天下御免のすっとこどっこい

自分が読み返して「楽しかった」と思えることを書き綴っています。

『秘録おんな蔵』(1968年)

2021年07月29日 | 時代劇(テレビ・映画)
『秘録おんな蔵』(1968年)

お夏…安田道代
直次郎…田村正和
巳之吉…江守徹
岡っ引長七…小松方正

監督…森一生
脚本…浅井昭三郎

米問屋の娘お夏は死んだ父の借財のために女衒(ぜげん)まがいの直次郎に連れられ吉原に売られてきた。さまざまなしきたりを身に着けたお夏の最初の客は、父を死に追いやった両国屋で、ついてきた番頭はお夏の店の元番頭巳之吉だった。
父の死の真相を知ったお夏は証拠の文を手に吉原を脱出しようとするが、直次郎に引き留められ、文も取り上げられてしまった。

タイトルが『秘録おんな蔵』なので、エロくてグロいのかと思いきや、全然フツーに見ることができました。
田村正和さん目当てで見ました。意外といい役で良かったです。出番が多い、多い。
多分25歳くらい?アイドルが時代劇出ましたな雰囲気なのに、しゃべりはもう古畑だったんですね。かっこいいというより、かわいらしかったなあ…しゃべらなければ。
江守徹さんと小松方正さんが若いはずなのに、私が知っているイメージそのまんまだったのが驚き。
踏み合い?とか遊女の着付け方法を教えるシーンがあって、興味深かったです。
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「目玉の松ちゃん 尾上松之助の功績」 京都文化博物館

2016年03月06日 | 時代劇(テレビ・映画)
京都文化博物館3階フィルムシアターの特集上映「胸像建立50周年記念特別上映 目玉の松ちゃん 尾上松之助の功績」のうち、『渋川伴五郎』(大正11年)『忠臣蔵』(明治43年)『忠臣蔵』(一部分/大正15年)『尾上松之助葬儀』(記録映画/大正15年)を見ました。

『渋川伴五郎』(大正11年)
主人公が渋川伴五郎なん?というくらい、さっぱりわからん映画でした。何せ無声映画なのに、セリフの字幕がないのです。弁士、音楽なしの鑑賞なのでもう、何がなんだか。どこかのお寺の門前でならず者の浪人?に痛めつけられそうな旅の夫婦を助けたり、角力場で悪者の相撲取りをやっつけたり、蜘蛛の巣屋敷?で蜘蛛の精?を退治したり、どこかの大名屋敷の悪者をやっつけたり、叔父さん?と一緒に仇討ち?の旅に出て、川(保津川?)でやっつけて終わり。
女優さんが出てこず、すべて女形さんやったようです(たぶん)。二条城とか、どこかのお寺のロケはありますが、屋内は歌舞伎の舞台そのもの。お相撲さんは肉襦袢やし、大きな蜘蛛や蜘蛛の精は歌舞伎そのもので、糸をコントのように画面真っ白なほど吐きまくり。画面は明るいのに人物は暗闇にいるような、だんまりもありました。
時代劇の基本はやっぱり歌舞伎やったんやあと改めて知ることができました。勉強になりました。

『忠臣蔵』(明治43年)
これまた、セリフの字幕なしで参りました。忠臣蔵やから大丈夫かと思ったら、一つの場面の内蔵助や内匠頭のしゃべっているシーンが長いのです。もう気になって気になって。
私の知っているセリフより別のことをしゃべってるはずです。特におそらく畳替えで吉良に斬りつけようとしている内匠頭が何をしゃべってるの?とか、切腹のシーンで片岡源五右衛門が内匠頭に長々と申し上げているのは何?おそらく吉良はお咎めなしやったこと?内匠頭泣いてるし。
内蔵助が山科から江戸へ向かう前に全身入れ墨(しかもこれは襦袢)してる男たちと何を言い争って立ち回りになったん?とか。
演出はさらにほぼ100%歌舞伎というか、「シネマ歌舞伎」というべきか。ちょっとだけロケはあるのですが、ほとんどセット?というか、歌舞伎の舞台そのもの。背景は布に絵が描いてありました。立花左近のシーンの見得はすごかったなあ。目玉の松ちゃんの所以はこれか、という感じでした。最近の歌舞伎より歌舞伎やったなあ。100年以上前の歌舞伎かあ。いい体験しました。

『忠臣蔵』(一部分/大正15年)
年数がたってさすがにずいぶん見やすくなっていました。セリフの字幕があるのとないのでこんなにも違うものかと思いました。演出も現代に近づいていて、セットがちゃんとした建物になってますし、上や後ろからの引きの場面もあって場面に奥行きがありましたし、女優さんが女性を演じてましたし。
内蔵助の山科暮らしの場面と、蕎麦屋の二階で集合して、さあ出立!というところで終わってしまったのが残念です。

『尾上松之助葬儀』
自宅出棺から千本座を通って大将軍撮影所での葬儀、埋葬まで。
通りを埋め尽くす人、ひと、ヒト。行列がくると市電が止まってました。大名行列のような奴さんの毛槍投げわたし?とか、雅楽の演奏とか、まるでお祭りのよう。とにかく大大大スターやったんやなあというのがよくわかりました。
それから、大正15年当時の風俗がよくわかって楽しかったです。男性はカンカン帽ですし、女性はほとんど着物に日本髪でした。警備の警官さんが白い制服で。ドラマではなく本物ですもんね。
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『桃太郎侍』(1957年)

2016年03月02日 | 時代劇(テレビ・映画)
先月チャンネルnecoで録画したままやった『桃太郎侍』を見ました。

桃太郎、若木新之介(二役)… 市川雷蔵
百合…浦路洋子
伊賀半九郎…河津清三郎
花房小鈴…木暮実千代
伊之助…堺駿二

監督…三隅研次
脚色…八尋不二

讃岐10万石?のお世継ぎ争いにひょんなことでかかわることになった桃太郎。実は彼は幼いころ讃岐10万石の世継ぎとして生まれたのだが、双子の弟だったため里子に出されていたのだった。

