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文部科学省の発表を受けて山陽新聞(8月8日)は「不登校発生率 小中とも改善」と報じました。12日の文教委員会でも、同趣旨の報告があおこなわれました。
不登校の児童・生徒が減少し、皆が楽しく元気に勉強できるようになることは誰しもが願っていることです。しかし、数値だけでは喜べない実態があることも明らかになりました。
文科省の調査は、「長期欠席者数=30日間以上欠席した者の数(欠席は連続である必要はない)」を理由別に集計するようになっています。
長期欠席の理由として4つの分類があり、1つは「病気」=「心身の故障やケガなどで入院、通院、自宅療養のため長期欠席した者。自宅療養については、原則として、医師の指示や診断書の有無で判断されるが、本人の周囲の者が適切と判断した場合も含む。」となっています。2つ目は「経済的理由」=「家計が苦しく教育費が出せない、本人が働いて家計を助けているなどの理由で、長期欠席した者。」3つ目が「不登校」=「『病気』や『経済的理由』以外の何かしらの理由で、登校しない(できない)ことにより長期欠席した者。」そして最後に「その他」=「『病気』、『経済的理由』、『不登校』のいずれかにも該当しない理由により長期欠席した者。」と4つの分類があります。「その他」の例として「保護者の教育への考え方や無理解・無関心など家庭の事情」「外国での長期滞在、国内・外への旅行等」「『病気』と『不登校』など、欠席理由が2つ以上あり、主たる理由が特定できない者。」があげられています。
報道されているのは、この「不登校」の数。確かに岡山県の場合、小学校は2012年度に比べ31人(6.4%)減(1000人当たりの出現率は、0.2減)、2011年度に比べ145人(24.2%)減(出現率1.2減)であり、中学校は2012年度に比べ88人(5.9%)減(出現率1.4減)、2011年度に比べ278人(16.5%)減(出現率4.4減)となっています。「とりくみの成果があがっている」と言いたくなる気持ちはわかります。
「経済的理由」による長期欠席はゼロで、「病気」による長期欠席はあまり変動は見られません。問題は「その他」です。 理由が「その他」に分類され長期欠席している児童・生徒は、小学校では2012年度に比べて146人(60.6%)増(出現率は1.5増)、2011年度に比べて201人(108.1%=2倍以上)増(出現率は2.0増)。中学校は2012度に比べて196人(63.6%)増(出現率は3.5増)、2011年度に比べて311人(161.1%=2.5倍以上)増(出現率は5.5増)となっています。
文教委員会でこの原因を尋ねたところ、「スクールソーシャルワーカーが家庭に入る中で、家庭の事情によって不登校になっているケースが明らかになったため」との答弁でした。つまり、実際に不登校になっている子どもたちが少なくなったのでなく、統計上の分類がこれまでの「不登校」から「その他」に移ったに過ぎないことが明らかになりました。
そこで、「不登校」と「その他」を足しあわせると、小学校では11年度785人(1000人当たりの出現率7.2)、12年度726人(同6.7)、13年度841人(同8.0)。中学校は11年度1874人(1000人当たりの出現率32.6)、12年度1799人(同31.6)、13年度1907人(同33.7)となります。
11年度は小学校で、10年度に続く全国ワーストとさわがれましたが、13年度はその年よりも小学校で56人(7.1%)増、中学校で33人(1.8%)増加し、少し「改善」がみられた12年度と比べると、小学校は115人(15.8%)増、中学校は108人(6.1%)増となっています。
結局、発生率の削減だけに目が向いてしまい、本当に必要な支援のあり方などの議論がおろそかになってしまい、「不登校対策」と称して学校に行かせることだけに力がそそがれるのではないかと心配します。不登校は決して悪いものではないわけで、学校に行けない子、行かないことを選択した子どもたちへの支援が十分でないこと、子どもの貧困やいじめ、競争教育など、子どもに関わる政治のゆがみをただす抜本的な対策がないことが大問題です。
不登校の児童・生徒が減少し、皆が楽しく元気に勉強できるようになることは誰しもが願っていることです。しかし、数値だけでは喜べない実態があることも明らかになりました。
文科省の調査は、「長期欠席者数=30日間以上欠席した者の数(欠席は連続である必要はない)」を理由別に集計するようになっています。
長期欠席の理由として4つの分類があり、1つは「病気」=「心身の故障やケガなどで入院、通院、自宅療養のため長期欠席した者。自宅療養については、原則として、医師の指示や診断書の有無で判断されるが、本人の周囲の者が適切と判断した場合も含む。」となっています。2つ目は「経済的理由」=「家計が苦しく教育費が出せない、本人が働いて家計を助けているなどの理由で、長期欠席した者。」3つ目が「不登校」=「『病気』や『経済的理由』以外の何かしらの理由で、登校しない(できない)ことにより長期欠席した者。」そして最後に「その他」=「『病気』、『経済的理由』、『不登校』のいずれかにも該当しない理由により長期欠席した者。」と4つの分類があります。「その他」の例として「保護者の教育への考え方や無理解・無関心など家庭の事情」「外国での長期滞在、国内・外への旅行等」「『病気』と『不登校』など、欠席理由が2つ以上あり、主たる理由が特定できない者。」があげられています。
報道されているのは、この「不登校」の数。確かに岡山県の場合、小学校は2012年度に比べ31人(6.4%)減(1000人当たりの出現率は、0.2減)、2011年度に比べ145人(24.2%)減(出現率1.2減)であり、中学校は2012年度に比べ88人(5.9%)減(出現率1.4減)、2011年度に比べ278人(16.5%)減(出現率4.4減)となっています。「とりくみの成果があがっている」と言いたくなる気持ちはわかります。
「経済的理由」による長期欠席はゼロで、「病気」による長期欠席はあまり変動は見られません。問題は「その他」です。 理由が「その他」に分類され長期欠席している児童・生徒は、小学校では2012年度に比べて146人(60.6%)増(出現率は1.5増)、2011年度に比べて201人(108.1%=2倍以上)増(出現率は2.0増)。中学校は2012度に比べて196人(63.6%)増(出現率は3.5増)、2011年度に比べて311人(161.1%=2.5倍以上)増(出現率は5.5増)となっています。
文教委員会でこの原因を尋ねたところ、「スクールソーシャルワーカーが家庭に入る中で、家庭の事情によって不登校になっているケースが明らかになったため」との答弁でした。つまり、実際に不登校になっている子どもたちが少なくなったのでなく、統計上の分類がこれまでの「不登校」から「その他」に移ったに過ぎないことが明らかになりました。
そこで、「不登校」と「その他」を足しあわせると、小学校では11年度785人(1000人当たりの出現率7.2)、12年度726人(同6.7)、13年度841人(同8.0)。中学校は11年度1874人(1000人当たりの出現率32.6)、12年度1799人(同31.6)、13年度1907人(同33.7)となります。
11年度は小学校で、10年度に続く全国ワーストとさわがれましたが、13年度はその年よりも小学校で56人(7.1%)増、中学校で33人(1.8%)増加し、少し「改善」がみられた12年度と比べると、小学校は115人(15.8%)増、中学校は108人(6.1%)増となっています。
結局、発生率の削減だけに目が向いてしまい、本当に必要な支援のあり方などの議論がおろそかになってしまい、「不登校対策」と称して学校に行かせることだけに力がそそがれるのではないかと心配します。不登校は決して悪いものではないわけで、学校に行けない子、行かないことを選択した子どもたちへの支援が十分でないこと、子どもの貧困やいじめ、競争教育など、子どもに関わる政治のゆがみをただす抜本的な対策がないことが大問題です。