投句一覧を掲載の際に不手際がありご迷惑をお掛けいたしました。
週末に久しぶりに「三社祭」に浅草まで。
お神輿を担いでいる人たちも親切で、ホッピー通りも活気に満ちていました。
兼題:降
投降す皆浮く卯波崇高と 吾郎
○(餡子)意味深な暗い感じが残る句ですガ・・・。
◯ (アゼリア)投降すーに時節柄どきっとしましたが、卯波のことでほっとしました。
○(幹夫)卯波の特性を上手に詠まれていると思います。
ボクサーが飲む一滴や薬降る 幹夫
○(卯平)「あしたのジョー」の一シーン。季語から力石徹がこのボクサーであろう。彼には「死相」出ていた。
◯(道人)ボクサー体重コントロールは水一滴のレベル。「薬降る」の斡旋が面白い。
〇(あき子)計量前のボクサーの飲む一滴は貴重。滋養豊な一滴であってほしい。
にくたいを降ろせば発車夏野行き 楊子
○(仙翁)どんな肉体なのか、疲れているのか、想像します。
〇(珠子)ひらがな書きの「にくたい」に込められたメッセージが気になります。おろされた「にくたい」の行く先は?夏野行き列車の目的は?謎が多すぎますが。
◎(吾郎)色々と深読みして強者どもの夢の跡的な夏野を想像。平仮名表記が実によろしいかと。
△(卯平)面白い句。夏野が絶対か否か。
神降りて産声高き聖五月 泉
〇(瞳人)少うしつきすぎたかなあ
○(卯平)聖五月が上五中七に対して緩いか否か。しかし「産声高き」でいただく。
○(餡子)お孫さんでしょうか?おめでとうございます。神が授けてくれる宝物ですものね。余談ですが・・私も5月生まれです。
人生から影を降ろして花わさび 宙虫
○(あちゃこ)体を軽く、心も軽く。季語がいいですね。降ろしたい物が多々ありますよ。
○(藤三彩)花わさびの醤油漬けなど主夫として厨に立つそして一盃
◯(道人)「影を降ろして」が「花わさび」とマッチして独特の憂愁を醸し出している。
◎(めたもん)「人生から影を降ろす」伊藤静雄の詩「咏唱」を思い出し、青空文庫で読み返しました。若い時の濃い影がいつの間にか薄くなりました。季語もいいと思います。
〇(まきえっと)降ろすのは難しいですが、軽くなるといいですね。
△(卯平)「降ろして花わさび」で答えが見えないか。
白シャツの隆起躍らせ颯爽と 瞳人
〇 (多実生) 君らの季節を連想。
夏の奈落へ透明の昇降機 餡子
◎(楊子)現から引きずり降ろされる感じがわかります。まして透明で世の中が見えるのですから。
○(仙翁)確かに、透明なエレベーターは底へ落ちていくようですね。
降り出して右往左往の花火の夜 アネモネ
○(泉)花火大会の夜に、雨が降り出すと大変です。
◯ (アゼリア) 私の故郷でも毎年花火大会があり、皆それに合わせて帰省しました。でも夕立が来ると、主催者も見物客も右往左往しました。
〇(まきえっと)何とも言えないです。情景が良く見えます。
竹の葉のはらはら降るや石地蔵 仙翁
〇(めたもん)上五・中七の措辞と「石地蔵」は静かな取り合わせ。リズムもよく、繰り返し読むと味わいが深くなる句です。
◯(吾郎)田舎道竹やぶのある三叉路におわす石地蔵さんが浮かびます。
○(ちせい)竹林に石地蔵。御利益が有ると思いました。
降圧薬第呑みつつ桝の夏冷酒 藤三彩
草木が欲しいから降る初夏の雨 多実生
降下して交尾して居る揚羽かな ちせい
降臨の光一筋麦の秋 卯平
五月闇降りるチャンスを見逃して カンナ
伝えたい言葉そぼ降る夜の薔薇 あちゃこ
◎(カンナ)季語が一句を際立たせている。センスの良い句。
〇(めたもん)「そぼ降る」のは「伝えたい言葉」なのか「夜の薔薇」なのか、両方なのか。思わせぶりなところが、どこか句の雰囲気と合っています。
○(宙虫)思うように伝えきれない言葉。夜の薔薇のプレッシャー。
〇(まきえっと)伝えたい言葉とそぼ降るがいいですね。
柚子の花降るふる座禅堂の裏 珠子
砲撃の音の降る街初夏のまち あき子
地震ふって大雨降って青葉冷 道人
ニュートリノ降る夜角出す蝸牛 めたもん
○(あちゃこ)取り合わせが面白い。よくはわからないけど、ありそうな…
○(藤三彩)素粒子のニュートリノが脳に当たるとどうなるか?蝸牛がアンモナイトになるか?
