ウォーク更家の散歩(東海道・中山道など五街道踏破、首都圏散策)

中山道を歩く(33:贄川) 長野県塩尻市 7km 2014.09.12


(写真は贄川関所)

今年は、集中豪雨、猛暑、台風、異常気象と切れ間なく
続いて、中山道歩きが、なかなか再開出来ないでいました。

このところ、ようやくその異常気象もおさまり、秋めいてきた
ので、久しぶりに中山道の一人歩き旅を再開しました。

横浜駅に6時頃に着いて、新宿駅で7:30発のあずさに乗り
換え、更に、塩尻駅で中央西線に乗換えて、11時過ぎに、
前回の歩きの終点だった贄川(にえかわ)駅で下車しました。

島崎藤村の「夜明け前」の舞台となる「木曽十一宿」は、ここ
贄川(にえかわ)宿から始まります。

木曽十一宿の最北端にある贄川宿は、奈良井川の両岸に急な山
が迫る小さな宿場町です。

贄川・奈良井と続く4宿を「上四宿」、木曽福島からの3宿を
「中三宿」、野尻から馬篭(まごめ)までの4宿を「下四宿」
と呼んでいました。

また、ここ贄川宿には、木曽福島の関所の出先機関としての
番所(関所)が設けられていました。

夜明け前 (第1部 上) (新潮文庫)
島崎 藤村
新潮社



上の写真の贄川駅は、雰囲気のある古い無人の駅舎です。
贄川駅前の坂を上り切ったところに、”メロディ橋”
名付けられた跨線橋があります。

メロディ橋を渡ると、左下の坂の途中に、屋根に石を置いた
写真の贄川関所がありました。



まだ新人だというおばさんが、関所の各部屋について一生懸命
に説明してくれました。

江戸時代には、木曾福島の代官であった山村氏が、家臣を
贄川関所に配して、 婦女の通行と木曽檜の搬出を、特に
厳しく取り締まったそうです。
おばさんの説明によると、贄川と言う地名は、温泉が川の中に
湧き出していたので「熱川(にえかわ)」と呼んでいました
が、その”熱(にえ)”が”贄(にえ)”に転じたのだそう
です。
関所内部は、写真撮影禁止のため、以下は「贄川関所の
パンプレット」の写真と、BS東京テレビ「街道歩きの旅
・中山道」を使用しています。


上の写真は、 大名などが休憩する座敷です。


上の写真は、下番所で、手形持参人と責任者との取次ぎや荷物
改め等を行った部屋ですが、現在は資料室になっています。

上の写真は、上番所で、関所の責任者が、通行手形と発行者印
とを照合する手形改め等の業務を行っていました。
壁には、関所破りに備えた弓や鉄砲などが掛けてあります。


上の写真は、囲炉裏のある台所です。


(BS東京テレビ)


(BS東京テレビ)
上2枚の写真が、江戸時代の悪名高い「女改め」の様子と、
それが行われたという部屋です。

女改めの部屋の窓から下を眺めると、下は目が眩む断崖絶壁!
この様な絶壁では、ここの関所を通らざるを得ず、間道を
抜けて関所破りするのは無理だなあ・・・
贄川関所を出て贄川宿の町並みを歩きます。
贄川宿は、昭和5年の大火で町並みの大半を焼失したため、
宿場町の面影はあまり残っていません。

写真の贄川郵便局のポストは、贄川関所のおばさんによる
と日本に2か所しか無い有名な?英文のポストだそうです。

上の写真は、1854年竣工の「深澤家住宅」で、贄川宿には、
当時、行商を生業とする商人が集住しており、深澤家もそ
うした家の一つだったそうです。


上の広重の浮世絵は、「贄川」と題して、珍しく、夕暮れ
の繁忙時の旅籠屋の情景を描いています。
絵の中央では、到着した侍2人が、草鞋の紐を解き、タライの
水で足を洗っています。
柱と鴨居に掛かる紙は、この浮世絵シリーズの刊行にかか
わった版元、彫師、刷師の名前です。
馬子が荷物を下ろしている馬の尻掛に”三十四”とあるのは、
贄川宿が日本橋から34番目の宿であることを示しています。
道路上の右手の侍は、宿帳を手にした宿役人です。

宿場から、右手を走る国道19号に出ると、道路沿いに、樹齢
1000年という巨大な「贄川のトチの木」があります。

いや~、これは凄い!


