小麦句会 on blog

俳句「麦の会」の句会のひとつです。 ネット句会を月二回行っています。 この句会は誰でも参加できます。

第541回小麦句会結果発表

2025年01月23日 22時41分40秒 | 15日句会
すごく寒い寒いと言っていたのに、この数日はとても過ごしやすいです。
そろそろ花粉に注意。


兼題:寒
補陀落の海寒月の彷徨へり  幹夫
○(あちゃこ)惑う心情を寒月に託しているのでしょう
○(珠子)浄土の海に寒月がゆらめく。発想が静かに飛んでいます。
○(卯平)補堕落と寒月では少々景の同等感があり響かない。しかし「補堕落」「寒月」「彷徨ふ」の措辞は魅力的。
○(アダー女)こんな残酷な宗教行事が嘗てあったとは!亡くなった僧侶の沈んだ辺りを照らす寒月が死者の魂のように彷徨い光っている。恐ろしい情景の中に信仰を貫いた清き魂を感じる。極楽浄土へ召されよ!
〇(ちせい)苛烈な状況の中で寒月が彷徨う。

寒月の十手目映ゆし吉右衛門  瞳人
〇(ちせい)心配ですね。心象風景を詠んで居る様な

石橋を寒暮が渡る西寒多(ささむた)神社  宙虫

寒き夜やコンビニだけが照らす村  泉

○(幹夫)夜はコンビニの灯りだけが村を照らす。映像が浮かび上がってきた。
○(吾郎)<照らす>がいいね、寒さが一層映える
〇(アネモネ)ありそうな景

寒風の朝練二列駅伝部  楊子
○(泉)駅伝部の練習は厳しいですね。
○(卯平)冬の夜見上げる大銀杏であれば「幽玄」だろう。

平均寿命>健康寿命寒卵  カンナ
○(幹夫)平均寿命が伸びても健康寿命が短ければ、良き人生とは言えないだろう。双方の差を縮めて、寒卵に元気をもらいたい。
○(珠子)いよいよ俳句に「>」の登場。事実を端的に表しただけですが驚きました。あり得ませんが「願い」としては平均寿命<健康寿命寒卵です。

寒気告げ通勤気鬱月金か  吾郎
◎(餡子)月曜の通勤は鬱でしょうね。昔は金曜日は「はなきん」でしたが・・・。
◎(道人)月曜日は土日の反動、金曜日は五日間の仕事の反動で気鬱になりがち。ましてや寒の期間ならば。「キ」音に「カ」音「ゲ」音が加わった独特の重韻がそんな気持ちを増幅させる。
◯ (アゼリア)満員電車うんざりですよね。休み明けや疲れの出る週末にはこたえます。
◎(まきえっと)出社の日は早起きしなくてはならないし、本当に憂鬱です。

餌台の餌皿に満たす寒の水  アネモネ

寒中のポスター三つ捲られて  卯平

寒風に背中押される湖に跳ぶ  仙翁

大寒やいきなり地震の報道に  春生

丸々と転がってく子寒九郎  あき子

○(アダー女)「北風小僧の寒太郎」ならぬ寒九郎ですね。丸々着込んで寒さ対策していますね。

豚まんを噛り寒夜の宇宙船  めたもん
◎(泉)「豚まん」と「宇宙船」の組み合わせに驚きました。
○(卯平)豚まんが宇宙船とは面白い。比喩の面白さ。
◯(道人)宇宙船士の食事と心模様が宇宙から伝わって来る。頑張れ!
◎(仙翁)豚まんと宇宙船がいいですね。

寒禽の定位置に鳴く安堵感   道人
〇(あき子)定位置が安堵感につながって、充実した空間を感じます。

洗濯物干せばチリチリ寒の朝  アダー女
○(泉)「チリチリ」は実体験の感覚ですね。
○(あちゃこ)凍みつく朝の感覚が伝わります。
○(吾郎)細かく凍ってしまってる感がよくわかる
○(めたもん)「チリチリ」が洗濯物を干す時の空気の感触を上手く捉え、寒の朝の実感が伝わります。 
 
