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実名報道「記録は責務」その二

2022-03-14 21:30:16 | マスコミ、ネット

その一の続き
 HP最後の「Q5:遺族などへの取材では、どのような配慮をしていますか?」には、以下の釈明文が載っている。
2001年12月、新聞協会は「集団的取材により一層の苦痛をもたらすことのないよう、特段の配慮がなされなければならない」としたうえで、取材の方法から態度や服装、駐車の仕方まで含めた留意点を見解としてまとめました。翌年には協会内に「集団的過熱取材対策小委員会」を設置し、個別の現場レベルで調整や解決できない問題を協議する場としました。

 つまり、留意点を見解としてまとめたり、調整や解決できない問題を協議するだけで遺族への配慮は全くしていないということだ。2017年4月に起きた千葉小3女児殺害事件では、現場を取材に来た共同通信社の若手記者が、取材を断った民家の壁を蹴ったことが動画にもアップされている。

 

 まもなく件の記者は上司とともに民家を訪ね、謝罪したと言うが、結局この記者は匿名のままだった。犯罪被害者にはあれだけ実名報道に固執しながら、身内には極めて甘い新聞業界の二重基準もまた新聞社の責務らしい。動画から態度や服装はチンピラ並なのは一目瞭然。
 新聞協会はQ5で尊大に、「一部では、ネット発信のみならず、報道も匿名が当然だという風潮があるように見受けられ、無責任かつ誤った情報があふれることにもなりかねません。」と述べるが、新聞記事自体も匿名が大半ではないか?
 河北新報では社説はずっと記名無し、さらに情報源は明記なし。これではいくらでも無責任かつ誤った情報の発信は可能で、そのくせネットの匿名性は糾弾する。多くが無償で行っているブログに対し、新聞記者は高給取り。

 一方、新聞は犯罪者には匿名報道も少なくない。例えば昨日の読売新聞からの転載ネットニュース、「韓国籍の女、昭和末期から不法滞在…パチンコ店で職務質問して発覚」には最後まで韓国籍の女の名は載っていない。殊に韓国籍犯罪者は匿名か、通名で報道することが多い。本名を出して報道せよ、という一般人の求めに対し、「新聞には報道しない自由もある」とうそぶいたのは大手新聞だったはず。
 犯罪事件ではなくとも、メディアの震災被災地での取材姿勢には批判も多い。2016年4月の熊本地震で、「熊本に現地入りしたマスコミがマスゴミ化している6つの証拠」という記事には、取材側の傍若無人さが幾つも紹介されている。

 おそらく他紙も同じだろうが河北新報は、昨年12月17日に起きた大阪市北新地ビル放火殺人事件犠牲者の実名全てを公開している。実名報道の前に言い訳がましく「公の利益」を上げていたが、顔も知らぬ人物の名前を知ったところで、一般には「公の利益」とはならない。
 しかも放火されたのは精神科クリニックである。歯科や整形外科ならともかく、身内が精神科クリニックに通院していたことを知られたくない遺族もいたはずで、全くの配慮無しには不快だった。

 但し私は、犯罪被害者を一律に匿名で報道することには賛成できない。実名報道をする場合、遺族に了解を取った上なら問題ないと思っている。事件後すぐでは遺族も動揺しているが、一旦は確認を取って報道した方が望ましい。それに違反した新聞関係者は処罰し、さらに罰金を科すほうが効果的だと考えている。被害者側から事件の教訓を得たり、後世の人が検証する目的ならば、実名に拘らずとも可能のはずだが。
 元から新聞社は人の不幸で食っている組織でもあるし、事件の犠牲者や遺族は飯のタネにすぎない。読者に寄り添うなどと言っていても、寄り添うのはあくまで新聞支持者だけなのだ。

 新聞販売店.COMというサイトに、「新聞離れはどこまで続く?新聞の未来像を見つけよう!」(2020年03月23日)という記事があった。管理人は「おそらく新聞を取らない人の大半は、この「購読料が高い」と思っているわけです。」という見方に固執しており、新聞離れへの提言をこう述べる。
新聞離れは、お金の問題」と言う仮説に従えば、国が問題解決のために積極的に介入し、新聞購読料に対する「補助金や助成金」を創設してはいかがでしょうか

 そして記事はこう結ばれている。
いずれにしても、このまま何も手を打たなければ「新聞紙」という存在が世の中から消えることになります。新聞離れによる発行部数の減少を食い止め、誰もが新聞をより身近な情報源として持続的に活用するためには、新聞社、新聞販売店はもとより、官民が一体となって取り組む必要がありそうですね
 
 仮説が「新聞離れは、お金の問題」としているだけで、質は全く問題視していない。未だに日本新聞協会は他のメディアに比べ新聞は、「知的である」「自分の視野を広げくれる」「情報源として欠かせない」「地域に密着している」「情報が整理されている」「読んだ(見た・聞いた)ことが記憶に残る」...と読者は評価していると手前勝手な願望にふけっている。
 だから「ホンネは、新聞は非常に役立つ情報源だとわかっているけど、お金がかかるから手が出ない」というご都合主義の結論に至り、平然と「補助金や助成金」の創設、つまり税金投入をいうのだ。

 こんな利権まみれで甘ったれた新聞業界こそ消滅した方が世のためだ。実名報道での被害を新聞社に訴えても埒が明かないので、ここは官民が一体となり新聞への罰則制定に取り組む必要があるのではないか?

◆関連記事:「【新聞離れ】に思うこと
新聞で思想や意見を確立

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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (鳳山)
2022-03-15 23:10:18
犯罪者の人権より被害者とその遺族の人権を重視すべきだし、その配慮がないメディアは存在価値がないと思います。
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鳳山さんへ (mugi)
2022-03-16 22:25:24
 犯罪者は匿名、被害者はすべて実名では「公の利益」など成立せず、詭弁としても稚拙です。報道機関の利益が目的ではないと強調したのもバレバレのウソを強弁で誤魔化そうとする表れでしょう。本当に存在価値がないメディアばかりです。
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Unknown (のらくろ)
2022-03-17 07:02:40
地震被害はありませんでしたか?
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のらくろ さんへ (mugi)
2022-03-17 22:00:13
 お気遣い頂きありがとうございます。幸い我家ではこけしが倒れた程度で済んだし、電気、水道、ガスも大丈夫でした。

 それでも地震発生が午後11時半過ぎだから、気分は良くありません。昨年2月半ばにも大きな地震があったし、せめて津波が来ないことを願うばかりです。
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