桃太郎侍と聞くと私の年代では(いや違うか?)「ひとぉ~つ、人世の生血をすすり… 浮世の鬼を退治してくれよう桃太郎!」という高橋英樹さんのイメージしかなかったのですが、ずいぶん以前にあったんですね。知りませんでした。
雷蔵さん目張りばっちりの美浪人(って言うのかしらん?)。お兄さんの讃岐の藩の若様と二役。若様ではどこから声出してんのというばかりにちょっと女形入ったかわいいお声。目つきも違うし、やっぱりうまいなあ。こういう設定大好きだわん。

わが子を世継ぎにとたくらむ家老一味に加担している小鈴の小暮実千代さんはやっぱりきれい。敵になってしまった桃太郎が好きなので最後は自らの命と引き換えに助けてしまうという役柄ぴったり。
堺俊二さんは好きだわぁ。この人騒がしいのに鬱陶しくないんです。うまいわあ。
浦路洋子さんは多分ほかの作品で見たことあるはずなんですが、こういうヒロインなのは初めて見たかも。おきれいでした。

「何録ってたっけ…?」と最初だけ確認のつもりが、何気に続きが気になって、結局最後まで見てしまったという作品。
お話もとってもわかりやすくて、途中いいタイミングで立ち回りあったり、合成の雷蔵さん二役シーンもあるし、さらさらさら~っと最後まで楽しめました。スクリーンで見たかったかな。

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『忠臣蔵 天の巻・地の巻』(1938年)

2016年02月29日 | 時代劇(テレビ・映画)
10年前に時専chで録画したままやった『忠臣蔵 天の巻・地の巻』、昨日やっと見てみました。

大石内蔵助…阪東妻三郎
浅野内匠頭、立花左近…片岡千恵蔵
脇坂淡路守、清水一角…嵐寛寿郎
原惣右衛門…小林平八郎
片岡源五右衛門、服部市郎右衛門…澤村國太郎
安井彦右衛門…志村喬
瑤泉院…星玲子
戸田の局…沢村貞子
腰元藤の江…近松里子

監督…マキノ正博(天の巻)、池田富保(地の巻)

忠臣蔵の名場面のオンパレード、豪華キャストでお送りします、という感じ。
千恵さんが内匠頭と立花左近、アラカンが淡路守と清水一角の二役。
畳替えでしょ、裃じゃなくて烏帽子大紋やった、淡路守が吉良に「紋を血で汚すとは何事じゃ、えいっ!」と怒るとか、立花左近でしょ、討ち入り前に瑤泉院に会いに行って叱られる内蔵助、蕎麦屋の二階で身支度、蕎麦屋驚く、とか、「忠臣蔵の場面を挙げてください」と質問するとまず出てきそうな場面でちゃっちゃと進んでいきます。
もしかしたら、りくと子供たちの山科の別れとか、萱野三平の悲劇とか土屋主税とか、千坂兵部が上杉の殿さんを引き留めるとかあったのかも。現存フィルムが短くなってるらしいので。

台詞はフツーの時代劇口調でした。『元禄忠臣蔵』のほうが聞き取り大変やったような気がします。ちょっとバンツマさん濃すぎるかな。でも全部あんな感じなんかな。何せ戦後の『大江戸五人男』と戦前では『江戸最後の日』しか見たことないからなあ

歌舞伎に慣れてないとバンツマと千恵さんの東下り立花左近のシーンの良さがわからないかも。演出や音楽がまるで勧進帳やったんで。お化粧も歌舞伎やし、見得も迫力満点やったなあ
千恵さんの演じ分けすごい。天の巻で内匠頭でものすごく美男子なのに、地の巻では貫禄のある立花左近。
アラカンの淡路守と清水一角もめちゃくちゃかっこいい。

立花左近のにらみ合いと脇坂淡路守はこの作品がスタンダードになったかな。ああ、大変たいへん

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『元禄忠臣蔵 後篇』(1942年)

2015年09月27日 | 時代劇(テレビ・映画)
昨日(9/26)京都文化博物館3階のフィルムシアターで『元禄忠臣蔵 後篇』(1942年)を観てきました。

大石内蔵助…河原崎長十郎
富森助右衛門…中村翫右衛門
お喜世…山路ふみ子
吉良上野介…三桝万豊
瑶泉院…三浦光子
徳川綱豊…市川右太衛門
新井白石…島田敬一
細川越中守…河津清三郎
堀内伝右衛門…中村鶴蔵
磯貝十郎左衛門…河原崎国太郎
おみの…高峰三枝子

総監督…白井信太郎
監督…溝口健二
原作…真山青果
脚色…原健一郎、依田義賢
撮影…杉山公平
美術監督…水谷浩
音楽監督…深井史郎
建築監督…新藤兼人


2週間前の前篇に続いての鑑賞です。
「御浜御殿綱豊卿」「南部坂雪の別れ」「大石最後の一日」のお話で約2時間。

前篇と同じくセットがすばらしい。そしてやけに奥行きを映し出すカメラ。御浜御殿は広いわ広い、上段の間の襖絵は狩野派みたいな金地の豪華な絵やし、瑶泉院の屋敷の襖絵も鳥の水墨画ですごいし、細川家の屋敷もまた広い。上使が来て沙汰を言い渡す間の虎の襖絵がまた見事。印象的だったのはいちばん最後に切腹する内蔵助が控えていた間の襖絵。円山応挙みたいな雪の積もった松。これだけ見ても十分楽しかった。

