貧者の一灯 ブログ

掲載しているお話は、当ブログには著作権はありません。
掲載内容に問題がある場合は、お手数ですが ご連絡下さい。

貧者の一灯・森羅万象

2022年05月15日 | 流れ雲のブログ





















アムロジピンなどジヒドロピリジン系で有名な副作用で、
機序別分類では以前は薬物毒性型でしたが、最近では
薬理作用型に分類されています。

①歯肉肥厚とは

歯茎が腫れてくる副作用で、口の中が痛み、食事がしに
くくなります。局所的な副作用のため軽度の副作用分類に
なりますが、患者さんのQOLに大きな影響を与える副作用
でもあります。

ある医療系団体の副作用モニター情報(319)#1を見ますと、
1年3カ月間でのアムロジピンの副作用報告が130件あり、
そのうち皮疹15件、歯肉肥厚15件、めまい・たちくらみ10件、
ほてり10件、その他となっており、歯肉肥厚が決してまれな
副作用ではないことが示されています。

また2症例が紹介されており1例はアムロジピンの中止後
4カ月で治癒、

もう1例は中止後に歯科受診して歯肉部切除により
治癒とあります。

いったん、歯肉肥厚になってしまうと中止しても治りが
遅いことがうかがえます。歯肉肥厚が発症した場合は、
多くの添付文書で薬剤を中止する指示が出ています。

歯肉肥厚の副作用がある薬とは

アルフレッサ社のSAFE-DIで副作用検索してみたところ、
前記のアムロジピンを始めとする全てのジヒドロピリジン系の
Ca拮抗薬、他系統のCa拮抗薬であるジルチアゼムや
ベラパミルと、Ca拮抗薬で共通の副作用になっています。
(2019年9月現在)。

従って、歯肉肥厚はCa拮抗薬に特徴的な副作用と
いえそうです。

歯肉肥厚の発症機序

次のような2つの機序が考えられています。


(1)歯肉にある線維芽細胞へのCa流入が減少し、
 コラーゲン の分解が抑制されるため。

(2)歯肉における末梢動脈(より拡張)と末梢静脈の拡張が
 アンバランスになり歯茎での浮腫やうっ血となり、それに
 ブラッシングなどの刺激が加わり炎症が起こるため。

(1)、(2)ともにまさにCa拮抗薬の特徴的な薬理作用と
言えるので、歯肉肥厚は薬物毒性型ではなく薬理作用型の
副作用と言えそうです。

1.コラーゲンとは

コラーゲンは線維性タンパク質で体の中のタンパク質の実に
30%を占め、真皮、靱帯、腱、骨、軟骨に存在して、細胞外の
タンパク質として細胞や組織を支える役割をしています。

2.コラーゲンの構造の特徴

コラーゲンはアミノ酸が約1000個つながったタンパク質が3本
寄り集まった3重らせん構造を取っています。

分子量は約30万の巨大なタンパク質になります。

特徴的な構成アミノ酸としてヒドロキシプロリンとヒドロキシリジン                  が含まれています。

またグリシン含有量が30%、プロリンとヒドロキシプロリンの
含有量が10~30%

3.コラーゲンの生合成

コラーゲンは主に線維芽細胞で合成されます。
コラーゲン専用のDNAがあり、そこからmRNAが転写され
コラーゲン分子が合成されます。

ヒドロキシプロリンは通常存在しないアミノ酸なので特殊な
水酸化酵素がタンパク質合成後にプロリンに作用して
出来上がります。

4.コラーゲンの新陳代謝

体内のタンパク質は古くなり機能しなくなると異常なタンパク質
と認識され除去され、新しいタンパク質に置き換わるシステム
があります

(たとえばユビキチンプロテアソーム系の分解酵素は、
古くなった細胞内タンパク質の80%を除去します)。
細胞外タンパク質のコラーゲンも例外ではなく分解されます。

ただし、コラーゲンは頑丈なタンパク質なため通常の
プロテアーゼでは分解されません。

そこで作用するのが、活性中心に金属イオンが配位した
マトリックスメタロプロテアーゼ(以下、MMP)になります。

この酵素活性に必須の金属イオンが亜鉛(Zn)やカルシウム
(Ca)になります。MMPは複数の種類が存在しており、
大きく膜結合型と分泌型に分かれます。

そして、MMPはコラーゲンの3重らせん構造の特定部位を
3本同時に切断できると言われ、その後変性しゼラチン化し、
さらに分解されていきます。

それでも残る疑問

MMPを合成できる細胞(線維芽細胞も含めて)は体のどこに
でもある細胞ですし、コラーゲン自体もいろいろな細胞の
外に存在しているわけですから、体のあちらこちらで似た
ような症状が出てもよいのではないか? 

