19歳の誕生日
検査の都合で眠らされていた星刻が目を覚ましたとき、ベッドの脇に現ブリタリア皇帝、いや、ナナリーがいた。星刻は驚かない。ブリタリアに滞在してもう数ヶ月、ナナリーが不意に病室を訪れるのは両手の指でも足りないほどである。
「政務の予定は終わりですか」
いつもの問いである。いつもの答えが返ってくるはずだった。だが、この日ナナリーの唇は違う言葉を紡いだ。
「明日に繰り延べてもらいました」
初めて聞く言葉である。ナナリーは親政皇帝として政務をこなしている。不自由のある身で50時間ぶっ通しの会議も御した。その彼女が政務を繰り延べた。
何か話したいことがあるのだろうがナナリーからはなかなか言葉が出ない。
「宰相殿が何か?」
星刻が水を向けるとナナリーは少し恥ずかしげに微笑む。以前に『宰相のやり方と合わない』と、相談といいうより愚痴ったのを思い出したからだ。
検査の都合で眠らされていた星刻が目を覚ましたとき、ベッドの脇に現ブリタリア皇帝、いや、ナナリーがいた。星刻は驚かない。ブリタリアに滞在してもう数ヶ月、ナナリーが不意に病室を訪れるのは両手の指でも足りないほどである。
「政務の予定は終わりですか」
いつもの問いである。いつもの答えが返ってくるはずだった。だが、この日ナナリーの唇は違う言葉を紡いだ。
「明日に繰り延べてもらいました」
初めて聞く言葉である。ナナリーは親政皇帝として政務をこなしている。不自由のある身で50時間ぶっ通しの会議も御した。その彼女が政務を繰り延べた。
何か話したいことがあるのだろうがナナリーからはなかなか言葉が出ない。
「宰相殿が何か?」
星刻が水を向けるとナナリーは少し恥ずかしげに微笑む。以前に『宰相のやり方と合わない』と、相談といいうより愚痴ったのを思い出したからだ。