ここから先は、山と山の間の狭い谷を、国道19号と中央西線
と奈良井川が並走します。

中山道は、奈良井川を渡り、中央西線の鉄橋をくぐります。

少し歩くと、左手に残る旧道へ入り、長瀬の集落へ向います。

お昼過ぎで、お腹がすいてきました。

関所のおばさんに、お昼にお奨めの食堂を聞いてきました!

その食堂が、この辺りにあるハズなのですが・・・

ありました! 

おばさんお奨めの蕎麦屋「ながせ」が!
岩魚(いわな)蕎麦(1,600円)を注文します。

岩魚が大きい!
珍しい山菜の天ぷらは、写真右から、あざみ、スイナ、
タンポポです。 上手い!


長瀬の集落を抜けると、すぐに再び国道19号に合流しました。

国道19号を少し歩くと、右手に「木曽ならかわ道の駅」と
「木曽くらしの工芸館」があり、中山道は、この「道の駅」
の右側から緩やかな上り坂の道を入ってゆきます。



左手に、楢川村役場が見えてきますが、その敷地内に、写真の
芭蕉句碑が建っていました。

”送られつ をくりつはては 木曽の秋”

これと同じ句碑が馬篭にもありますが、その経緯については、
島崎藤村の「夜明け前」に書かれており、概略は下記の様な話です。

 ⇒馬篭の庄屋の金兵衛の父が亡くなったので、金兵衛は、
  俳句が好きだった父を供養するために、馬篭宿の外れに
  芭蕉の句碑を建てました。
  
  句碑の”木曽の秋”には、「秋」ではなく「穐(あき)」
  の字が使用されていますが、句碑には崩した書体で書かれ
  ているので、”木曽の秋”ではなくて、”木曽の蠅
(ハエ)”としか読めない、と皆から酷評されます。

坂道を上ると、左手に諏訪神社があり、更に少し歩くと、江戸
時代から、みやげ物として人気があったという”漆器の街”
「平沢」に入ります。



木曾漆器の看板が並んでいます。



漆器の里というので、漆器屋が数軒並んでいるイメージで全く
期待していなかったのですが・・・





写真の様に、どの家も、旧家のたたずまいを残していて、由緒
ありげな漆器屋が、延々と続きます!



立派な漆器屋があまりにも多いので、ド胆を抜かれてしまい
ました!
平沢は、漆器の一大産地にちがいありません!

いや、日本中の漆器は、全てここで作られているのかも

そんな気がするくらい大きな町並みです!
でも、こんなに多くの漆器屋が並んでいて、経営的にやって
いけるのでしょうか?
平沢の町並みを抜けて、 中央西線の鉄橋をくぐると、再び
国道19号に合流します。

国道19号を暫く歩くと、右手に奈良井宿の看板が見えて
来ます。



右手の道に入り、奈良井大橋を渡って暫く歩くと、左手に
奈良井駅が見えて来ました。



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コメント一覧

更家
次回は奈良井で途中下車
そうですか、先月、松本城へ行ったんですね。

次回は、是非、奈良井で途中下車して見物して下さい。

見どころが、ほとんど奈良井駅の周辺に固まっていますので、効率的に見物出来ますよ。
尻毛 助左衛門
奈良井に行きたくなります
先日、9月上旬に相棒の尻毛又丸殿と松本城へ行きました。途中駅の奈良井に途中下車しようかと考えましたが、このブログを見て下車すればよかったと思いいたりました。
更家
同感です
http://blog.goo.ne.jp/mrsaraie
同感です。
妻籠や馬籠は、観光地化、テーマパーク化し過ぎて、俗化してしまうのが心配です。
奈良井や贄川は、中山道を歩いていても、ホットする感じで、宿場町の温かみを感じますよ。
よっちん
http://blog.goo.ne.jp/harigatake1961
私は妻籠や馬籠よりも
奈良井や贄川の方が好きなんです。

