「舞」戸塚(まゆ)句会句会報
「舞」戸塚(まゆ)句会は、「舞」俳句会(主宰:山西雅子、俳人協会幹事)の戸塚支部として活動しており、今年で4年目になる。会員は、舞俳句会の本部会員でもあるが、活動拠点を主として横浜市戸塚区に置き、独自の句会や吟行会を行い、会員相互の親睦を図っている。毎月の定例句会には、主宰も出席し、会員の身近で個々の投句に対して詳細な句評を聞かせて戴いている。総勢12人の句座は、毎回和気あいあいの雰囲気に満ち、内容の有る句会運営をしている。
句会の大きさは、参加者の人数では無いようである。句座の運営として適切な規模は、10~15人程度のようである。本部の句会は、総勢30人を超え、投句数も予め制限しても毎回60~70句に及ぶ。これでは十分な観賞も評価も出来ないのが現状である。本部があっての支部ではあるが、毎回句会報も発行し、現在独自の合同句集の編集も進めている。
今回、合同句集の編集を任され、師匠である山西先生の膨大な作品の中から15句抄の選句を任された。先生は、「季語」を大切にされ、四季折々の身近な景を作品にされる、所謂伝統俳句の系列(師系:岡井省二)に属しており、四季別、ジャンル別に15句抄を作るのは、大変な作業であった。先生の15句抄の中の珍しい季語を使った作品を紹介しよう。山西先生の作句姿勢は、「易しい言葉で、深い心を詠む」ことを目指されているが、この句は、先生らしからぬ、技巧的な句である。角川俳句大歳時記にも例句は、1句のみ。将来的には、例句に加えられるのではないかと考えられる。句意は極めてシンプルである。
喜びの米といふありこぼしけり 雅子
季語は、「米(よね)こぼす」。新年の季語である。「米こぼす」とは、正月三が日に泣くことを、めでたいものである「米」の語を使って表したものであり、先生の句の句意は「悲しみの涙だけでなく、喜びの涙というものもある。それを三が日に流したことよ」ということであろう。この季語は、現在まであまり使われてはいない、所謂「古季語」に属するものである。歳時記の例句には、たむらちせい「雨飾」詠、
燦々と老皇后が米こぼす ちせい
があるのみ。
句会報や句集を編集していると、このような、珍しい「季語」にお目に掛かれて、大変勉強になる。
会報に明け暮れてもう秋の風 呑舞
平成28年9月6日記