さてさて、楽しみにしていた綱豊卿と助右衛門の御浜御殿。想像以上に良かったです。
浪士たちに武士らしくあだ討ちをさせてやりたいが、公家から浅野大学のお家再興をお上に願うよう何度も依頼されて困っている綱豊に、内蔵助が放蕩三昧ならわが手で吉良を討ってやると意気込む助右衛門。「どうして刃傷の時城内にいながら内匠頭を助けてくれなかった。それで武士道とは。」と怒りをあらわ。「どんな気持ちで内蔵助が遊興しているのかわからんのか。」と諭す綱豊卿。
2度ほど歌舞伎でこの段を見ていますが、こんなに良いお話だったとは!
むちゃくちゃ感動しました。これまでの舞台は何やったんでしょう。台詞が入ってなかったです。それだけ右太衛門さんと翫右衛門さんのお芝居がすばらしいってことですね。
右太衛門さんいいわあ。品があって貫禄もあって、ええ人オーラ満載。見直しました(って何回目?)
関係ないですが、吉良が廊下を歩いてるところを討とうとする助右衛門を、お喜世が一所懸命止めるのですが、助右衛門にずるずるずるずると引きずられます。セットの廊下が長いから変にリアリティがありました。こんなに引きずられてるの初めて見ました。

このお話だけでお腹いっぱいになったのですが、山科の内蔵助の元に大学長広の処分が伝わり再興の道が断たれると、さあ討ち入りとなり、南部坂雪の別れとなります。
瑶泉院の三浦光子さん、いいですねえ。これまで見た忠臣蔵の中で私のイメージにピッタリ。内蔵助の討ち入りを信じていたんでしょうけど、討ち入りしませんとの内蔵助の挨拶にプイッと退席してしまう。でもなかなか眠れずまどろんで。やっぱり内蔵助たちは討ち入ってくれた。ああ、よかった。美しくてかわいらしくてよかったなあ。

さあ、討ち入りシーンかと思いきや、瑶泉院邸?に投げ文。内容は吉良邸討ち入りの知らせ。そして、泉岳寺の内匠頭の墓前に吉良の首級をそなえ、吉田忠左衛門と富森助右衛門に仙石伯耆守邸へ仔細を知らせるよう内蔵助は命じる。
これだけでした。ちょっと残念。土屋主税とか見たかったなあ。

おしまいは「大石最後の一日」
細川越中守邸では切腹の沙汰が届いているが「私は言えません。」と堀内伝右衛門。
そのとき、瑶泉院から花が届く。どうやら知らせがいったらしい。浪士たちに花を見せればわかるだろうと細川越中守。
富森助右衛門らの下級?武士らはこれまでのお礼と小唄や舞や笛を次々披露。大石らの上級?武士らはうやうやしく平伏。
そして次の日上使がやってきて、切腹の沙汰を申し渡す。それが候文でかっこよかったです。どういう内容かわかっていたのもありますけど聞き取れました。古文書かじってってよかったな。
ああ、とうとう切腹かと思ったら、またひとつお話が。大石の世話をしたいという小姓。実は磯貝十郎左衛門と夫婦の約束をしたおみのという女性。「磯貝の本心はどうだったのか。自分を愛していたのかそれとも。」「だまされて恨んでおけばいい」との大石の説得もきかず、磯貝と対面。そんな女は知らぬと磯貝。大石はおみのの琴の爪を磯貝は持っていると。納得するおみの。そして自ら命を絶ち、「これでおみのとして真実の姿になれた」と。
さいごの最後まで名場面だらけでした。おみのの高峰三枝子さんもよかった。
もう歌舞伎見られないぞ、これは。参った参った。

討ち入り場面がなくちょっと残念ではありましたが、前篇より数倍時間が早く感じられました。
感動したり、泣きそうになったり大変でした。
もう歌舞伎の元禄忠臣蔵は見なくていいと思います。いや、見てもくだらないかもしれません。
それくらい面白かったです。

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「遠山の金さん」完全放送 秋分の日だよ!七人の「金さん」第1話一挙放送

2015年09月23日 | 時代劇(テレビ・映画)
時代劇専門チャンネルで1970年より東映が制作した「遠山の金さん」の第1話を一挙放送していました。

7作品見比べてみると楽しかったので、ちょこっと感想(と思い出など)。

「遠山の金さん捕物帳」中村梅之助
第1話のゲストが木暮実千代さんに里見浩太朗さん。
里見さん若かったねえ。超豪華ゲストやったけど、話は地味。
桜吹雪を見せる相手は一人だけやったし。ちょっと残念。
やさしい感じがして、ちょっと遊び人っちっく。私の中で梅之助さんといえば金さん。それぐらい大好きな金さんです。続けて見たいけど169話もあるんやなあ。無理や。

「ご存知遠山の金さん」市川段四郎
昔映画村の金さんのお白洲のところに歴代金さんの写真の額が飾ってあって、一人知らん人がいました。段四郎さんです。今を思えば亀治郎さんのお父さん、猿之助さんの弟さんではないですか。だからですけど当然お二人にそっくり。声だけ聞いてたら亀治郎さんかと思ってしまいました。というか、こんなにしゃべってる段四郎さん初めてかも。
当時27,8歳ぐらいかと思いますが、恰幅がよくて30代後半ぐらいに見えます。
台詞がとても聞きやすくて、すごく気持ち良かった。

「ご存知金さん捕物帳」橋幸夫
映画村で「へえ、橋幸夫も金さんやってたんかあ」と思いながら地上波で再放送にお目にかかれず、本日初めて見ました。
橋さん線が細いけど、別に見られへんってことでもなかったです。ものすごい太い目張りがまたお似合いで。「殿ぉ~」と金さんを追いかける大友柳太朗さんとか老中?みたいな山村聰さんが脇をかためてて、なかなか面白そうでした。主題歌も橋さん。

「遠山の金さん」杉良太郎
杉さまといえば十文字小弥太もいいけど、金さんがいちばんかなあ。
見た目がかっこいいし、遊び人と遠山左衛門尉のときのメリハリがきいてるし、桜吹雪で暴れてるときの殺陣が「ふらふら歩いて、べしんっ!」っていうのもかっこいいし。この人天才じゃないかと思います。
音楽も菊池俊輔先生やし、エンディングは名曲「すきま風」。
伊東四郎さんや岸辺シローさんなど脇役さんとの掛け合いも最高やし。いいですねえ。