なぜ、歯肉にだけ肥厚という副作用が出てくるのか? 

アムロジピンの添付文書の副作用欄を再度見直してみました
が見つかりません。あえて言えば「関節痛」、「筋肉痛」が
コラーゲンの蓄積で生じた関連症状かなと思いましたが
不明です。

末梢動脈拡張と末梢静脈拡張のアンバランスによる歯肉
浮腫説が納得しやすい気がしてきました。

実際に浮腫という副作用が特に高用量時に見られ、
また下肢浮腫も多いと言われているのです。

薬理作用型だと比較的早期に発現するはずですが、
連用後しばらくしてから発現するという歯肉肥厚の特徴
が少々説明しづらくなります。…














まだ僧侶という職業が、現在より尊敬されていた時代です。

雑誌や新聞の取材も受けて、論文や書も多数遺して
いました。ときおり政治家も訪れるような家庭でした。
私の母が父に嫁いできた背景には、この祖父に対する
敬意がありました。

それなのに父はというと、夫婦げんかがひどくなると決まって
「今から線路に行って電車に飛び込んで死んでくる」
というのです。

夫婦げんかのたびに、母にこのせりふを吐いては、
「お義父さんは偉いお坊さんなんだから、あなたが
そんなことをしたらお義父さんの名に傷がつく。

お坊さんの息子はそんなことをしたらいけないよ」
と、たしなめられていました。

私に対しても同じことをいう父に対して、「この人は
最後まで変わらないんだな」と思うと同時に、徐々に
駄々っ子になっていく様子に、家族の終わりの近いのを
感じていました。

亡くなる2年前ぐらいまで、昔のように私を怒鳴る父でしたが、
だんだんと論点がずれていき、空威張りをする父の弱さも
私は知っていました。

男親というものは、異性ということもあり、娘とどう接してよいか
わからないと、怒鳴ってねじ伏せようとするのだと思います。



私は小さいころから、父に対して殺意に近い気持ちを抱いて
生きてきました。

今になって思うと、それほどに憎いのは、それ以上に
愛されたかったからです。

私がよい成績を取った日でも、なにか気に入らないことが
あると、一転して怒り出す父でした。

父は私がやりたいことも否定しました。将来の夢や自分の
行動を、親にすべて否定されるのは、大変に生きづらい
ことです。

父への殺人を実行してしまったらどうなるのか、かなり
小さいころに学習していましたので、大人になってなにか
実績を残せるようになったら、認めてくれるだろうと思うこと
によって、自分の気持ちに蓋をしていました。

あのころの父の齢を迎えて思い当たるのは、自分にとって
気に入らないものはとことん気に入らない、そりが合わない
娘がよい成績を取ることさえ腹立たしい、だから口実を
探して怒るということだったのでしょう。

要するに、父は自由奔放な私に嫉妬していたのです。

私の幼少期はちょうど高度経済成長期と重なり、日本が
とても元気なころでした。豊かになった社会で自由に
振る舞える私に対し、父は自分の幼少期とのあまりの
違いに、もはやついてこられなかったのです。

もちろん父にも、私が娘だという認識は当然あったわけ
ですから、愛したくてもその方法がわからなかったの
だろうと、現在は父の不器用さを少しかわいそうに思います。

父の死の間際に、本当の父親と娘の関係になれたように
私は思いますが、結局、人生に対する価値観や感じ方は
共有できないままでした。

ここまで遠回りしてしまったのは、親子だからこそ感情
むき出しの対立があり、お互いの価値観がぶつかり
合ったからにほかなりません。

私が文章を書く理由は、誰かとつながりたいからです。

そして、生きているのが自分一人ではないと信じたい
からです。そう考えるのは、父との不本意で残念な関係
があったからでしょう。

どんなメディアでも、そのときどきで感じたことを発信して、
通じ合える人とコミュニケーションを取りたいのです。

共感も否定も両方あっていいのです。そして、ともすると
道を外れそうになる自分を、軌道修正しているのです。

なにかを思いつくと、誰かにいわずにはいられないのは、
私の長所であり欠点でした。私は母に、父を殺したいと
告白したことがあります。

母には、「あの人のほうがお前より絶対力が強いから、
反対にやられてしまう」といわれ、

「祖父が偉大な僧侶である家で殺人事件が起きたら
どんなことになるか」と、懇々と諭されました。

一時の激情に駆られて、浅はかなことを実行しないで、
本当によかったと思います。