『君戀しやと、呟けど。。。』

此処は虚構の世界です。
全作品の著作権は管理人である紫草/翆童に属します。
無断引用、無断転載は一切禁止致します。

『愛しい想い』 Vol.10

2006-03-01 18:06:48 | 小説『愛しい想い』
「そんなに見ないで」
 ガキじゃあるまいし、と思いながら、それでも顔に血が上ってくるのが分かる。
 恥じらい、という時代錯誤の言葉が頭の中を、右往左往しているのも分かる。
 私は、優一に悪く思われたくない。
 今まで、何も考えてなかった。

 私を好きだと云ったから、何を云っても当たり前。
 私を好きだと云ったから、何をしても当たり前。
 当たり前。
 それが我が儘だと気付いた時に、優一はいなくなっていた。

 我が儘って、可愛くない。
 可愛く思われたいという、多くの女の子たちの思いを馬鹿にしてた。
 どうして、馬鹿になんてしたんだろう。
 彼に誰よりも可愛く思われたいなんて、誰よりも可愛いじゃん。

 私は気持ちが可愛くない。心が汚い。
 私は、そんな女だったんだ。

 ふと気付くと、優一が、やっぱり優しく笑っている。
「何か、あった? 随分、しおらしくなっちゃったね」
 しおらしく?!
「それって、どんな意味?」
「マジで聞いてる?! 可愛くなっちゃったってこと。何か、あったの?」
「優一に振られた」

 今度は優一の顔が、あっけにとられたような感じに固まった。。。

「世の中には、タイミングってあるよね。運とかも。きっと、あの時、最悪のシナリオが用意されていたんだ」
 優一は静かに話した。
「それまで、あんな風に喧嘩したこともなかったのに、最初の喧嘩が別れになった。実は、別れる心算なんて全然無かった、と云ったら、魅子は信じてくれる?!」

 

 信じたいけど、信じられない。
 今のは、ホストのジョークなの・・。
 でも、ちゃんと話せって云われたから、ちゃんと聞こう。
「それは、優一の言葉なの? それともホストとしての」
 その先を云うことは出来なかった。
 何故なら優一の唇が、私の口を塞いだから。。。
          To be continued
コメント    この記事についてブログを書く
« お雛さま | トップ | 上巳の節句 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

小説『愛しい想い』」カテゴリの最新記事