◎(泉)「ニュートリノ」懐かしいですね。蝸牛との組み合わせが面白い。
◎(卯平)天と地の対比が壮大。景が眼前に拡がる。その壮大さで最終的に特選。
◎(道人)宇宙の神秘と蝸牛の角の神秘の取合せの妙。
◎(あき子)美しい景色で、音とリズムも美しい。「降」からニュートリノを連想できるのは素敵だなと思いました。
◯(吾郎)蝸牛のご先祖様が生まれた頃のそのまた昔に生まれた物質に思いを馳せる。
◎(まきえっと)大きな景ですね。神秘的です。
降る雨の小止みになりぬ蝸牛 春生
〇 (多実生) 雨の小止みが動き出すきっかけでしょうか?
○(幹夫)蝸牛にとって幸せなひと時です。
タラップを降りて万緑一直線 まきえっと
△(卯平)非常に解りやすい。景が見える。がもう少しスパイスが欲しい。
夏帯の残り香ほのか昇降機 アゼリア
◎(餡子)香水の香の残るエレベーターの句は良く見かけますが、夏帯とは。和服への造詣の深い方なんですね。素晴らしい審美眼と嗅覚です。
○(ちせい)合縁奇縁、一期一会など四字熟語が思い浮かびます。
テーマ:近い
朧夜やスマホ画面を弄りて 卯平
〇(カンナ)季語が良いと思う。
問えばマシ隣家も管理縞蝿と 吾郎
万緑の中より不意にF-35 道人
手の平に握りしむ虹町暮らし あちゃこ
○(宙虫)なんとかこの町で生きて行こう・・・・。
木堂忌近し話せばわかる筈 幹夫
◎(藤三彩)昭和7年「五・一五事件」で青年将校に暗殺された犬養毅首相のこと。時代の曲がり角。
◯(道人)犬養毅の最期の言葉を如何様にでも拡大解釈出来て俳味あり。
〇(あき子)話してもわからない世の中だから、身に染みる言葉。
◯ (アゼリア) 話して分かり合えると本当に良いですね。戦争も起こりませんよね。
△(卯平)珍しい季語。しかし五・一五事件そのもので季語の説明の範囲では。
苗売りや川音近く聞きゐたり 春生
梅雨せまる葉ずれは村を濃ゆくして 宙虫
〇 (多実生) 葉ずれが村の活気と梅雨の予感。
〇(珠子)「村が濃くなる」感覚に共感します。
水羊羹シンクの傍の母の椅子 珠子
◎(あちゃこ)傍で見守って下さるお母さん。私も煮物の加減を見つつ座っていた母がいました。郷愁を感じます。
○(泉)母親は常に動いています。感謝ですね。
〇(めたもん)ひっそりとキッチンに在る母の椅子。優しくどこか懐かしい感じのする「水羊羹」が切ない。
○(宙虫)母の定位置がそこにあった。
〇(あき子)水羊羹の取り合わせに、母と子の穏やかな関係性がみえるようです。
◎(ちせい)流しの傍に母の椅子が。母の苦労が偲ばれます。
〇(まきえっと)母親っていいよね。
縦横に迫る断層麦の秋 あき子
○(泉)最近、また地震が増えて来ました。不気味です。
〇(珠子)地震の国ニッポン。この頃の地震頻発はまさに「迫る」
◯(吾郎)なんだか週に数回はあちこちで起きてますな、地震。
◯ (アゼリア) ここのところ地震頻発で怖いです。大きな被害がない事を祈るばかりです。
手の届くところに遺書とハンディファン 楊子
〇(アネモネ)ハンディファンにやられました。
○(餡子)ある歌舞伎役者の事件に、驚きとショックを感じていましたので、この句との、ギャップを。作者の身辺を考えてしまいました。
黒揚羽近くでエフエム宣伝隊 ちせい
国策で子を産めは無茶夏近し 泉
広島サミット蠅さへも遮断 藤三彩
光らせるひげの先まで油虫 瞳人
〇(楊子)こちらが強いとわかっているのに怯みますね。あの光にひるむのかも。
○(仙翁)ゴキブリは、本当に近くで見ると、光っていますね。
◎(幹夫)全くその通り!
