天下御免のすっとこどっこい

自分が読み返して「楽しかった」と思えることを書き綴っています。

『鴈治郎の歳月』中村鴈治郎著 藤田洋編

2015年08月09日 | 
昭和47年に出版された二代目中村鴈治郎さんの自伝みたいな本。

何年か前にどこかの百貨店の古本市で数百円で購入。
ぱらぱらっと読んではみたのですが、あまりにも昔過ぎて、全部読まないまま押入れに眠っておりました。

この度、大阪歴史博物館に「初世中村鴈治郎」へ行くにあたり、また先日読んだ『歌舞伎 家と血と藝』で東西成駒屋関係や、当時の歌舞伎界云々が少しわかったのでいざ!と思ったら面白い面白い。

父親である初代中村鴈治郎の出生のことから始まり、当人の出生のことをはじめ、明治末期から戦後までの歌舞伎界のことがびっちり書いてあります。
芝居のことだけでなく、劇場や観客の様子など、歴史を知る上にも勉強になりました。

時代劇好きな私とすれば、青年歌舞伎で歌右衛門や千恵蔵、アラカン、それから長谷川一夫も一緒だったとか、長谷川一夫が映画界に行くときは相談にのって賛成したとかの一節も面白かった。
それから、栖鳳邸の忘年会の節では、栖鳳や松園の絵が景品だったとか。
今年見に行った姫路の竹内栖鳳展での投扇興に興じる写真がつながって楽しい楽しい。

私ここ数年で雷蔵さん映画を見ているおかげで、鴈治郎さんもよく見かけるし、日本画を知るようになって竹内栖鳳とか上村松園とか言われてもわかるようになってたのも良かったです。
人間いろんなことに興味を持つってのはええことかも知れませんね。

ネットでも古本が販売されているようですので、興味のある方は是非。

ちなみに「顔見世や七十年の眉を引く」という句とサインが入っています。
ほんまに数百円でよかったんやろか。
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『歌舞伎 家と血と藝』

2015年07月23日 | 
2年前に書店で平積みになっていて、しかも帯が本の4分の3ぐらいの幅で定式幕柄。
そこに「明治から現代まで世襲と門閥が織り成す波乱万丈の人間ドラマ!!!」
と、いかにも面白くなさそーなコピーだったにもかかわらず、数ページぱらぱらっと見てみると止まらなくなったので、購入。

市川団十郎家
尾上菊五郎家
中村歌右衛門家
片岡仁左衛門家
市村羽左衛門家
中村吉右衛門家
松本幸四郎家
守田勘弥・坂東三津五郎家

これらの家の歴史をを明治、大正、昭和、平成と分けて書かれていて、初めから読むと歌舞伎全体、それぞれの家を続けて読むとその家の通史となっていて、なかなか読みやすかったです。
どうして、福助が梅玉になったと同時に児太郎が福助になったん?とか、鴈治郎家と歌右衛門家が東西成駒屋っていわれてるけどなんで?とか、なんで松本幸四郎の前が市川染五郎なん?とか、尾上松緑と松本幸四郎はなんで苗字が藤間なん?などなど、歌舞伎役者の家系図を見てもあまりピンとこなかったことが、うわっと理解できました。
戦前から昭和30年代あたりの時代劇ファンの私としてはなかなかタメになる本でした。

しかし!おそらく、歌舞伎関係者、ならびに役者さんとは取材されることなく、巻末の参考文献にならい、本人の想像、思い込み中心で書かれた本かと思いますので、すべてがその通りだと思うのは大変危険です。
そういうわけで、歌舞伎を全く知らない方の入門書には全くオススメできません。

また、「この役者は芸がない」とか、「大成しなかった」などズバズバ、ズケズケ書いてはります。しかしどーも、作者と私の役者さんの好みが似ているのか、全く読んでいてイヤな気がしませんでした。はははっと笑ってしまったぐらい。

オススメするのか、しないのかサッパリわからなくなりましたが、とにかく私にとってはマンガ感覚でさらっと読めた本でした。

歌舞伎 家と血と藝 (講談社現代新書)
中川右介
講談社
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『外科室』泉鏡花

