『君戀しやと、呟けど。。。』

此処は虚構の世界です。
全作品の著作権は管理人である紫草/翆童に属します。
無断引用、無断転載は一切禁止致します。

「黒うさぎ」

2014-01-18 14:15:04 | 童話
冬になると
あたりは一面 銀世界
仲間のうさ達 みんな真っ白 白うさぎ
なのにいつもひとりだけ 黒うさのまま 冬を越す
人との狭間で生きる 黒うさ

あの父娘がやっているのは おでん屋さん
食べ物の減ってしまう冬の時期 みんな こそこそやって来る
おなかを空かせた獣たち 山に迷った人間たち そして仲間のうさ達が
みんな仲良く おでんを食す

ボクたちのことば いつもは全然聞こえないのに
迷子になってしまった人間だけは分かるんだ
だから人の世界への帰り道を 『内緒だよ』って教えてあげる
もう二度と 会えないと知っているから……
でも今だけは 同じ屋台のお客さま

がんもに大根 人参 はんぺん
ふわ~ っと湯気もついてくる 美味しい美味しいあたたかおでん
そうそう
うさ仲間のいっちゃんは おしゃけもちょっぴり飲んじゃうの

冬になっても黒い毛のまま 冬を越してる黒うささん
お客さまからのプレゼント 黒いぬいぐるみを腕に抱き
黒仲間だよ と笑ってる
今年も商売繁盛の 冬将軍がやってきた

~おしまい~

著作:紫草 

コメント (2)    この記事についてブログを書く
« Penguin‘Cafe『初釜』 | トップ | 『欺く』  (小題:詐欺) »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (尾道貴志)
2014-10-14 01:04:23
こんにちは

メロディーをつけると
素朴な小片といった歌になりそうですね。

私もふきのとうが大好きです。

「冬将軍」

不思議で素敵な言葉ですよね。
返信する
Re: (紫草@管理人)
2014-10-14 21:18:57
尾道貴志さま

 ようこそお越し下さいました。
 タイトルで、ふきのを連想されたと伺っておりましたので、たぶんお好きなのだろうと推察しておりました。

『夢の生活』の中に、「冬将軍」という言葉が出てきますが、山木さんの言葉には強いものがあったり、かと思うと、おちゃめなところもあり、細坪さんの言葉には純粋に優しい恋が描かれていると思っています。

 冬将軍。
 今度の冬も、たくさん到来されるんでしょうか。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

童話」カテゴリの最新記事