葉織る。

言葉の中にそれを紡ぎ織った人が見えても、それは虚像かもしれない。

それは五感なのか。

2020-05-17 15:40:54 | 仕事

 Eテレで5月13日にオンエアされていた、「又吉直樹のヘウレーカ!」を録画して視た。
 この回のテーマは「皮膚はすべて知っている?」で、皮膚には想像以上の「五感」が備わっているらしいということを、色々な実験を踏まえて紹介していた。

 鍼灸師やマッサージ師なら何となく「あ~、そうかもなあ」と、腑に落ちるような話である。

 そういえば本などを読む時に、文字を指でなぞるようにすると読みやすいと感じるのは、視線が安定するとか集中しやすいとかそういうことだと思っていたが、ひょっとしたら指先の皮膚も目と一緒に「見て」いるのかと想像すると中々ファンタジーである。

 ただ職業柄、掌で人を「診て」いる立場からすると、番組でやっていた「色を識別する」とか「耳には聞き取れない周波数の音を感じる」とか、「味覚や嗅覚も…」といった皮膚の能力を、五感という言葉で括るのはちょっと違うような気がする。

 例えば、視覚と聴覚は其々、光もしくは空気の波動を解析する能力であり、味覚と嗅覚は、対象の分子構造を分析する能力である。
 それらは極論するなら、どれも「形を識別する」能力であり、皮膚の持つ「触覚」とは、むしろそれらの能力の原点なのではなかろうか。

 つまり順序としては、まず「触覚」ありきで、そこから光や音や匂いや味などに特化した能力に枝分かれしていったということで、「皮膚に五感がある」というより、目・耳・鼻・舌には「触覚から派生・特化した感覚がある」という方がスッキリするのではなかろうか。

 まあ文明の発達した現代社会では、どうしても視聴覚偏重になるのだろうが、マッサージ師としてはついつい皮膚感覚を贔屓してしまう。
 例えるなら、「触る」というより「観る」という方が近いような感覚で仕事をするぐらいには贔屓しているのだ。

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