2013年06月12日 | 
昨日の『義血侠血』に続き読んでみました。
もっと短編。

小石川の植物園で一目ぼれしたお金持ちのお嬢さん?と医学生。
9年後伯爵婦人となったお嬢さんは医者となった医学生の外科手術を受けることに。
麻酔をされるとうわごとを言うからと麻酔なしで手術をせがむ。
ついに麻酔なしで手術する医者。彼の手にあるメスで胸元をかききった婦人。
彼も同じ日に命を絶った(らしい)。

ちょっと文体に慣れてきたようで、なんとか読めたような気がします。
おそらく上に書いたあらすじなのではと思います。違うかも。
「予(私?)」という医者の友人(画家?)が語っているように話がすすんでいました(と思う)。

病院の廊下で行きかう人の様子を「往復あたかも織るがごとし」ってうまいなあ。

あとから残された伯爵とか娘はどうなったんでしょう。
『義血侠血』でも思ったんですが、欣さんの母親とか白糸の一座とか。

なんだか考えてしまいます…。

外科室・海城発電 他5篇 (岩波文庫)
泉 鏡花
岩波書店
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『義血侠血』泉鏡花

2013年06月11日 | 
昨年の秋、新派の「滝の白糸」を観て以来、ずっと原作を読んでみたいと思っていました。

原作名は『義血侠血』。

う~ん、なるほど。
『滝の白糸』のほうが、水芸の楽しそうなお芝居という感じがします。
実際舞台を観るまで、まさかああいう結末とは思いませんでしたから。

舞台ではわかりにくかった白糸と金さんの馴れ初めや、白糸が金をとられて強盗殺人を犯してしまう心理状態とその状況がよくわかりました。
文語体なので、まるで昔の映画を観ているような雰囲気です。

ただ、地の文が文語体、会話が口語体なのがちょっと慣れるまで読みにくかったです。
明治時代の単語がわからなくて、途中調べたりしました。
それから頻繁にでてくる「渠(かれ)」という代名詞?がいったい誰のことなのか、これまた慣れるまで、大変でした。
それでやっと慣れてきたかな…というところで終わりました。

藍の将棋の駒の着物とか、島田の髪はうっとうしいから結いなおすとか、舞台も全く同じだったんですね。
色っぽい春猿さんを思い出しました。

外科室・海城発電 他5篇 (岩波文庫)
泉 鏡花
岩波書店
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『能・狂言の見方楽しみ方』

2013年03月22日 | 
今年に入ってすっかりお能に興味を持ち始めた私ですが、歌舞伎と違って祖母や母という先輩、ガイドがいないものですから、ちょっと本でも読んでおこうかと購入。

能・狂言の見方楽しみ方
柳沢 新治
山川出版社


たいていハウツーものって面白くないのですが、この本は全くの初心者向けに書かれていない感じがします。筆者の主観・主張が多い。そのため、読み物として面白いです。
巻頭カラーも多めで楽しめます。

特に歌舞伎を引き合いにだして解説する部分が多く、歌舞伎好きの私にはとてもわかりやすかったです。

最終章の「初めて能を見る方へ」に書いてあった【見て楽しめる能】の中に「安達原」や「道成寺」が記してあり、私の選択は正しかったようです。

何事もそうですが、まず本を読んでからではなく観てから疑問に思ったことを調べていくほうが楽しいと思いますけどね。
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雑誌『家庭画報』2013年1月号

2012年11月30日 | 
ネットでたまたま、「伝統芸能の若き獅子たち」という特集記事で片岡愛之助さんが紹介されると知ったので、初めて買ってみました。

家庭画報 2013年 01月号 [雑誌]
クリエーター情報なし
世界文化社


いやあ、1500円、高い。
それに重たい。軽く1キロ超えてます。
かるたと通販カタログが付録なので、2kgぐらいはあったんじゃないでしょうか。
オールカラーページですもんねえ。仕方ないか。

しかし、内容がそれに見合って素晴らしいです。

愛之助さんは、今年の永楽館の「鯉つかみ」の志賀之助実は鯉の精で花道立ってるかと思うと、隣のページでは紋付袴で花道座ってはるし。
すごくいい写真です。
で、次のページは大石内蔵助にお練りの様子、お化粧風景などなど…。
コレだけでファン垂涎の一冊ではないでしょうか。

でまたスゴイことに、愛之助さんの前8ページには坂本龍一さんが東北のこどもたちの支援のためのコンサートを開いたという記事。
何ですか?もうびっくりです。私ファンなので。

