『君戀しやと、呟けど。。。』

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『糸車~昭和を生きた恋人たち~弐』

2005-07-13 17:54:07 | 歌物語り「糸車」
~からから からから 何処かで廻る糸車~

 今も昔も変わらない、とは、とかく、よく聞く話ではあるが。。。

 竹内家。
 主(あるじ)を大黒柱に、母親、妻、三人の男の子。お国に褒められる典型の家庭である。そこに母親の遠縁から、悠茄が引き取られることとなり、小学校へも通わせてもらった。名目はあくまで、花嫁修業。
 しかし、実態は‘お手伝いさん’という立場だった。まだまだ、家の格を重んずる時代。悠茄の存在は、あってないようなものだった。その彼女が一躍脚光を浴びたのは、成績優秀でないと入学できない、と云われた有名女学校への進学が決まったからである。成績の優秀だった達也、柾親と比べても引けを取らず、それを知った主が悠茄を女学校へと進学させたのだ。何も知らない周囲の人間は、長男の許嫁かと噂し合ったが、結局真相は闇の中。
 そのまま何事もなく過ぎてゆけば、いつかは悠茄も本物の許嫁になったのだろうか、長男ではなく、達也の許嫁に。

 その悠茄が身籠った。
 達也の子だった。
 しかし主の怒りに触れ、入籍も出来ないまま、悠茄は妻の里へ移り、出産を迎えることとなった。

駆けつけた 君の横顔 嬉しくて
           ややを抱く腕 思わず 緩む
★ ―翆童―

 この頃、新婚気分を満喫していた柾親と夏子。女の子誕生の知らせは、達也の口から柾親へ、そして夏子へと運ばれた。

生まれしと 告げ来る人の まな尻は
           優しく笑みて 麗らなり
◆ ―珠瞳―

‘やこ’と名付けた二人の吾子は、そのまま妻の里、中川家へと養子に出された。。。
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