つづき
蕎麦の花母校の窓に夕日射し 春生
〇(まきえっと)日暮れが早くなりました。季語がいいですね。
〇(めたもん)見える景が懐かしい。上五の季語「蕎麦の花」と中七、下五の距離が近く、それが安心感、懐かしさに繋がっているのかも知れません。
○(アネモネ)とてもいい環境下にある母校です。
○(餡子)逆に見ると、教室の窓からは蕎麦畑が一望なんでしょうね。ゆったりとのんびりと大らかな空気が感じられます。
水澄みて石灯籠は寂れ勝ち ちせい
繋留のヨット秋雲風に乗る まきえっと
○(あちゃこ)ヨットは夏の季語なので、少し残念。爽やかさで頂きました。帆柱ならいいかも?
〇(仙翁)揺れるヨットに、風に乗る雲。
裏由布の風の育む蕎麦畑 道人
〇(珠子)「裏由布」に惹かれました。自分の家から見える形が「表」と信じていますので、裏に回った時の裏の姿へのエールととりました。
〇(めたもん)「裏由布」という固有名詞に初めて出会いました。句に相応しい響きの言葉ですね。静かな一面の蕎麦の花が浮かびます。
○(アネモネ)「風の育む」が上手い。
作業船明日は銀河の浚渫に アゼリア
〇(珠子)ロマンチック!この想像力はすてき。浚渫後の銀河はさらに輝くことでしょう。
○(あちゃこ)浚渫船が銀河を浚いに行く?壮大なイメージ。少し説明的なので語順を変えては?発想が面白い。行きたいな。銀河を浚う船の旅。
○(卯平)明日が必要かどうか。全体としてポエジーは感じる。
◎(まきえっと)明日は銀河かぁ。私も乗りたいです。
〇(あき子)宇宙ゴミをさらう浚渫作業船でしょうか。写真からの飛躍が新鮮。
○(道人)写真の作業船は確かにガット船。銀河を浚渫するという壮大な夢がとても良い。
〇(春生)「銀河の浚渫に」が良い。銀河も汚れちまったね。
○(宙虫)武骨な作業船と銀河をつなぐとはびっくり。
吊り上ぐる舟底よりの良夜かな 卯平
○(幹夫)3枚目の写真の工作船の景が顕著に詠まれる。季語「良夜」もまた佳い。
ひたひたと寄せるさざ波蟷螂反り アダー女
蕎麦の花羽音幾百幾千万 春生
〇(瞳人)そうか、そうして、実を結ぶのだ
◎(珠子)モノを並べただけですが、あの広大な蕎麦畑を余すことなく伝えています。あの景の静けさを「羽音幾百幾千万」が見事に表しています。聞こえないけれど聞こえる…
○(泉)迫力のある俳句だと思います。
○(アネモネ)読みながら目をつむると羽音が聞こえてきそうです。
微かなる鎚打つ音や蕎麦の花 あちゃこ
〇(仙翁)遠くに鎚打つ音のする蕎麦畑ですか。
〇(めたもん)人の姿は見えないけれど低く音が聞こえてくる。そんな鄙びた地に広がる蕎麦の花畑です。
○(餡子)しーーんとした昼下がりの村? 良いですね。
海原は雲吐くばかり鯔はねる 珠子
◎(あちゃこ)鯔は高級魚なのに嫌われものとか。それでも生きていく。病みゆく海が浮かんできました。
〇(まきえっと)地上はため息ばかりです。
◎(あき子)海原のダイナミックな景と鯔のはねる姿、それを見て「雲吐くばかり」と捉える人間という存在。
蕎麦の花実頃お出でと友の文 瞳人
〇(カンナ)見頃ではなく花実頃? 中七、下五が上手いと思います。
◎(アダー女)見頃?実頃?もうすぐ花から実になって美味しい新蕎麦の時期になるから遊びにお出でという手紙かしら?メールではなく文が良いし、気を遣わない友達同士の気楽な友情まで感じられてきます。
漁火へ出航台風進路の渦 藤三彩
蕎麦猪口で飲む珈琲や秋深し 楊子
〇(瞳人)いやあ、お酒ではありませんか、これは、わたくしの場
〇(カンナ)風情があって良いと思います。
〇(あき子)手のひらに収まる大きさが、珈琲の香と秋深しに調和しています。
◯ (アゼリア) 美味しそうです。
○(アダー女)蕎麦猪口って利用範囲が広いですよね。私もちょっとした煮物入れたりいろいろに使います。珈琲に使ったことはない。良いかもしれない。
○(アネモネ)笑いました。変わった飲み方ですね!
