ウォーク更家の散歩(東海道・中山道など五街道踏破、首都圏散策)

中山道を歩く (34-2:奈良井:鳥居峠) 長野県塩尻市 5km 2014.09.13


(写真は、鳥居峠の熊避けの鐘)
奈良井宿から次の薮原宿へ向かう中山道は、標高1197mの
難所である鳥居峠を越えなければなりません。

翌朝、「民宿しまだ」の朝食は、横浜のKさんと2人です。
民宿の女将さんは、朝食後に、宿で出す山菜を採りに鳥居峠へ
行くとのこと。

またKさんも、朝食後に鳥居峠越えの予定です。
そこで、Kさん、女将さんと鳥居峠の頂上までご一緒する
ことになりました。
これで、鳥居峠も道に迷う心配もなく一安心です!

3人で宿を出て、鳥居峠を目指して奈良井宿の端へ向います。
宿の南の端に、昭和48年に復元された高札場がありました。

高札場の横には、水場が設けられています。

旅人の渇きを癒したのでしょう。
高札場の隣は、「鎮(しずめ)神社」です。

奈良井宿に疫病が発生したときに、それを鎮めるため、
1664年に本殿が建てられたそうです。

鎮(しずめ)神社の先に、右側に登る階段がありますが、これ
が鳥居峠へ向う旧中山道の上り口です。





階段を上がって草道を歩くと、中山道は一度広いアスファルト
道路に出ますが、また少し歩くと、右手に「中山道・石畳道」
の入口の表示があり、ここから本格的な鳥居峠を越えが始まり
ます。




石畳の道の上り坂が終わると、写真の様に、小さな沢を横切る
橋が次々と続く上り道です。







しばらく登ると、左手に、上の写真の展望台があり、上がって
みましたが、周りを木々に囲まれ、見晴しは余りききません。





展望台から先は緩やかな下り坂で、暫らく歩くと休憩所の
ような小屋が見えて来ました。

その小屋が「中の茶屋」跡でした。


中の茶屋跡の先も、沢に架かる木橋を次々に渡ります。













女将さんは山菜を採りながら、私はブログの写真を撮りながら
なので、3人で抜きつ抜かれつで進みます。


最後の長い急坂を、一気に上り詰めると、写真の「峰の
茶屋」がありました。

英泉が奈良井宿と題して描いたといわれる茶屋です。

茶屋の後ろは、展望が開けていて、ここからは、奈良井宿が
良く見えます。


茶屋の横には、水量豊かな水場がありました。
峰の茶屋の前の道を少し進むと、村界の標識があり、ここに
標高1197mの表示があるので、多分、ここが鳥居峠なのでしょう。
鳥居峠は、木曽川と、信濃川の上流である奈良井川の分水嶺を
なしています。
奈良井駅から約3.6キロ、薮原駅から約3.0キロの距離です。
峠の頂上からは御嶽山や駒ケ岳が見えるハズです。
木曽の領主・木曽義元が、松本の小笠原と戦った時、この頂上
から御嶽山を拝して戦勝を祈願しました。
そして、戦勝したので、ここに鳥居を建立しました。
これが「鳥居峠」の由来です。
私も、ここで、御嶽山の方角に向かって拝礼します。
(私が拝んだのは、噴火のちょうど1週間前でした・・・)
この村界の標識を少し下ると、道は3本に分かれますが、
中山道は、栃の木が群生している真ん中の道を進みます。

ここで、Kさん、女将さんとはお別れです。
私は、遅れて、ブログ用の写真を撮りながら、ゆっくりと進みます。
栃の木が群生する道の入口には、写真の「熊除けの鈴」が!!




”熊も人が怖いので鐘で知らせてあげましょう、
 と書かれています・・・
心配性の私も怖いので、何度も思い切り鐘を打ち鳴らします。

その先には、栃の木の群生地があり、木祖村の天然記念物
「鳥居峠トチノキ群」の碑がありました。


そのトチノキ群の中に「子産の栃」という大木がありました。



昔、この大木の穴に捨て子があったので、村人がこの捨て子を
育てたところ、幸福になったことから、この木の実を煎じて
飲むと子宝に恵まれる、と言われているそうです。

少し歩くとまた、同じ「熊除けの鐘」の看板がありました。



カンカンカン、かなり大きな音が周囲に鳴り響きます。
注意喚起の看板だけではなくて、鐘まで設置しているのは
中山道でも鳥居峠だけです。
鳥居峠は、そんなに熊が良く出るのでしょうか?