寒禽の一閃の斬る大社  あちゃこ
◎(めたもん)寒禽が鋭く大社をさっと切り裂く。「一閃の斬る」が句の景に緊張感を与えています。  

大寒の燈台の向く日本海  まきえっと
○(泉)寒さここに極まる、という感じです。
○(宙虫)昔から冬の日本海には燈台が似合う。

垂直の筋肉注射寒の雨  珠子
〇(楊子)刺すのは筋肉だけではなく寒い心にも刺さる。注射針という具体性が効いている。
◯(道人)「垂直」がとても佳い。季語の効果もあり緊張感がよく伝わってくる。
○(吾郎)措辞がいいなぁ
(選外)(めたもん)上五の「垂直」がユニーク。実景というより、心の景として「垂直」が効果をあげていると思います。数の制限がなければ『選』としたかった選外です。

小寒やプリンターの上に帽子置き  ちせい

鶏舎より取りて朝餉の寒卵  アゼリア

○(藤三彩)超新鮮な卵、うらやましい
〇(瞳人)力がつきそう、うまそうですね
○(アダー女)産みたての卵って新鮮そのものだけどまだ生暖かい感じで食べるのを躊躇しそう。雰囲気良く出ています。
〇(ちせい)新鮮な卵が有り難いと思いました。

空よりも地に親しめる寒雀  餡子
〇(楊子)よく観察している。寒雀の可愛さが見えます。
○(仙翁)寒すずめは、元気には空を飛ばないか、そうかも知れない。
〇(あき子)寒雀にむける暖かな視線を感じました。


テーマ:遊び
あやとりの川から網へ日脚伸ぶ  珠子
◎(幹夫)素敵で好きな取り合わせだ。
○(あちゃこ)あやとりの仕方は色々ですね。季語がいいですね。
◯(道人)あやとりの展開と日脚の伸び具合がいい塩梅。
〇(あき子)写実のさり気なさが、季語によく合っています。
◎(宙虫)過ぎ行く時間がいい感じ。
○(まきえっと)あやとりの俳句は見かけますが、季語の「日脚伸ぶ」がとてもいいと思います。

おもろふてやがて黙すや福笑  卯平
○(珠子)何やら深い句。昨年までの諸事情も一緒についてくるのが新年ですからネ。「おもろふて」だけで終われないお正月。 
(選外)(道人)芭蕉の本歌取りとして発想は面白いが、ウ音便なので「おもろうて」ですね。

お手玉もおはじきも抽斗の隅っこに  餡子

と金にはならぬ一徹老の春  道人

○(幹夫)そう。それがいい。今更成金を目指しても栓無きことだ。
○(藤三彩)あと一歩を我慢して、頑張れ!
○(泉)この「一徹」に拍手です。
◎(瞳人)と金は命取られるさだめ、老兵は消えゆくのみ、なればそれでよし
○(餡子)歩から金になるのは格が上がり出世するように思いますが、この作者は地道に一歩一歩進む歩の生き方に、こだわっていらっしゃるのですね。

平坦に進む双六外は雨  まきえっと
○(めたもん)上五・中七の目の付け所が素晴らしいと思います。言われてみれば確かに双六は平坦です。
○(宙虫)すごろくの中にドラマが少ない。ちょっと切ない。

花枇杷や眼鏡屋あとのジャグリング  宙虫
〇(ちせい)サーカスの小僧が練習の成果を見せつけたのかもしれません。

絵双六口は立たぬが力持ち  あき子
◎(アネモネ)これはもう力持ち感横溢(笑)

刈り取りし羊歯のダメ出し尻取りか  吾郎
○(カンナ)面白い回文
○(あちゃこ)しりとりと季語の歯朶を上手く配して巧み。
○(宙虫)しりとりになってるではないか!

