風が強い日が多いですね。窓から見える小学校の校庭が茶色っぽい。
でも生徒は校庭を思い切り走り回っています。かつて自分もそうだったのかな?
兼題:返
冴返る聞き覚えない着信音 楊子
〇(カンナ)季語が適っていると思います。
○(卯平)着信音は登録している相手によって異なるようにすることができる。しかし登録していない人からの着信音は確かに「聞き覚えのない」着信音だろう。一瞬どきりとした感覚を「冴返る」に託したのか。
でも生徒は校庭を思い切り走り回っています。かつて自分もそうだったのかな?
兼題:返
冴返る聞き覚えない着信音 楊子
〇(カンナ)季語が適っていると思います。
○(卯平)着信音は登録している相手によって異なるようにすることができる。しかし登録していない人からの着信音は確かに「聞き覚えのない」着信音だろう。一瞬どきりとした感覚を「冴返る」に託したのか。
一昨日が返却期限春の雪 幹夫
〇(アダー女)しまった!この気持ちよくわかります。しかも外は春の雪、ま、明日必ず返却しようっと。
プロポーズ「はい」の返事や春隣 泉
○(餡子)よかったですねえ。おめでとう!春隣が効いています。
○(幹夫)「Say yes!」待春です。
春めきぬ蛤つゆ温る酒返事待つ 瞳人
森は春足から先祖返りする 宙虫
◎(カンナ)足がどうなったのでしょう? 面白い句。
○(泉)難解ですが、何となく惹かれる俳句です。
◎(アダー女)森の中は命燃ゆる春の息吹!裸足になって駆け回りたくなる気分。ご先祖様もそうしたように。
◎(あちゃこ)先祖返りとは、何という発想。大地に生かされてきた人類の進化の一瞬に生きている。
〇(ちせい)原人や新人(旧人)などに思いを馳せたのかもしれません。
「田中さん」あれ?人違い返り花 カンナ
選外(餡子)マスクをするようになってこのようなことが私にも何度かありました。返り花が微妙に面白い。
雪が降る返らぬ時の戻る音 仙翁
○(泉)難解ですが、詩情あふれる俳句だと思います。
○(宙虫)中七が少しもたついているけれど、失くしたはずの過去に引き戻される感覚はわかる。
〇(アダー女)アダモの「雪が降る」が心に浮かびます。でもあなたは戻ってくる!のですね。良かった!
◎ (アゼリア) 中七下五の措辞に惹かれました。
鳥雲に音声メモを聞き返す まきえっと
冴え返る若き母子等公園に アダー女
返品の効かぬ定命梅ほつり 餡子
〇(仙翁)返品するとどうなるのでしょうね。
〇(アダー女)人には皆生まれた時から定まっている寿命がある!そんなことあり得ない気がしてしまう私ですが、どうなのでしょう?短い定命なら返品して長い寿命と取り替えたいもの。ましてこのふくよかな梅の花の美しさを見ているとずっとずっと何年も見たいものですよね。
○(あちゃこ)季語梅が効いています。悔いは無尽。でも返品せずにきっちり生き切りましょう。
◯ (アゼリア) 梅ほつりが効いていると思います。
涅槃会よ返事故人へ酔えんはね 吾郎
〇(カンナ)上手い回文。
〇(宙虫)酔えんはねがなんとも。故人との関係を想像させる。
○(餡子)ギクシャクした感じですが、心は共感できます。酔えません。
◯(道人)般若湯も飲み方次第。心の中で対話する故人が酒好きなら、酔ってもお釈迦様は許してくれるのでは?