「遠山の金さん」高橋英樹
配役が杉良さんにそっくりな金さん。お奉行に困らされる宮尾すすむさんが良かったなあ。
ぬらした手ぬぐいが印象に残ってます。放送当時エンディングの五木ひろしさんの「長良川艶歌」がすごく年寄りくさくて嫌いでした。高橋英樹さんは金さんというより「桃太郎侍」か「三匹が斬る」の殿様がいいと思います。

「名奉行遠山の金さん」松方弘樹
いちばん目つきがこわい松方金さん。金さんのときもお奉行が化けてるというより、遊び人そのもの。お白洲になったら、急に昭和30年代のまるで片岡千恵蔵さんの「いれずみ判官」?バリの超時代劇口調。どちらもあまりにも上手いのだけれど、周りの共演者が現代劇なものだから、主人公ひとり浮いてしまってものすごくお気の毒。リアルタイムで見ていたお子さまな私でも思ったぐらいで、大人になった今でもやっぱり同じ感想。
殿中の中村嘉葎雄さんとのからみでは「時代劇は東映」って感じで楽しかったんですけど一瞬やしぃ。吉幾三さんのエンディング「さくらぁはなびらぁ、散るぅ前にぃぃぃ」っていう曲を一緒に歌えてびっくりしました。どんだけ私見てたんだか。

「遠山の金さん」松平健
語るまでもなく、この中でいちばん似合わないマツケン金さん。どう頑張っても「暴れん坊将軍」の新さんが潜入捜査で町人に化けてます。にしか見えない。
だって、べらんめい調ができないんですもん。
しかも若村真由美さん以外時代劇ができてないし、救いようがありません。これ以上いうと最近の時代劇批判になってしまうので、おしまい!
といいつつ、舞台は見に行ってるんですよね私…。

しかし、時代劇専門チャンネルで全話完全放送ってすごいわ。誰が見るねん一体。

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『元禄忠臣蔵 前篇』(1941年)

2015年09月13日 | 時代劇(テレビ・映画)
京都文化博物館3階のフィルムシアターで『元禄忠臣蔵 前篇』(1941年)を観てきました。

大石内蔵助…河原崎長十郎
富森助右衛門…中村翫右衛門
浅野内匠頭…嵐芳三郎
吉良上野介…三桝万豊
瑶泉院 三浦光子
大石妻おりく…山岸しづ江
大石松之丞…市川扇升
中村梅之助…吉千代
多門伝八郎…小杉勇
徳川綱豊…市川右太衛門

総監督…白井信太郎
監督…溝口健二
原作…真山青果
脚色…原健一郎、依田義賢
撮影…杉山公平
美術監督…水谷浩
音楽監督…深井史郎
建築監督…新藤兼人

歌舞伎でおなじみの真山青果の『元禄忠臣蔵』の映画版です。
実際舞台では「御浜御殿綱豊卿」と「仙石屋敷」しか見たことがない上、原作も読まずの鑑賞となりました。

お話は松の廊下の刃傷から山科の別れまで、それを112分もかけてるものだから、間延びして間延びして。普通に(ってどんな?)娯楽として忠臣蔵を期待されているなら眠くて仕方ないかと思われます。
セットや役者さんのお芝居や台詞まわし、「え?こんな展開あり?」とちょっとマニアックな見方をすると楽しいかも。

いやあ、とにかくセットがすごいです。松の廊下の長いこと。刃傷が起きてからのかなりの人間が右往左往するシーンがものすごい迫力でした。
中庭も京都のお寺みたいに綺麗で、あらゆる屋敷の襖やら屏風、衝立までもがものすごく豪華ですばらしい絵が描かれていて、こんなにセットに目がいく映画もめずらしいかと。
カメラも「これ見てすごいよ」とばかりに遠巻きで長ぁ~~~~~~く映してるし、江戸から戦前にかけての日本画に興味が出てから見て良かったと思います。
それから時代考証も凝ってたのかなあと。阿久里のおぐしにお香をたきしめたり、おりくさんの髪型が一般的な時代劇とは異なっていて、元禄時代の絵にそっくりだったり。

言うまでもないですが、皆さんの所作や台詞まわしはすばらしいです。あんなに難しくて長い台詞をすらすらと。聞いていてもよくわかる。今の歌舞伎よりも歌舞伎です。もう舞台で『元禄忠臣蔵』は見ることができないかも。
前進座出演の映画は3本目ですが、『人情紙風船』『その前夜』は現代語やったんやなあと今回よくわかりました。

河原崎長十郎さんの内蔵助って結構私のイメージに近いかも。ただのいい人ではなくて腹の中では何を考えているかわからないような感じが。
中村翫右衛門さんいいですね。どういいのか説明できない自分がおりますが。後篇に御浜御殿があるのかなあ。あればいいなあ、きっとあるかな。綱豊は市川右太衛門さんやからね。
右太衛門さんちょこっと出番があり、「用件伝えました」と配下に聞いて「そうか」と言っているようにちょっと微笑むという感じの品のいい表情が、次期将軍さまという雰囲気が出ていて良かったです。
内蔵助の次男の吉千代役に中村梅之助さん。かわいい♪大人になっても顔が全く変わらなかったんですね。

これまで私が見たことのある忠臣蔵ではなかった(と思われる)のか、印象的な場面が3つありました。
殿中で刃傷に及んだ内匠頭の公儀の沙汰に「刀に手をつけなかった吉良は武士ではない」「吉良と柳沢はつながっている」だのひたすら抗議する浅野の家臣(奥田孫兵衛?ちょっとあやふや)
京都でのうわさが浅野のびいきと聞いて内裏に向かって平伏
内蔵助は初めからあだ討ちを決心していて、大学長広のお家復興を願ったのは一生の不覚と、息子松之丞に告白
かなり昔の作品のはずなのにかなり新鮮に思えました。

さてはて後篇はどういう展開なんでしょう。楽しみです。

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『右門一番手柄 南蛮幽霊』(1929年)