青葉風アクリル板のない机 まきえっと
〇(アネモネ)「青葉風」がいい感じです。
◯(道人)実質コロナ明けの今年の五月の句として頂きました。気持ちの良い句。
○(餡子)この句の通り、どこも、アクリル板が撤去され始めています。確かに、あれが無いと心地よいですが・・・。この後どうなるのか不安でもあります。
◎(珠子)強く出る副反応に耐えて連絡の来るたびに打ったワクチンも、鬱陶しいアクリル板も「役に立った」「効果があった」と思いたい!すっきりした机での作業は心の芯まで青葉風が通ります。
故郷は老いても近し栃の花 多実生
○(藤三彩)栃の花はなかなか見かけることはない。栃の実を雨飾山で拾ったことはあるが
見てる子も姿勢同(おんな)じ夏蛙 めたもん
〇(アネモネ)蛙と同じ姿勢でしゃがみこんでる子どもの姿がなかなか。
〇(楊子)こどもの姿勢が目に浮かびます。飛びそうですね。
◎(瞳人)蛙なんて知らない子ばかりだね
◎ (多実生) 座りも泳ぎも蛙に学んだ気がします。
◎(仙翁)この景色を思い浮かべると、実に面白いですね。
〇(あき子)身に覚えがある景色です。
◯ (アゼリア) 景がよく見えます。可愛らしいですよね。
〇(まきえっと)子供の頃に田んぼからバケツ一杯にオタマジャクシを掬って帰って大変なことになったことを思い出しました。
○(幹夫)視点に共感。
月夜野へ安近短の蛍狩り アゼリア
近道に曲がるどぶ板初夏の風 仙翁
○(ちせい)衛生観念と初夏の風。薫風が有りそうです。
茅舎忌や茅乃舎で買う出汁パック カンナ
音立てて前に後ろに実梅落つ アネモネ
ぐんぐんと昭和が近づく麦の秋 餡子
雑詠
聖五月音の極まるバグパイプ まきえっと
◎(アネモネ)「音の極まる」が上手い!
△(卯平)聖五月とバグパイプの関係をどう観賞するか。少々緩いのでは。「音の極まる」まで言う必要があるか。
はつなつや大地賑わう虫の国 あちゃこ
〇(カンナ)独自性があって良いと思う。
〇 (多実生) 草木の萌え立ちが虫達の天国。
フルートの表面張力みどりの夜 珠子
○(卯平)上手い。みどりの夜が動かない。フルートの音色が聞こえてくる。繊細なこの句、最後の最後まで特選を迷った。
〇(めたもん)上五・中七の「フルートの表面張力」という措辞が斬新。フルートに何かが映っている映像は瑞々しく魅力的です。
◎(宙虫)しっとりと水気を含んで広がるフルートの音。みどりの夜がいい。
異国語の飛び交ふバスや夏燕 アゼリア
〇(楊子)あちこちで異国語が聞こえるようになりました。「夏燕」という季語ですから地方へ研修にいくバスでしょうか。
〇(瞳人)ここは恥の文化ということのあるクニなんだけど
○(卯平)異国語は多言語と観賞。夏燕で安心して観賞出来る。バスの中で夏燕が見えるか見えないかと言う陳腐な論ではこの句の詩情へ共感出来ない。この季語で詩になった。
○(ちせい)日本に永住する外国人も増えましたね。「夏燕」と言う季語との相性もいいと思いました。
○(幹夫)ピ-チクパーチクはひばりの子?