○(仙翁)確かに、酔えないかも知れませんね。
○(藤三彩)生きていれば酔えたものを、返事もせずに。ねはんえの諧謔、回文。
二階からふわりと返事春セーター あき子
〇(カンナ)ふわりが春セーターと響き合っていて良いと思います。
◎(楊子)きっといい返事だったようですね。「今行くわ」
○(めたもん)下五「春セーター」と「ふわり」が効いて、とても雰囲気のある句。「出掛けて来るよ」「はーい」みたいな会話が聞こえてきます。
◎(まきえっと)ピンク色のセーターかな?軽い感じでいいですね。
そういえば揺れぬモビール冴え返る めたもん
冴返る體のなかの水の音 道人
〇(カンナ)面白い句だと思います。
◎(珠子)シンプルがいい。直に伝わってきます。残念ながら私はこういう鋭い感覚は持ち合わせていないのですが、なるほどなるほどとは思います。
〇(アダー女)古い文字の体の意「體」を使うことで、春の先駆け的な「冴え返る」が原始的人間の澄み切った体内を清らかな水が流れるような様子を美しく清らかに描いていて感心しました。
○(あちゃこ)この季節、改めて気づくこと多々。繊細な一句。
〇(あき子)季語が水の音と響き合って、體のなかの音を感じました。
〇(ちせい)体の成分で一番多いのは水。「體」と敢えて正字を使う意義を考えさせられました。
○(まきえっと)季節感が出てますね。
春浅き海の返照星生まる 春生
◯(道人)浅春の海の束の間の夕照と一番星を詩情豊かに詠って巧い。
○(仙翁)きれいにできていますね。波のきらめきが星に。いいですね。
◯ (アゼリア)メルヘンですね。
返信はニコニコマーク冴返る 卯平
〇(珠子)寒い日はまだまだ続きます。他愛無いほっこりのメールに対する既読サインなのでしょう。
◯(道人)ニコニコマークにアイロニーあり。
針を刺さんと裏返す防寒着 藤三彩
○(幹夫)着古した防寒着に感謝。繕って、また大切に。
冴返る解体を待つ百貨店 珠子
返答に迷ひ余寒の髭剃り機 ちせい
〇(瞳人)ヒゲをそれば、いい答えが見つかるかなあ、さて
○(卯平)さてどんな回答を迫られたのか。揚句では剃り残しがあるはずだ。回答は「ノン」だった事は間違いない。。
◯(吾郎)機ってどんなサイズ !? それはさておき、いい取り合わせ。
○(めたもん)「返答に迷ひ」聞こえていないふうに髭を剃り続ける。そんな景とストーリーが浮かびます。
返書来ぬ漂流ポスト淡雪の降る アゼリア
萎えし花の香仄かや冴返る あちゃこ
テーマ:甘い
かざぐるま甘き言葉に戯れる あき子
○(卯平)例えば「甘き言葉の戯れて」であれば「かざぐるま」の位置は異なるだろう。揚句であれば少々「かざぐるま」に凭れてしまってはいるだろう。しかし「かざぐるま」と「甘き言葉」の間は面白い。
かの子忌よ甘味古民家良きこの香 吾郎
◎(泉)見事な回文俳句だと思います。
○(珠子)古民家の甘味喫茶。鶯餅か蓬餅の香りでしょうか。またはお抹茶。かの子さんも、時には穏やかにゆったりと甘いものを召しあがることはあったでしょう…と、ふっと思いながら頂きました。
○(幹夫)大阪万博太陽の塔をデザインの岡本太郎のお母さんが歌人岡本かの子。享年49歳、2月18日が忌日だった。上手い回文だ!
さくらもち葉は食べる派で守備レフト 楊子
○(泉)ユーモラスな俳句だと思います。
◎(瞳人)葉っぱは、食べないんだ江戸っ子は、と池田の弥三(郎)サンは、言ってましたけど、江戸っ子じゃないから、好き好きに
〇(宙虫)野外スポーツの季節到来。開放感がいい。
○(餡子)私も葉は食べる派です。守備レフトへの転換が見事!
