若い方でも猟奇的事件に関心があるならば、おそらくは阿部定の名を知っているだろう。昭和11(1936)年5月に起きたいわゆる「阿部定事件」の犯人であり、戦前のエログロナンセンスを象徴する犯罪として有名である。愛人を独占したいがため絞殺しただけなら、単なる“痴情のもつれ”で忘れ去られたであろう。彼女が愛人の男性器を切断、逮捕されるまでの3日間、それを持ち歩いていたために日本犯罪史上に名を残すことになった。
未成年の頃、戦前の昭和を扱った本を見て私も安部定事件を知ったし、日本女性にしては珍しい犯行だと思った。しかし、男性器を切り落とす女は他国にもいることを先日知った。
鈴木傾城氏の人気サイトBLACKASIA 2013-12-20付けの記事名は、「ペニスを切断され、それを口にくわえさせられた男の写真」。実行したのが何と女なのだ。記事には、「メキシコでは、7歳の自分の娘をレイプされた母親が、男のペニスと睾丸をざっくりとナイフでえぐり取ったあげく、そのペニスを男の口にくわえさせて放置するという復讐事件があった」とある。
さらに仰天させられたのは、次の一文。「これがベトナム女性であれば、切断したペニスは再建手術でまた機能するようになることを知っているので、切断したペニスをみじん切りにするというところまで念を入れる」
件の記事には「嫉妬によるペニス切断事件は、アジアでは珍しくない事件」という別記事のリンクもあり、阿部定の同類は世界の方々にいるとなる。鈴木氏が記事で挙げたメキシコ女性、強姦されそうになり相手の性器を切り落としたバングラデシュの村の女性(3児の母でもある)のケースは復讐や自己防衛であり、同情の余地はある。ただ、安部定のように嫉妬の果ての凶行に及ぶ女はアジアにもいたとは意外だった。考えてみれば、日本にもこの種の女がいるのならば、他国にもいるのは当たり前だった。
タイトルは忘れたが何年も前、NHKで放送していた二月革命時代のフランスのドラマを見たことがある。内容の殆どは忘れてしまったが、あるシーンだけは忘れ難い。売り惜しみしたパン屋のおやじが女たちに袋叩きにされ、リンチに加わっていた女の1人が局部を切り落とし、しげしげとそれに見入る場面には仰天させられた。
この箇所では何故かボカシが入っておらず、血塗れ生ソーセージ状の男性器をそのまま映していた。これを見て、「やはり肉食人種の西欧人は残酷だ」と思ったのは私だけではなかっただろう。これまた痴情のもつれではなく、食べ物の恨みによる凶行だが、この行為は西欧人だけではなかったのだ。
2年前、メル友でもある男性ブロガーさんから、トルコのある事件について紹介されたことがある。以下の青字はこの事件を紹介したサイトからの引用。
―トルコの女が、自分を強姦し妊娠させた男を銃で殺害、遺体の首を切断して村の広場に投げ捨てるという事件が起きた。女はその際「これが私の名誉をもてあそんだ男の首よ」と叫んだという。トルコでは十週が中絶手術が出来る期限だが、妊娠5ヶ月目に入った女は堕胎できなければ死ぬ覚悟があると当局に伝えた。
事件はヤルヴァッチ(Yalvac)南西部の村で起こった。加害者の男との関係は不明だが、26歳で2児の母でもある女は、過去何ヶ月にもわたって男から虐待を受け続け、一緒に寝ないとヌード写真を両親に送りつけると言われて脅されていた。復讐を決心し、男の胸と鼠径部に10発の弾丸をたたき込んだ女は男の腹部を刺した後、頭部を切断。村の広場に投げ捨てた。逮捕された女はこう供述している。
「彼は強姦したことをみんなに話すと言ってました。娘は今年、学校が始まります。子供たちはみんなにいじめられたかもしれません。でも今は違います。私は自分の名誉を守りました。クラスメートは娘たちを名誉を守った女の子供と呼んでくれるでしょう」。
トルコの農村部では名誉殺人の風習が残っており、婦人団体では彼女を称賛しているという。
タイトルがずばり、「強姦し妊娠させた男のキンタマに乱射して殺害、遺体の首を村の広場に投げ捨てた女-トルコ」。鼠径部とはアレを意味し、切断こそしなかったが、弾丸を何発も叩き込んで損壊したのだ。日本のネットコメントでも犯人の女を称賛する意見が幾つも見られたし、法的には復讐を認められず名誉も守れず泣き寝入りする他ない日本に比べ、私も羨ましく感じた。
同じ切断でも嫉妬と復讐では動機が異なり、後者には同情も感じるが、嫉妬はエゴと独占欲以外の何者でもない。男を独り占めしようとするならば、最終的には殺害する他ないのだ。
それにしても、男の首を切断したり、切断した性器をみじん切りにする外国女性の行動力には圧倒される。何だか日本の安部定が可愛く思えてきたのは私だけだろうか?