で、で、さらに嬉しかったのが、お囃子の田中傳次郎さんまで!
それがですよ、今年の9月の「伝統芸能の今」の写真なんですねえ。
茂山逸平さんとの2ショットだったり、猿之助さんの青い毛の龍神だったり。
楽しかった公演がよみがえりました。

それにしても、歌舞伎と教授が一緒に載ってる雑誌なんて、まあ、ないでしょう。
教授の次がラブリン。すごすぎ。

まあ、欲を言えば、狂言が茂山さんだったらパーフェクトだったんですが、いいです、「伝統芸能の今」で許します。

そのほか、お能と和歌の名家のお正月紹介から、黒木瞳さんや鈴木京香さんの旅のスナップ(?)だったり、盛りだくさん。

お取り寄せの和菓子も綺麗。

透明な袋でぴっちり封をして販売されていますので、立ち読みできません。
是非お買い求めくださいませ~。
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原田龍二セーターを着る

2012年04月25日 | 
水戸黄門の助さんで原田龍二さんのファンになったという変わり者の私ですが、

とうとう、古本で買ってしまいましたあ。

原田龍二セーターを着る
雄鶏社


平成5年(1993年)刊行、今から19年前。原田さんが22歳のセーター本です。

お若いです。お身体の線も細いですね。

今では絶対着ることのできないセーターを、にらみながら着こなされております。
なんで笑顔のショットがないのだ。そんなキャラだったんでしょうか。
なにせ、アイドル時代を知らないのでどーもこーも…。

プロフィールに「ロックシンガー 俳優」とございました。

CDも2枚出されてるんですよねえ。
もちろん持ってますけど、1回しか聴いたことがないというのは秘密です。
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『いなり、こんこん、恋いろは。』1巻

2012年02月09日 | 
今日なにげに本屋さんで平積みされた漫画をみていたら、表紙がかわいかったので買ってしまいました。

いなり、こんこん、恋いろは。 (1) (角川コミックス・エース 326-1)
よしだ もろへ
角川書店(角川グループパブリッシング)


主人公の中学生、伏見いなりは近くの神社の境内で登校中、川に落ちそうな子犬を助けると、これは実はお稲荷さんのお使いで、お稲荷さんはこのお礼に願い事をひとつだけ叶えてやるという。ついつい、いなりが口にしたのは「墨染さんになりたい。」
墨染とは中学一の美人の人気者。いなりがあこがれる男子丹波橋くんが好きな女の子(だと思っていた)。さて、墨染になってしまったいなりは……。


とにかくかわいいです。話はフツーの少女漫画のようです。
多分、おいおいいなりと丹波橋くん、いなりのお兄ちゃんとお稲荷さんがひっつくのかなあ。

さて、2巻は明日読みましょうか。
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まんがで読破『好色一代男』

2011年06月28日 | 

あまりに現代語訳でもきちんと理解できていたかどうか自信がなかったので、漫画版も読んでみました。

現代語訳は2週間くらいかかってしまったのに、漫画なら30分で読破

世之介が勘当されて父親の遺産を受け継ぐまでにページが割かれていて、その後はさらさらさらっと流す程度。 すごく上手く編集されています。

現代語訳、理解していたのが再確認できました。

しかしまあ、「替った物は男傾城」まで載ってるとは

好色一代男 (まんがで読破)
井原 西鶴,バラエティアートワークス
イーストプレス
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『好色一代男』吉行淳之介訳

2011年06月28日 | 

「はいぃ~?」 「え゛~っ。それはないやろ。」「うわ、うわ、うわっ!」

読んでいて、何回こんなひとり言が出たことか。

病院の待合で読もうとしたのですが、1話読んだだけで、声が出そうになったので自宅で読み進めました。しかも寝る前。集中して何話も読むようなお話ではないんですよね。

きっと、江戸時代読まれていたときも、軽~く読み流していたんじゃないでしょうか。

「7歳から60歳までの女好きの男の一生」というとものすごく乱暴かなあ。

いろんな色恋のお話の詰め合わせ。どこからでもお好きにどうぞ。という感じです。

コレ一冊で時代劇10年分ぐらいの脚本が書けそうです。

前後も辻褄が合わなかったりしますし、一体コレは誰のお話?って件もありますし。

考えながら読まないと訳がわからなくなるので、大体3話で限界がやってきます。

それでも面白いです。 特に、勘当されていろいろ旅をしている巻二の「出家にならねばならず」から 巻四の「火神鳴の雲がくれ」がすらすらっと読めました。

現代語訳ですが、おそらく原作の雰囲気を残す書き方をされているので わかりにくいところもありましたが(ただ私の国語力不足?)、じっくり読めてよかったです。

8月に片岡愛之助さん主演で舞台化されますが、私は市川染五郎さんが読みながら思い浮かんできました。

好色一代男 (中公文庫)

