ウォーク更家の散歩(東海道・中山道など五街道踏破、首都圏散策)

中山道を歩く(41:三留野) 長野県南木曽町  6km 2014.10.18


(写真は、三留野(みどの)宿の町並み)
「三留野(みどの)」の地名の由来は、ここに木曽氏の館が
あり「御殿(みどの)」と呼ばれたからだそうです。
三留野宿は、旅籠が32軒と多かったのですが、これは、
野尻から三留野の間の中山道は、木曽川に沿って、
わずかな道が開かれていただけで、”危険な桟(かけはし)
を 何か所も渡らなければならない 命がけの道”だったから
だそうです。

今年7月の南木曽地方の大雨による崖崩れの様なときには、
江戸時代には、危険な個所を命がけで無事に越えてきた旅人
で三留野宿は賑わったんでしょうね。
三留野宿は、明治14年の大火で町並みのほとんどが焼失して
しまいました。
それでも、枡形道を抜けると、出梁造りの家が並び、雰囲気の
ある街道風景です。



宿場町の中ほどに、脇本陣跡の案内板がありますが、脇本陣の
家は残っていません。

案内板によれば、三留野宿の脇本陣は、庄屋の宮川家が代々
勤めたそうです。

脇本陣跡の案内板がある上の写真の家の表札は、下の写真の様
に「宮川」とあるので、子孫の方が住まわれているのでしょう。

脇本陣跡の道路向いの空き地に、本陣跡の石碑があり、石の
門柱二本と「明治天皇安在所」の石碑があります。

三留野宿の外れの梨子沢川(なしざわ)橋を渡ります。

街道は、更に蛇抜橋を渡り、写真の「貯木場」を右下に眺め
ながら、緩やかな坂道を上ってゆきます。



「貯木場」を眺めていると、山に囲まれた木曽の住人は、木材
に頼って生活し、切り出した木材を筏にして木曽川に流して
運び生活していた、ことを実感しました。



夜明け前 (第1部 上) (新潮文庫)
島崎 藤村
新潮社


島崎藤村の「夜明け前」では、大雨の中の「和宮の前代未聞の
大御通行」が、宿場町や人足等に非常に大きな負担だった事を
以下の様に書いています。
 西は大津から東は板橋まで、和宮の前後を警護するもの
12藩、道中筋の道固めをするもの29藩。
 姫君を乗せた御輿は、軍隊の如きいでたちの面々に護られ
ながら、雨中の街道を通った。
 中津川、三留野の両宿に、沢山な死傷者も出た。
 街道には、途中で行き倒れになった人足の死体も多く発見
された。
 半蔵と伊之助の二人は連れ立って、その日、三留野の御継ぎ
所の方から馬篭へ引き取って来た。

やがて、道路はY字路となり、右に行くと中央本線を渡り
JR南木曽駅ですが、中山道は左手の道を進みます。
街道の左手に、次の写真の園原先生の碑があります。
園原先生とは、三留野天神社の神官だった園原旧富(そのはら
ふるとみ)のことで、江戸時代に多数の門人を抱えていた国学者です。
「木曽古道記」や「木曽名物記」などの著書があります。

園原先生碑の前のY字路の先を右に進むと、街道名物の大きな
「枝垂れ梅」があります。

枝垂れ梅の先を下ると、写真のD51機関車が置かれた小さな
SL公園がありました。



SL公園から先は、中山道は林の中の坂を進み、やがて庭木の
手入れが行き届いた集落に入ります。

集落の中ほどの切り倒された松の根元に「ふりそで松」の碑が
ありました。

説明版によると、
「木曽義仲が弓を射るのに邪魔になった松を、巴御前が袖を
振って枝をなぎ払った」という伝説の松だったそうです。

また、同じ場所に下の写真の真新しい神明神社がありました。

神明神社から暫く歩き、石畳道の上り坂を上ると、その先に、
街道の両側に、写真の様に、対になって土が盛り上がっている
「上久保一里塚」があります。

左右が対で残っている一里塚は少ないのです。
一里塚の先の坂を下っていくと「良寛歌碑」がありました。

 ”木曽路にて ・・ この暮れの もの悲しきに若草の 
  妻呼びたくて 小牝鹿(さおしか)鳴くも”
良寛歌碑から先は、旧中山道は分岐が続き、その都度、分岐
の標識が立っています。

しかし、その分岐の矢印が、分岐する道の中間を指している
のが多く、都度、立ち止まって考え込んでしまいます。
う~ん・・・?
迷いながら、慎重に、総合的に、矢印の向きを判断しながら、
ようやく下の写真のせん沢の道標に従い戦沢橋を渡ると、
中山道は石畳の道になり、林の中を進みます。


