私の若い頃、折りしもバブル景気の時代と重なる。当時の社会風潮を紹介したサイトもあり、読んでみると懐かしい。しかし、この時代の若者全てがここに書かれてある通りのライフスタイルを送っていたのではなく、私自身地方都市に暮らしていることもあり、元から社交的ではなくへそ曲がりのためか、ジュリアナ東京にも結局行かずじまい、トレンディドラマも好みではなくあまり見なかった。
類は友を呼ぶのか、私の周囲にもマスコミで取り上げられるようなトレンディな暮らしをしている者がいたとは思えない。ドラマはどうしても誇張もあり、事実そのままを映像化しているとは限らない。それでも好景気の恩恵は受けておりボーナスもアップ、高値に釣られ株を購入した私の親戚もいる。それまではコスメとファッション、料理と恋愛記事ばかりの女性誌までも株について特集、株で幾ら儲かったの類の体験談が載っていた。首都圏の若者なら株を買った人も少なくなかったのかもしれない。
私の知人に山一證券に勤めていた女性がいる。バブル時代は四大証券の一社として空前の利益を上げていたはずだ。ただ、私自身は株を買わなかったし、彼女も私に勧めたことはなかった。私と同じ年のその女性は派手どころか堅実であり、ブランド品もあまり持ってなかったように思える。そして彼女は、勤め先の倒産前に目出度く寿退社している。
私が今使っているポケットテッシュカバーは彼女に貰ったものであり、裏に山一證券の文字が入っているため、この会社と無縁のはずなのに何故か捨てられない。
当時は金利が高かったため、高利回りの金融商品に手を出した若者もいたことだろう。しかし、株に対してアレルギーのある私は郵便局に貯金するほどだった。職場の上司からも「(何かあれば郵便局にいく)田舎の婆さんみたいだ」とからかわれたが、当時の郵便局の定額貯金は金利も高く、十年据え置きで税引きでも6%ちかくも利子がついたのだ。下手に危ない橋を渡るより、“田舎の婆さん”式の方が安全だったはず。ケチで小心者、度胸のない私にはギャンブルなどやれそうもない。
携帯もネットもない時代なので、私も含め当時の若者達はメディアで流される情報を殆ど受け入れていたと思われる。ヒットチャートのトップはCMソングが多く、いかにTVの影響力が凄かったのか分る。マスコミで取り上げられる流行に従わなければダサいと見なされ、とかく皆と歩調をあわせたがる日本人の気質なら、流行おくれと言われることに耐えられなかっただろう。こうしてメディアは大衆を消費行動に駆り立て、追い込み、必要としないものまで買わせるよう仕向けたが、資本主義社会ゆえにこれが可能だった。
時代は変わり、現代の若者はあまり消費しないようで、昨年そのことを取り上げたネットニュースがあった。この中でジャーナリストで経営コンサルタントの中島孝志氏は現在の20代を「かわいそうな世代」と評し、「20代がお金を使わずに貯金しているのは、自己投資をしていないのと同じだから、これからの人生に向かって投資しなさい、と言いたい。投資は成功も失敗もあるけれども、どちらがおもしろい人生を送れるか、ということだと思うんです」と主張する。
当然、中島氏の発言には多くの若者から批判が寄せられた。中年世代だが私も彼らのコメントに共感したし、ネットがある分、むしろ今の20代の方が堅実だとの感想を抱いた。今の20代はジャーナリストの意見をあっさり信用しなくなっているのは頼もしいと思う。
中島氏の年齢はネット検索しても不明だが、おそらく私と同世代と思われ、若い頃はバブルを謳歌したはずだ。それが中年となって、今度は若者を消費に駆り立てる側になった。だが、雇用情勢も不確かな不況下で消費せよと言われて、実行できようか。経営コンサルタントの職にある氏にとって、金を使わぬ消費後退は打撃だろうが、金がなければ食にもこと欠くのだ。ジャーナリストのいい加減さ、胡散臭さはバブルの頃と全く同じ。
現代から20年後、今の20代が中年世代になった頃、日本や世界はどのような時代になっているだろう?もしかするとネットも時代遅れで、古臭い媒体として顧みられなくなっているかもしれない。ただ、景気は好調と不況を繰り返すものであり、国自体が存続していれば、それだけで良しと見るべきだろう。
◆関連記事:「日本人とブランド」
「若者に告ぐ」
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類は友を呼ぶのか、私の周囲にもマスコミで取り上げられるようなトレンディな暮らしをしている者がいたとは思えない。ドラマはどうしても誇張もあり、事実そのままを映像化しているとは限らない。それでも好景気の恩恵は受けておりボーナスもアップ、高値に釣られ株を購入した私の親戚もいる。それまではコスメとファッション、料理と恋愛記事ばかりの女性誌までも株について特集、株で幾ら儲かったの類の体験談が載っていた。首都圏の若者なら株を買った人も少なくなかったのかもしれない。