○(まきえっと)下五の転換が素晴らしい。私は桜餅の香が苦手で常に補欠タイプ。
〇(珠子)下五にやられました。私は食べる派です。葉のあの香りと塩味がおいしい。
◯(吾郎)甘い句ばかりのなかでポンと抜けた感じ。意外と堅実な守備とみた。
〇(ちせい)◎でもいいと思った句。溌溂とした宣言、言挙げだと思いました。
春光の昔ながらの卵焼き まきえっと
〇(楊子)ちょっと固めで少し焦げていて懐かしい卵焼きを想像しました。
◯(道人)シンプルでやわらかくて甘い卵焼きが目に浮かぶ。美味しそう。
○(めたもん)中七「昔ながらの」がいいですね。ちょっと焦げた硬めの卵焼きは黄色、季語は「春光」。人によって思い描く卵焼きは微妙に違うのでしょうね。
〇(ちせい)空想力を跳ね上げてくれる句だと思いました。
はんなりと口を窄(すぼ)めて鶯餅 道人
ふる里の水の甘さよ春うらら 餡子
〇(珠子)実家は今も井戸水。最も恋しいのは故郷のうららかな春の景色です。
ほしくないこともないかも春のチョコ めたもん
○(泉)バレンタインデーでしょうか。微妙な言い回しですね。
〇(瞳人)婚58年の老妻は、あ、忘れた今年もって、もう何年も、だよ
ラブホより流るる艶歌おぼろ月 卯平
〇(あき子)いかにもありそうで、面白い。昼間の季語にしてもいいのでは。
春キャベツ旨し甘しと妻と食ぶ 春生
(選外)(アダー女)この時期、三浦の春キャベツを亡き夫と買いに行き「旨し甘し」と食べたのを思い出し、ほろりとさせられました。春キャベツは柔らかく私にとって特別な味です。
伊勢参り赤福を土産に帰京 カンナ
甘口の酒とおでんや老夫婦 泉
甘酸っぱ苺頬張る老女の笑み アダー女
金平糖一粒のこる春の恋 瞳人
〇(楊子)まだ未来がありそうな恋です。
○(あちゃこ)甘い甘い。
◯ (アゼリア) 何色が残ったのでしょうね?
子ら甘い甘くはないぞ蕗の薹 藤三彩
〇(瞳人)人生は蕗の薹のアジだよ、ってね
持ち寄りの草餅「へばな」とは「またね」 珠子
〇(楊子)方言で楽しく和気あいあいとした雰囲気が伝わります。
◎(あき子)草餅を真ん中にして、人間模様がみえてきます。音のリズムも心地よい。
○(まきえっと)どこかホッとします。
蛇穴を出で甘言弄し詐欺師となる. アゼリア
〇(瞳人)道理で詐欺師は、舌が長あーいんだ
〇(アダー女)蛇年の方には申し訳ありませんが、どうも蛇は不気味な姿態だけでなく、性格もこの句のような気がしてなりません。ごめんなさい。
春の日の甘く切なきブラウニー 幹夫
〇(カンナ)ブラウニーがよいですね。
春泥や甘い言葉の裏の色 仙翁
○(藤三彩)近頃は海外へ連れ出される特殊詐欺に日本人の若者が引っかかるとのこと。気を引き締めて。
○(幹夫)「甘い言葉」ばかりを囁く口だけの男は信用出来ないから、幻惑されてはいけない。
中心の無くて春菜を甘く感じ ちせい
透けてゆく天使の翼春の雨 あちゃこ
◎(宙虫)ロマンチックでいい。わだかまりがほどけていくようだ。
○(仙翁)きれいにできています。春の雨に透けてゆく翼。いいですね。
○(めたもん)春の雨の中の雪像の天使を、まず思い描きました。テーマを考えるとパフェに載る砂糖菓子の天使かもしれません。
福寿草咲いて日暮れのあまい水 宙虫
雑詠
「年賀状じまい」寂しき令和の世 カンナ
○(藤三彩)年賀状じまいをしたいと思うのだが、突然に賀状が来ないと人知れず死んでいるのかもしれない。
キスも見つつ乗る春の堤も好き 吾郎
○(餡子)回文にはドラマ性が強く表われるきがします。見事というほかありません。
けだもの言葉を吐くや春立つ夜 仙翁
◯(吾郎)AIで「けだもの言葉」を調べると「動物や人をののしる意味」とでる。まだまだだな。
チョコレート瓶詰にされ春寒し ちせい
鳥雲に点眼薬の染みる午後 まきえっと
◎(幹夫)北方に帰る渡り鳥が雲間はるかに見えなくなる。見上げる僕は少しセンチメンタルになる。
ニン月の確定申告酒休み 藤三彩
○(泉)ユーモラスな俳句だと思います。
〇(瞳人)半酔じゃあ、数字をまちがえますよね
バス停はUFOの里柳絮とぶ あき子
〇(楊子)町おこしにどこも必死です。しずかな里が好きなんていうのは便利なところに住んでいる者の贅沢なのでしょう。
○(宙虫)どこかにあるんだろうか?おもしろいとりあわせ。