眼前の札を取られる歌留多下手  楊子
〇(瞳人)あはは、吾が身の世渡り下手た、か

枯れぬ気や吾を真似ゐて痩せ冬木  瞳人
○(カンナ)ユーモアがあって面白い句。

子が三人(みたり)野球している冬日かな  めたもん
○(卯平)三人でする野球とは。ピッチャーとバッター、それに一人はアンパイ
〇(アネモネ)三人(みたり)の数詞いいですね。

初詣遊び心を忘れませぬ  アダー女

竹馬の片足立ちやジャンプやら  春生

〇(瞳人)竹馬なんか知らない子ばかりだなあ
○(仙翁)子供たちの昔の遊び。元気ですね。

釘差しの釘いきいきと初薬師  アネモネ
◎(吾郎)半世紀以上前、そんな遊びを子供達が楽しんでいた

独楽の芯地球は青きまま燃ゆる  幹夫
〇(楊子)地球を大きな独楽と見たところが面白い。しかも宇宙から見た地球は青いらしい。
◎(あちゃこ)独楽から地球への展開。対比を巧みに用いて、壮大な句に。まだ青き地球の寿命は後どの位だろう。
〇(珠子)青いままの地球を保持するために、大きく舵をとれるのはどなたなのでしょう。見えない誰かにすがるばかりです。
◎(卯平)果たしてこの地球、何時まで廻り続ける事が出来るのか。
〇(あき子)独楽の芯と地軸を重ね合わせた景に、地球という青い星を思います。
○(アダー女)回っている独楽を見ているうちにガガーリンの「地球は青かった」を連想したのは凄い!
◎(ちせい)燃ゆる地球。独楽の芯に注目が集まります。

独楽廻し空を見る事はばからず  ちせい
○(宙虫)大地に回る独楽。なのに憧れるのは空なのだ。

子供と遊具消えた公園冬ざれて  カンナ
(選外)(道人)現代の少子化をさり気なく詠って共感。ただ下五の「て」止めか甘いかも。

父母の住む冬星に姉かくれんぼ  アゼリア
◎(藤三彩)家族もみんなあの星へ、寂しくなりますね
○(あちゃこ)切ない一句ですが、どこか温かさが伝わります。
◎(珠子)兄弟を亡くす友人も増えました。父母の住む星にお姉さんがかくれんぼ、なんて優しくあたたかい措辞でしょう。  
○(餡子)辛い気持ち、悲しい気持ち、さびしい気持ち・・・どんな言葉も十分ではない心境ですね。    
◯(道人)父母姉を一句に揃えるのは難しいが「かくれんぼ」が秀逸。
◎(あき子)冬星にかくれんぼという発想が好き。姉を思う気持ちがリズムに乗って伝わってきます。
○(まきえっと)哀しい出来事なのに温かいです。

初春やホールインワンに乾杯し  泉
○(カンナ)新春にゴルフよいですね。
〇(瞳人)どなたか、そうそうにやったそうですね

目隠しの鬼迷い込む枯野原  あちゃこ
○(カンナ)フィクションの世界? 何かの比喩でしょうか? 不思議な句。
〇(瞳人)手の鳴る方へ行きましょう
○(仙翁)少し不気味で面白いですね。
◎(アダー女)「もういいかい!」と言いながら「まあだだよ!」の声がだんだん遠のき、声も聞こえなくなり、不安になって目隠し取ったら枯野原の中に自分ひとり。寒くて淋しい鬼さんが可哀想。すごく情景が素直に伝わってきて好きな句です。
○(めたもん)どこか意味ありげな上五・中七。つい人生と重ねてしまいますが、ちょっとユーモラスで、教訓的ではないところが好きです。
○(まきえっと)夕暮れ時の怖さを感じます。

夕日指す悟空の遊ぶ冬の雲  仙翁
〇(アネモネ)雲のまぶしさがなかなか!


雑詠
きのう居た雀の居ない冬日向  道人
○(仙翁)何となく少し寂しいですかね。
○(吾郎)一茶の気分

ささやかな神のユーモア冬至の日  泉
〇(ちせい)どんなユーモアだったか気になります。

トランプへ吉凶波乱の巳年明く  瞳人
○(藤三彩)大統領に就任するのにあと数週間。金と名のある少数人数が権力を握る
○(泉)今年は波乱の幕開けになりそうです。

人日の眼鏡にべっとり付く指紋  まきえっと
◎(楊子)「べっとり」の生々しさが人日をよく表している。

ゆるぎなき衛士の敬礼初旦  アネモネ
○(卯平)皇居の景か。今年は三が日天気が良かったので揚句の景はよく映える。

一筋の朝日匂へり冬木の芽  めたもん
〇(あき子)春が近づく匂いでしょうか、希望が感じられる句。

奥能登にかかる雲なし三日かな  幹夫
〇(珠子)せめてせめて太陽だけでも見方してほしい。応援してほしいと願わずにはいられません。 
◯ (アゼリア) 一日も早い復興を祈ってます。

