世間知らずで常に机上の空論を弄し、そのくせプライドは極めて高い、というのが学者に対する世間一般の評価だが、おせちと気候変動対策を絡めるコラムが1月7日付の河北新報に載った。
昨今は下らな過ぎて新聞のコラムを読むこともあまりないため、件のコラムは見逃していたが、先日掃除に使うため古新聞を開いたら、たまたま「おせちから始めよう」というコラムが目に入った。寄稿は斎藤幸平なる大阪市立大准教授。新聞には斎藤氏の経歴をこう紹介している。
―1987年東京都生まれ。大阪市立大准教授。ドイツ・フンボルト大で博士課程修了。優れたマルクス研究者に贈られる2018年「ドイッチャー記念賞」を日本人初、史上最年少で受賞。著書に「大洪水の前に」、編著に「未来への大分岐」。
wikiにも斎藤氏の解説があり、何故か生年はあっても月日は記載されていない。略歴には学んだ大学は全て欧米のみで、出身高の記述なし。そして著書「大洪水の前に」の副題は「マルクスと惑星の物質代謝」なのだ。但し氏は理系ではなく文系、マルクス主義哲学や経済学が専門である。尤もマルクスも文系だったが。氏のコラムは次の文章で始まる。
―ついに東京五輪の年が明けた。楽しみにしている人も多いだろうが、問題は山積みだ。なかでも、マラソンと競歩の殺法移転は大ニュースとなった。そもそも気候変動の影響で、北半球の夏が屋外スポーツに適さない環境になっているのである…
続けて「変わる価値観」という小見出しがあり、スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリをこう取り上げている。
―スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさんが温暖化対策を訴える「学校ストライキ」も、世界中で多くの若者の支持を獲得した。世界の価値観は大きく変わりつつある…
コラムは以下の文章で結ばれている。
―気候変動への真剣な取り組みは、経済成長だけを追い求め、自然環境を破壊するライフスタイルの見直しを求める。だがそれは、現代社会で忘れられつつある日本の伝統の再評価にもつながる。
近年日本では、立ち食いのステーキがはやっているが、大量の肉食文化には牛肉飼育のための農地確保が必要で、南米アマゾンの大量伐採と森林火災とも無縁ではない。
一方、お正月のおせち料理は、黒豆、栗きんとん、昆布巻きなど、持続可能な伝統的日本食の力を再認識させてくれる。その勢いで、菜食主義と言わずとも、「ノーミート・マンデー」を試してみたらどうだろうか。それこそ、「WAGYU(わぎゅう)」よりも、ずっと世界に誇れるクールジャパンになるはずだ。
コラム末尾には「経済思想家」の肩書があるが、市立大准教授というのはこんなズレまくった戯言を並べても務まる職業らしい。斎藤氏は黒豆、栗きんとん、昆布巻きの三種を挙げているが、文章からはこれらを作ったことはないと言っているに等しい。おせちどころか、ロクに料理をしたこともないのではないか…と私は見ている。
そもそも氏が挙げた三種は食材も高めで、作るには実に手間暇がかかる食品である。流行りの時短とは対照的な料理だし、家計負担からすれば実に非経済的なのだ。裕福な有閑マダムは別だが、一般の子育て中のワーキングマザーならしょっちゅう作れる代物ものではない。件のコラムは女性読者向けに投稿されたのだろうが、主婦をあまりにもバカにしている。
黒豆、栗きんとん、昆布巻きを持続可能な伝統的日本食という斎藤氏だが、昆布が高騰していることも知らないのか?気候変動の影響なのかは不明だが、近年漁獲量が激減しているのだ。これが一時的な現象であればいいが、最悪の場合、日本の海域から消滅する可能性を指摘する人もいる。高値になりすぎて庶民が買えなければ、昆布巻きの持続は不可能だ。
採れても幅の狭い昆布が多く、巻物を作るには何枚も必要だし、ロールキャベツと違って巻くのがまた楽ではない。年末はスーパーでも昆布巻きが売られているが、昆布の原産地が中国であることが多い。いったい「経済思想家」とやらの頭の中はどうなっているのやら。
その二に続く
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や簡単具材が売れるというのはやっぱり作らないとわからないですよね。黒豆なんて圧力鍋で、十分水に漬けたうえで云時間単位ですもんね。
肉食云々とか言いますが漁業は乱獲されるは鯨はのさばるはで大衆魚ですらどんどん値上がり。サンマなんて私が入社した年はセールで1尾48円なんて売価が付いたことがありましたが、現在ではありえない価格でしょう。アジもサバもイワシも値上がり!良質のたんぱく質を確保する手段も考えてないのがまるわかりです。どうせ大豆を!とか言いそうですが世界の大豆の大部分の用途が牛用の飼料でああり、大豆畑の開墾で森林が破壊されてるので十分なたんぱく質を獲得しようと思えば牛に食わせてから食べるか、直接食うかの違い程度で、どう転んでも大した違いはないだろうと思います。
魚はどんどん値上がりしているし、これでは魚離れは当然でしょう。大衆魚のホッケもすっかり不漁で輸入物も安くありません。20年近く前までは、食堂の焼魚定食にもなっていたのに。
「経済思想家」の肩書なのに、良質のたんぱく質を確保する手段も考えてないのだから笑えます。尤も新聞に寄稿する学者に名案を期待するのは無駄ですが。
代替肉にも安全性に疑問が出ています。一部には遺伝子組み換え食品や過剰な添加物、染料を使用しているケースもありますから。
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