2015年07月26日 | 時代劇(テレビ・映画)
京都文化博物館のフィルムシアターで『右門一番手柄 南蛮幽霊』(1929年)を見てきました。

むっつり右門…嵐寛寿郎
おしゃべり伝六…頭山桂之助
あばたの敬四郎…尾上紋弥

監督…橋本松男
脚色…山中貞雄

南町奉行所の無礼講で「加藤清正の虎退治」を上演中、虎を演じていた岡っ引きが殺害される。奉行所に出かけた八丁堀同心の(多分)むっつり右門だったが、門前で富くじで当たった300両がうなぎ屋で奪われたという男に出会い、下手人探しをすることに。むっつり右門の名推理で二つの事件の下手人は同じ一味であった。

やっとアラカン、嵐寛寿郎さんの作品をスクリーンで見ることができました。
鞍馬天狗だけかと思っていたら、このむっつり右門も代表作だったんですね。
1929年、昭和4年、すごいわあ、むちゃくちゃ昔です。
多分セットなんてほとんど使ってないでしょ、なくらい超自然な風景の数々。お寺(おそらく)の壁とかヒビがいい感じに入っているし、道もいい感じに土やし。木の橋で川は流れていて、蔵屋敷っぽい建物がずらずらずらっと。これ、セットですか?
そして、川には櫂で舟こいでるし。すごく自然やし。

っと、背景にはすごく感動していたのですが、これ、本当の(?)無声映画。音楽も全くなし。途中入る台詞の字幕は旧かな遣いで一部変体仮名のが入ります(でも字体がとってもオシャレ♪)。
むっつり右門、おしゃべり伝六はじめ、ほとんどの人物の顔が真っ白。見得は当然、やたらオーバーアクション気味。歌舞伎を見ていて、江戸時代から戦前の小説を読んでいるから何とかなったものの、こりゃハードル高いなあと思いました。
でも、生演奏が入って、弁士さんがあれば楽しいのかも。
お話もご都合主義満載。そして結局、あばたの敬四郎に捕まった冤罪の二人や富くじの300両の男の人はお金戻ってきたん?の結果もわからずじまいでした。

最近、見たい歌舞伎がなく見ていないので、久しぶりに歌舞伎見た~っ!って気分になりました。いい勉強になりました。
できれば無声映画でバンヅマさんとか長谷川一夫さんとか大河内傳次郎さん、千恵さんとか見たいなあ。
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『或る夜の殿様』(1946年)

2015年07月20日 | 時代劇(テレビ・映画)
京都文化博物館3階のフィルムシアターで『或る夜の殿様』(1946年)を観てきました。

江本逓信大臣…大河内傳次郎
書生…長谷川一夫
越後屋喜助…進藤英太郎
妻おくま…飯田蝶子
娘妙子…高峰秀子
北原虎吉…志村喬
菅沼仁太郎…菅井一郎
波川三右衛門…清川荘司
女中おみつ… 山田五十鈴

演出…衣笠貞之助
脚本…小国英雄

明治19年の箱根の洋風温泉旅館で繰り広げられる水戸-宇都宮間の鉄道建設の利権争いを描いたコメディ。

鉄道敷設の許可を得るためには行方不明の15代将軍慶喜の弟の平喜一郎を探し出せして水戸の当主に引き合わせればよいと逓信大臣に言われた菅沼と波川は、大阪の実力者北原と結託して女中おみつが連れこんだ書生を平喜一郎に仕立て上げる。
菅沼と波川の商売敵である越後屋一家も上手くだまし、一泡吹かせてやろうとした矢先、越後屋は逓信大臣を呼び出した。さて書生の運命はいかに。

舞台は明治時代でしたが、チャンバラのない時代劇という雰囲気でものすごく面白かったです。

ちょんまげでない長谷川一夫さんは初めて。超お美しい。特に目がすごかった。吸い込まれそうでした。
山田五十鈴さんってやっぱり上手い。女中さんというか給仕さんというか歩き方やお茶の出し方までいつもよく見る花街のお姉さんとはまったく違いました。すごいなあ。
箱入り娘な高峰秀子さんかわいさと美しさと上品さが役にぴったりハマっていました。きれいでした。

最後のほうの平喜一郎と逓信大臣の会話はちょっと時代を感じました。
それから、アップになったときの長谷川一夫さんの左頬の傷跡も痛々しかったなあ。

この連休は京都通いな3日間でした。楽しかった
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『その前夜』(1939年)

2015年07月20日 | 時代劇(テレビ・映画)
昨日(7/19)京都文化博物館3階のフィルムシアターで『その前夜』(1939年)を観てきました。

滝川仙太郎…河原崎長十郎
彦兵衛…助高屋助蔵
おまさ…清川玉枝
彦太郎…中村翫右衛門
お咲…山田五十鈴
おつう…高峰秀子

演出…萩原遼
原案…山中貞雄 「三條木屋町」

時は幕末。京都三条小橋の高瀬川沿い、瑞泉寺の裏?にある旅籠の住人と滞在する絵描きから見た池田屋騒動。
主人公の旅籠屋の住人たちは佐幕でも倒幕・勤皇派でもなく、ただ池田屋とは斜向かいにあるため少しはかかわりがあったが、不幸になるわけでもない。ほとんどの京の街の人々はこんな気持ちだったのかもと思わせてくれる作品。

長男彦太郎は友禅職人。うだつが上がらないので新選組からの洗濯物を預かり洗濯屋?を始める。長女のお咲は先斗町の芸妓。実家が仕事場と近いことからちょくちょく顔を出す。一度家を出て奉公に出たお咲に家に戻ってくるなと冷たくあたる彦太郎。
次女のおつうは若さあふれる天真爛漫なお嬢さん。新選組隊士に淡い恋心を抱く。
旅籠の主人助蔵は池田屋の主人と将棋友達。池田屋騒動の前日に喧嘩したおかげで事件当日池田屋にいかなかった。
元は武士らしい絵描きの滝川仙太郎だが、池田屋に潜伏する長州藩の連絡役の女が尋ねた晩、新選組が詮索しに部屋へ上がってくるが、先に部屋にいたお咲の機転で無事に済む。

