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『背(せ)に腹(はら)は替(か)えられぬ』[=変えられぬ・代えられぬ]
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大切なことのためには、他のことを顧(かえり)みる余裕などないということ。差し迫った大きな苦痛を避けるためには、小さな苦痛や多少の犠牲は止むを得ない。
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類:●背より腹●苦しいときは鼻をも削(そ)ぐ●Necessity knows [has] no law.(必要の前に法律なし)<「英⇔日」対照・名言ことわざ辞典>
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★腹は大切だから、その腹を守るため、背中なら犠牲になっても止むを得ない。「背中では、腹の代わりにはなれない」という意味合いで言う。
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<松下幸之助一日一話> PHP研究所編
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なすべきことをなす
治にいて乱を忘れずということがある。太平のときでも、乱に備えて物心ともの準備を怠ってはならないということで、指導者としてきわめて大切な心がまえである。とはいえ、人間というものは、とかく周囲の情勢に流されやすい。治にあれば治におぼれ、乱に会えば乱に巻き込まれて自分を見失ってしまいがちである。そういうことなしに、常に信念を持って主体的に生きるためには、やはり心静かに、われ何をなすべきかを考え、そのなすべきことをひたすらなしていくことが大切である。指導者の要諦とは、見方によっては、この“なすべきことをなす”ということに尽きるとも言えよう。