地域俳句会の指導
地域俳句会、特に地域自治会等が主催する俳句会は、単に会員の俳句の作句力の向上を目指すものではない。近年、高齢化が進み、引きこもり老人が増える中、少しでも、老人達に外出の機会を与え、老化防止に役立てると共に、地域の活性化や文化レベルの向上を目指すためものである。筆者が指導している俳句会も、その線に添うものであるが、5年近く指導を続けていると、会員の作句力は格段に向上し、人前に紹介できるレベルに達する。ただ、句会の運営や句会報の作成等、指導者に掛かる負担は増大し、自分の作句時間を割かれることは謂うまでもない。しかし、これも同じ地域に居住する俳人の一人としての地域サービスの一端と心得ている。
句会は、毎月兼題2区、当季雑詠1区で当日出句の形で実施しているが、会員の最近の投句には、一般の結社俳句会の投句にも劣らないものも沢山出てくる。勿論、旧かな、季重なり等、神経質に拘れば問題句も多く投句されるが、句座を囲んでのお互いの意見交換等、和やかな雰囲気で句会を行う事が出来るだけでなく、筆者が掲げる「脳活俳句活動」にも貢献し得る。ただ、指導者に掛かる色々な負担は免れない。
先月、8月句会の成績は以下の通りになっている(第58回句会報からの佳句)。
秋澄むや明鏡止水てふ言葉あり 泰生
星月夜戸締りの手を止めさせる 清子
友ありてそれぞれの道花野かな 袈津子
塾帰り急ぎし子等に星月夜 洋子
星月夜すぎし我が身をふり返り 昇
サイホンの湯気しろじろと秋澄めり つる子
あからひく谷戸の実りや秋澄める 和男
兼題は、「星月夜」と「秋澄む」。いずれも、一般句会に投句しても見劣りのしない句に成っている。なかなか、全員がと言う訳にはいかないが、5年間の積み上げは、無駄に成っていないのが嬉しい。全国区の句会に参加するのも一つの方法であろう。しかし、地域に根ざした文化活動としての俳句の果たす役割も大きいと思う。
(平成28年9月19日記) 敬老の日