その一の続き
栗も全国的に不作が続いており、一昨年からはスーパーに並べられる栗の数も減っている。黒豆は不作ではないようだが、元から収穫量が少なく、安い食材とは言えない。生豆はスーパーでも購入できるが、とにかく時間のかかる食品なのだ。最低でも一晩は水に浸し、煮るのに少なくとも数時間は必要だろう。
圧力なべを使えば時短になるが豆は煮えても味がしみない為、蓋を外してさらに煮る必要がある。年末の料理番組ではよく黒豆の煮方を放送しているが、少なくとも私は圧力なべを使ったやり方を見たことがない。師走に5~6時間もかけて煮るのは大変だが、やはり圧力なべは邪道か。
黒豆、栗きんとん、昆布巻きなどのおせちはハレの日の食べ物であり、昔から普段は口にしなかったのだ。黒豆、栗きんとんはスイーツでおかずにならないが、砂糖が貴重だった昔はご馳走だった。
斎藤幸平准教授が黒豆、栗きんとん、昆布巻きを和牛よりもずっと世界に誇れるクールジャパンになるはず、と断言するに至っては、美的感覚は絶望レベル、としか言いようがない。
これら食品は単品では実に地味でインスタ映えもせず、何処がクールだ?器や盛り付け方で見栄えよく見せるやり方もあるが、和牛はもちろん寿司にも遥かに及ばない。おせちの中でもメインとはいえず、他の食品の引き立て役にも見える。
やたら伝統的日本食に拘る男の中にはロクに料理をしたことがなく、その知識もない類がいる。たぶん斎藤氏は料理は母や妻にでも任せっぱなしで、やる必要がなかったのかもしれない。ドイッチャー記念賞とやらを史上最年少で受賞しても、伝統食への認識はお粗末の極み。
その意味では厨房に入らず、伝統的日本食以外認めない昭和一桁の頑固親父に通じるものがある。この類の男たちは化学調味料さえ認めない者もおり、昭和62年(1987)生まれの氏も伝統に拘りがあるのやら。
斎藤氏もコラムで触れているが、昨年からメディアはやたらスウェーデンの少女活動家グレタ・トゥンベリを持ち上げている。河北新報の読者コーナー「声の交差点」には、グレタを称賛する高齢者や若者の投稿を何度か載せている。
メディアで大々的に取り上げられれば世間知らずの若者は鵜呑みにし、世界中で多くの若者の支持を獲得してもおかしくはない。ただ、同年代でも彼女を疑問視する者もいるはずだが、その声は決して報道しない。尤も彼らは仲間から孤立するのを恐れ、黙っていることも考えられる。
対照的にネットではグレタに対する懐疑的な見方や非難は少なくない。実は海外でも疑問視する者がいて、グレタに対する海外の反応を紹介した記事には、「グレタ・トゥーンベリよ、気候変動についてに抗議するなら世界最大のCO2排出国である中国に行け」と言った経済誌『フォーブス』の声が載っている。
この主張は全くの正論だし、中国やインドにはグレタが黙っていれば疑惑が持たれても当然だろう。中共から活動資金が出ているといった噂もあるが、インド人環境活動家とも繋がりがあるようだ。彼女のFacebookは父親とインド人環境活動家が投稿していたことを暴いたまとめサイトもある。
さらにまとめサイトには、グレタが反政府極左運動組織アンティファ支持者と判明か?という記事もある。日本のメディアではまず取り上げられないが、アンティファとは「アンティ・ファシスト」の略で、暴力活動も辞さない反政府極左運動組織なのだ。この組織のロゴ入りTシャツを公衆の前で着用していたならば、アンティファ支持者と見なされる。
グレタの背後にいる組織はグリーン産業へ投資する国際金融資本という記事もあるが、これも興味深い。拡大する環境産業には利権目当てに巨額の先行投資が行われているようだ。そのおこぼれに預かろうとする知識人もいる。
「環境欺瞞の黒幕」というブログ記事は実に読ませられた。地球温暖化の旗振り役はモーリス・ストロングなるカナダ人だが、2006年、国連石油食糧交換プログラムの資金100万ドルを横領、有罪(米連邦裁判所)になると中国に逃げた人物だったことを初めて知った。
殊に同じブログ管理人による「環境問題、温暖化交渉はドイツの目くらまし外交だった」は目からウロコ。メディアはやたらドイツの環境政策を持ち上げ、ドイツシンパの斎藤氏が地方紙にも寄稿するのは自然の流れだろう。
結論から言えば斎藤氏の経済思想とは、上級国民以外は実行も難しい高価で手間暇のかかる伝統的日本食を作り続けることなのだ。根拠なしにおせちと気候変動対策をこじ付けるコラムを書く方も書く方だが、載せる新聞も新聞だ。だから新聞のコラムはもう信用しない。
◆関連記事:「新聞、ТVに出ている人だから…」