いいところですよねぇ。
更家
メロディ橋は新しい
http://blog.goo.ne.jp/mrsaraie
そうか、メロディ橋は出来てから未だそんなに経っていないんですね。

hideさんの「中山道ひとり歩る記」は、詳細なルート説明なので、一人歩きの事前予習として大いに活用させて頂いております。
hide-san
楢川村役場
http://blog.goo.ne.jp/hidebach
楢川村役場を見て懐かしく自分が歩いたころを思い出しました。

贄川関所前の橋(陸橋)がメロディ橋に変わっているのに驚きました。
2008年11月に歩いた時はありませんでしたので、
わずか六年の間にずいぶん変わりましたね。
更家
岩魚のテンプラ
http://blog.goo.ne.jp/mrsaraie
そうなんです、メロディ橋は、自分で叩いて音を出す橋、との関所のおばさんの説明でした。

ホントに大きな岩魚(いわな)のテンプラで美味しかったです。じゅるる~・・・

岩魚の骨酒、飲んでみたいです。ごっくん~・・・
iina
木曽は山ん中
http://blog.goo.ne.jp/iinna/e/e5a87949af075f4c1346bc1004c0888d
木曽は山の中ですねぇ。
若いころに塩尻峠を通ったことがありますが、馬篭などの中山道は未踏の地です。 ”メロディ橋”というからには、
欄干を叩くと音が出るのでしょうね?

岩魚(いわな)蕎麦が魅力です。岩魚の骨酒を飲んだことがありますが、フグのひれ酒のような味わいでしたから、
岩魚料理を食べてみたいです。更家さんは、iinaが "いわな" くても飲まれたことでしょう・・・。

>「リッチな渡り鳥」 、「力士のジャンプ」、「寝違えたキリン」 、「犬の後始末」 、「解放」で思わず笑ってしまいましたよ。
ありがとうございます。 m(_ _)m
http://blog.goo.ne.jp/iinna/e/e5a87949af075f4c1346bc1004c0888d

更家
再開、頑張ります!
http://blog.goo.ne.jp/mrsaraie
激励、ありがとうございます。

原人さんも、3月の雪の鳥居峠越え、大変でしたよね。

この先のレポートも頑張りますので、お楽しみに!
船橋原人
中山道歩き再開
いよいよ再開されたようですね。
この先の紀行も楽しみにしています。

詳しいレポートなので街道の様子が良く解ります。
3月に奈良井宿から贄川まで歩きましたが、気づかなかった場所が沢山あります。じっくりと見て歩くのは楽しみが多くて結構です。この先も気をつけて歩いて下さい。
更家
いよいよ木曽路のハイライト
http://blog.goo.ne.jp/mrsaraie
そう、ようやく中山道一人旅の再開です。

そう言えば、関所では、私も、新人の受付のおばさんが、お茶を入れて説明してくれましたよ。

平沢は、私が行ったときは、あまり人出がなかったのですが、やはり、漆器祭とかは凄い人出なんですね。

いよいよ、次回は、木曽路のハイライトの一つ奈良井での話です。
Komoyo Mikomoti
中山道
http://blogs.yahoo.co.jp/ya3249
いよいよ中山道ですね。

贄川関所では、同じ人ではないでしょうけど、
受付のおばさんが、お茶を入れて、
失われた中山道の部分を地図を書いて教えてくれました。

平沢に初めて行ったときは、
木曽漆器祭という祭りの日で、
凄い人出だったことを憶えています。

いよいよ、木曽路のハイライトですね。
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