車内アナウンスを聞いた男性は、勝ち誇ったようにオジサンに詰め寄った。
「ほ~ら言ってんだろ、7人がけなんだよ!ユーガに座ってんじゃねーよ、詰めて座れよ!」
「だ…だからって無理やり押してこなくても」
「テメーラが詰めてねーからだろ!自業自得なんだよ!」
「でも言いようが」
「分からねー奴に教えてやってんだろォ?だいたい迷惑なんだよ!そういう」
「あァもうわかった、分かりましたよ!もういいですよ」
何を言っても無駄と判断したのか、オジサンは男性に対する抗議をやめた。
が、スッキリしないのか 小さな声でブツブツと文句を言っている。
「ナンだよまだ何かあンのか?! 大体なぁ、ここは7人がけなのに…」
「ちょっと、もうやめなさいよ。あんたのほうがウルサくて迷惑なんだよ」
なおも声を荒げる男性に、向かいに立っていた若者が努めて静かに声をかけた。
すると男性は 若者をチラッと見上げ、即座に言葉を切り返す。
「オメェのほうがウルサイんだよ!イヤホンのボリュームくらい絞れよ!!」
見ると、確かに若者は白いイヤホンをして何かを聴いていた。
性能のいいイヤホンのせいか音漏れはしていなかったが。
「なっ…ちゃんと絞ってますよ!」
「ったくシャカシャカ シャカシャカ、そっちのほうがウルサくて迷惑なんだよ!」
「なっ…、…う… …」
何を言っても無駄と判断したのか、若者も男性に対する抗議をやめた。
男性は スポーツ新聞を自分の身体の幅に折り畳んで、読み出した。
そして満員の車内は、気まず~い空気を残しながら 静けさを取り戻した。
(『この若者は音漏れしてないですよ』って言ってやろうかな)
(でも そしたら今度は私が何か言われるのかな)
(何を言われるかなあ。ケータイなんかいじってんじゃねーよ、とかかなあ)
(でも どうしてこの人は こんなにケンカ腰なんだろう)
(何か煮詰まっているのかな。普段からこんな感じなのかな?)
(確かに皆が考える正論なんだけど、言う人と言わない人の違いはなんだろう)
(この人は知り合いにこういうところを見られても恥ずかしくないんだろうか)
(恥ずかしくないんだろうなぁ)
(会社の人に見られても平気なのかなあ。ネクタイしてないけどサラリーマンかな?)
(あ、封筒持ってる。でも社名が見えないなぁ)
(もしやハローワークだったりして)
・
・
・
いろいろ考えながら、私はちょっと後悔したのだった。
「ああ!ケータイいじってたんだから、録音すればよかった~~!!」
以上、ドラマのようなホントの話でした。
車内アナウンスも巻き込んでのツッコミの応酬に、
よく出来たコントを見たような朝でした。。。
「ほ~ら言ってんだろ、7人がけなんだよ!ユーガに座ってんじゃねーよ、詰めて座れよ!」
「だ…だからって無理やり押してこなくても」
「テメーラが詰めてねーからだろ!自業自得なんだよ!」
「でも言いようが」
「分からねー奴に教えてやってんだろォ?だいたい迷惑なんだよ!そういう」
「あァもうわかった、分かりましたよ!もういいですよ」
何を言っても無駄と判断したのか、オジサンは男性に対する抗議をやめた。
が、スッキリしないのか 小さな声でブツブツと文句を言っている。
「ナンだよまだ何かあンのか?! 大体なぁ、ここは7人がけなのに…」
「ちょっと、もうやめなさいよ。あんたのほうがウルサくて迷惑なんだよ」
なおも声を荒げる男性に、向かいに立っていた若者が努めて静かに声をかけた。
すると男性は 若者をチラッと見上げ、即座に言葉を切り返す。
「オメェのほうがウルサイんだよ!イヤホンのボリュームくらい絞れよ!!」
見ると、確かに若者は白いイヤホンをして何かを聴いていた。
性能のいいイヤホンのせいか音漏れはしていなかったが。
「なっ…ちゃんと絞ってますよ!」
「ったくシャカシャカ シャカシャカ、そっちのほうがウルサくて迷惑なんだよ!」
「なっ…、…う… …」
何を言っても無駄と判断したのか、若者も男性に対する抗議をやめた。
男性は スポーツ新聞を自分の身体の幅に折り畳んで、読み出した。
そして満員の車内は、気まず~い空気を残しながら 静けさを取り戻した。
(『この若者は音漏れしてないですよ』って言ってやろうかな)
(でも そしたら今度は私が何か言われるのかな)
(何を言われるかなあ。ケータイなんかいじってんじゃねーよ、とかかなあ)
(でも どうしてこの人は こんなにケンカ腰なんだろう)
(何か煮詰まっているのかな。普段からこんな感じなのかな?)
(確かに皆が考える正論なんだけど、言う人と言わない人の違いはなんだろう)
(この人は知り合いにこういうところを見られても恥ずかしくないんだろうか)
(恥ずかしくないんだろうなぁ)
(会社の人に見られても平気なのかなあ。ネクタイしてないけどサラリーマンかな?)
(あ、封筒持ってる。でも社名が見えないなぁ)
(もしやハローワークだったりして)
・
・
・
いろいろ考えながら、私はちょっと後悔したのだった。
「ああ!ケータイいじってたんだから、録音すればよかった~~!!」
以上、ドラマのようなホントの話でした。
車内アナウンスも巻き込んでのツッコミの応酬に、
よく出来たコントを見たような朝でした。。。
長いお話お疲れ様でした。
でも新聞を自分の幅に折ったり人に気を遣うことの出来る人ではあるのか?
しかしバランスの悪い人だのぅ…。
あたしもその昔渋谷で
「勝手にしろっ!」
と男の人が叫び、ビニ傘を床に叩きつけ踵を返し足早にその場を歩き始めると、後ろには泣き崩れる女の人が。
なんて事がありました。
う~ん、東京ってドラマチックですね。(笑)