医師から損保へ診療情報横流し*道外7県でも判明*道内の事例と酷似
2004/03/31 北海道新聞夕刊全道 1ページ 907文字
道内で交通事故被害者の診断書(カルテ)や診療報酬明細書(レセプト)が本人の同意なしに医師から損害保険会社に無断で提供されていた問題で、同様の診療情報の「横流し」が、九州や中部地方など道外の七県でも起きていたことが、北海道新聞の三十一日までの調べで分かった。診療情報の横流しについて道や道医師会は「医師が刑法一三四条違反(秘密漏示)に問われる恐れがある」と行政指導や改善に乗り出しているが、他県ではこうした動きはないという。
診療情報の「横流し」が確認されたのは、栃木、神奈川、長野、静岡、石川、福岡、熊本の七県で一件ずつ。損保が患者に無断で診療情報を入手し、保険金給付の打ち切りに使うという道内の事例と酷似しており、「横流し」が全国的な問題であることを裏付けている。
このうち、栃木県黒磯市の主婦(51)は二○○○年九月、車両同士の事故に遭い、後日、助手席に乗っていてけがをした娘(21)の診療情報を損保が無断入手していたことが分かった。主婦の抗議に対し、損保は保険金給付額の算定を理由に診療情報を入手した経緯を説明した上で、「普段は同意書を取っておらず、今回も不必要と判断した。軽率だった」と、非を認める謝罪文を提出した。
福岡県大川市の主婦(29)は○二年十一月に交通事故に遭遇。損保から診療情報の入手に同意を求められた際、個人情報であることを理由に拒否したにもかかわらず、その後、損保が情報を得たことが判明。主婦は抗議したが、損保側は担当者不在などを理由に明確な回答を避けたという。この主婦は「情報を損保に提供するにしても、自分が医師から受け取り、渡すつもりだった。損保は同意書があろうが、なかろうが、勝手に医療機関から情報を取ることが分かった」と憤る。
診療情報の無断提供をめぐっては、道と道医師会が医療機関に対し、診療情報を損保に直接提供することを中止し、患者経由で渡すよう指導に乗り出している。
また、来年四月に個人情報保護法が施行されることから、情報の入手目的を患者に知らせるなど、損保側にも改善が迫られている。
【写真説明】診療情報の「横流し」の事実を認め、栃木県の主婦に対して損保が書いた謝罪文
(北海道新聞 引用)
2004/03/31 北海道新聞夕刊全道 1ページ 907文字
道内で交通事故被害者の診断書(カルテ)や診療報酬明細書(レセプト)が本人の同意なしに医師から損害保険会社に無断で提供されていた問題で、同様の診療情報の「横流し」が、九州や中部地方など道外の七県でも起きていたことが、北海道新聞の三十一日までの調べで分かった。診療情報の横流しについて道や道医師会は「医師が刑法一三四条違反(秘密漏示)に問われる恐れがある」と行政指導や改善に乗り出しているが、他県ではこうした動きはないという。
診療情報の「横流し」が確認されたのは、栃木、神奈川、長野、静岡、石川、福岡、熊本の七県で一件ずつ。損保が患者に無断で診療情報を入手し、保険金給付の打ち切りに使うという道内の事例と酷似しており、「横流し」が全国的な問題であることを裏付けている。
このうち、栃木県黒磯市の主婦(51)は二○○○年九月、車両同士の事故に遭い、後日、助手席に乗っていてけがをした娘(21)の診療情報を損保が無断入手していたことが分かった。主婦の抗議に対し、損保は保険金給付額の算定を理由に診療情報を入手した経緯を説明した上で、「普段は同意書を取っておらず、今回も不必要と判断した。軽率だった」と、非を認める謝罪文を提出した。
福岡県大川市の主婦(29)は○二年十一月に交通事故に遭遇。損保から診療情報の入手に同意を求められた際、個人情報であることを理由に拒否したにもかかわらず、その後、損保が情報を得たことが判明。主婦は抗議したが、損保側は担当者不在などを理由に明確な回答を避けたという。この主婦は「情報を損保に提供するにしても、自分が医師から受け取り、渡すつもりだった。損保は同意書があろうが、なかろうが、勝手に医療機関から情報を取ることが分かった」と憤る。
診療情報の無断提供をめぐっては、道と道医師会が医療機関に対し、診療情報を損保に直接提供することを中止し、患者経由で渡すよう指導に乗り出している。
また、来年四月に個人情報保護法が施行されることから、情報の入手目的を患者に知らせるなど、損保側にも改善が迫られている。
【写真説明】診療情報の「横流し」の事実を認め、栃木県の主婦に対して損保が書いた謝罪文
(北海道新聞 引用)
情報提供先 北海道新聞社、北方ジャーナル、毎日新聞社、朝日新聞社、読売新聞社