■マーケット
黒田総裁「マイナス金利は最強」
マイナス金利の導入から間もなく2ケ月です。この間ドル円相場は円高へ、そして日経平均株価は下落してきましたが、日銀の黒田総裁は"最強"という言葉を使って政策に対して自信を示しました。
13日に日銀の黒田総裁はアメリカのコロンビア大学で講演に臨みました。講演の中で黒田総裁は「マイナス金利付き量的質的金融緩和は近代の中央銀行の歴史上、最強の金融緩和スキームといっても過言ではない」と現在の金融緩和策について話しました。日銀がマイナス金利を導入してからまもなく2か月となります。この間、株安と円高が進んでいることについて出席者に指摘された黒田総裁は「マイナス金利付き量的質的緩和を導入していなければ日本の金融市場はもっと悪くなっていた」と話して、強気の姿勢を崩しませんでした。
「必要な場合は3つの次元で躊躇なく追加緩和を講じる。」
黒田総裁は今後も市場の期待をつなぎとめておくことができるでしょうか。
■【コメンテーター】木下智夫氏(野村證券 チーフエコノミスト)
【世界を揺るがすパナマ文書、各国はどう対処すべきか】
--世界中に大きな波紋を広げているわけですが、G20の議題にもなりました。どんなことが話し合われると見られていますか。
この問題を受けて租税回避の問題に対して何とかすべきだという声が各国で、国内の問題として起こりつつあるわけですが、これに対してG20の場というのは、当局としてはちゃんとやっているというところをアピールする場だと思います。ただG20だけで解決できる問題ではないです。G20は租税回避地に対して、ある意味で徴収できたはずの税を追いかけて取るほうなんですが、追いかけられる側のタックスヘイブンがどのように反応するか、こういったところが今後の焦点になってくると思います。
--ただタックスヘイブンを巻き込んでいかないと話しは進まないということですよね。租税回避、世界的に規制が強まりそうな機運がありますけれども、それは可能だと見ていますか。
実際問題としては相当時間がかかると思います。ただG20の場で結束した姿勢をアピールをすることで、それはタックスヘイブン側にもプレッシャーになるはずですから、だんだんとそういったところが解決されていく方向ではないかなと思います。
・日銀 次の一手を読む
--黒田総裁が講演で現在の金融緩和策に自信を示したということなんですが、市場では4月にも次の緩和があるのではという見方もあります。そんな中、木下さんはどう見ていますか。
ここからかなりの円高が進まなければ、4月の追加緩和はないのではないかと思います。1月にマイナス金利政策を導入してまだそんなに時間が経っていないし、その効果と副作用をきちんと把握したうえで次のアクションに進みたいのではないかと思います。私自身は7月の緩和の可能性が高いと思っています。これから食品のインフレや(食料品やエネルギーを除いたところの)コアコアのインフレ率が低下する可能性が高い。円高の影響が出てくることで下がっていくとインフレ期待も下がってしまう。それに対して日本銀行としてはインフレ期待を高めるためのアクションを起こさざるを得ないのではないかと思います。
--それは追い込まれての緩和ということなんでしょうか。
そうですね。2%のインフレの達成を目指す以上、そこである意味で追い込まれての緩和ということになると思います。
--具体的な緩和策としてはどういったことが考えられますか。
国債の追加購入は少し難しい面が多いと思いますので、2重ベースポイントの利下げと株式のETFの追加購入を3兆円から6兆円に増やすということを想定しています。
--マイナス金利はどうでしょうか。
いまの-0.1から-0.3まで下げるというところが視野に入ってくると思います。
--マイナス金利の効果のほどはどう見ていますか。
これは不動産市場、住宅市場でははっきりとした効果が出ているように思います。全般的にはこれから出てくると思いますが、ただ既に日本の金融は既にかなり緩和した状態にありますから、追加的な実体経済に対する効果というのは非常に限られれくると思います。
■ニュース
熊本で震度7
午後9時26分ごろ九州地方を震源とする地震があり、熊本県益城町で震度7の揺れを観測しました、熊本市でも震度6を記録するなど、九州中部を中心に、西日本の広い範囲で強い揺れを観測しました。気象庁によると、震源地は熊本地方で震源の深さはおよそ10キロメートル。マグニチュードは6.4と推定されていて、この地震による津波の心配はないということです。
《気象庁会見》
今後も震度6弱の余震が1週間程度発生するおそれがある。本日21時26分に地震が発生、マグニチュードは6.5(修正)、震源は熊本県熊本地方、深さは11キロ、発震機構は南北方向に張力軸を持つ横ずれ断層型。観測された最大震度は熊本・益城町で震度7。この地震による津波の心配はない。
緊急取材!パナマ文書