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>同じ切断でも嫉妬と復讐では動機が異なり、後者には同情も感じるが、嫉妬はエゴと独占欲以外の何者でもない。男を独り占めしようとするならば、最終的には殺害する他ないのだ。
>それにしても、男の首を切断したり、切断した性器をみじん切りにする外国女性の行動力には圧倒される。何だか日本の安部定が可愛く思えてきたのは私だけだろうか?
この2つの段落を比べてみると、向いている方向は真逆ともとれる。いったいどっちがブログ主様の立ち位置なのかとのらくろなりに考えてみたが、「誰かの(正)妻」の立場を取るか、そうでないかの違いだろうとようやく思い当った。
戦後になって、坂口安吾が阿部定のインタビューを行っているようだが、それを経ての坂口の印象はこちらにアップされている↓
ttp://www.aozora.gr.jp/cards/001095/files/42883_31183.html
実際には見ていないので断言はできないが、映画「実録 阿部定」、「愛のコリーダ」は概ね坂口視点で表現されていたものと理解する。
阿白定を裁いた司法の立ち位置も相当混乱している。wikiに載っている逮捕直後の高輪署で撮影されたとされる写真では、定と刑事、警官4人の計5人とも歯を晒して笑っている。
起訴は殺人・死体損壊の罪状で行われているが、それに対する判決が懲役6年は異常に軽いだろう。だが、罪状が(当時そういう区分があったのか否かは知らないが)「嘱託殺人」ならば懲役6月以上7年以下だから、これは「異常に重い」判決となる↓
ttp://www.geocities.jp/kyoketu/8202.html
本エントリーに掲載された諸外国の事件については、実は平成日本でも類似のものが有ったはず。週刊新潮の「黒い報告書」に掲載された例では、亭主(本命彼氏?)の繰り返される「不貞行為」に業を煮やした女が、「逢引旅行」中の宿泊先で、寝ている男のち○○に「性的刺激」を加えて勃起させた上で根元に刃物を「あてがった」事件が掲載されていた。ブログ主様流のカテゴライズでは「独占欲」になるのだろうが、のらくろとしては阿部定事件の方が○ん○に対して「愛欲」が向けられているのに対し、「黒い報告書」の○○ぽに向けられているのは明らかに「怨恨」であって、その点ではエントリーで取り上げられた諸外国案件と同様にカテゴライズされるものと考える。
このエントリーは「頭痛のタネ」のような重いものではなく、他国にも同類がいたことを知って取り上げました。男性器切断というのは猟奇的でも刺激的なネタだし、ブログ村世界史部門の注目記事にもなりました。やはり、この種の話題に興味をもつ方もいるということです(藁)。
記事にも書いたように暴行への復讐目的ならば、私も共感できるし同情します。しかし、安部定となると理解不能ですね。私も女だから、心底愛する男を独占したい、恋敵にとられるくらいなら亡き者にしたいという気持ちは分かります。それでも実行する女は稀だし、まして切った一物を逮捕されるまで持ち歩いていたのは仰天しました。まさに「珍宝」で、さらに彼女は被害者の下着まで身に付けていた。
私も逮捕時の定が笑っている写真を見ています。性格異常といえばそれまでですが、この笑顔は怖かったですね。愛するあまりといえ、ここまでやれるのか。スゴイとしか言いようがありません。
坂口安吾が定にインタビューを行っていたとは知りませんでした。彼が語った定も興味深いですが、wikiには少女時代に定が大学生から暴行を受けたことが載っています。これ以降、不良娘となり転落していったそうですが、この体験がなければ「安部定事件」はなかった?
私は坂口安吾の著書は未見ですが、「仙台に美人はいない」という名(迷)言を吐いた人物として宮城県で知られています。仙台が「日本三大ブス」の町になったのは坂口の功績です。
http://bushoojapan.com/scandal/2013/10/13/7579
「黒い報告書」に掲載された例は未見だし憶えていませんが、平成の安部定は切断したモノをみじん切りにするまではしていないでしょ?93年にはアメリカ版安部定事件がありましたね。これは夫の異常なセックスに耐え切れなくなった妻が元凶を切断したケースで、「怨恨」でした。2011年にも再びアメリカ版安部定が現れ、これも「怨恨」のはず。
http://www.nikkansports.com/general/news/p-gn-tp1-20110714-804868.html