おつうが恋心を抱いた隊士は池田屋騒動で目の前で隊士が命を落とし、滝川仙太郎を尋ねた女も新選組に斬られて命を落とす。
数年後、旅籠は洗濯屋に変わり、滝川仙太郎も江戸へ行き何か活動している様子。

昨日見た『人情紙風船』と同じくオープニングで「前進座一党総出演」とありました。それから「山中貞雄に捧ぐ」ともありました。
昨日みた『人情紙風船』はみんな善人ではなかったのに、この作品はみんな善人。
山田五十鈴さんの芸妓はすごく色っぽい。彦三郎に冷たくあしらわれ「好きで芸妓になったわけやあらへん。」の件はたまりませなんだ。
高峰秀子さんがかわいいったらありゃしません。きゃんきゃんしててかわいかった。

よかったです。
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『人情紙風船』(1937年)

2015年07月18日 | 時代劇(テレビ・映画)
京都文化博物館3階のフィルムシアターで『人情紙風船』(1937年)を観てきました。

海野又十郎…河原崎長十郎
髪結新三…中村翫右衛門
家主長兵衛…助高屋助蔵
弥太五郎源七…市川笑太朗
白子屋久兵衛…嵐芳三郎
毛利三左衛門…橘小三郎
忠七…瀬川菊之丞
又十郎の女房おたき…山岸しづ江
白子屋の娘お駒…霧立のぼる
白子屋久左衛門…御橋公

監督…山中貞雄
脚本…三村伸太郎


とある江戸の貧乏長屋。髪結の新三は隠れて賭場を開き、地域を牛耳る弥太五郎源七一家に目をつけれられている。浪人海野又十郎は女房おたきに紙風船の内職をさせながら、父親が仕官していた藩の重鎮毛利三左衛門に仕官を志願するが無視され続ける。質屋白子屋の娘お駒は番頭忠七と恋仲であるが、親の白子屋久左衛門は毛利三左衛門を通して藩へ越し入れさせようと画策している。
借金がかさみ髪結道具を白子屋へ質へいれようとしたが番頭に断られた挙句、弥太五郎源七一家に暴行を受ける始末。ある祭りの夜、雨の境内で一人雨宿りしていたお駒をかどわかす。白子屋の命を受けた弥太五郎源七が取り戻しにくるが、首を縦に振らず追い返した
新三。家主が白子屋へ行きお駒を返すが、毛利三左衛門から50両受け取っていた。その金でどんちゃん騒ぎをする長屋一同。家主が毛利三左衛門に一泡ふかせたと聞き喜ぶ海野又十郎であったが、そのとき女房おたきが実家から戻ってくる。長屋に戻った海野又十郎と無理心中をするおたき。弥太五郎源七に呼び出された新三は閻魔堂橋で一騎打ち。白木屋に戻ったお駒は忠七に駆け落ちしようとせがまれる。その後はさてはて。

歌舞伎の『髪結新三』が原作と知って、楽しみにしていました。
歌舞伎よりも悲惨な話で善人が誰一人出てきませんが、なぜか嫌な気分になりません。「ああ、面白かった。果たしてお駒や新三はその後どないなったんやろう。」という気分。不思議な感覚です。

オープニングで「前進座総出演」とありましたが、もう誰が誰だかわかりません。ただ中村翫右衛門さんが中村梅之助さんのお父さんというのは知っていましたが、実際映像で見るのは初めて。丸顔じゃなくてにシュッとしていて男前さんだったんですね。
いちばん印象的だったのは又十郎の女房おたきさん。ひたすら紙風船を作って、主人の嘘はわかっていても黙ってだまされて、最後の最後にはあんなことに。表情やしぐさで悲惨さがよく伝わってきました。帯の崩れ具合がなんとも絶妙。

当時(昭和12年)の現代語での台詞まわしだったそうですが、まったく時代劇でした。よく考えれば同年代の時代劇ってちょっと頑張ってヒアリングしないといけないのですが、すっと入ってきてましたね。
長屋の奥さんが炭火でお味噌汁?を作っていたり、ラウ仕替え屋さんが歩いていたり、長屋の木戸に「六つまで」とか書いてあったり、自身番のそばにたずね人の石碑が立っていたり、こよりで煙管を掃除していたり、何気ないしぐさやモノが細かい細かい。本で読んだことがある物事が映像になっていて嬉しかったです。

時代劇や古典落語にあかるくないとわかりにくいかもしれませんが、日本映画の傑作にはまちがいないと思います。ああ、面白かった。

人情紙風船 [DVD]
三村伸太郎,三村伸太郎
東宝
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『千利休 本覺坊遺文』(1989年)

2015年06月22日 | 時代劇(テレビ・映画)
昨日(6/21)京都文化博物館3階のフィルムシアターで『千利休 本覺坊遺文』(1989年)を観てきました。

本覚坊…奥田瑛二
千利休…三船敏郎
織田有楽斎…萬屋錦之介
古田織部…加藤剛
太閤秀吉…芦田伸介
山上宗二…上條恒彦
東陽坊…内藤武敏
古渓…東野英治郎

監督…熊井啓
原作…井上靖

利休が死んで27年後、利休の愛弟子の本覚坊は、織田有楽斎の茶室ができたとのことで彼に初めて会見。利休が秀吉に切腹させられた理由をどうしても知りたい有楽斎に、始めは多くを語らない本覚坊であったが、次第に思い出を話し始める。

実はリアルタイムで映画館へ観に行っていたんです。今回が2回目。
当時はお子様でしたので、さっぱりわからず、古渓の東野英治郎さんが茶室で笑うシーンで「水戸黄門や」と思ったぐらいであとは、全部忘れていました(というより、東野英治郎さんのことも、今回観て思い出したぐらい)。