私の知人に山一證券に勤めていた女性がいる。バブル時代は四大証券の一社として空前の利益を上げていたはずだ。ただ、私自身は株を買わなかったし、彼女も私に勧めたことはなかった。私と同じ年のその女性は派手どころか堅実であり、ブランド品もあまり持ってなかったように思える。そして彼女は、勤め先の倒産前に目出度く寿退社している。
私が今使っているポケットテッシュカバーは彼女に貰ったものであり、裏に山一證券の文字が入っているため、この会社と無縁のはずなのに何故か捨てられない。
当時は金利が高かったため、高利回りの金融商品に手を出した若者もいたことだろう。しかし、株に対してアレルギーのある私は郵便局に貯金するほどだった。職場の上司からも「(何かあれば郵便局にいく)田舎の婆さんみたいだ」とからかわれたが、当時の郵便局の定額貯金は金利も高く、十年据え置きで税引きでも6%ちかくも利子がついたのだ。下手に危ない橋を渡るより、“田舎の婆さん”式の方が安全だったはず。ケチで小心者、度胸のない私にはギャンブルなどやれそうもない。
携帯もネットもない時代なので、私も含め当時の若者達はメディアで流される情報を殆ど受け入れていたと思われる。ヒットチャートのトップはCMソングが多く、いかにTVの影響力が凄かったのか分る。マスコミで取り上げられる流行に従わなければダサいと見なされ、とかく皆と歩調をあわせたがる日本人の気質なら、流行おくれと言われることに耐えられなかっただろう。こうしてメディアは大衆を消費行動に駆り立て、追い込み、必要としないものまで買わせるよう仕向けたが、資本主義社会ゆえにこれが可能だった。
時代は変わり、現代の若者はあまり消費しないようで、昨年そのことを取り上げたネットニュースがあった。この中でジャーナリストで経営コンサルタントの中島孝志氏は現在の20代を「かわいそうな世代」と評し、「20代がお金を使わずに貯金しているのは、自己投資をしていないのと同じだから、これからの人生に向かって投資しなさい、と言いたい。投資は成功も失敗もあるけれども、どちらがおもしろい人生を送れるか、ということだと思うんです」と主張する。
当然、中島氏の発言には多くの若者から批判が寄せられた。中年世代だが私も彼らのコメントに共感したし、ネットがある分、むしろ今の20代の方が堅実だとの感想を抱いた。今の20代はジャーナリストの意見をあっさり信用しなくなっているのは頼もしいと思う。
中島氏の年齢はネット検索しても不明だが、おそらく私と同世代と思われ、若い頃はバブルを謳歌したはずだ。それが中年となって、今度は若者を消費に駆り立てる側になった。だが、雇用情勢も不確かな不況下で消費せよと言われて、実行できようか。経営コンサルタントの職にある氏にとって、金を使わぬ消費後退は打撃だろうが、金がなければ食にもこと欠くのだ。ジャーナリストのいい加減さ、胡散臭さはバブルの頃と全く同じ。
現代から20年後、今の20代が中年世代になった頃、日本や世界はどのような時代になっているだろう?もしかするとネットも時代遅れで、古臭い媒体として顧みられなくなっているかもしれない。ただ、景気は好調と不況を繰り返すものであり、国自体が存続していれば、それだけで良しと見るべきだろう。
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「若者に告ぐ」
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仰るとおり、私も冒険とは消費だけではなく、その他にも方法は様々あるはずです。中島氏の意見は、若者に金を使わせようとする意図がミエミエであり、バブルに踊らされた彼自身が、今度は企業の手先になってその穴埋めをしているように思えます。余計なお世話、というのが氏へのコメントの大半でした。実際にこんな大人の意見は無視するに越したことはありません。
F1は見たことがありませんが、懐かしいような気もします。ブームとなるとすぐ右倣えしたがる日本人性質も困ったものですが、もしかするとエコ・カーによるF1が出てくるかもしれませんね。とにかく今のブームはエコ。毎日エコエコと唱えるTVもうんざりさせられますが、この先のことは誰も分りません。
投資するだけが冒険ではないと思いますし、投資以外にも、おもしろい経験はできると思います。
私の友人・知人にも、外貨などに投資している者はいますが、常にレートを気にしている生活が、楽しいかは、価値が分かれるところでしょうね。
(確かに、投資をしていれば、おもしろい経験も出来るでしょうけど、それと同等の痛い思いもするのでしょうけど。また、常に時間と数字に追われる生活がおもしろいのかは、ビミョーだと思います)
ところで、バブル時代といえば、我が国のF1人気も最盛期で、バブルに乗ったジャパン・マネーのチームも多く存在しました。
しかし、栄枯盛衰は世の常で、そんなチームも消え去りました。
あれから、10年以上経ちましたが、F1界の行方も、五里霧中で、混迷を繰り返してますね。
(不況は日本だけでなく、欧米にも根強く、これからも更なる混迷が起こりえるかもしれませんね)