さらに進むと、やがて右手に鳥居があり、その上が「御嶽山
遥拝所」となっていますが、立入禁止の表示があります。
仕方なく、更に下ってゆくと、右側に写真の「義仲硯水」が
ありました。

木曽義仲が平家打倒のため旗揚げして、北国へ攻め上がるとき
に、戦勝祈願の願書をしたためるのに使った水だそうです。
義仲硯水から少し下ったところに、丸山公園があり、公園には
多数の石塔が立っていましたが、その中に下記の「芭蕉句碑」
もありました。

松尾芭蕉の句碑

”木曽の栃(とち) うき世の人の 土産かな”



上の写真の中央が「信濃十名所鳥居峠」の碑で、右が
”雲雀より うへにやすらう 嶺(とうげ)かな”
の芭蕉の句碑です。


(木祖村史跡鳥居峠の石碑)



英泉の浮世絵「藪原 鳥居峠 硯(すずり)ノ清水」では、
遠景に御嶽山、左端は、
”雲雀より うへにやすらう 嶺(とうげ)かな”
の芭蕉の句碑です。
 
そして、芭蕉の句碑の下に、ちょっと見辛いですが、硯ノ清水
が描かれています。

次の写真の「鳥居峠古戦場の碑」には、戦国時代木曽氏が甲斐
の武田軍を迎え撃った様子が書かれているそうです。

この先は、つづら折りの下り坂を、一気に下ってゆきます。








すると、もう一カ所同じように鐘が置いてある場所があった
ので、もう一度ここでも鐘を打ち鳴らします。



鐘は、驚くほどの大きさで山にこだまします。

私は、和田峠で使用した熊除けの鈴を持って来ましたが、
今回は特に持ってきて良かったと思いました。





更に、最後の石畳の坂を下ってゆくと、やがてアスファルト
道路と交差、その右手の消防署の前にトイレが!

歳をとると近くなるので助かります!


その交差点を直進すると、まもなく薮原宿です。

鳥居峠では、土曜日ということもあり、下り坂では、20人
くらいの登りの人とすれ違いましたが、そのうち半分くらい
は外国人でした。

鳥居峠は、中山道三大難所の一つに数えられていますが、
碓氷峠や和田峠に比べると距離も短く、難所というほどの
ことはありませんでした。

むしろ、晴天に恵まれて、森林浴を楽しむ快適なハイキングでした。


BS東京テレビ「街道歩きの旅・中山道」では、下の写真の
様に、普段は全く歩かない”ぶりっ子アイドル”の「さとう
珠緒」でさえ鳥居峠を超えて行きましたから、これから
中山道を歩こうという皆さんも心配には及びませんよ。




奈良井宿から薮原宿までは、約5キロです。


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コメント一覧

更家
鳥居峠越えは土曜日を
そうでしたか!
実を言うと、臆病な私は、ウォーキングの人が多い土曜日を鳥居峠越えにしました。

日曜日の方が、更にウォーキングの人が多いのですが、日曜日の峠越えのためには、土曜の夜の宿をとる必要があり、こちらは混んでいるし高いし、で無理でした。
Komoyo Mikomoti
鳥居峠
http://blogs.yahoo.co.jp/ya3249
私は逆コースで越えたのですが、
正直いうと熊が心配で、
JR東海主催の《さわやかウォーキング》が、
藪原~奈良井コースで開催された日にあわせて歩きました。
というのは、このイベントは熊情報があると中止になるからです。
自然を楽しむことができるコースですが、
熊には会いたくないものですね。
更家
さらにいえ(更家)ば
”さらにいえ(更家)ば”、ですか!、相変わらず冴えていますね!

”鈴懸の径”は、懐かしい歌で、少し響きも似ていますが、内容はあまり関係ありません?でしたね・・・

迷いそうな道を独りで山奥まで行くのは、慣れているとはいえ緊張します。
iina
熊避けの鐘
http://blog.goo.ne.jp/iinna/e/3edcf3a1c73bf57c6dadf56ee71610d2
「すずかけのみち(鈴懸の径)」という歌を、ザ・ピーナッツが歌ってましたが、「熊避けの鐘」があるのですね。
なんとなく響きが似てます。(^^ゞ

何か所にもこの鐘があると、熊が怖くて何度も強く叩いた更家さんの姿が、目に浮かびます。

迷いそうな道をとおって、古道に慣れているとはいえ独りで山奥まで行くものですね。

「心肺停止」は、死亡か否か医者が最終判断してないのと、さらにいえ(更家)ば、遺族の心情としても、蘇生の
可能性が残されている限り、死亡扱いにして欲しくないでしょう・・・。

更家
快適なハイキング
原人さんの峠越えは、積雪の上に雨では大変な難行でしたねえ!

私のときは、ほんとに、天候の良い日で、快適なハイキングでした。
3人一緒だったので、峠越えも安心でした。

この先のレポートもお楽しみに!
船橋原人
鳥居峠越え
天候の良い日にしかも3人で峠越えを無事終えて
良かったですね。
我々は逆コースでしたが、路上には積雪、しまも途中から雨が降り出す悪天候でした。
やはり旅は「好天」が一番です。
また、熊も出没しなくて良かったと思います。
この先も楽しみにしています。
特に自分が歩いた地点の記事を待っています。
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