貧者の一灯 ブログ

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貧者の一灯・THEライフ

2022年06月30日 | 流れ雲のブログ










   








単身赴任帰りの夫が結婚当時とまるで別人に。

人生100年時代において、「老後ライフ」の設計は大切。
夫の定年を老後の始まりと捉え、共通の趣味を見つけたり、
旅行の計画を立てたりしようと考えている人もいるのでは …

「指図ばかり!」と突然キレて

この地に住んで三十余年、ついに町内会長の大役が
回ってきました。私の住む地区では、特別な事情が
ないかぎりお役を受けなくてはなりません。

定年退職した夫に切り出すと、「おれがやる」と
すんなり引き受けてくれたのですが、

夫は2年前まで大阪で単身赴任生活を送っていたので、
ご近所の人の顔も名前もわからないまま。

月2回の会合に顔を出し、なんとか仕事をこなして
半年が経ちました。

今年の夏のある日、夫から「**団地の役員宅に
届け物に来たんだけど、どうやら間違えて別の
お宅に置いてきたらしい。

ここがどこかわからないから、迎えに来てくれ」と
電話がありました。

聞けば、夫が迷っているのはわが家の窓から
見えるような場所。

大手建設会社に40年勤務していた夫は全国各地
の工事現場を歩き回っていたので、地図や地理にも
詳しいはず。

なのに、たった5軒への届け物すらできないのです。

定年後、朝から晩までテレビの前で過ごしていたから、
脳の働きが鈍ってしまったのでしょうか。

定年を機に再び同居を始めて2年、「私の知っていた
夫とは違う」と感じることが増えていました。

車に乗っているとき、助手席で私が「この道を
右に曲がって、次を左に」とナビをしたら、
「いちいち指図ばかり!」と突然キレたり、

珍しく風呂掃除をすると言うので横で見ていたら、
監視されているとでも思ったのか、不機嫌になって
ぷいとやめてしまったり。

結婚後、きちんと同居したのはわずか3年ですが、
仕事熱心で、優しい人だと思っていました。

たまにぶつかることはあっても声を荒らげるような
こともなく、 娘たちのこともよく可愛がってくれた
と思います。

単身赴任のときは毎晩のように電話をしましたし、
夫婦としては会話が多いほうだと思っていたのに……。

いまでは、話を切り出したり何かちょっとした頼みごと
をするのにも、「こんな言い方をしたら怒らせやしまいか」
とビクビクしています。

集めた旅行パンフを全部捨てた

贅沢しなければ夫婦二人で十分暮らせるだけの
蓄えがありますし、双方の親はすでにおらず、
娘たちは全員結婚して家庭を持っています。

約束したわけではありませんが、定年になれば当然、
二人であちこち旅行できるものと私は思いこんでいました。

しかし、いざ旅行ガイドブックやツアーのパンフレット
を見せると、「いや、いい。行かない」とそっけない返事。

なにか理由があるわけではなく、心底興味がないようです。
現役時代は週末のたびにゴルフや釣りに行き、
むしろ率先して「出かけよう」と言うタイプの人だったのに。

周りの友人はといえば、やれ温泉旅行だ
やれクルーズツアーだと、夫婦であちこち
楽しそうに出歩いている人ばかり。

あたりまえのようにみんなができていることを、
どうして私はできないのでしょうか。

友人たちから見れば、夫は「穏やかで優しそうな、
よくできた旦那さん」。

悩みを話しても、なかなかわかってもらえません。

「たまたまじゃないの」とか、「そのうち行きたいって
言ってくれるわよ」と、その場しのぎのようなことを
言われて、かえってストレスが溜まるので相談する
こともできなくなりました。

