「私が国家です」の安倍首相、あなたに命と尊厳がわかるか
日刊ゲンダイ 2019/03/06
斎藤貴男ジャーナリスト
1958年生まれ。早大卒。イギリス・バーミンガム大学で修士号(国際学MA)取得。日本工業新聞、プレジデント、週刊文春の記者などを経てフリーに。「戦争経済大国」(河出書房新社)、「日本が壊れていく」(ちくま新書)、「『明治礼賛』の正体」(岩波ブックレット)など著書多数。
拝啓 アベシンゾー殿
あなたは一体、どれだけの人を傷つけ、不幸に陥れれば気が済むのか。私たちの国を、社会を、どうするつもりなのか。
私が代弁してあげよう。あなたは自分以外の人間に命や尊厳があるなどとは思ったこともないのではないか。犠牲に何の痛痒も感じないし、ひょっとしたら、残忍さと指導力を混同して、他人の断末魔を見ると興奮するタチの方なのではないか。米国の戦争に自国民を差し出しては、虎の威を借りるキツネのごとく大国然と振る舞う“新・大日本帝国”を理想とし、属州の酋長として君臨する己にエクスタシーを感じちゃいたいのではないか。図星でしょ?
すでにあなたの政権は、私たちの食と水を外国資本に売り飛ばし、労働者の人権や賃金の水準を引き下げる法律をことごとく強行採決した(種子法の廃止、改正水道法、改正入国管理法)。自画自賛を重ねた“アベノミクス”とやらの正体は、統計データのでっち上げでしかなかった。国民生活を左右する消費税を弄んでは、選挙に利用し、議員たちは薄汚い利権を貪ってきた。
そして、沖縄だ。県民投票で「反対」が72%以上を占めた辺野古の米軍新基地建設に対する民意を、あなたはまたしても踏みにじろうとしている。埋め立て予定海域の軟弱な地盤改良だけでも途方もない歳月と予算が必要で、しかも建設の口実にしている普天間基地返還の可能性など、ゼロに等しいにもかかわらず、そうまでして米国のご主人様にへつらいたいか。
「沖縄には沖縄の、国には国の民主主義がある」と差別むき出しなのは茶坊主のボーエイダイジン。あなた自身はといえば、「私が国家です」だと。これは統計データ偽造を巡る衆院予算委員会での発言だったが、あなたはいつもこうだ。ルイ14世の「朕は国家なり」ばりの絶対主義王政宣言とは、異常にも程がある。
ちなみに、このウルトラ妄言にも大手マスコミは沈黙を決め込んだ。県民投票の結果を徹底的に矮小化したNHKや読売新聞といい、もはやこの国のジャーナリズムは完全に死に絶えたらしい。
アベさん、あなたは日本を、最低の列島にしてくれた。まっとうな社会に回復させるには、現時点からでも数十年は要しよう。このまま東京五輪だの憲法改正だのに持ち込まれれば、永久に立ち直れなくなる。
保守や右翼を気取りたがる人々にも言っておく。アベさんのやっていることは、正真正銘の売国だ。放置しておけば、私たちは米国の傭兵か奴隷にされる。
アベさんよ、国を滅ぼし、世界中の憎悪と軽蔑を一身に浴びて死ぬのが本意でもなかろうに。
安倍首相「いま、長妻委員は国家の危機かどうか聞いたが、わたしが国家ですよ。私が総理大臣ですよ。」
森羅万象を担当する、立法府の長にして国家そのものである。
もはや天皇陛下以上のアベ皇帝殿下だ。
http://www.asyura2.com/19/senkyo257/msg/987.html#c11より
国権の最高機関は国会と憲法に規定されているように、国家を表すのは国会に於ける立法作業の結果であり、法治主義国で有る以上立法府で決議された法律と憲法が、国家そのものを表しているのである。
総理大臣は、国権の最高機関で決議された基本法と憲法に基づいた行政実務や歳出事務を事務方が忠実に行っているか、自分の行政実務の管理監督任務を専門性のある所轄大臣に一回限りに於いて委任するとともに、所轄大臣から逐一報告を受け、公務員の作為不作為により主権者である国民納税者の利益を損なっていないか常に把握し、国権の最高機関である国会にて、議員による行政実務上の瑕疵誤謬の疑いを指摘されたら、即座に所轄大臣と共に各省の業務の実態を検証し議会に報告するのが総理大臣の任務であり、それ以上でも以下でもないのが議院内閣制に於ける首相の立場である。
従って、首相に自分の思想信条や方針があろうとも、あくまでも国会で定めた基本法と憲法の理念や原則を国の方針とし国際会議等で報告するのが限界であり、首相自身の思想信条や独自の構想を日本国の方針とすることは許されない。
現最高法規を遵守する意志を持っていないと公言しているような代議士が首相を務めるとこうなる、の典型であり、首相自らの意向や意思が自国の国民の従うべき原則である旨の思考回路は、冗談で無ければまさに独裁である。
世界の多くが大統領制であることから、大統領独断で国の方針を決める権限を持っていると伺える部分だけを、安倍首相は都合良く解釈しているのだろうが、大統領制とて非常事態宣言以外には予算審議では議会の承認無しに予算は降りないのは周知の事実であり、国民納税者から徴税する租税主義国である限り、大統領制とて、大統領の意向の実現には議会承認が不可欠である。
見たいものしか見ない、見たく無いものは見ない、の悪癖が染みついているのか嘯いているのか不明だがご都合主義である。
私が国家と定義し権限を独占するには、結果責任を全身で負う義務が付いて来るのだが、肝心の時には「私は関係ありませんよ、私が何をしたと言うんですか」旨叫ぶのは始末に負えず、国会での首相とのやり取りは、野党議員を介して主権者である筈の納税者がからかわれているが如き全くの無駄な時間となっている。
その間にも、私が国家そのものだと国会でライバルたる野党に知らしめたいと躍起なだけの首相率いる内閣の黙認で、着々と事務方主導で予算が流出しているだろう、これこそが国民納税者にとって、まさに悪夢である。
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日刊ゲンダイより
6日の参院予算委員会。立憲会派の小西洋之参院議員から、「“法の支配”の対義語は何か」と問われ、まったく答えられなかったのだ。
「“法の支配”の対義語は、憲法を習う大学1年生が初日に習うことですよ。法の支配の対義語は“人の支配”です」
九大名誉教授の斎藤文男氏(憲法)がこう言う。
「法の支配の対義語を知らないということは、“法の支配”の正しい意味も知らないのでしょう。これは恐ろしいことですよ。英語でも“ルール・オブ・ロー”と“ルール・オブ・マン”という対義語があります。恐らく、安倍首相は立憲主義の意味も理解していないのでしょう。法は国民を支配する道具だと考えているのではないか」
この男にだけは、改憲をさせてはいけない。
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まさにアベ皇帝独裁者の姿である。