○(めたもん)「UFOの里」というのは能登・羽咋市のことかと思ったら、福島市飯野町のことなんですね。季語「柳絮とぶ」が絶妙です。
◯ (アゼリア)何処のバス停か知りたいです。
引き返す理由はなくて春の稚魚 宙虫
◎(ちせい)毅然とした態度が感じられ、春の稚魚を印象的な存在にしています。
啓蟄や馬の埴輪の筒の耳 珠子
〇(楊子)なにか聞こえてきそうです。啓蟄ではない季語もありそうですが。
◎(道人)古代から這い出て来る地虫の声が聞こえてきそうな句。
渓流の脈打つ響き山笑ふ 春生
○(藤三彩)まだ寒いですが川魚など期待できる季節の音連れなのかな
〇(あき子)大きな景が簡潔に描写されています。季語がいいですね。
軽すぎる生命の話クロッカス あちゃこ
○(卯平)上五中七は「そうだね」としか言いようのない常套措辞。しかし「クロッカス」との対比でその常套の措辞にリアル感。「サフラン」だとケの世界で驚きはない。「クロッカス」と反転したことで、上五中七の常套の措辞が生きてくる。詩にはならない言の葉が、季語の斡旋次第で一行詩へと昇華する、俳句と言う詩型の賜。
◎(仙翁)世界で、日本で、多くの人が理不尽に死んでいるのに、他人事にしています。クロッカスもいい。
○(藤三彩)小さな球根に色ある花がつく。いのちがあって春を迎えられる
◎(吾郎)このクロッカスの可憐な美しさと茎の細さ、しかし芯の強さに比べ、巷で流れる「いのちの話」の軽さたるや
事務室の机の移動黄砂ふる 楊子
○(宙虫)なんでこんなしょっちゅう動かさなくてはいけないんだ。と思っていた。なつかしい。
◎年度末から年度始の景か。今時「事務室」と言う語彙から想像されるのは「学校」くらいか。執務室などすると詩にならない。当然ポジションの異動もあり、それに伴い机を移動させている景。昇任した人の机もそうでない人も、更には任務が変わった人それぞれ悲喜こもごもが下五「黄砂降る(漢字が良いのでは)に託されている。
◎(めたもん)隠れていた汚れや綿埃が掃除され、限定的ではあるが新しい気分になる職場の机の移動。すっきりとまではいかなくとも、少し春の気分。季語「黄砂ふる」がぴったり。渋い句だと思います。
○(まきえっと)フリーアドレスとなった今、出社のたびに移動です。
蛇穴を出で大統領の赤ネクタイ アゼリア
〇(珠子)赤いネクタイだけは見える裸の王様。季語との取り合わせが効いています。
◯(道人)トランプ大統領の赤いネクタイを蛇に模して俳諧味あり。
○(あちゃこ)取り合せが面白く、いただきました。
○(幹夫)ディープステート殲滅。アメリカ・ファースト!アメリカが変われば、世界も変わる。
〇(あき子)できるならずっと冬眠してて欲しかった。世界が過去へ揺り戻される。
春落暉いまだ届かぬ招待状 卯平
○(餡子)何の招待状でしょうか?何故私には来ないのかしら?落暉に不安が・・・。おめでたいことに決まっていますが、議員のパーティー券にはお気を付けて。
上賀茂より酸茎届きて飯を炊く アダー女
振り向けば2センチに圧縮の生春疾風 餡子
水温む感情線のくっきりと 道人
○(卯平)その激しい思い、きっと相手にも通じる予感が。「水温む」に込めた詠み手の密かな思い。
節分や商魂たくまし恵方巻 泉
淡雪の濡らす江戸文字地方寄席 めたもん
○(あちゃこ)地方寄席に集う雪降る町の人々に笑いがありますように。
◎(藤三彩)雪の中、チャリンコ漕いで寺での寄席に行くのも余興。
◯(吾郎)ああ、そういう席で人情噺を聴いてみたい、温泉に浸かった後。
〇(あき子)江戸文字の華やかさと淡雪の繊細さに、豊かな空間が見えてきます。
◯ (アゼリア) お囃子が聞こえてきます。娯楽の少ない地方の人達の楽しみですよね。私も行きました。
○(まきえっと)淡雪がいいですね。賑やかな声が聞こえてきます。色の対比もいいです。
薄氷は五色の風の通り道 幹夫
○(仙翁)五色なのが面白いですが、いろいろな色があっていい。
◯(吾郎)見えないけど感じる色がある、素敵。
〇(ちせい)五色の風を感じる作者の感受性を嘉したいと思いました。
落第を唸る寝汗やこの時分 瞳人
☆☆次回をお楽しみ。
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