算委員会で石破首相が表明したのは、問題先送りの弥縫策。がん・難病患者に負担増を強いる愚策の強行だった。

■来年8月以降は「検討」の弥縫策

「高額療養費制度の見直し自体は実施させていただきたい」

 衆院予算委で立憲民主党の野田代表から「見直し凍結」の英断を迫られた石破首相は、開口一番、こう答弁。今年8月からの負担上限の引き上げを予定通り実施すると宣言した。

 当初計画では、療養費制度の負担上限は年収700万円の場合、現行の8万100円から今年8月に8万8200円に引き上げられ、年収区分の細分化に応じて2026年8月には11万3400円、翌27年8月以降は13万8600円に3段階で跳ね上がる算段だった。あまりに非情な負担増に批判が集まり、石破政権は26年以降の見直しの再検討を余儀なくされた。

 しかし、患者団体や立憲を中心とする野党が求めているのは、あくまでも「凍結」。8月からの引き上げを白紙に戻し、当事者を含めた議論のやり直しだ。これに対し、石破政権は見直し実施の既定路線を崩さず、来年8月以降については、予算委で「本年秋までに決定したい」と時間稼ぎをし始めた。

 そもそも、療養費制度の負担上限引き上げは厚労省の社会保障審議会(医療保険部会)で昨年11月から約1カ月間のわずか4回の議論で決まった経緯がある。がん・難病患者をなおざりにした結果、非難ゴウゴウの事態を招いているのに、それでも引き上げ強行とは血も涙もない。

■「この間の物価上昇分だ」答弁のマヤカシ

 なぜ、そこまでかたくななのか。石破首相は予算委で、引き上げが約10年ぶりだとして「この間の物価上昇分だ」と言い繕った。そうであれば行うべきは、患者の負担減だろう。

 総務省はきのう、全国の先行指標とされる東京都区部の小売物価統計調査を発表。2月はコシヒカリが5キロ当たり4363円。前年同月から8割近くも上昇し、過去最高を更新した。主食たるコメもしかり、あらゆる食料品、ひいてはモノの値段が上がっているというのに、難病治療の負担増も強いるとは理屈が通らない。

「物価上昇に負けないほど賃金が伸びて可処分所得が増えているならまだしも、そうではありません。物価は上がり続け、家計は圧迫されています。大病すれば収入減は避けられません。本来なら、物価上昇分を考慮して難病患者の負担を減らすべきです。政府は一体、何重苦を強いるつもりでしょうか」(全国保険医団体連合会事務局次長・本並省吾氏)

 場当たりでは墓穴を掘るだけだ。引き上げ凍結の再考しかない。

  ◇  ◇  ◇

 自公維で合意した「高校無償化」は5000億円かかるのに、200億円で可能な高額療養費「見直し凍結」は拒否…関連記事【もっと読む】で詳しく報じている


国民の命も生活も眼中にない、ただ裏金欲しさの偶作が続く。
「高校無償化」も必要。
必要のないものは、突出した「軍事費」だ。
「軍事費」によって国民が見殺しにされる事態は避けなければならない。

今日もプラス氣温の良い天氣。
家の前の舗装道路の氷割り、好きなんです。
これから札幌へ行ってきます。
帰りは遅くなりますので、今のうち更新です。