呑舞さんの脳活俳句日記

俳句漬けの毎日。夢の中でも俳句を詠み、昼間は時々カメラを持って外出し、俳句の材料を捜す日々。句会報告や俳論を掲載します。

俳句指導

2016-09-18 18:33:48 | 俳句

地域俳句会の指導

   地域俳句会、特に地域自治会等が主催する俳句会は、単に会員の俳句の作句力の向上を目指すものではない。近年、高齢化が進み、引きこもり老人が増える中、少しでも、老人達に外出の機会を与え、老化防止に役立てると共に、地域の活性化や文化レベルの向上を目指すためものである。筆者が指導している俳句会も、その線に添うものであるが、5年近く指導を続けていると、会員の作句力は格段に向上し、人前に紹介できるレベルに達する。ただ、句会の運営や句会報の作成等、指導者に掛かる負担は増大し、自分の作句時間を割かれることは謂うまでもない。しかし、これも同じ地域に居住する俳人の一人としての地域サービスの一端と心得ている。

   句会は、毎月兼題2区、当季雑詠1区で当日出句の形で実施しているが、会員の最近の投句には、一般の結社俳句会の投句にも劣らないものも沢山出てくる。勿論、旧かな、季重なり等、神経質に拘れば問題句も多く投句されるが、句座を囲んでのお互いの意見交換等、和やかな雰囲気で句会を行う事が出来るだけでなく、筆者が掲げる「脳活俳句活動」にも貢献し得る。ただ、指導者に掛かる色々な負担は免れない。

   先月、8月句会の成績は以下の通りになっている(第58回句会報からの佳句)。

     秋澄むや明鏡止水てふ言葉あり     泰生

     星月夜戸締りの手を止めさせる      清子

     友ありてそれぞれの道花野かな      袈津子

     塾帰り急ぎし子等に星月夜            洋子

     星月夜すぎし我が身をふり返り        昇

     サイホンの湯気しろじろと秋澄めり   つる子

     あからひく谷戸の実りや秋澄める     和男

   兼題は、「星月夜」と「秋澄む」。いずれも、一般句会に投句しても見劣りのしない句に成っている。なかなか、全員がと言う訳にはいかないが、5年間の積み上げは、無駄に成っていないのが嬉しい。全国区の句会に参加するのも一つの方法であろう。しかし、地域に根ざした文化活動としての俳句の果たす役割も大きいと思う。

(平成28年9月19日記) 敬老の日     


句文集『セレネッラ』第九号

2016-09-18 10:25:16 | 俳句

句文集『セレネッラ』第九号上梓

  俳句大学の俳友、金子敦氏、中山奈々氏、中島葱男氏の3氏による句文集『セレネッラ』第九号が平成28年9月20日付けで上梓された。B4表面カラー刷りの簡素な文集だが、3氏ともベテランの俳人であり、それぞれ現役で俳句活動をされている。本誌は、コンビニのネットコピーで入手することが出来、極めて手軽に発行し、登録番号さえ教えて貰えれば、全国各地で入手可能になっている。

  伝統的な俳句結社が発行する句会誌は、結社に入会し、所定の会費を払わなければ入手する事が出来ない仕組みになっているが、このような手軽な方法でミニ句会報を発行することが出来るのは、インターネット社会の恩恵かもしれない。勿論、伝統的句会誌のような分厚い内容を盛ることは出来ないが、少人数で地域の枠を超えて交流する手段としては、ネットは便利なツールとして、俳句の世界でも広がるのではないだろうか。面白い試みである。俳句も従来のような句座を囲む必要も無くなるかもしれない。また、既存の俳句結社でも、インターネットやメールを媒体として全国ネットを構築している所もある。

  本誌は、上記3氏と言う限定的なグループによるものであるが、もう少し人数を増やすことは可能だろう。これからも地域の枠を超えてご活躍を祈りたい。

  本誌に投句された句は、「秋の章」として、各人6句ずつ投稿されている。また、特集となる「俳友客演」には、今回第一回として、杉山久子氏が投稿されている。小スペースの投稿欄に「新詠6句」と「季語考」が掲載されている。こじんまりした編集だが、纏まりの良い誌面に成っていて好感が持てる。

  投句全12句の内、筆者として印象に残り、推薦(好きな句)できる句を挙げると、

  秋薔薇や銀糸を紡ぐやうな雨           金子   敦(数式)

  独り占めか一人ぼつちか大花野       金子   敦(数式)

  靴下のかかと上擦る秋の風             中山奈々(靴)

  合ふ靴なし会うひとのなし昼の月      中山奈々(靴)

  野天湯や月詠む月をお迎えし          中島葱男(島時間)

  秋の蝉昭和の少し固くなり              中島葱男(島時間)

  俳人仲間の句、しかも句会ではないので句評は避けよう。ただ、各氏の句は、それぞれ秋らしい情景が詠み込まれていて好感の持てる句である。而も、詠み方に厭味がなく素直で読み易しい措辞の使い方が良い。俳句初心者が読んでも十分理解できる詠み方である。

(平成28年9月18日記) 

追記:挿絵の岸恵子さん、懐かしいな。などと書くと、筆者の歳がわかるかも。