12日、パナマ文書の流出先である法律事務所「モサック・フォンセカ」に現地当局の捜査のメスが入りました。マネーロンダリングなど金融犯罪への関与が疑われています。情報を発信したICIJの担当者は、「日本を含むアジアの国が租税回避地の明確な利用者だと知っている」と指摘しました。なぜバージン諸島を租税回避地として選ぶのか、現地の弁護士に聞くと、「イギリスの法律によって、バージン諸島は機密性が高い」と言います。アメリカのデラウェア州の1つのビルには、なんと大小28万社もの企業が会社の本拠地を置いています。実はデラウェア州が課す法人税は一定の条件を満たせばゼロ。その数は111万社以上です。州政府は「企業部」と名付けた専門部署で、世界一簡単な会社設立の手続きをウリにしています。
【世界が衝撃・パナマ文書】
14日から米国・ワシントンで始まるG20、20の国と地域の財務相・中央銀行総裁会議に出席する為、麻生財務大臣が間もなく現地に入ります。ここで議題の1つとなりますのがパナマ文書に関する問題です。パナマの法律事務所から流出した課税逃れに関する内部文書。その量は2.6テラバイト、本にして2万6000冊分もの情報が流出しました。史上最大の暴露とも言われるこのパナマ文書。WBS独自の取材から課税逃れの実態と闇の深さが見えて来ました。
【課税逃れ・闇の実態】
カリブ海の島国パナマ。12日、パナマ文書の流出先である法律事務所・モサックフォンセカに現地当局の捜査のメスが入った。マネーロンダリングなど金融犯罪への関与が疑われている。
《モサック・フォンセカ共同設立者/ラモン・フォンセカ氏》
「脱税や資金洗浄とはかかわらない。情報はメールから抜き取られた。」
モサックフォンセカはペーパーカンパニーの設立に特化した法律事務所で、世界でも5本の指に入る"ペーパーカンパニーの卸問屋"との異名を持つ。パナマ文書によって中国・習近平国家主席や英国・キャメロン首相など、各国の指導者やその周辺人物の税金逃れと思われる疑惑が次々と浮上。ロシア・プーチン大統領は先ほど友人のオフショア取引を指摘した疑惑について「米国当局が関与した謀略」と主張した。アイスランドではグンロイグソン首相が辞任に追い込まれるなど、その波紋は世界に広がっている。OECD(経済協力開発機構)は13日、パリで緊急会合を開催。世界における課税逃れの現状を把握した上で今後の防止策を協議した。さらに来月開催される伊勢志摩サミットでもパナマ文書に関する問題が議題に上げられる予定だ。
その情報を発信したのが米国・ワシントンにあるICIJ(国際調査報道ジャーナリスト連合)。意外にも小さなオフィスだが、その正体は世界65か国のジャーナリストが加盟する精鋭集団だ。国境を越えた犯罪や汚職など、公的な人物の違法行為を追求する調査報道を行っている。パナマ文書に関する情報は400人のジャーナリストが分析。今もその作業は続けられ、来月上旬にもパナマ文書に関する完全な情報が公開されると言われている。また租税回避地に法人を設立した日本人の名前は400人程あると言われ、今後日本に関する課税逃れの実態が明らかになる可能性が高い。
《ICIJ ウィル・フィッツギボン記者》
「パナマ文書の影響は驚きで予期していなかった。まだ明らかになっていない事実は必ずある。こういった情報が明らかになると記者たちは疑惑を追及し続けるだろう。中国や韓国、日本を含むアジアの国は租税回避地の明確な利用者。パナマ文書はパナマの一つの法律事務所のデータでしかない。」
パナマ文書はパナマの一つの法律事務所のデータでしかないというICIJ。この問題はどこまで広がるのか。
《大浜キャスター》
世界のタックスヘイブン(租税回避地)を見てみると、ヨーロッパのモナコや英国領・ジブラルタル、中東のバーレーン、ナウルやバヌアツといった南太平洋の国々と、規模の小さい国や島国が多いのが分かる。産業や資源に乏しい国が会社設立の手数料や雇用の確保の為に設定しているケースが多いと言われている。タックスヘイブンの起源は中世のローマ教皇領とも、ハンザ同盟の都市の1つだったとも言われている。ただ現在の様なタックスヘイブンの始まりは1920年代~1950年代で、戦争で財政が厳しくなった国が相次いで自国の税率を引き上げる中で主に富裕層が個人の資産を守る為に使っていたとみられている(国立国会図書館レファレンス2009年11月)。そしてカリブ海の周辺を見てみると今回の文書の発信元・パナマのイギリス領バージン諸島があります。世界中にあるタックスヘイブンの中で特に注目を集めているこのバージン諸島なんです。パナマ文書の発信元モサック・フォンセカによって設立された法人は約21万4000社あり、その内11万4000社程がパナマの英国領・バージン諸島に集中しているんです。タックスヘイブンの裏事情に詳しい現地の弁護士がその実態を語りました。
【中国人も殺到・「租税回避地」なぜバージン諸島?】
《英領バージン諸島の弁護士/マーティン・ケニー氏》
--何故バージン諸島を租税回避地として選ぶのか。