汽笛遠く苔生す雪見燈籠 仙翁
蕎麦の花飢饉の悲話のありし村 アゼリア
〇(楊子)蕎麦を作る地方は山奥が多い。そういうこともあっただろうと想像されます。
○(泉)日本の食料自給率は極めて低いですね。
〇(春生)「飢饉の秘話」は村の歴史から永遠に消えませんね。
○(アネモネ)「悲話」に得心です。
粧へる山吊り上ぐる工作艦 幹夫
○(道人)「工作艦」への飛躍が面白い。取合せもう奇抜。
秋出水SNSが救う命 泉
十五夜のマスト三本船に立つ めたもん
〇(藤三彩)上を見上げれば月とマストが見える。写実的な景が浮かぶ
入道雲お互いに見せぬ本心 カンナ
○(アダー女)もくもく動く入道雲。あっちでもこっちでも。確かに何考えているんだか? 何、目論んでいるんだか?
人生ゲーム抱えて渡る月の海 宙虫
○(あちゃこ)抱えて?それとも人生そのものがゲームかもと思いつつ、発想に惹かれて頂きました。
◎ (アゼリア)いろいろな問題を抱えている時ほど自然の美しさに癒されます。
女体かや雲振りほどく秋の嶺 あき子
◎(瞳人)雲は、千変万化、女体に見える、その目の力…
秋の海クレーンは建築素材吊り ちせい
農継がぬ事を告げ終え秋の航 餡子
〇(藤三彩)後継者がいない。日本の若者はワーキングホリデーとかで海外に出稼ぎに行ってしまう。
〇(瞳人)かなしくもあり、うれしくもあり
◎(カンナ)切ない内容を無駄な言葉なく十七音で表現されたことに感服しました。
○(卯平)詠み手は長男か。今でもそう言うプレッシャーがあるのだろう。果たして長男の詠み手、何処へ行く。
○(まきえっと)気持ちは落ち着いたでしょうか?これから新しい日々ですね。
○(道人)上五中七はよくあるが、とにかく「秋の航」が佳い。農業地域に生を得た者として海への憧れに共感。
◎(春生)若者の並々ならぬ決意が滲み出ています。新しい航路に幸あれと。
蜜蜂の翅音しきりに蕎麦の花 アネモネ
〇(藤三彩)受粉の役割を果たしてくれる蜂がいない。温室栽培では蝿を飛ばしているそうな
〇(楊子)描写句ですが、「しきりに」になにか意図がありそう。
○(泉)生命の躍動感があります。
○(幹夫)ここでの二重季語春の季語「蜜蜂」はさして気にならない。
今月の写真
一枚目
熊本県阿蘇市波野の蕎麦畑
そばの花畑 | 阿蘇のおすすめ観光スポット | 阿蘇市観光協会 ASO is GOOD! (asocity-kanko.jp)
二枚目
長崎県島原市の白土(しらち)湖
白土湖(しらちこ) / ジオパークTOP / 島原市 (shimabara.lg.jp)
三枚目
島原港の隣にある船舶のドック(緑のむこう)
広島はいよいよ秋らしくなってきました。しかし、晴天だとまだ暑いくらいです。さて、一気に解散総選挙となりました。自民党内部の権力闘争が一目瞭然です。それでも、自公で過半数を取る?