この作品「観たいんだ!観てやる!」と思わないと大変だと思います。
なにせほとんど本覚坊と有楽斎の思い出話のシーンばかりですから。
回想シーンも具体的な描写がありませんし、天正、文禄、慶長、元和という年号と、文禄・慶長の役、関が原の合戦、大坂の陣がいつ起こって、どんなだったのかも順番だてて知っておかないと話についていけません。
登場人物も利休とどんな関係だったかを知っているのは当然のことです。
それでやっと映画についていける、そう、「本覚坊さんよぉ、ほんまはどないやったん?話し聞かせてなあ。」と有楽斎の気分で観ることができるというか。

26年でやっと始めから終わりまで真剣に観ることができましたが、登場人物のまるで禅問答のような台詞はまだまだ理解できないようです。利休の話を聞きたかった有楽斎や、なかなか話さない本覚坊の気持ちもどうなのか「。多分そうやろうなあ」という考えはありますが、
あと20年後ぐらいにもう一度観てみようかと思います。また違った感想を持つかも知れません。

こんな作品ですので、出演者のみなさんの演技がすべて。
今この作品をリメイクしようにも役者さんがいないでしょうね。
リメイクしなくてもいいですけど。
しかしですね、やっぱり三船さんと錦之介さんは茶人というより戦国武将っぽかったなあ。
隠居した武士みたいでした。
もしかすると戦国時代の茶人はこのような雰囲気だったのかもと思ってみたり。

茶道の世界がさっぱりな私でしたので、これからもいろいろ歴史を学んでいくにあたってはイメージづくりのきっかけを与えてくださったと思います。

ああ、疲れたっ!面白かったっ!

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『折鶴お千』(1935年)

2015年02月08日 | 時代劇(テレビ・映画)
昨日(2/7)京都文化博物館3階のフィルムシアターで『折鶴お千』(1935年)を観てきました。

お千…山田五十鈴
秦宗吉…夏川大二郎
浮木…羅門光三郎
熊沢…芝田新

監督…溝口健二

雨の万世橋駅、上りも下りも遅れが生じ、ホーム、待合室には人がごった返していた。
その中にお茶の水病院で勤める医師秦宗吉は神田明神の森を眺めながら思いにふけっていた。
田舎から医師として成功せんとしていたが、かなわず明神の森で自殺しようとしていたところ悪徳古美術商熊沢に囲われているお千に救われる。熊沢の店でこき使われる宗吉。
しばらくたって熊沢たちが捕まり、二人の生活が始まったが、金が底をつき、宗吉を立派な医者にするため身を売るお千だが、それもつかの間お千も捕まってしまう。
雨の万世橋駅。待合室で急病人が発生。急病人を診察する宗吉。その急病人は変わり果てたお千だった。

泉鏡花の『売食鴨南蛮』が原作だそうで、それで溝口監督ときたら、結末は悲惨やろうなあと覚悟はしていましたが、やっぱり『滝の白糸』系(?)でした。

無声映画鑑賞は初体験。弁士風(?)の声が台詞の字幕とともに流れます。
字幕が古文みたいで「~~だらう。」「~~して呉れ。」とかの古い言い回しはともかく、漢字のくずしが古文書みたいで、難しかったです。

最初の30分ほどはこんな感じで慣れないためか、つらかったのですが、いつの間にか山田五十鈴さんのすばらしい演技に引き込まれていました。

舞台はいったい何時代だったんでしょう。、今では都会にいきなり鳥居がある神田明神の周りに何もなく、後ろに森が広がっている描写や、男坂の階段?のまわりも森みたいで、なんだか新鮮。
お千が住む長屋も入り口が障子で、向かいの家は「錺(かざり)」って読めない字が書いてあったり、まるで江戸時代なんですが、水道があったり、郵便ポストがあったり。明治?大正?

いろんな意味で難しい映画でしたが、観ることができて良かったです。

Talking Silents 2「折鶴お千」「唐人お吉」 [DVD]
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『大江戸五人男』(1951年松竹)

2014年10月05日 | 時代劇(テレビ・映画)
先日(10/4)守口市エナジーホールで『大江戸五人男』(1951年松竹)を観てきました。

幡随院長兵衛…阪東妻三郎
女房お兼…山田五十鈴
唐犬權兵衛…進藤英太郎
水野十郎左衛門…市川右太衛門
近藤登之助…三島雅夫
腰元おきぬ…高峰三枝子
魚屋宗五郎…月形龍之介
水木あやめ…河原崎權三郎
白井權八…高橋貞二
花魁小紫…花柳小菊
松平伊豆守…市川小太夫
高見澤備中守…高田浩吉

監督…伊藤大輔

中村あやめ一座の山村座で白柄組の横暴を幡随院がとめたのをきっかけに対立がはじまり、鈴が森で知り合った(?)權八が吉原で花魁小紫で白柄組とひと騒動、一方、水野家では腰元おきぬと恋仲になっていた水野だが、出世のために縁談の席に着き悩んでいるところ、おきぬが家康拝領の皿を割り、かっとなって水野が手討ちに。
おきぬの実家の兄、魚屋宗五郎が妹のかたきと水野の屋敷に殴りこみにいくが失敗。彼を介抱した權八が幡随院に助けを求めるが断られる。そこで權八は水木あやめ一座に水野とおきぬの話を歌舞伎にしたらと提案。何かあったら幡随院が何とかすると嘘をついて逃げ腰の一座を説得。
狂言「番町皿屋敷」は連日大入り。見物した白柄組はあやめを人質にとり、幡随院に引き取りに来るよういいつける。
一戦交えようと血気盛んな幡随院一家を幡随院は説得し、一人で水野邸へ。
「もう町奴と旗本奴の争いはお互いのためにならない」との決死の説得に、水野は「負けた」といい、今夜は腹を割って飲明かそうと幡随院に風呂をすすめる。
本気で負けた、幡随院を許そうと思っていた水野であったが、ほかの白柄組の仲間たちはそんな水野に見切りをつけ、幡随院を殺そうとする。もはや止められぬと水野はそれなら自分がと槍を持って風呂場の幡随院を襲う。風呂場の杓子で応戦する幡随院であったがさされてしまう。
旗本奴の粗暴な振る舞いに困惑していた老中松平伊豆守は水野に知行没収、家名断絶切腹を申し付けるのであった。