縁側の午睡の夢は母の胸 仙翁
花袋忌やティラミス・チーズケーキ二個 ちせい
〇(カンナ)季語とのギャップが良いと思います。
五月闇健康保険証廃止 カンナ
○(藤三彩)マイカードに切り替えられるそうですが正確な入力をちゃんとして欲しい
○(宙虫)実景か心象か。句意の狭間をさまよう。
更衣朝の光を反しけり 春生
〇(珠子)登校の白シャツの制服がまぶしい。
降るほどに似通う余花に二度彫る膚 吾郎
◯(道人)回文句の難しさと魅力がよく分かる。余花落花と2回彫ったタトゥーが一体となり、粋な非日常性がよく伝わって来る。珍しい「に」の重韻も中々。
初夏やベトナムからのエアメール 餡子
△(卯平)初夏、ベトナム、エアーメールが同列ではないか。
将来はきっと明るい子供の日 泉
○(ちせい)ポジティブシンキングがいいですね。「子供の日」が輝いて来ます。
○(幹夫)「こどもの日」に託す作者の願いです。
焦点の合わぬ目あまた山法師 宙虫
○(あちゃこ)白い花に存在感ある花芯?ちょっとこわい。花ではなく、世相を映し取ったのかもしれませんね。
〇(カンナ)山法師の咲く施設を想像した。怖い句。
○(仙翁)焦点の合わない山法師、面白い表現ですね。
◯(吾郎)そうそうあの形。
水底に拡大の影水すまし 多実生
〇(アネモネ)そういえばそんな景をいつも見ていました。
露天湯を眺めておりぬ山法師 道人
五月雨続き海の盛り上がる 藤三彩
〇(アネモネ)なるほど!です。
赤腹の腹が波打つ磨硝子 幹夫
○(藤三彩)赤腹を知らず。ヒタキ科ツグミ属の鳥を磨硝子(すりがらす)を通して観ている。
〇(楊子)よく観察しています。宮守も払うことなくなぜかしばらく観察してしまいます。
〇(珠子)こういう景が普通に見られた日ははるか遠く。確かに波打っていました。
凧合戦里の五月は血沸く祭 瞳人
二等辺三角関係いちごパフェ 楊子
○(あちゃこ)3人の距離感に不公平な感じが?短い一辺は、誰と誰?いちごパフェほど甘く無い。取り合わせの妙。
〇(カンナ)三角関係が面白い。
〇(瞳人)でっかいんだね
○(卯平)この関係は人間関係でも余り好ましい関係ではない。優等生であれば正三角形関係。しかしそれでは味気ない。二等辺三角形関係といちごパフは面白い。「いちご」「苺」、「いちごパフ」、果たしてここまでと思わないでもない。
○(仙翁)あらためて二等辺三角形と言われると、確かに。その気づきが面白い。
〇(めたもん)「二等辺三角関係」が新鮮。中七は破調ですが「sankakukankei」と「k」が多く歯切れのよいリズムで、字余りが気になりません。明るい下五です。
〇(あき子)平和な三角関係もあるのかな。
◯(吾郎)複雑な恋愛関係か?
(選外)(道人)「関係」が面白いが、下五にもう少し緊張感が欲しい。
麦秋や何処まで行つても麦の秋 卯平
〇(瞳人)ウクライナだ
〇 (多実生) 当たり前の光景が休耕で少し様変わり。
病院のやうな邸宅夏若し アネモネ
(選外)(あき子)不思議な空間に不思議な夏が始まる予感。
母の日の手持ち無沙汰や父の日も あき子
○(あちゃこ)素直さに共感。世の中は、勝手に回っていますね。
○(泉)言われてみれば、その通りです。ともかく感謝です。
〇(瞳人)忘れた頃には…ということですか
○(餡子)バレンタインデーにはじまって、商魂たくましい手に、乗せられているような気がしますが・・。
名水に洗う田植機もう日暮 めたもん
○(泉)棚田で名水が湧き出ている。いかにも日本らしい風景です。
〇(楊子)「名水」でいただきました。阿蘇などは駅ごとに湧水があり日常のくらしに使われています。おだやかな一日が感じられます。
○(宙虫)泥田と名水と日暮れ。取り合わせがいい。
◎ (アゼリア) 生活感のある良い俳句と思います。お米も美味しいでしょうね。
選外 (多実生) 農民の真面目な日常、名水に温かみ。
☆☆
次回をお楽しみに。
広島は次第に蒸し暑くなって来ました。先日の広島サミットでは、厳重な警戒に驚きました。最近は日本でも政治テロが起きていますからね。しかし、日常生活にも支障をきたすので、困りました。