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筒井筒と在原神社

2020-05-17 11:34:00 | 日記
天理インター付近を散歩していたところ、小さな社寺を見かけたので入ってみたところ、意外なものを見つけた。筒井筒だ。


側にはあの有名な相聞歌が書かれていた。

筒井筒の井筒にかけしまろが丈 過ぎにけらしな妹見ざるまに
くらべこし振り分け髪も肩過ぎぬ 君ならずして誰かあぐべき

非常にロマンチックで、しかも情景が目に浮かぶような視覚的な歌だ。男の歌はまだ探りを入れるようなビクビクした感じだが、女(紀有常の娘らしい)の返歌は「遂に来た!このチャンス逃しはしない!」という迫力が感じられる。歌の内容も技巧的で、くらべる、過ぎぬ、と男の歌をうまく取り入れており、相聞歌としては格別の出来だろう。
さて、立札の説明文を読むと、謡曲「井筒」の一節の「大和国石上の在原寺の旧跡」が当所と言われるとのこと。確かにここは石上町だ。何でもここは寺が主で神社は従であったが、明治の神仏分離令で寺部分が廃棄され、祠だけが残ったらしい。
(余談だが、この祠は西向きだ。この辺りでは西向きの社は多く、北向きの神社もある。鹿島や宮島も北向きだし、昔はあまり方角を重視しなかったのだろう。)


確かに入口には在原寺の石碑があったし、境内にも鳥居はない。


そうか、ここがあの筒井筒の舞台か。今は昔、もう1,100年以上も前の話だが、今日は良いものに巡り合えた。



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