30分経過。3時間あればこれは完璧に模写できるだろう。
1時間経過。今小生は不思議な感覚にとらわれています。小磯良平氏が自分に乗り移っているような感じなのです。ご承知のように僕は西洋の画家の模写ばかりしてきて日本画家については大変不勉強だったのです。そこで短期に集中的にこれを勉強しようと思い立ったのですが、竹久夢二、梅原龍三郎、安井曾太郎、岸田劉生、黒田清輝と描き進めてきて、小磯良平にいたって全く以前に経験したことのない親密度を感じたのでした。彼の運筆の呼吸はすでにじっくりと馴染んできたもののようなのです。過去にそれらを描いた経験があって、自分はそれを再び経験しているだけに過ぎない、だから何枚描いても一向に疲れない、というような不思議な体験を今しているのです。こんな経験は生まれて初めてで、wikipediaで調べてみたら彼は群像を描くのが好きだったとあり、自分も全くその通りで、本当は群像を描くのが一番好きなのです。レンブラントの夜警を一週間で興奮して描いていたことがつい昨日のように思い出されます。僕はなんだか小磯良平に出会って10歳は若返った気がしているのです。とても不思議な体験です。
油彩 90x70㎝ 2018