町奴の幡随院と旗本奴の水野の対立をベースに、番町皿屋敷、白井權八と花魁小紫、さらに劇中劇に歌舞伎が2本(娘道成寺、番町皿屋敷)あり、内容盛りだくさんの上映時間132分でございました。

戦前からのスターさんが総出演で歌舞伎色満載。歌舞伎に慣れていなかったら台詞が聞き取りにくいかも。
阪妻さんより右太衛門さんのほうが出番が多かったような気がします。ホレタハレタのシーンがあって、これまで、退屈男しか見ておらずこのイメージしかなかったので新鮮でした。しかし、大画面で見得を切られると、吸い込まれそうになりました。すごい迫力でした。

花柳小菊さんの花魁は綺麗すぎるし、幡随院一家の女将さんの山田五十鈴さんも綺麗で優しくて、芯が強くて最高。おきぬの高峰三枝子さんは初見(多分)でしたが、お若いときからやっぱり綺麗なんですねえ(当たり前か)。またほかの作品を見たくなりました。
お皿を数える表情、しぐさがなんともよろしかった。

女性の髪がタボが後ろに反り返っていて、元禄ぐらいの美人画に出てるような髪形で、時代劇でよく見る化政ぐらいの髪形とは違いました。
それから鉄漿(おはぐろ)もしてましたし、眉も薄かったです。

印象に残ったのは近藤役の三島雅夫さん。どこまでも悪くて憎たらしくて、嫌悪感さえ感じました。ものすごい存在感です。

逆にあれ?と思ったのが權八の高橋貞二さん。なんとなくこの方だけ台詞が現代劇調というか、この作品から後、昭和30年代前半ぐらいにかけて流行った(?)お子様時代劇(?)のような台詞まわしのような気がしました(当然、現代に照らし合わせると十分時代劇ですけどね)。

やはりなんといってもこの作品のいちばんの見せ場は水野邸の湯殿のシーンです。
阪妻さんと右太衛門さんの見得のアップが何度も。歌舞伎より歌舞伎でした。お二人の立ち姿といい、台詞といい、見得といい、素晴らしい。
もう、「極付幡随長兵衛」見なくていいかな、いや見れないかもしれないな。
それくらいすごかったです。

時代劇好きの方はもちろん、歌舞伎好きの方にも是非一度ご覧いただきたい作品です。


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『祇園囃子』(1953年)

2014年09月23日 | 時代劇(テレビ・映画)
京都文化博物館3階のフィルムシアターで『祇園囃子』(1953年)を観てきました。

美代春…木暮実千代
栄子…若尾文子
楠田…河津清三郎
沢本…進藤英太郎
佐伯…菅井一郎
小川…田中春男
神崎…小柴幹治
お君…浪花千栄子

監督…溝口健二

祇園の芸妓・美代春のもとに上七軒の芸妓をしていた母をなくした娘・栄子が舞妓志願にやってくる。
父の沢本は美代春の馴染みの客であったが事業が失敗した上、病により貧しい生活を送っていた。
初め断る・美代春だったが、彼女の決心の強さにより舞妓として仕込むことに。
1年後店出しすることとなり、お茶屋の女将・お君から30万借金する。
人気の舞妓となった栄子に会社専務の楠田に見初められる。同時に彼の取引先の某官庁課長の神崎が美代春を気に入る。
楠田に連れられて東京へ行った美代春と栄子。そこには神埼がいた。
それぞれの相手をさせれらることとなった二人。栄子は言寄られた楠田の唇を噛み大怪我をさせ、また神埼を断った美代春。
お君から借りていた30万は実は楠田から出ており、また楠田から神埼のことを頼まれていたお君は顔をつぶされてしまった。
それにより、二人はお茶屋の出入りを指し止めされてしまう。
勝手にお君へ侘びに行った栄子。栄子を取り戻さんとして、神田の相手をする美代春。
それによりまた座敷へ出ることができるようになった二人。

おそらくこの当時(昭和28年)の現代劇なのですが、時代劇感覚で見てしまうとごくフツーによくあるお話。
楠田を材木問屋、神崎を普請奉行か江戸家老に置き換えれば時代劇のできあがり。

まさに時代劇の花街のイメージ通り(どんな?)の配役、キャラクターですごかったです。
木暮実千代さんは綺麗やし、若尾文子さんはもうかわいい舞妓さんを頭に思い描いたらこんな感じというくらいのかわいらしさ。
浪花千栄子さんは意地悪やし、男性二人はいやらしい(エッチなという意味でなく)し。

しかし、栄子のおしまいの台詞「京都の名物、日本の名物、みんな嘘や。好きやない人を旦那はんにしたらお座敷にあがれて、私はお茶屋からボイコットや。好きやない人と一緒にならんとあかへんのやったら舞妓やめる。お姉はんも芸妓やめはったらええのや。」(たぶんこんな感じの台詞)と言われると急に戦後になってしまいます。

そして美代春は「ほんなら私が栄子の旦那はんになったる。襟替えは豪勢にしましょう。」(←ちょっとあやふや)と栄子を納得させ、二人お座敷へと向かって「終」。

果たして栄子は納得したんやろか。好きな旦那はんをつかまえられたんやろか。
美代春姉はんはどないなん?
と思ってしまいました。

見ていて楽しかったのが、当時の風俗。
木暮実千代さんが玄関をのぞきながら帯を締めたり、歩きながら着物を替えたり。それだけですごいなあと(当時はフツーなんですけど)。
煙草はもう煙管ではなく巻煙草でしたが、煙草盆に灰を落としていました。
神崎が風呂からあがり、ヘアトニックをつけるのですが、その容器の瓶がモダンでおしゃれでした。
電話が黒電話でなく、話すところと受けるのが別の電話でした。
栄子が舞妓になる決心を話すとき「絵葉書で人気の舞妓になったる。」って、絵葉書かあ、やっぱり江戸時代みたい。

なんじゃかんじゃ言ってもやっぱり昔の映画は面白いです。

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