舎利子。是諸法空相。不生不滅。不垢不浄。不増不減。
anattãアナッター」は「実体がない」ということで「空」の同義語ですから、「諸法空相」も正しいのです。
ただし・・・・・すべてのものは実体がないから増えることも減ることもない」と言うことはできるでしょう。
『般若心経は間違い?』の間違い(一)
『般若心経は間違い?』の間違い(二)
『般若心経は間違い?』の間違い(三)
『般若心経は間違い?』の間違い(四)
『般若心経は間違い?』の間違い(五)
『般若心経は間違い?』の間違い(六)
『般若心経は間違い?』の間違い(七)
『般若心経は間違い?』の間違い(八) 密教と記号類型学
『般若心経は間違い?』の間違い(九) 龍樹「一切皆空」のパラドクス
『般若心経は間違い?』の間違い(十) 中観(一切皆空)と般若心経(五蘊皆空)
照見!『般若心経は間違い?』の間違い(十一)
『般若心経は間違い?』の間違い(十二) 悟りのイメージと効用
『般若心経は間違い?』の間違い(十三) 竜樹の「空」と般若心経の違い
『般若心経は間違い?』の間違い(十四) 無我と輪廻
『般若心経は間違い?』の間違い(十五) その1 苦=空=自己疎外
『般若心経は間違い?』の間違い(十五) その2 10年経っても反論できない?
張明澄記念館 発行
売価 16,000円
PDF版をご希望の方は、お問い合わせください。
序言
『西遊記』でおなじみの、玄奘三蔵法師は、7世紀、唐からインドに取経して、多くの経典を漢語訳し、なかでも、『般若心経』は、大乗仏典の精華と言うくらい名訳とされています。しかし、よく理解されているか、と言えば、実はあまりよく理解されていません。
なかでも、「色即是空、空即是色」という『般若心経』のなかの最も重要な文章は、最も有名であるにも関わらず、理解される、というには程遠いのが現状です。
なかには、「色即是空」は正しいが「空即是色」は間違い、などと、頓珍漢なことを言い出す人たちも現れましたが、『般若心経』を信奉してきたはずの、日本の仏教者たちは、満足な批判を加えることさえできません。
十八世紀、ドイツの哲学者ヘーゲルは「理性的なものは現実的なものであり。現実的なものは理性的である」と述べました。この発言は当時から、批判されるばかりで、今でもあまり理解されていません。
ヘーゲルの言う「理性」は、仏教では「分別」と言いますが、ヘーゲルの言うような理想的なものとは捉えておらず、「分別」こそが「苦」の原因であるとします。
「色即是空、空即是色」をヘーゲル風に言い換えると、「現実と見えるものは分別されたものであり、分別されたものは現実と見えるものである」ということになります。つまり、自分が「分別」して「現実」と見えるものを、そのまま「現実」と思い込むから、「苦」が生ずるのです。
2世紀、インドの仏教者、竜樹は、「一切は空である」と、述べましたが、本人も論じているように、「すべてが空」では、矛盾が生ずることがあります。
その点、「唯識」仏教(法相宗)の大家である玄奘三蔵訳『般若心経』では、「一切が空」とは言わず、「五蘊皆空」と述べており、竜樹のような矛盾が生じません。
「唯識」レベルで書かれた経典である玄奘訳『般若心経』を「空」論のレベルで理解しようとすることには無理があり、最低でも「唯識」レベル、できれば「密教」のレベルで、つまりは「唯識」論を踏まえた上で、あらゆる知識を総動員して「緊密」に読み解くことが必要です。
「密教」の「密」とは、「緊密」のことであり、「秘密」という意味ではありません。
『般若心経』の「空」は、ヘーゲルの「疎外」と似ていますが、むしろ、マルクスの「疎外」と等しいものであることを、本書をお読みいただければ、お解りいただけるかと思います。
2021年 辛丑 掛川東海金
------------------------------------------------
張明澄師 南華密教講座 DVD 有空識密 智慧と覚悟
お申し込み先
日 本 員 林 学 会
代表 掛川掌瑛(東海金)
☎Fax 0267-22-0001
E-MAIL showayweb〇msn.com
〇→@