その先で道路は三又路になり、右は妻籠城、真ん中は妻籠宿、
左は飯田の表示です。


三叉路の中央の道を下って妻籠宿に向います。
林の中の道を抜けると、妻籠宿まで0.7kmの標識です。

広重の浮世絵「三留野」は、のどかな田園風景を描いています。

クワを持った農夫が、腰をかがめて草をむしっています。
農夫の女房は、子供の手を引き、昼飯とヤカンを入れた岡持ち
を頭上で支えて、あぜ道を運んでいます。

同じあぜ道で、風呂敷を背負った旅人が、農夫の仕事を眺めています。

右手の岡の上には、二つの鳥居が建っています。

三留野宿から妻籠宿までは、約6キロです。


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コメント一覧

更家
南木曽という駅名
http://blog.goo.ne.jp/mrsaraie
そう、由緒ある地名や駅名は守るべきだと思います。

中山道の沓掛宿にある中軽井沢駅も、旧駅名の沓掛駅に戻すべきだと思います。

一時的な地価の高騰を狙って中軽井沢に変更したりしたら訳が分からなくなります!

南木曽の土石流の復旧は、未だ、橋の架け替えを1か所、護岸の補強工事を2か所やっていましたが、観光や宿泊への影響はもう全くありませんでした。
Komoyo Mikomoti
南木曽
http://blogs.yahoo.co.jp/ya3249
死者まで出て、
中央線の線路まで流された土石流でしたが、
旧街道ももう修復されているようですね。
本当によかったです。

南木曽という駅名も悪くはないと思いますが、
本来は、三留野駅であるべきですよね。
古い地名を大切にしたいものです。
更家
三留野駅
http://blog.goo.ne.jp/mrsaraie
そうですか、南木曽駅は昔は三留野駅だったんですか。

駅名変更や地名変更で大切な歴史が失われつつあり残念ですよね。

でも、京急電鉄は、下記の様に、江戸時代の地名を駅名に残しているので偉いですよ。

泉岳寺、新馬場、北品川、梅屋敷、雑色、立会川、六郷土手、八丁畷、生麦、神奈川新町、仲木戸、神奈川。
よっちん
http://blog.goo.ne.jp/harigatake1961
南木曽駅は
昔は三留野駅だったんですよね。

その名前の方が
中山道の宿場らしくてよかったのになぁ。

更家
南木曽の土石流の復旧
http://blog.goo.ne.jp/mrsaraie
ありがとうございます。

南木曽の土石流の復旧は、2~3か所が工事中でしたが、中山道歩きや宿泊への影響はもう全くありませんでしたよ。

木曽路は、もう雪に閉ざされかけていますので、次回ブログの妻籠宿・宿泊まできたら、中山道一人歩きも雪解けの来春までお休みです。

その間、木枯しの吹く都心散歩をブログする予定ですのでよろしくお願いします。
hide-san
梨子沢川
http://blog.goo.ne.jp/hidebach
更家さんの記事に載らなかったところを見ると、
梨子沢川の土石流はもう復旧したようですね。
この後、南木曽を過ぎると、中津川宿まで汽車便が無くなり、
バスしかありません。
どうぞお気をつけて・・・ 楽しみにしています。
更家
御寺
http://blog.goo.ne.jp/mrsaraie
京都の泉涌寺は、地元の人は「御寺(みてら)」と呼ぶんですね。
そういう地元の呼び方は多いんでしょうね。

吉野山・勝手神社の袖振山は、行ったことがないですが、ロマンチックなイメージですね。
吉野はもう一度、桜満開の時期に行ってみたいです。
iina
御殿
http://blog.goo.ne.jp/iinna/
「御殿(みどの)」と呼ばれたから「三留野(みどの)」の地名になったのでしたか。
京都の泉涌寺は、皇室の菩提所として「御寺(みてら)」と呼ばれる。はい、神の総元締めの天皇家に仏事のお寺どす。
http://blog.goo.ne.jp/iinna/e/cd699650b0ee848e4199adbca5c85cf3

「そでふりの松」の伝説は、ロマンチックです。
袖ふりといえば、奈良の吉野山の勝手神社で、大海人皇子に天女が袖を振ったので、その山を袖振山といいます。
また、此処は源義経の静御前が捕えられて舞を踊った地でもあります。
http://blog.goo.ne.jp/iinna/e/7a227c263a751ae1e218473adec7e6b6

更家
春は大丈夫
http://blog.goo.ne.jp/mrsaraie
はるみんさん、お久し振りです。

中目黒は、平日の5時の点灯時がお薦めですよ。

表参道ヒルズのクリスマスツリーも素敵ですね。

秋の皇居は、来年あるかどうかわかりませんが、春の桜の時期の皇居の通り抜けは、毎年あるので大丈夫ですよ。
はるみん
こんにちは
いつも楽しく拝見しています

遠方はいつか行きたいな、、、と思いつつ

渋谷、中目黒はテレビ番組などを見ていつでも行けると、、、思いつつ、、、まだ行っていません!
表参道ヒルズはやっと初めて行きました~クリスマスツリーの根元の村の家々が素敵でした

皇居もそのうちにと思っていたら来年はないらしいですね




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