繰り返しという平安
この表紙がもう、すべてを物語ってしまっています。登場人物は、たったの、ふたり。というか、一人の男と一匹のパンダ。ふたりが、医者通いをする。それだけの話です。
それだけなのに、心にしみるのは、繰り返し歌われる歌があるから。リズミカルで、どこか、すっとぼけた歌の中に、ふたりの今と、歴史と未来が、ギュッと、つまっています。
繰り返されるところに在るもの―あるいは、繰り返されるところにしかないもの―。読者は、繰り返し、それに励まされます。おそらく、老若男女を問わず。
親から子へ、祖父母から孫へ。今はまだ強い者から、今はまだ弱い者への読み聞かせにぴったりです。
すっとぼけた絵が、また素敵なのです。