(写真は、東京駅を設計した「辰野金吾」による
「武雄温泉の楼門」)
先月、所用で実家の熊本に帰省した際に、
JR熊本駅から鹿児島本線に乗り、鳥栖駅で
長崎本線に乗り換え、武雄温泉駅で下車して
「武雄温泉」に行って来ました。
JR熊本駅 → (鹿児島本線) → 鳥栖駅
→ (長崎本線) → 武雄温泉駅
「武雄温泉」の温泉街は、上の写真の武雄温泉駅
から、徒歩約10分のところにあります。
約1300年前に書かれた「肥前風土記」の中にも
出てくる「武雄温泉」には、神功皇后も入浴した
と伝えられます。
そして、1590年代の「文禄・慶長の役」の際は、
朝鮮出兵のために、豊臣秀吉によって名護屋城に
集められた兵士達が武雄温泉に入浴しました。
その際、秀吉は、この兵士達が、他の入浴客に
迷惑をかけない様に「入浴心得」を発しました。
その後、江戸時代に入ると、武雄温泉は、長崎
街道の宿場町として栄え、宮本武蔵なども訪れ
ました。
そして、幕末には、シーボルトや吉田松陰らも
入湯したそうです。
温泉は、「美人の湯」と呼ばれ、サラッとした、
柔らかな湯ざわりの弱アルカリ単純泉です。
温泉の入り口に立つ朱塗りの「楼門(ろうもん)」
は、「天平式楼門」と呼ばれる、釘を1本も使用
しない方法で建てられており、国の重要文化財
です。
この楼門は、東京駅や日本銀行を設計した「辰野
金吾」によって、1915年に建てられました。
ところで、東京駅のドームの天井には、ヘビや
タツなど8つの干支(えと)のレリーフがある
のをご存知ですか?
十二支(じゅうにし)のうちなぜ8つだけ
なのか?、長い間、謎とされていました。
(東京駅のドームの天井の干支については、
「東京駅リニューアルオープン」を見てね。)
そして、近年、武雄温泉の管理会社が、「楼門」
の2階の天井にある4つの干支のレリーフと、
東京駅のドームの天井にある8つの干支の
レリーフを合わせると、十二支が揃うことが
わかったと発表しました。
これは、辰野金吾が仕掛けた壮大なミステリー
だったんですねえ。
(楼門の2階の4つのレリーフの公開は、毎朝9時
~10時の1時間のみ(除:火曜)なので、
お昼頃に着いた私は、楼門のレリーフの実物は
見学出来ませんでしたが・・・)
楼門を入った奥にある次頁の写真の「武雄温泉
新館」(国重要文化財)も、辰野金吾の設計です。
こちらも竜宮を連想させるような鮮やかな色彩と
形が特徴です。
桜門から見える新館の辺りの景色は、アニメ映画
「千と千尋の神隠し」を思わせます。
新館は、昭和48年までは共同浴場でしたが、
現在は、武雄温泉の資料館として開放されており、
当時の共同浴場の内部を自由に見学することが
できます。(入場無料)
新館の中央の入り口から入って、右手が「五銭湯」
の女湯、左手が「五銭湯」の男湯、その奥が
「十銭湯」でした。
(「五銭湯」の男湯。女湯も同じ造り。)
五銭湯の天井には、写真の様に、湯気抜きの塔が
あります。
上の写真は、「十銭湯」で、五銭湯より狭い浴槽
ですが、浴槽底のタイルは、マジョリカタイル
です。
マジョリカタイルは、イギリスの陶器メーカーの
商品名の高級タイルですが、この十銭湯の
マジョリカタイルは全て和製の模造品だそう
です。
当時の浴場の見学を終え、新館の2階へ
上がります。
当時は、2階は、次頁の写真の様に、入浴
した後の休憩所でした。
上の写真の様に、新館2階の中央窓からは楼門を
一望出来ます。
新館の見学を終えて、私は、地元の人がよく
入りにくるという上の写真の「元湯(もとゆ)」
(400円)に入りました。
明治9年建築の「元湯」は、現在使用されている
温泉施設の建物としては、日本最古だそうです。
次頁の写真の様に、44~45度の「あつ湯」と、
42~43度の「ぬる湯」の浴槽が隣りあわせに
並んでいたので、私はぬる湯の方に入りました。
(武雄温泉のパンフレットから)
高い天井と広くてゆったりとした浴槽で、
レトロな雰囲気が漂っていて素敵です。
この「元湯」の他にも、「鷺乃湯(さぎのゆ)」
(600円)、「蓬莱湯(ほうらいゆ)」(400円)
等の大衆浴場があります。
更に、大衆浴場以外にも、「殿様の湯」や「家老
の湯」などの7部屋の貸切湯もあります。
(1室1時間3,800円)
殿様湯は、江戸時代の中期に、武雄領主の鍋島氏
専用の風呂として造られた総大理石の豪華な風呂
だそうです。
(殿様湯:武雄温泉のパンフレットから)
武雄温泉の楼門の周辺には、立ち寄り湯が
楽しめる旅館やホテルが点在しています。
武雄温泉駅に戻り、駅の南口から、嬉野温泉
行きのJR九州バスで15分の人気の紅葉
スポット「御船山楽園」へ向かいます。
「御船山楽園」は、標高210メートルの御船山の
山麓にある武雄領主・鍋島氏の別邸跡の池泉
回遊式庭園で、東京ドーム10個分ほどの広大な
広さです。
また、御船山楽園の隣の枯木塔バス停の前にある
近くにある写真の「慧洲園(けいしゅうえん)」
にも立ち寄ってみました。
慧洲園は、池泉回遊式の日本庭園で、”昭和の
小堀遠州”と称えられた中根金作の作だそうです。