人間賛歌・もっちゃん4649

私の別荘

お父さん、35年間の教職の勤めを終え、九州の実家へ帰ってきました。
平成14年の3月下旬のことでした。

修了式の午後の便で、その日のうちに喜ばせてあげたいと思い母に報告をしたのです。

「よかったね、よくがんばったね~」とねぎらってくれました。

軽い認知症にかかっているからその時は良い返事をしてくれるけど、また同じ繰り返しになります。

「3月29日に建て替えの許しをご先祖さんにもらってね。そしてこの家を壊し始めるからね」

「どこの家?
まだいいよ、このままで」

「お母さん、いつまでもこのままで置いといたら、お化けがでてくるみたいだから新しくきれいにして、1日でも長く入りやすいお風呂や明るい部屋で過ごしてほしいと思うのよ~

私たち娘も、これから先、お墓参りにも帰ってきたいし・・・
150年も経っていると暗くて不便だしね。」

「ああ、そうね~」

「全部新しくなったら、お母さんがよその家に泊まっていると思ってはいけないから、古い懐かしい家具や折り紙を集めた箱などはとっておいて、お母さんの宝物の部屋をひとつ作るわね」

にこにこ笑って聞いています。

「工事が始まったら、前の納屋の二階の部屋に家具類は置いて引越しして、そこで私は過ごすけど、お母さんは、足場が悪くってトイレやお風呂が危ないから、短期入所のできるデイサービスの施設にお世話を頼むことにしたのよ」

ふん、ふん、とうなずいて聞いていました。

「お母さんが住み慣れないところに何ヶ月間か行かないといけないので大変ね~」というと、

「私は気楽なところに行くから、何も大変なことはないよ!」と、よく理解できている返事をしてくれました。

その翌日、また話をきかせてあげました。
同じ繰り返しです。

「建て替えるって、どこを?いつ?」

また説明をします。

すると、
「ヒロちゃんの別荘だわね~
奈良に住んでいて、大分に別荘のある人っていないでしょ!」と新しい考え方が出てきました。

さすが父さんの奥様はスゴイですよ~
前向きの発想ができますよ!

「えっ、私の別荘?」と慌ててしまいました。

35坪のバリアフリーの家は、母へのプレゼントとばかり、今の今まで考えてきました。
なのに、母の口から「ヒロちゃんの別荘」と指摘されてしまいました。

なんでも前向きにとらえる母の壊れかけた思考回路には、まだピンと健在な部分が残って働いていたのですよね~

お父さん、新しい家のことが、母にも了解できたようですよ~

あれから5年、快適な暮らしを楽しんでもらえ親孝行が一つ間に合ってよかったな~と満足 の日々をいただいているのですよ

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コメント一覧

もっちゃんです
2泊は必要
また、機会を見つけてお立ち寄りくださいね~

海の幸と山の幸を堪能してお帰りいただくためには、2泊は必要です~

それ以上は退屈してしまいますけど~

純朴なかわいい奥様にまたお会いしたいです~
tuyosi
素敵な別荘
もっちゃん家の素敵な別荘

写真で見てもいい感じの家だったけれど
実際に見させていただいた別荘は写真で見たそれとは
違いもっと住みやすく考えられていて、びっくり
バリアフリーの家に関心のあった妻は言葉を忘れて見ていました。

ただ残念だったのは時間が無く駆け足の訪問だったので
それだけが今も心残りだと言ったました。
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