中央公論新社
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雑誌『一個人』5月号「大江戸入門」

2011年04月03日 | 
たまたまコンビニで見かけた一冊の雑誌に目がとまりました。

一個人 (いっこじん) 2011年 05月号 [雑誌]
クリエーター情報なし
ベストセラーズ


「大江戸入門」ですよ。

古地図と現代の航空写真の見開きの対比ページは楽しいです。
それから、江戸は家康の時代から埋め立てられてきたというのは
知りませんでした。

赤穂浪士討ち入り事件の足取り記事も面白かったです。
子供の頃から吉良邸から泉岳寺までの足取りを巡ってみたいと思っていますので。

時代劇放送が皆無の今、歌舞伎や落語が好きな方には便利な一冊かも知れません。
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『桂三枝の上方落語へいらっしゃ~い!』を読みました

2011年01月23日 | 
お正月前に書店で『山口六平太』の横に平積みされていて
ふと眼に入ったので買ってしまいました。

桂三枝の上方落語へいらっしゃ~い! (ヨシモトブックス) (ヨシモトコミックス)
桂 三枝,高井 研一郎,中原 まこと
ワニブックス


落語家・桂三枝さんの半生を『山口六平太』の高井 研一郎さんのほのぼのタッチで描かれた漫画です。

小文枝師匠へ弟子入りしたところから始まり、下積み時代、
ラジオ番組がきっかけでブレークして、超売れっ子時代、
古典をやめて創作落語という新しいジャンルをつくり
「ゴルフ夜明け前」で文化庁芸術祭の大賞を受賞、
そして今現在、という内容です。

私は、「愛ラブ爆笑クリニック」とか「爆笑美女会談」とか
三枝さんをテレビで見ない日がない、という時代からしか知らなかったので、
下積み時代や、創作落語をつくられたきっかけなど興味深かったです。

巻末に「鯛」というお噺が描かれています。
すごく面白かったです。

落語好きといっている私ですが、三枝さんの落語は昔テレビで見ただけです。
是非生(なま)で見てみたいと思います。

上方落語ファンの方のみならず、落語ファンの方にはオススメしたい1冊です
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「沖雅也と『大追跡』」

2008年11月16日 | 
沖雅也と「大追跡」―70年代が生んだアクションの寵児
かわだ わか
ワイズ出版


昨日(11/15)購入、一気に読んでしまいました。
沖さんの代表作のひとつ『大追跡』を中心にして、彼の作品に携わったプロデューサー、監督、共演した藤竜也さん、長谷直美さんのインタビュー、全エピソードを収録。

そして、『大追跡』以外の作品『太陽にほえろ』『俺たちは天使だ』
『必殺シリーズ』『江戸の朝焼け』などにも触れてあります。
冒頭には沖さんの生い立ち、巻末にはフィルモグラフィーと、沖さんの全てが書かれてあるような気がします。
沖さんファンの方はもちろん、『大追跡』『俺たちは天使だ』『太陽にほえろ!』が好きな方にも十分楽しめる本だと思います。

私が沖さんのファンになったのは、あの不幸から約10年くらい経ってから。
地上波やスカパー等で、代表作はかなり見てきて、「時代劇、現代劇もできて、アクションから、シリアス、コメディーまで何でもできる完璧2枚目スター」と私の中での認識でしたが、まだまだ彼には魅力がたくさんあって、彼の魅力を感じていきたいと思わせてくれた、まさに『沖雅也 を 大追跡』という本でした。

いちばん印象的だったのは、村川透監督のインタビューでの盆栽のエピソードです。
「沖さんはロケの前に盆栽に、元気でいてくれといって話しかけて出かけていって、戻ったらいの一番に植物と会話する」そんな方だったとか。

これからも何度も読み返して、作品も見返して、沖さんの魅力を再認識したいです。
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