二人の唇が、静かに離れてゆく。
私たちは長い長いキスをした。
それでも、1㍉1㍉離れるのが勿体無くて、私は脳に‘止まれ’の命令を出している。なのに二人の距離は確実に離れてゆく。
このまま優一の視線を外したら、もう二度と戻ってこないような気がして怖かった。
それなのに、それを云えない。
一言・・。
離れたくない、と云ってしまえたら、どんなに幸せだろう。
このまま抱きついてしまえたら、どんなに幸せだろう。
何より、このまま優一の体温を感じていられたら、どんなに幸せだろう。
でも、優一は云った。
私たちの間には、私の知らない何か大きな出来事が起こって、そして別れることになったと。
その出来事を知らない私には、何も云えない。
同じことを繰り返すのは嫌。
つきあって、と同じ言葉を告げて、断わられたら今度こそ立ち直れない。
優一が煙草に火を点ける。
そして、慌てて消そうとする。
私は彼の手を止め、
「もう、いいよ。私、帰るから」
「えっ!?」
優一は結局、煙草を消してしまった。
「今夜は有難う。もう二度と来られないけれど、お金もないしね。でも今夜のことは忘れない。本当に有難う。今まで大事にしてくれて有難う。大好きだったよ」
私は一方的に云って、席を立つ。
「待って」
優一の手が、私の左手首を捉まえた。
その手を、今度は私自身が離した。
受付まで来て、ランを捜す。
接客中だ。
あとで電話をすればいいか。
「精算して」
若い綺麗な顔立ちのホストが「畏まりました」と奥へ消える。
もう一人の年配のホスト(!?)が、コートを出してきて羽織らせてくれる。
もう二度と来ない。
本当に夢の世界だよね。
優一と再会できた。
話もできた。
キスもした。
今は心が暖かい
私は、云われた金額を払って店を出た。
持ってきたお金で足りて良かった。
To be continued
私たちは長い長いキスをした。
それでも、1㍉1㍉離れるのが勿体無くて、私は脳に‘止まれ’の命令を出している。なのに二人の距離は確実に離れてゆく。
このまま優一の視線を外したら、もう二度と戻ってこないような気がして怖かった。
それなのに、それを云えない。
一言・・。
離れたくない、と云ってしまえたら、どんなに幸せだろう。
このまま抱きついてしまえたら、どんなに幸せだろう。
何より、このまま優一の体温を感じていられたら、どんなに幸せだろう。
でも、優一は云った。
私たちの間には、私の知らない何か大きな出来事が起こって、そして別れることになったと。
その出来事を知らない私には、何も云えない。
同じことを繰り返すのは嫌。
つきあって、と同じ言葉を告げて、断わられたら今度こそ立ち直れない。
優一が煙草に火を点ける。
そして、慌てて消そうとする。
私は彼の手を止め、
「もう、いいよ。私、帰るから」
「えっ!?」
優一は結局、煙草を消してしまった。
「今夜は有難う。もう二度と来られないけれど、お金もないしね。でも今夜のことは忘れない。本当に有難う。今まで大事にしてくれて有難う。大好きだったよ」
私は一方的に云って、席を立つ。
「待って」
優一の手が、私の左手首を捉まえた。
その手を、今度は私自身が離した。
受付まで来て、ランを捜す。
接客中だ。
あとで電話をすればいいか。
「精算して」
若い綺麗な顔立ちのホストが「畏まりました」と奥へ消える。
もう一人の年配のホスト(!?)が、コートを出してきて羽織らせてくれる。
もう二度と来ない。
本当に夢の世界だよね。
優一と再会できた。
話もできた。
キスもした。
今は心が暖かい
私は、云われた金額を払って店を出た。
持ってきたお金で足りて良かった。
To be continued