「英国領・バージン諸島は機密性が高い。イギリスの法律で弁護士や会計士には守秘義務がある。クライアントの秘密を暴露できない。」
--最近はどんな人物が租税回避を行っているのか
「最近最も多いのは中国人だ。モサック・フォンセカの40あるオフィスの内10が中国にある。売り上げの少なくとも25%が中国だ。」
さらにモサックフォンセカは休眠したペーパーカンパニーの販売まで行っていたと言います。古い企業は資産隠しに有効なのだと説明します。
「古い企業ほど高い価格で売れる。設立後1年経った企業の価値は昨日できた新しい企業より高い。5,000ドルとか6,000ドル(約55万~65万円)が必要だ。10年経った企業は1万ドル(約110万円)かかる。」
このような実態を重く見たアメリカのオバマ大統領は
「アメリカやほかの国々主導で税の抜け道をふさがなければ阻止できない」と各国の連携を呼びかけているんです。ところがそのオバマ大統領のお膝元アメリカ国内にもタックスヘイブンが存在している。東部のデラウェア州。アメリカで2番目に小さい州でいったい何が起きているのか。番組ではその実態を取材しました。
【アップルからグーグルまで!?28万社の企業が1つのビルに】
《中継:NY支局 影山秀伸記者》
ワシントンからおよそ2時間の距離にあるデラウェア州の商業の中心地ウィルミントン市。多くの米国の企業がオレンジ通りの1209番地の一つのビルを大小28万社もの企業が会社の本拠地としているといいます。欧米メディアによると、ここを本拠地としているのはアップルやグーグルなど巨大IT企業の他、フォードやウォルマートなど米国を代表する企業が含まれています。実はデラウェア州が課す法人税は一定の条件を満たせばゼロ、もちろん国に支払う法人税はかかりますが、節税目的にペーパーカンパニーを設立しデラウェア州を本拠地とする企業は増加しています。その数111万社以上。デラウェア州の約94万人を大きく上回っています。行政もこうした流れを後押ししています。州政府は企業部と名付けた専門部署を持っていて、世界一簡単な会社設立の手続きを売りにしています。
《デラウェア州、州務省/チャールズ・マクロード広報官》
「世界中の客にサービスを提供しているため、手続きできる時間を拡げている。電話やオンラインでサービスを受けることができる。」
企業部では深夜0時まで申請を受け付け、夜勤に対応するため職員の勤務シフトを変えました。会社設立にかかる時間はたったの2時間です。この10年で95億ドル、日本円で約1兆円もの節税を生み出したと言われるデラウェア州。ここを本拠地とする企業は今後も増えそうです。
羽田空港でテロ対策訓練
来月開催される伊勢志摩サミットを前に、羽田空港の国際線ターミナル駅でテロ対策の訓練が行われました。警視庁と東京モノレール、京急電鉄が合同で実施した初めての訓練です。駅構内に爆発物が仕掛けられたという想定で、客の避難誘導や、拳銃を持った犯人の捕獲訓練をしました。ベルギーやフランスでテロが相次ぐ中、羽田空港周辺では、テロ対策を強化していきます。
北朝鮮があすミサイル発射か
韓国の聯合ニュースはきょう北朝鮮が移動式の新型中距離弾道ミサイル・ムスダンを1基か2基程度発射する準備をしていると報じました。韓国政府筋はあす15日の故・金日成主席の誕生日を機に発射する可能性が高いと語ったとしています。韓国軍はミサイル発射を探知するため、日本海にイージス艦1隻を派遣したということです。
田母神容疑者を逮捕
2014年2月の東京都知事選挙の後に運動員に対し、違法に現金を配ったとして東京地検特捜部は落選した、元航空幕僚長の田母神俊雄容疑者と、田母神陣営の事務局長を務めていた島本順光容疑者を公職選挙法違反の疑いで逮捕しました。田母神容疑者は選挙運動の報酬として島本容疑者に現金200万円を渡したほか、島本容疑者と共謀して選挙を手伝った運動員5人に対して現金280万円を渡した疑いが持たれています。
《田母神敏夫容疑者》「検事と弁護士からしゃべるなと言われているので怒られるんだよ。だからしゃべれない、本当に。」
セブン 新トップに井坂氏か
先週、鈴木敏文会長が退任を表明したセブン&アイ・ホールディングスの新たな社長に、セブンーイレブン・ジャパンの井阪隆一社長が昇格する見通しであることが分かりました。セブン&アイはあす、指名・報酬委員会を開き、新たな経営体制の人事案を固めます。鈴木敏文会長と村田紀敏社長は退任し、新たなトップとして社長にセブン-イレブン・ジャパンの井阪隆一社長が就任する見通しです。また、総合スーパーのイトーヨーカドーや百貨店のそごう西武の経験がある後藤克弘取締役が副社長などの要職に就き、井阪社長を支えます。セブン-イレブン・ジャパンについては、井阪氏が兼務する案が出ていますが、なお調整が続いています。
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