気嵐らしモヤモヤも白白明け  吾郎
○(餡子)気嵐はテレビの映像でしか見たことありません。感動の景でしょうね。モヤモヤ、白々明け・・・。是非一度お目に掛かりたい景色の一つです。

求めないという生き方寒椿  あき子
◎(カンナ)求めないという生き方とは、どんな生き方でしょう? 考えさせられました。
○(吾郎)なんかわかるな──という気分、わかるかな
○(アダー女)鮮やかで強く、凜とした寒椿!すぐ見返り?返事?を求めてしまう自分は大いに反省しました。
◯ (アゼリア)なかなか思うようにはいきませんが、なるべくそのように生きられればと思っています。

空の青水の碧分け都鳥  餡子
○(仙翁)青と碧、上手な組み合わせだと思います。

枯木立樹皮食い破る命有れ  ちせい

座禅組む足裏に初日射しこめり  春生

◎ (アゼリア) お正月らしい清々しい句だと思いました。
(選外)(あき子)「足裏に」の具体性から、全体の清々しい景が見えてきました。

初入院おどおどす姉寒椿  アダー女
○(藤三彩)心配だな。

書留の親展手紙日脚伸ぶ  卯平
◯ (アゼリア)期待して開けると保険会社や金融機関だったりするのですが。

着膨れておりスナップの凸と凹  珠子
○(幹夫)季語「着膨れ」がよく強調されている。
〇(楊子)なかなか留まらないボタンの描写がおもしろい。
◯(道人)いろんな人物像が連想出来て俳味あり。
○(まきえっと)視点が面白いです。

冬ざれやインフレ加速するばかり  カンナ
〇(ちせい)心配ですね。心象風景を詠んで居る様な
〇(アネモネ)ほんとほんと。

薄っすらと雪化粧井戸端の恋  仙翁

風花の平和が蒼い村が碧い  宙虫

〇(楊子)なかなか地球の平和は訪れません。あおの字の使い分けで大きな平和と小さな平和を詠み分けている。
○(めたもん)「風花や」ではなく「風花の平和」という詠みが、句を難しくしている分、深みを与えているように思います。   
○(まきえっと)「蒼」と「碧」を上手に使っています。

母なき子の手毬遊びの切りもなや  アゼリア
○(カンナ)中村汀女の句のオマージュでしょうか?
○(餡子)子供の頃、鞠を突きながら唄ったことを思い出しました。「♫支那のまちの支那の子 親の無い子はただひとり、離れてとおい満州の・・・」  
〇(アネモネ)「切りもなや」がいかにもです。

幽玄や天に凍てつく大銀杏  あちゃこ
○(卯平)冬の夜見上げる大銀杏であれば「幽玄」だろう。
○(めたもん)中七・下五の「天に凍てつく大銀杏」が素晴しい。かっこいい措辞により、句が大きくなったと思います。

羊日のピザ屋のバイクとすれ違う  楊子
○(幹夫)仕事始めの正月四日を「羊日(ようじつ)」と呼ぶ。おせちも底を突いて宅配ピザを頼もう。
○(藤三彩)正月の4日目、仕事が始まる
○(宙虫)何気ない一瞬がいい。お節に飽きてのピザ。
(選外)(あき子)仕事始め日のワンシーン、いつもの日常が戻ってくる自然な感じがいいです。


☆☆次回をお楽しみ。




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1 コメント

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ご苦労様でした ()
2025-01-24 10:39:02
まきえっとさん、句会当番のお役目ご苦労様でした。今後とも、よろしくお願いいたします。

広島は厳寒から急に暖かくなりました。まだ一月ですが、もう「三寒四温」なのかな?私は物価には疎いのですが、さすがにガソリン価格には驚いています。ジッと我慢の日本人はエライ?
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