あげくコロナ禍で旅どころではなくなり、集めたパンフ
もすべてゴミ箱行きです。

先日、娘たちに「最近お父さんが怒りっぽくなって。
物覚えも悪いし、なにもかも面倒がるの」と
電話で打ち明けたところ、

「えっ、お父さんってそんなに怒る人だっけ?」
と信じてもらえず……。

一緒に暮らしていない子どもたちから見れば、
私の悩みは大したことではないのかもしれません。

平穏無事だと思っていた私の結婚生活。

一緒に楽しく暮らせたのはたった3年で、
待ちに待った老後の同居がこれほど重苦しい
ものになるとは。…

私の老後とはいったいなんなのでしょう。
息がつまるような時間がずっと続くのかと思うと、
気持ちは沈んでいくばかりです。 …












「いつ寝るか」と「どれだけ寝るか」の関係

睡眠調節には大きく二つの要因が関わります。
それは「いつ寝るか」と「どれだけ寝るか」です。

「いつ寝るか」は「毎晩何時頃に眠くなるか」と
言い換えてもよいでしょう。

朝型夜型などの例からも分かるように、
眠気が出現する時間帯は人によって異なり、
主にその人の体内時計の時刻で決められています。

一方、「どれだけ寝るか」は必要な睡眠時間のことで、
日々の疲労が十分に回復し、健やかに目覚めるため
に必要な睡眠時間です。  

さて、「いつ寝るか」と「どれだけ寝るか」という
二つの要因は、「腕時計」と「砂時計」に例え
られることがあります。

普段、私たちは同じような時刻に眠気を感じ、
パジャマに着替え、 寝床に入り、眠りに落ち、
また朝になると目を覚まします。

このような規則正しい睡眠習慣は24時間サイクル
の腕時計の時刻に従って行われています。

体内時計では説明がつかない「寝だめ」「仮眠」  

人体で「腕時計」の役割を果たすのは体内時計です。
体内時計のメカニズムについては多くの研究者の
努力によって詳細に調べられ、

時計遺伝子と呼ばれる複数の遺伝子から作られる
たんぱく質の働きで、睡眠も含めた約24時間
サイクルの私たちの生体リズムが形作られること
が明らかになりました。

この分野で先駆的な業績をあげた3人の米国人科学者、
ジェフリー・ホール、マイケル・ロスバッシュ、

マイケル・ヤングには2017年度のノーベル生理学
・医学賞が与えられました。  

ところが、人の睡眠には体内時計だけでは
説明のつかない特徴があります。

例えば、睡眠不足の日の翌日には睡眠時間が
長くなる、いわゆる寝だめをします。

また、夜勤に従事している人は徹夜をした
翌朝に仮眠を取ります。

このような睡眠時間の日々の大きな変動や、
昼間の睡眠や眠気は体内時計では説明ができません。

そこで登場するのが「砂時計」です。

イレギュラーな睡眠にかかわる物質  
眠気をもたらす砂(睡眠物質)でできた「砂時計」
を頭に思い描いてみてください。

私たちが目を覚ましている間、砂は徐々に下の容器
(眠気容器)にたまり、眠気が一定以上に強くなると
私たちは眠りに入ります。

もちろん通常の睡眠時間帯であれば「腕時計
(体内時計)」の作用も加わります。  

眠りに入ると同時に砂時計がひっくり返ります。

今度は砂が逆の容器に落ちて眠気が解消され、
十分眠った翌朝にはすっかり眠気が取れています。

ところが睡眠時間が短くて眠気容器から十分に
砂がはけないうちに朝を迎えると起きづらく、
昼間も眠気が残り、翌晩に長めに寝ないと
(寝だめをしないと)眠気容器が空になりません。

また、夜勤をすると眠気容器に大量の砂がたまり、
普段ならば目が覚めている昼間に仮眠を取ること
ができるのです。  

このように「腕時計」と「砂時計」の二つの時計の働きで
私たちの日々の睡眠パターンが決まっています。

先にも書いたように「腕時計」のメカニズムは大いに
解明が進んでいますが、「砂時計」についてはいまだ
多くの謎が残されています。

なんと言っても一番の謎は、砂時計の砂、

すなわち睡眠物質の正体です。


古くから研究者がこの謎に挑戦し、多数の睡眠物質
候補が見つかっていますが、 「これが主役!」と
断定できる物質はいまだ特定されていません。

それこそ砂時計の砂のように、数多くの睡眠物質の作用
が合わさって眠気をもたらしているのかもしれません。

カフェインが効くメカニズム  

睡眠物質の研究からユニークな発見もなされました。
日本人研究者が明らかにしたカフェインが眠気を
覚ますメカニズムもその一例です。

彼らが見つけた睡眠物質候補であるプロスタグランジン
D2は脳内でアデノシンという物質を増加させます。

アデノシンは同じく脳内に存在し覚醒作用がある
ヒスタミンの作用を抑えることで眠気をもたらします。

アレルギー鼻炎の治療薬である抗ヒスタミン薬の
眠気に困った方もおられると思いますが、
アデノシンと同様にヒスタミンの作用を抑えるために
眠気が生じるのです。

さて、カフェインですが、このアデノシンによるヒスタミン
の抑制作用をブロックする作用があり、その結果、
目が覚めるというわけです。  

このように私たちの眠気との関係が実証された物質も
ありますが、おそらくは睡眠物質のごく一部に過ぎません。

今後研究が進めば、「春眠」をもたらす睡眠物質も
見つかるかもしれませんね。…